WAT inc.(以下、WAT)は、「健全な食や会話を通じて、明るく思いやりのある街をつくる」をミッションに、店舗の運営・企画・プロデュースを手がける会社だ。都内各所から関西圏では京都・大阪、国外だと香港まで、さまざまな街でカフェを中心に開発・運営を行ってきた。2013年の創業以降、平均で毎年3店舗を開発し、いまでは約200人の従業員とともに20店舗を運営している(※)。
※2025年4月時点
その大半の店舗で利用している決済サービスが、Squareだ。どんなところが複数店舗で利用するうえで便利で、どのように日々のビジネスに活用しているのだろうか。また運営する店舗が年々増えていくなかで、WATが大切にしているのはどんなことなのだろうか。
2016年から東京・大崎で営業する「CAFE&HALL OURS(以下、アワーズ)」にて、COOの樋口康太郎(ひぐち・こうたろう)さんとコミュニティマネージャーの石川翔梧(いしかわ・しょうご)さんに話を聞いた。
業種 | 飲食サービス業 |
業態 | カフェ、レンタルスペース |
使用しているSquareのサービス | Square リーダー、Square レジスター、Square POSレジ |
目次
- 街に、居場所をつくる
- いろんな人にとっての「居場所」になるには
- 大きなメリットは、導入期間がものすごく短いところ
- 複数店舗で利用するうえで工夫していること
- 売上戦略は、各店舗のマネージャーが主体になり考えていく
- 時代の波に乗り続けていく
- Squareで実現できたこと
街に、居場所をつくる
時を巻き戻して2013年。長年の知り合いである石渡康嗣(いしわたり・やすつぐ、WAT inc. 代表)さんから誘いを受け、WATの立ち上げに参加することになった樋口さん。当時の心意気をこう語る。
「会社を大きくするビジョンがあったというよりは、来た依頼に対してどこまでできるかという割とベンチャー的な気持ちからはじまりました」
一つのプロジェクトで解散するかもしれない。そういった考えのほうがむしろ強かったが、WATが大事にしていることに共感する企業や団体から少しずつ店舗開発の依頼を受けるようになった。
「それでたまたま、年に3、4店舗増えている状況なんです」
▲COOの樋口さん
WATとしてお店をつくるときには、街の声を聞き、その土地について調べて、形にしていく。具体的には、街にとってどんな場所を目指しているのだろう。
「人の居場所をつくるべきだよね、ということはすごく言っています」と樋口さん。たとえば大都会の東京なら、近所に知り合いが3人いるだけでも、住んでいる街が恋しくなるのではないかと考える。
「毎日乗る電車にはたくさんの人がいるのに、誰ひとり知ってる人がいないってなんか不思議じゃないですか。全員と知り合う必要も仲良くする必要もないんですけど、たとえば仕事して帰って寝るだけではなく、イベントに参加するとそのときだけ会う知り合いがいたり、店に行くと同じ店員がいたり。そういうことが街で起きるのは、結構大切なことなんじゃないかと思っています」
そうして人と人がゆるやかにつながれる場をつくろうと、店舗運営のほかに力を注いでいるのがイベントの企画だ。大勢を集客するものよりも、「コーヒーが好き」「カフェが好き」といった気軽な切り口で、参加者数を10人程度におさえた小規模なものを開いている。
いろんな人にとっての「居場所」になるには
「居場所」のとらえかたや参加したいイベントは、年代によっても多少変わってくる。だからこそWATのメンバーは排他的になっていないかどうかに常に気を遣っている。実際、「街のみんなに来てほしいのなら、おしゃれな若者しか集まらないような場所ではダメじゃないか」という議論を何度も真面目に繰り返してきたらしい。
そうやって接客やメニュー、スペースの使い方などの見直しを重ね、誰にでも来てもらえる場所を突き詰めた一例として、今回訪れたアワーズがある。
広々とした店内には、さまざまな年代の顔ぶれがある。たとえば平日の昼間には近辺で働く人がランチをしに訪れ、おやつの時間になると子ども連れのママパパが外のテラスに集まる。誰でも予約できるレンタルスペースでは80代の男女が合唱会を催し、土日になると大人気のブラジルプジンを目掛けて若者がやってくる。こうして異なる世代が同じ空間に集まれる場所として機能している。
大きなメリットは、導入期間がものすごく短いところ
WATでSquareを導入したのは2015年。アワーズが初の導入店舗だ。Squareは当時、決済端末としてもレジとしても、ほかにない存在感を放っていたと樋口さんは振り返る。
「まずiPadでレジができること自体に魅力があった時代でした。端末も、ここにカードを入れたら払えるの?!って感じでしたね。それとアメリカのカフェは大体Squareらしいという噂を聞きつけて、じゃあ入れようってなった記憶があります(笑)」
1年で数店舗立ち上げるビジネスとして特に助かっているのは、すぐに導入できるところだ。
「Squareのメリットだと思うのは、決済端末が使えるまでの期間がめちゃめちゃ短いところです。たとえばほかの決済サービスだといろんなところで審査をやらなくちゃいけなくて、2カ月経ってもクレジットカードが使えないみたいな状況が以前ありました。Squareだと1、2週間ぐらいですぐに全部使えるようになったので、すごくいいなと思いました」
さらにWATでは無料のSquare POSレジを全店舗で使用しているため、店舗が増えてもPOSレジの初期費用や月額費用はなし。店舗立ち上げの際に発生するのは、端末代金のみだ。「瞬間的コストはそこまで気にならないですね」と樋口さん。
複数店舗で利用するうえで工夫していること
商業施設などに入る場合は既存の決済サービスを利用しなければいけないこともある。ただそういった制限がない限りはSquareを活用していると樋口さん。いまでは20店舗のうち13店舗でSquareを使用し、開発依頼を受けたクライアントごとにアカウントを分けて(※)、店舗を登録している。そうすることでクライアントにログイン情報を渡し、売上状況などをアカウントから見てもらうことができるのだという。
※Squareでは同業種であれば、一つのアカウントに複数の店舗を紐づけることができます。最大300店舗まで登録が可能です。詳細はこちら。
現場目線の話を聞くと、スマートフォンが使えれば、POSレジはすぐに使えるようになると石川さん。樋口さんは続けてこう話す。「僕もこの前『レジ番がいないから出てくれ』と頼まれて久しぶりにトレーニングを受けましたけど、何も困らなかったです。カテゴリ名に絵文字をつけたりして、工夫してるんですよね」
たとえばアワーズでは商品登録の際、コーヒーのカテゴリには「☕️」の絵文字、ケーキのカテゴリには「🍰」の絵文字をつけるなどの工夫をし、お目当ての商品をすぐに見つけられるようにしている。レジが混み合う時間帯に少しでも会計時間を縮めるための試みだ。
「うちの他店舗でやっていて、いいなと思ったんです」と石川さん。「それでいっきに3店舗分の登録内容をそっちに統一しました」
決済サービスに問い合わせなくても、現場スタッフのやりやすさにあわせてPOSレジの登録情報を自由に編集できるのも、WATには合っているようだ。
売上戦略は、各店舗のマネージャーが主体になり考えていく
現場での経験だけでなく経営も学び、ゆくゆくは独立したい。WATではそういった志を持って働きはじめる人も少なくない。そういった人たちが実践的に学べる環境がWATにはある。
たとえば売上戦略を考えるのは、店舗マネージャーの役割だ。売上アップの施策や店舗の課題は毎週樋口さんに共有しながら、改善へともっていく。課題や成果などを語るうえで正確に把握しておきたいのは、客単価や時間帯別の売り上げ、前年比の推移などだ。これらのデータは、無料で使えるSquareの売上レポートから確認している。
「先に仮説を立ててもらってから提案してもらうので、何かを変えたいときの裏付けとして(Squareの売上レポートを)使うことが多いですね。たとえばティータイムの客単価を700円から1,000円に上げるにはどうしたらいいかという議論は、データや傾向を分析してこそできる話だと思っています。実際にそうやって練った戦略で客単価が上がったことは度々ありますね。特に課題発見には便利な機能だと思います」
売上レポートはSquareのPOSレジアプリ上からでも確認できるため、出勤時に随時チェックしているという石川さん。社員みんなが見るものだからこそ、売上レポートがいかにシンプルでわかりやすいかは使いこなすうえでも大事なポイントだ。
「売上トレンドとか簡単な言葉で表示されるので、自分より下の社員に教えるときはわかりやすいです」と石川さん。
時代の波に乗り続けていく
年々変化していくお客さまの好みや傾向を目の当たりにし、時代性を踏まえながらビジネスを随時見直し続けてきた樋口さん。今後もその姿勢は変わらなさそうだ。
「たとえば2016年だと『スペシャルティーコーヒー』とか『シングルオリジン』と言っても、誰もピンと来なかった時代でした。それがいまやもう普通じゃないですか。コンビニでそういうものが買える時代にまでなってきたので、そういう変化にうまく乗れるといいなとは思っています」
特にコロナ禍は「食とはなにか」を深く考え直すきっかけになった。農家とお客さまをつなげるにはどうしたらいいかと考えた末、形にしたこともある。たとえば生産者の方々を店舗に招き、一緒にフードやドリンクをつくる月1のワークショップだ。実際にそこから生まれたアイデアをもとに、新たなメニューを考えることもあった。今後もおもしろい食の形をどんどん追求していきたいと樋口さん。それはビジネスの規模をさらに広げていくためでもある。
「最初は5店舗で十分でしょ、みたいな気持ちもありましたし、そんなにできないとも思っていました。なので、後追いで機能をアジャストしていった部分もあります。これまでは街でニッチなことをやっていくという戦略でしたが、今後はみんなの働く環境をもっとよくするためにも、広く受け入れられる会社にして、規模を大きくしていかなきゃとは思っていますね」
「Squareのメリットだなと思うのは、決済端末が使えるまでの期間がめちゃめちゃ短いところです。<中略>1、2週間ぐらいですぐに全部使えるようになったので、すごくいいなと思いました」ーWAT inc. COO 樋口康太郎さま
Squareで実現できたこと
すぐに導入できた
Squareを選んだことで、1週間程度でキャッシュレス決済を導入できました。Squareが対応している決済方法はこちらからご確認ください。
取引先ごとにアカウントを分けられた
Squareでは同業種に限り、一つのアカウントに複数店舗を登録できます。WATでは開発依頼を受けたクライアントごとにアカウントを作成し、クライアントにもログイン情報を渡し、情報を共有しています。
POSレジの登録内容をいつでも自由に編集できた
POSレジの登録内容を編集するには、サービス事業者に問い合わせ、依頼を出さなければいけないこともあります。SquareのPOSレジなら、ブラウザからでもアプリからでも自由に編集できるので、WATでは使い勝手に合わせて編集し、効率アップにつなげています。
売上レポートを課題発見に役立てられた
WATでは肌感に頼らず、店舗の売上状況を数値として正確に把握することを大切にしています。Squareの売上レポートは現場の従業員と経営層が会話するうえでの共通言語として機能し、課題発見や売上アップの戦略を考える際に役立てられています。リアルタイムで更新されるレポートは、タブレットやパソコンから随時、確認できます。
記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2025年4月時点のものです。