女性活躍推進法をわかりやすく!取り組み方や国内事例も紹介

ビジネスにおいて、「女性活躍」の重要性が増しています。2019年5月には女性活躍推進法の改正が行われ、大企業だけでなくスモールビジネスの事業主にも、女性の活躍を推し進めるアクションが求められるようになりました。

今回は、実際に女性活躍の取り組みを行っている国内企業の事例と合わせて、女性活躍推進法について、わかりやすく解説します。

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女性活躍推進法とは

女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 )は、その名のとおり、職場における女性の活躍を後押しするための法律です。2016年4月に施行されたあと、2019年5月29日には改正案が成立し、6月に公布されました。

この法律に基づき、企業には、社内で女性活躍を進めるための目標設定や具体的な取り組みが求められるようになりました。女性活躍推進に積極的に取り組んでいる企業は、厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)を受けられます。なお、法改正により、特に優良な実績を持つ事業主には「プラチナえるぼし(仮称)」が認定される予定となっています。

「労働者が101人以上の事業主」が行う義務

法改正により、女性活躍推進法に基づく義務の対象企業が拡大されました。

もし、常時雇用する労働者が101人以上の事業主であれば、以下の二つが義務付けられています。

・行動計画の策定・届出
・女性の活躍に関する情報公表

それぞれについて、以下で解説します。法の施行日は2019年6月5日から一年以内となっているため、できることから準備を始めましょう。

行動計画の策定・届出
女性活躍のために、事業主として、具体的に何を、いつまでに、どうやって行うのかをまとめます。これが「行動計画」です。

流れとしては、以下の四つのステップとなっています。

(1)現状を四つのポイント(採用者の女性割合、勤務年数の男女差、労働時間の状況、管理職比率)から把握し、課題分析を行う
(2)行動計画を策定し、社内および外部へ公表する
(3)行動計画を策定したことを、都道府県労働局へ届け出る
(4)取組の実施し、効果の測定や達成状況の点検を行う

女性の活躍に関する情報公表
女性の活躍に関する自社の情報を公表します。項目内容には、以下の二つの区分があり、全部で14項目が指定されています。

・職業生活に関する機会の提供に関する実績(8項目)
・職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績(6項目)

常時雇用する労働者が101人以上、300人以下の事業主は、任意の一項目以上の公表が求められます。常時雇用する労働者が301人以上の事業主である場合は、二つの各区分から、一項目以上を公表する必要があります。

自社の公式ウェブサイトのほか、厚生労働省による「女性の活躍推進企業データベース」に掲載することもできます。なお、項目内容の詳細については、以下をご覧ください。

参考:
一般事業主行動計画の策定義務の対象や 女性の活躍に関する情報公表が変わります(厚生労働省)
女性活躍推進法特集ページ(厚生労働省)

女性活躍の現状

日本では、出産や育児を理由に離職する女性が多く、再就職したとしても、パートのような非正規雇用となる傾向にあります。「平成30年度雇用均等基本調査」によると管理職の立場にある女性の割合は11.8%であり、政府が掲げる「指導的地位(課長以上の役職など)に占める女性の割合を、2020年までに少なくとも30%にする」という目標には届いていないのが実情です。国際的に見ても、日本のジェンダー格差は先進国の中で最下位であり、女性活躍を進めることは、国としての重要課題といえます。

参考:
「2020年30%」の目標の実現に向けて(男女共同参画局) 
「平成30年度雇用均等基本調査」結果を公表します(厚生労働省)
男女共同参画に関する国際的な指数(男女共同参画局)

女性活躍推進法に積極的に取り組むビジネス側のメリット

企業が女性の活躍に取り組むことには、以下のメリットが考えられます。

・優秀な人材が集まる
・企業やブランドイメージが向上する
・働きやすい職場になる
・助成金が支給される

それぞれ見ていきましょう。

優秀な人材が集まる
高い能力や就労意欲を持つ女性に対して、「家庭と仕事を両立できる」「この会社なら安心して働き続けられる」と思ってもらえれば、優秀な人材が集まりやすくなります。仕事を途中で辞める女性が減れば、離職に伴う新規採用のコスト削減にもつながります。

企業価値やブランドイメージが向上する
多様な働き方が注目を集めている現在、「女性が活躍できる」ということ自体が、会社の大きな「価値」となります。会社のイメージアップができれば、就活中の学生や買い物をする消費者、投資先を探している投資家などに選ばれる可能性が高まります。

働きやすい職場になる
これまで男性メインだった職場が、女性の働きやすさを考えることは、会社の業務や制度全体を見直すことにつながります。たとえば、育児・介護休暇の充実やリモートワークの導入、残業の削減などが行われれば、社員全員の働き方が変わります。つまり、女性だけでなく、男性の働きやすさにもつながる可能性があります。

助成金が支給される
常用労働者数が300人以下の中小企業の場合、「女性活躍加速化助成金」という制度が用意されています。「加速化Aコース」と「加速化Nコース」の2種類があり、行動計画に記した目標を達成することで、それぞれ30万円ずつ助成金が受け取れます。

しかし、そもそも人手不足で悩んでいる中小企業の中には、「行動計画をどうやって作ればいいのかわからない」というところもあるかもしれません。厚生労働省では、中小企業のための女性活躍推進事業を実施しています。「女性活躍推進アドバイザー」が無料でサポートをしてくれるため、活用してみるのもおすすめです。

参考:女性活躍加速化助成金のご案内(厚生労働省)

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女性活躍推進法の取り組み方

実際に行う取り組み例としては、以下が挙げられます。

・女性管理職養成の研修を実施する
・会社のトップが「女性活躍推進」のメッセージを社内外に発信する
・男性管理職向けの研修を実施する
・女性用トイレや更衣室を作る
・育児や介護休暇制度を充実させる

働く意欲のある女性でも、ロールモデルの不在や現場経験の少なさなどから、不安を感じている場合があります。研修実施や外部セミナーへの参加を推進することで、女性自身のキャリアプランを考えやすくなります。また、会社のトップが女性活躍推進の立場を明確にしたり、上司の立場となる男性にも研修を実施したりすることで、「女性が活躍できる」という社内に空気を作るのも有効な取り組みといえます。制度や設備がないのであれば、まずはそれらを整備することも大切です。

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女性活躍推進法を取り入れている国内の事例

こちらでは、実際に女性活躍に取り組んでいる企業の事例を紹介します。

・総合埠頭株式会社(常用労働者数23名)
愛知県にある港湾運送業を主に行なっている会社です。輸入自動車や飼料などの運搬が主な業務です。「主任以上の女性割合を35%以上にする」を目標に、社長が「これからは女性だ」というメッセージを積極的に発信し、評価制度の見直しや女性管理職養成セミナーへの参加を実施しました。また、自治体の研修や助成金といった行政サポートをフル活用し、コストを押さえつつ成果を出す工夫を行いました。結果、目標どおりに女性の管理職比率が上がりました。女性活躍推進の優良企業として「えるぼし」の認定を受けています。

・株式会社システムフォレスト(常用労働者数:30名)
情報通信業を行なっている、熊本県の会社です。クラウドコンサルティングやIoT、デジタルマーケティングなどの事業を行なっています。長時間労働になりがちな業界のため、子育て中の女性などがバリバリ働きづらい、という課題がありました。そこで、短時間正社員制度やテレワーク、ネット会議などを導入し、女性がキャリアを積み重ね続けられるような工夫を行なっています。

・株式会社アド宣通(常用労働者数:12名)
内装業を行なっている、栃木県の会社です。施設の内装や外装工事、企画設計などを行なっています。この企業は、一度行動計画を作って進めてみたものの、現場の意識と乖離があり、効果が出ないという問題がありました。そこで、業務の役割分担を見直し、女性社員ができる業務の幅を広げました。社員同士のコミュニケーションを深める工夫も相まって、時間外労働の削減にもつながりました。女性の活躍の場が広がると同時に、残業も少なくなり、会社全体にメリットがあったといえます。

参考:中小企業における女性活躍推進の取組のための好事例集および改善取組事例集(厚生労働省)

女性活躍推進法は、人出不足解消を目指し、女性にも積極的に働いてもらうことを目的とした法律です。法に基づき、女性が働きやすい環境づくりを進めることで、優秀な人材確保や新しい視点からの業務改善など、会社全体としてメリットがあります。行政のサポートも用意されているため、ぜひ女性活躍に取り組んでみてはいかがでしょうか。

執筆は2019年11月12日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash