経営者と​して​知って​おきたい​ジェンダーギャップと​女性活躍の​ヒント

2006年から​毎年​世界経済フォーラムが​公表している​ジェンダーギャップ指数は、​その国に​おける​男女平等の​状況を​示す​一つの​大きな​目安です。​日本の​ジェンダーギャップ指数は​2017年に​過去最低の​114位​(144カ国中)を​記録し、​2018年は​前年と​比べて​4ランク上がった​ものの、​G7の​国々の​中で​いまだ​最下位です。

参考:日本は​世界で​110位、​男女平等ランキング WEF​調べ、​前年から​4つ上昇​(2018年12月18日、​日本経済新聞)

今回は、​ジェンダーギャップ指数とは​何か、​日本の​課題、​企業に​おいて​ジェンダーギャップを​解消する​ための​ヒントに​ついて​解説します。

ジェンダーギャップ指数とは

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ジェンダーギャップ​(Gender Gap)とは​日本語で​「男女格差」を​意味します。​ジェンダーギャップ指数​(Gender Gap Index)は​世界各国の​ジェンダーギャップを​測る​指数で、​毎年、​世界経済フォーラム​(World Economic Forum)に​よって​発表されています。

ジェンダーギャップ指数は、​出生児の​性別比や​平均寿命の​男女差などの​「健康と​生存率」、​識字率や​就学に​おける​男女格差と​いった​「教育」、​賃金や​労働力などに​おける​男女格差である​「経済活動への​参加と​機会」、​議会などの​意思決定機関への​参画に​おける​男女差と​いった​「政治への​関与」と​いう​四つの​分野14項目で​対象国に​おける​男女間の​格差を​評価し、​算出した​指標です。​算出には、​国際労働機関​(​ILO)、​国連開発計画​(UNDP)、​世界保健機関​(​WHO)などの​公的な​データが​用いられ、​最低の​スコアの​0が​完全不平等を、​最高の​スコアの​1が​完全平等を​意味します。​指数は​ランキングで​発表され、​2018年の​日本の​総合スコアは​0.662で、​順位は​149カ国中110位でした。

参考:世界経済フォーラムが​「ジェンダー・ギャップ指数2018」を​公表​(内閣府男女共同参画局総務課)

日本の​課題

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現在、​日本が​ジェンダーギャップに​関して​抱えている​課題を​みてみましょう。

1,女性が​社会で​活躍しにくい
2018年の​日本の​ジェンダーギャップ指数0.662の​内訳を​各分野ごとに​見ると、​健康分野は​0.979で​41位、​教育分野は​0.994で​65位、​経済分野は​0.595で​117位、​政治分野が​0.081で​125位と、​経済と​政治の​分野に​おける​スコアが​非常に​低い​ことが​わかります。

経済分野で​ランクが​低い​項目は、​マネージャーなどの​管理職に​就く​人数に​おける​男女格差​(Legislators, senior officials and managers)が​0.152で​129位、​政治分野では、​女性国会議員の​比率​(Women in parliament)が​0.112で​130位と​なっています。​日本では、​社会的に​責任ある​立場に​あり、​決定権を​もつ女性の​存在が​きわめて​少ないと​いえます。

参考:The Global Gender Gap Report 2018​(World Economic Forum)

2,女性の​就業率が​低い
日本では、​女性の​就業率の​低さも​課題です。​独立行政法人労働政策研究・研修機構に​よると、​2016年の​日本の​就業率​(15歳から​64歳に​占める​就業者の​割合)は​74.3%と、​英国​(74.3%)​や​ドイツ​(74.7%)と​同水準ですが、​男性の​就業率82.5%に​対し女性は​66.0%と​低い​ことが​わかりました。​結婚・妊娠・出産などで​離職する​可能性が​高まる​時期が​ある​ことを​考慮しても、​男性と​比べると​女性の​就業率は​低水準にとどまっています。

参考:データブック国際労働比較2018:全文​(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)

労働力​不足が​避けられない​課題と​なっている​今、​女性の​活躍を​支援する​ことは​人材の​確保と​安定した​経営に​つながります。​上記の​課題に​ついて​適切な​対策を​行い、​女性の​社会進出を​促進する​ことが、​企業に​とって​急務の​課題と​いえるでしょう。

企業に​おける​ジェンダーギャップ解消の​ヒント

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2005年に​内閣府が​行った​調査では、​過去20年で​女性の​労働力率を​上げ、​出生率を​上昇させた​国々は、​男女ともに​働き方の​見直しや​保育所の​整備と​いった​子育て​支援、​雇用に​おける​機会均等や​待遇確保など​構造的な​解決策を​進めてきたと​いう​特徴が​ある​ことが​わかりました。

参考:少子化と​男女共同参画に​関する​社会環境の​国際比較 報告書概要版​(少子化と​男女共同参画に​関する​専門調査会)

ジェンダーギャップを​解消する​ために、​企業と​してどのような​取り組みが​できるでしょうか。

1,働き方に​柔軟性を
リモートワークや​フレックスタイム制度、​パートタイムや​プロジェクトベースで​働くなど、​従業員一人​ひとりの​ライフステージに​あわせた​多様な​働き方を​導入する​ことで、​育児や​介護を​担う​従業員が​キャリアを​中断せずに、​仕事を​続けやすくなります。​女性だけでなく​男性にも​同じ​選択肢を​提供する​ことで、​妊娠や​出産などに​よる​女性の​離職を​減らし、​男性の​育児や​家事への​参加を​促進できます。​また、​従業員の​定着率も​高められます。

2,女性の​メンターを​置く
結婚や​妊娠、​出産や​育児と​いった​理由だけでなく、​同性の​相談相手が​身近に​いない​ことも​女性の​離職を​加速させる​要因に​なり得ます。​自分より​長く​キャリアを​築いてきた​女性の​先輩や​上司に​相談できる​体制を​整えて​女性従業員が​将来の​キャリアプランを​具体的に​作れるよう支援する​ことで、​女性を​長期的な​戦力と​して​育てていく​ことが​可能に​なります。

3,ハラスメントの​防止を​徹底する
ハラスメントは、​就業環境を​悪化させ、​従業員の​パフォーマンスを​低下させます。​2015年度に​都道府県労働局雇用均等室へ​寄せられた​男女雇用機会均等法関係の​相談件数を​みると、​総数23,371件の​うちセクシュアルハラスメントに​関する​相談件数は​9,580件と​全体の​4割を​超えて​最多です。​中でも​女性労働者からの​相談は​6,185件で​約65%を​占めている​ことから、​職場での​ハラスメントの​深刻さが​伺えます。​ハラスメント防止研修などを​積極的に​導入する​ことで、​女性従業員に​安心して​働ける​職場を​提供し、​女性従業員の​定着と​活躍を​促す​ことが​期待できます。

参考:平成27年度 都道府県労働局雇用均等室での​法施行状況​(厚生労働省)

男女労働者間の​格差解消の​ために​企業が​自主的に​行う​取り組みは​ポジティブ・アクションと​呼ばれており、​中小企業の​経営者に​向けた​ポジティブ・アクション導入の​ための​マニュアルも​あるので、​活用しても​良いかもしれません。

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執筆は​2019年6月7日​時点の​情報を​参照しています。​
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