リードナーチャリングとは? 見込み客を「育てる」方法

自社商品に興味を持つ見込み客を獲得したら、次に必要なマーケティングのステップが「リードナーチャリング」です。BtoBビジネスに不可欠とされるリードナーチャリングですが、BtoCでも有効な場合があります。

リードナーチャリングとは具体的にどんなものか、そしてその実践方法について説明します。

リードナーチャリングとは

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ウェブサイトや店頭キャンペーンなどを通して見込み客の集客に成功しても、そこから購入につなげ、結果的に収益を得ることができなければ効果的な集客とはいえません。そこで、見込み客を獲得すること(リードジェネレーション)と購入の意思決定との間を橋渡しするのが、リードナーチャリング(lead nurturing)というマーケティング手法です。

リード(lead)は「見込み客」、ナーチャリング(nurturing)は「大切に育てる、養育する」という意味の言葉です。商品をリリースし、興味を持ってもらうためのマーケティングを実施して、そこに集まった見込み客とつながりを持ち、強化することで、最終的に商品を購入してもらうというステップが、特に購入の決定に時間を要する商品などにおいては重要です。

この「見込み客とつながりを持ち、強化する」という部分がリードナーチャリングに相当します。そのため、リードナーチャリングは企業がお客様との関係を築き、信頼を育てるプロセスと表現することもできるでしょう。

リードナーチャリングは、2008年前後からマーケティング手法の主流になってきたといわれています。

参考:The Definitive Guide To Lead Nurturing(Marketo)

主にBtoBビジネスに利用されることが多いリードナーチャリングですが、BtoCでも利用されることがあります。具体的には以下のようなものがあります。

・業務システムやソフトウェアの導入(BtoB)
・OA機器や社用携帯電話の導入(BtoB)
・不動産や自動車などの商品(BtoC)
・ウエディングや住宅リノベーション(BtoC)
・入居型介護施設などのサービス(BtoC)

このように、購入決定に複数人の承認が必要な場合や、類似商品との比較の上で導入を決定するもの、長期にわたって利用するもの、ライフステージごとの大きなイベントなど、高額かつ購入意思決定に時間のかかる商品を販売する場合に、リードナーチャリングが重要な役割を果たします。

お客様にとって支払う金額が大きいほど購入決定に慎重になるため、販売する側も適切なマーケティング活動を継続し信頼関係を構築していくことが大切です。

リードナーチャリングの実践方法

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見込み客の獲得にかけた予算を無駄にせず、お客様の期待に応え、自社商品やサービスの良さを確実に伝えるためにも、次のようなステップでリードナーチャリングを成功させましょう。

まず以下の3つの手順を意識する必要があります。

1. リード(見込み客)情報の集約、確認
商品情報に関するメールマガジン購読申込・カタログ請求、展示会への来場、新規営業での名刺交換など、これらの見込み客と接触を持つ段階を「リードジェネレーション」といいます。

営業やマーケティングの担当者のもとに集まった個々のリード情報を社内で集約し、リスト化しておくことで、リードナーチャリングのコミュニケーションの下準備をします。

2. リードを分類、分析
集約した情報を分類することで、効果的なリードナーチャリングのアプローチが可能になります。

たとえば、既に商品カタログを持っている見込み客に同じような商品案内の連絡をしてしまっては、相手にとって不要な情報であるばかりか、きちんと顧客情報がマネジメントされていない会社というイメージも与えかねません。

そこで、「カタログを請求した」「ユーザー登録をした」「来店し商品を見た/体験した」「商品サンプルを請求した」などのチェック項目を設け、どの項目を満たしているかによってリードをレベル分けします。レベル分けしたグループごとにリードナーチャリングのアプローチ内容を変えると、相手の関心レベルに合った効果的なマーケティングを行うことが可能です。

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3. リードのレベルごとにアプローチ
分類したレベルごとに、以下のようなアプローチでリードをフォローしていきます。

・ウェルカム・キャンペーン
新たにリードとしてリスト化されたばかりの人に対して、ウェルカムメールを送ります。最初のコンタクトを図ることで、お客様として登録されていることを相手に認識させ、企業イメージに親近感を持ってもらえることが期待できます。

ウェルカムメールには、ウェブサイトから得られる情報の紹介や、商品情報などを簡単に記載しても良いでしょう。郵送のダイレクトメールよりメールの方が即時性が高く、ウェルカムメールに適しているでしょう。

・リマインド
ウェルカムメールを送ってから、ウェブサイトの閲覧や問い合わせなど次のアクションがない(または少ない)リードに対し、リマインドする(思い出させる)ためのフォローアップを行います。リマインドをしないと、リードから忘れられてしまったり、競合他社にリードを奪われてしまったりする可能性が高いため、リードにまだ購入意思決定の準備ができていなくてもつながりを保てるようなアプローチを図ります。

この段階では、商品に関連したブログ記事やビデオをシェアしたり、セミナー情報や関連する業界ニュースを送るといったアクションがあります。

・非アクティブなリードの刺激
リードの100%が最終的に購入に至るわけではありませんが、企業側がコンタクトを図らなかったために商品への関心を失い、リードが離れていくことは避けたいものです。ウェブサイトへのログインがなかったり、メールを開封していなかったりするような非アクティブなリードに対し、アクションを起こしたくなるようなコンテンツを作成して働きかけましょう。

具体的で役立つブログ記事、新たな商品情報のホワイトペーパー、インタラクティブコンテンツなどでリードを刺激します。

・商品情報の提供
リードが商品の情報を探していたり、類似商品との比較を行ったりしている場合、購入に向けた検討をしている段階だと判断できます。そのレベルのリードに対しては、リードに適した商品の使用方法、機能、具体的な使用例や利用者の声など、リードが実際に商品を手に入れて使っているシーンを想像できるようなアプローチが望ましいでしょう。

ケーススタディや顧客レビュー、利用データといった情報を積極的に提供してみてはいかがでしょうか。

・競争力の強化とアピール
商品情報の提供の次は、商品を利用するメリットに加え、利用しないデメリットをアピールします。他社との差別化を図ることも重要ですが、その際に他社商品を貶める手法を使うことは自社イメージを悪化させマイナスの感情を抱かせるので避けましょう。

・専門知識のシェア
販売プロセスのクロージング(購入確定)に向け、自社商品の購入が「正しい選択」であることをリードに印象付けましょう。安定した企業イメージを裏付けるプレスリリースや、業界レポート、メディア掲載の例などをシェアすることが役立ちます。

・プロモーション
購入を決定する直前のタイミングで、期間限定割引や特別セールといったプロモーション情報を提供します。これによりリードに「いつか」ではなく「今」購入を決定する強力な動機を与えられるでしょう。

同様のタイミングでアップセリング(上位製品のPR)の働きかけを行うことも有効です。

・リニューアル情報
定額サービスや季節商品、またはライフサイクルの中で何度か購入する可能性のある商品の販売では、商品のリニューアル情報や新商品の情報を提供しましょう。そうすることでサブスクリプションサービスの更新や、リピート購入についてリードに検討させることができます。

自社商品やサービスが進化していることや、既存顧客を大切にしていることをアピールすることにもつながります。

リードナーチャリングを実践する際に注意すべき点は、リードの関心レベルに合わないアプローチをしないようにすることです。メールマガジンの登録をしたばかりで商品についてまだよく知らないリードにいきなりセール情報を送っても、購入意思が固まっていなければ購入という行動につなげることは難しいでしょう。

リードナーチャリングは3つのステップを意識して、適切なアプローチを行うことが重要です。リードの手を取り導くように丁寧な計画を立てて実行することで、効果的なリードナーチャリングを始めてみてはいかがでしょうか。

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執筆は2018年6月1日時点の情報を参照しています。
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