現代には、環境問題や高齢化社会、貧困など国内外を問わずさまざまな社会課題が存在します。それらの社会課題を解決しようする「社会起業家」の存在について聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。社会起業家は、他にも「Social Entrepreneur (ソーシャル・アントレプレナー)」「チェンジメーカー」と呼ばれています。ビジネスを通じて社会課題の解決を目指す人のことをいいます。
今回は「社会起業家」について説明します。
社会起業家とは
社会起業家の前に、CSRについて説明します。現代では、CSR(Corporate Social Responsibility/企業の社会的責任)が問われる場面も多くなり、CSRを意識する企業も増えてきました。
企業は、利益追求だけを目的にするのではなく、社会貢献を考慮した事業展開が求められています。CSRの具体的な例を挙げると、温暖化防止のために工場から出る廃棄量を削減する工夫をしたり、海外のサプライヤーから部品や素材を調達する際には現地の労働者の権利や労働環境を確認した上で契約を結んだりすることなどが挙げられます。
CSRに積極的に取り組む企業と社会起業家の違いは何でしょうか。社会起業家が行う事業のことは「社会事業(ソーシャル・ビジネス)」、経営する企業は「社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)」と呼ばれています。経済産業省は社会事業(ソーシャル・ビジネス)の要件を、さまざまな社会課題を市場としてとらえ、その解決を目的とする事業で、「社会性」「事業性」「革新性」の3つの要件から成るとしています。
参考:ソーシャルビジネス推進研究会 報告書概要(経済産業省)
社会性
社会起業家は、社会課題の解決を目的に起業し、組織の運営や会社の経営を行います。目的は営利追及ではなく、そのミッションは、社会課題の解決です。法人形態はNPO法人や株式会社などさまざまです。
アンケートによると、法人形態は「NPO法人」が最も多く、最も多い業種は「福祉」となっています。
事業性
社会起業家は、ボランティアや補助金、人々からの寄付金に頼って活動するのではなく、事業を持続させ収益を確保すると同時に、社会課題を解決していることが特徴です。運営面において、社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)と一般企業には共通点があります。ビジネスを行う上で一般的に必要とされる「マーケティング活動」「経営計画」「マネジメントスキル」などは、社会起業家にも必要です。
革新性
今ある社会課題を解決するためには、既存の商品やサービス、仕組みでは大きな変革は期待できないのではないでしょうか。そのため、これまでにない形態や視点を持つ革新性が社会事業(ソーシャル・ビジネス)には求められます。
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社会起業家はまず、社会のさまざまな課題に対して当事者意識をもつ必要があります。社会起業家は、「社会起業家になろう」と思ってなったのではなく、課題に感じたことを解決しようとした結果が事業という形に進化を遂げ、社会起業家と呼ばれるようになった人が多いのではないでしょうか。まさに、「個々の当事者意識」がビジネスになっています。多くの社会起業家が、社会貢献というやりがいを胸に、目的意識を持って活動しているのです。
また、人を巻き込む力も必要ではないでしょうか。どのような事業を行う場合も、一人の力では社会課題を解決することは難しいです。課題解決の重要性やより良い社会になるイメージをより多くの人たちに伝え、巻き込む力も大切です。「あらためて考える、リーダーシップとは何か」の記事もぜひ参考にしてみてください。
そして、社会をより良くしたいと思う「強い志」も大切なのではないでしょうか。
プログラム参加
さまざまな団体や教育機関が、社会起業家を目指す人が参加できるプログラムを用意しています。今回はそのうちのいくつかを紹介します。参加対象者や期間、内容はプログラムによって異なるため、各団体のウェブサイトを確認するようにしてください。
・ETIC./ 特定非営利活動法人エティック
・男女共同企画センター横浜
・社会企業大学
・関西学院大学人間福祉学部社会起業学科
社会起業家という形以外でも、社会に貢献する方法はあります。起業はハードルが高いと感じる人や、すでに企業などに属している人は、副業やプロボノから始めてみてはいかがでしょうか。「本業の合間にビジネスにチャレンジしたい!副業の始め方」や「知識やスキルを活かした社会貢献、プロボノとは」の記事もぜひ参考にしてみてください。
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執筆は2018年2月1日時点の情報を参照しています。
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