古くから交通の要所として栄えてきた佐賀県鳥栖市。その地の駅前不動産スタジアムをホームとするのが、Jリーグクラブ「サガン鳥栖」だ。この名称には、砂粒が固まって砂岩(サガン)になるように小さな力を集結させて立ち向かうという想いと、「佐賀」という地名が掛け合わされている。

2025年11月には試合開催日における完全キャッシュレス化を実現し、駅前不動産スタジアムは先進的なスマートスタジアムとして注目を集めている。この取り組みを支えるインフラのひとつがSquareだ。20,000人収容のスタジアムでどのように完全キャッシュレス化を実現し、運営しているのか。その舞台裏と工夫について、駅前不動産スタジアム、そしてサガン鳥栖を運営する株式会社サガン・ドリームス 代表取締役社長の小柳智之さんと、競技運営部でネットワークを担当する中川理恵さんに話を伺った。

ST260405 192

▲「駅前不動産スタジアム」 写真提供:サガン鳥栖(© SAGAN DREAMS CO.,LTD.)

業種 レジャー・エンターテイメント業
業態 プロサッカークラブ・スタジアム運営
使用しているSquareのサービス Square ターミナルSquare レジスターSquare リーダーSquare POSレジ (リテールモード)
目次


来場者の安心と快適さを軸としたサガン鳥栖のスタジアム運営

サガン鳥栖は、Jリーグの理念である「地域密着」を体現するクラブだ。市民・企業・行政が一体となって支え、JR鳥栖駅前という立地から、駅前不動産スタジアムには街の交流拠点としての役割もある。「佐賀や鳥栖の未来を豊かにする」ことを掲げ、子どもたちや選手を育てる育成型クラブとして、その視野は九州からアジアまでと広い。そして、運営の根底にあるのは来場者への深い配慮だ。

「スタジアム運営でもっとも大切にしているのは『安心安全なスタジアム』であることです。年配の方からお子さままで、すべてのファンが安心して楽しめる環境づくりを最優先しています」(小柳さん)

デジタル化の推進もその延長にあり、ストレスのない観戦体験と満足度向上が目的だ。一方で、クラブには経営面の課題もあった。

「当初は、年間約20試合すべてが現金対応で、事務負担が重くミスも避けられませんでした。来場者に不利益を与えずに会計の回転率を上げ、しっかり『稼ぐ』体制を整えることを実現するため、試合開催日の完全キャッシュレス化を踏み切りました」(小柳さん)

では、完全キャッシュレス化において、Squareのどのような点が選ばれ、運用に生かされているのだろうか。

1372 サガン鳥栖 3K9A7357-2

▲株式会社サガン・ドリームス 代表取締役社長 小柳智之さん

大規模運営を支える「だれでも使える操作性」と「Square ギフトカード」のカスタマイズ

駅前不動産スタジアム(以降:サガン鳥栖)では試合開催日の完全キャッシュレス化の実現を前にして、以前の決済端末とPOSシステムからの変更を検討した。数あるなかからSquareが選ばれた理由は、手数料の課題をクリアする面もあったが、スタジアムという特殊な現場に即した決済端末の「操作性の高さ」が大きかった。

「Squareを選んだ理由は、なにより決済端末がシンプルで使いやすかったからです。 試合開催日はスポットのアルバイトスタッフも多いため、誰が来ても使いやすく、間違いがないよう決済を進める必要がありました」(小柳さん)

「操作のシンプルさ」は、教育面においても大きな利点となっている。

「特にメインで使用しているSquare ターミナルは初めて使うスタッフでもすぐに理解できるため、事前の研修時間は設けておらず、当日に行う簡単なレクチャーだけでも、操作上のトラブルが起きていません。特に若いアルバイトスタッフなどは、普段使い慣れているスマートフォンのような感覚で、こちらが詳しく教えなくても操作を覚えてしまうほどです」(中川さん)

さらに、完全キャッシュレス化を決行するうえで避けて通れない「現金しか持たない来場者」への対応策が確立できたことも、Square導入を後押しした。

「完全キャッシュレス化では、現金以外の決済手段を持たない来場者への対応が大きな課題でした。そこで、カードにチャージして使っていただく仕組みを相談し、カスタマイズすることによってSquare ギフトカードが誕生しました」(小柳さん)

Square ギフトカードは販売・チャージに加えて、残金の返金にも対応している。当初は現金を利用されるお客さまが混乱されるのではないかという懸念もあったが、実際には抵抗なく受け入れてもらえているという。

「完全キャッシュレス化にあたっては、事前のWeb告知や試合当日のアナウンスなどを重ねて準備を進めてきました。特に小学生だけで来場するお子さまへの対応は心配していましたが、保護者の方が事前にギフトカードの準備をしてくださるケースも多く、ファンの皆さまの協力のもと、大きな混乱なく運用できています」(小柳さん)

1372 サガン鳥栖 3K9A7450-2

1372 サガン鳥栖 3K9A7510-2

▲Square ギフトカードによる決済

※こちらのSquare レジスターは第一世代です。最新のSquare レジスター 第二世代は磁気ストライプの読み取りには対応していません。

Squareのサポート体制も、大規模な興行を支えているという。

「開幕戦などの重要な局面では、Squareの担当者が実際にスタジアムへ足を運び、現地の運用を直接見守ってくれています。当日、万が一トラブルや不明点が発生した際も、その場ですぐに相談し、直接対応してもらえる体制があることは、運営側にとって非常に心強いですね。単にシステムを提供するだけでなく、現場の熱量を感じながら共にスタジアムをつく作りあげてくれる、そんな手厚いサポートに感謝しています」(中川さん)

※Squareの導入支援として、専門スタッフが現地にお伺いし、オンサイトでのサポートを実施する場合は、別途料金が発生します。詳細については、営業チームまでお問い合わせください。

1372 サガン鳥栖 3K9A7338-2

導入のご相談は営業チームまで

イベントや複数店舗への決済端末・POSレジの導入をご検討中なら、Squareの営業チームがご要望を伺います。端末の選定から利用開始までを丁寧にサポート。組織固有の課題に合わせた最適なソリューションを提供します。

屋外・屋内で最適なSquare端末を選択し、収益力を底上げ

試合当日、スタジアムは熱気あふれる巨大なマーケットへと姿を変える。サガン鳥栖では、スタジアム内の2つのエリア、そしてチケットなしで自由に利用できるスタジアム前の広場を合わせた、計3つのエリアに飲食を中心とした屋外ショップやキッチンカーが並ぶ。こうした大規模な屋外販売において、メインの決済端末として利用されているのが「Square ターミナル」だ。

「Square ターミナルはとても軽く、非常に管理がしやすいサイズ感です。予備を含め80台ほどの端末を運用していますが、このコンパクトさと軽量さは大きな利点ですね。試合当日は、担当者がネットワークへの接続を確認し、スタジアム内の各エリアへ配布するのですが、一度に10台、20台とまとめて持って回ることも可能になりました。エリアごとにオープン時間が異なりますが、効率的な配布と回収が実現しています。回収は各使用者に返却してもらっています。また、保管場所にそれほどスペースを取らないのもありがたいです」(中川さん)

大規模運営においてSquare ターミナルがもたらすメリットは、バッテリーの持ちの良さやレシートプリンターが内蔵されている点にもある。

「Square ターミナルはバッテリーの持ちが良いため、フル充電しておけば販売時間内にバッテリーがなくなる心配がありません。そのため、屋外の各ショップに充電器やコードを持ち込む必要がなく、端末本体と予備のレシートのロール紙だけという、最小限の用意で完結できています」(中川さん)

また、試合のハーフタイムに来場者数万人が殺到するような状況でも、決済が途切れることなく瞬時に完了するスピード感が収益の向上に結びついた。

「試合前後とハーフタイムのわずか15分間が勝負となるなかで、いかに効率よく販売できるかが重要になります。そのひとつの取り組みが、完全キャッシュレス化です。同じ入場者数で比較した場合でも、以前より売上が数パーセント伸びており、導入して良かったと実感しています」(小柳さん)

さらに、現場で販売にあたるスタッフにとっても、Squareの導入はストレスフリーな環境をもたらした。

「販売スタッフからは、釣り銭を準備する手間や負担が減ったという声がいちばん大きいです。Square ターミナルはサクサク動いて、決済に時間もかかりません。調理と提供の合間に行う会計対応の時間が短縮され、より多くのお客さまに商品を提供できるようになりました。また、衛生的にも現金を触らなくて済む点は非常に喜ばれています」(中川さん)

IMG 0826

▲屋外での決済もスムーズに 写真提供:サガン鳥栖(© SAGAN DREAMS CO.,LTD.)

オフィシャルショップはスタジアムに常設しており、試合がない日も通常営業している。試合開催日は来場者が増えるため、屋外にも臨時のショップを出店して対応する。試合開催日の屋外ショップでは Square ターミナルで機動力を優先する一方、通常のオフィシャルショップでは試合日・通常営業日を問わず、据え置き型の「Square レジスター」を使用している。

「試合開催日はオペレーションの効率化を最優先していますが、ショップの通常営業では現金も受け付けています。地元のファンの多様なニーズに対応できるよう、場面に応じて使い分けています」(中川さん)

1372 サガン鳥栖 3K9A7545-2

1372 サガン鳥栖 3K9A7466-2

在庫管理の効率化と売上のデータ活用が、物販運営とファンサービスを進化させる

サガン鳥栖ではSquare POSレジ (リテールモード)に備わる在庫管理機能を利用し、物販運営の効率化を進めている。

「ショップ運営を管理する立場からは、ユニフォームやグッズなどの在庫管理を非常に重要視していました。常設のオフィシャルショップに加え、試合日のみ展開する売店も多く、アパレルショップのような物販管理が求められます。そうした運営全体をカバーできる点が、Square POSレジ (リテールモード)を選んだ決め手のひとつでした。Squareはすでに他のプロスポーツチームや大規模イベントでの導入実績があり、リテール部門での活用事例が豊富だったことも大きな安心感につながりました」(中川さん)

Square POSレジ (リテールモード)では、保管場所(倉庫)と販売場所(各ショップ・売店)を分けた在庫管理が可能だ。試合日には、複数の売場と倉庫の間で商品が頻繁に移動するが、管理画面上で売場ごとの在庫をまとめて把握している。

※在庫移動は機能はSquarePOSレジ (リテールモード プラスプラン)で提供されています。

「試合中の忙しい時間帯でも、どの売り場でどの商品があといくつ残っているかをリアルタイムで確認できます。たとえば『10個準備したものが5個になったから補充しよう』といった判断を、目視だけでなく確かなデータに基づいて行えるようになりました」(中川さん)

Left panel=Side menu, Child view=False, Max width=True, Phone=False, Dark mode=False

▲Square POSレジ (リテールモード プラスプラン)では在庫消化率の確認も可能(イメージ)

また売上管理の面では、各ショップで使用している Square ターミナルから出力される売上レポートを活用している。

「試合終了後は、端末返却時に売上レポートを出力し、管理側とその場で確認しています。売上がデータとして残るので、売上の報告漏れや金額の食い違いがなくなり、正確な売上把握ができるようになりました」(中川さん)

管理側と店舗スタッフの双方が同じ売上データを確認できることで、来場者数や気温といった条件と売れ行きを照らし合わせ、次回のラインナップや販売方法の見直しにもつなげている。

1185I Substore product 2 Reports 01 RD JP

▲ Square ターミナルでの売上レポート(イメージ)

さらに、蓄積された売上データをもとに、新商品の反応を振り返るなど、商品展開の検討にも活用している。

「新商品が期待通りに売れたのか、反応が鈍かったのかを、感覚ではなくデータを参考にしながら、商品展開を考えていきたいですね」(中川さん)

来場者の行動に基づいた新たなファンサービスの検討も始まっている。

「将来的には、購入者の年齢層や性別といった属性分析も進め、『この年齢層が多いから、次はこういうアーティストを呼ぼう』といった集客やファン満足度向上につながる施策に生かしていきたいと考えています」(中川さん)

1372 サガン鳥栖 3K9A7581-2

1372 サガン鳥栖 3K9A75592M以内)

▲ Square データを利用した売上分析をオフィシャルショップのラインナップ戦略に活用

テクノロジーで広がる、より快適な観戦体験への次の一歩

サガン鳥栖は、ファン満足度をあげる「スマートスタジアム」の実現にとどまることなく、さらなる進化を目指している。サッカーという競技特性上、観客が集中する試合前後やハーフタイムの限られた時間内の効率的な販売は、引き続き追求すべき重要なテーマだからだ。

「今後もテクノロジーを活用し、スタジアムに来て、食べ物やグッズをストレスなく買える仕組みへのチャレンジを継続していきたいと考えています。こうした取り組みを通じて満足度を高め、そこで得た収益をさらに次の投資へつなげていく。そうした良いサイクルを回しながら、ひとつずつ課題を解決していくのが私たちのやり方です」(小柳さん)

そのひとつが、物理的な列に並ぶ必要のない、デジタルを介したおもてなしの形だ。

「将来的な展望として、座席にいながら注文や購入ができるモバイルオーダーの導入も視野に入れています。たとえば、料理の完成通知を出すといった細やかなサービスをするなど、さらなる利便性向上を目指す構想もあり、Squareでカスタマイズできればうれしいですね。デジタル化をより進めることで、ファンの皆さまにとってストレスのない試合観戦の形と売上の拡大を目指していきたいです」

ST260405 114

▲写真提供:サガン鳥栖(© SAGAN DREAMS CO.,LTD.)

「試合前後とハーフタイムのわずか15分間が勝負となるなかで、いかに効率よく販売できるかが重要になります。そのひとつの取り組みが、完全キャッシュレス化です。同じ入場者数で比較した場合でも、以前より売上が数パーセント伸びており、導入して良かったと実感しています」 - 株式会社サガン・ドリームス 代表取締役社長 小柳智之さん

Squareで実現できたこと

ハーフタイム15分の売上を最大化する「スムーズな決済体制」

試合開催日の完全キャッシュレス化では、軽量・コンパクトなSquare ターミナルを3エリアで約80台運用し、設営・回収の効率化と高い機動力を実現しています。バッテリー持続時間も長く、端末とレシートプリンターロール紙だけで運用が完結するため、現場の負担も最小限に。さらにローカル5Gの安定した通信環境との組み合わせにより、数万人が殺到するハーフタイムの15分間でも決済が滞らず、会計の回転率が向上しました。現金のやり取りがなくなったことでスタッフは提供に集中でき、同じ入場者数でも売上が数パーセント伸びるという成果につながっています。

現金派にも開かれたキャッシュレス運営

キャッシュレス手段を持たない来場者に向け、スタジアム専用のプリペイド方式としてカスタマイズされたSquare ギフトカードを導入しました。現金派の来場者や子どもでも利用でき、完全キャッシュレス化への移行もスムーズに進みました。

複数拠点の在庫をリアルタイムで可視化し、欠品を防ぐ運営体制

スタジアム運営では、常設ショップ、複数の屋外ショップ、倉庫の間で商品が頻繁に移動します。サガン鳥栖では、Square POSレジ (リテールモード プラスプラン)の在庫管理機能を活用し、保管場所(倉庫)と販売場所(各ショップ)をアカウント別に管理しています。
また、売場ごとの在庫状況をリアルタイムで把握できるため、在庫補充の判断を目視に頼ることなく、データに基づいて迅速に行えるようになりました。これにより、欠品による販売機会の損失を防いでいます。

売上データを生かした戦略的な商品展開とファンサービスの向上

Square データに蓄積されるデータは、現場と管理側の双方で活用されています。各ショップが返却前に出力する売上レポートは、気温や来場層と売れ行きを照らし合わせ、次回のラインナップ改善に役立てられています。管理側は新商品の反応を客観的に分析できるようになり、中長期的な商品戦略の精度が高まりました。

記事に​​掲載されている​​店舗情報 (商品内容、​​価格、​​営業時間など​​) は​​2026年4月時点の​​ものです。