いかに優れたビジネスアイデアを考えたとしても、信頼のおける仕入先がみつからなければ理想とする商品やサービスを提供することはできません。今回は、仕入れが必要な事業を新たに始める経営者に向けて、仕入先の見つけ方や見極め方、その後の付き合い方のポイントなどを紹介します。
仕入先の見つけ方
仕入先を探す前にすべきこと
まず仕入先を探す前にしなくてはならないのは、自社が仕入れようとしている資材や原料についてできる限り具体的に把握しておくことです。
なるべく早い段階で、求める仕様や価格、一度に仕入れる量や納期などを明確にしておかないと、仕入先探しも漠然としたものになり、見積書を依頼するなどの次のアクションが起こしづらくなってしまいます。製造業などでは、場合によって仕入れようとしている部品などの仕様書などが必要となることもあるので、事前に確認、準備しておきましょう。
インターネットで情報を探す
仕入先となる企業に関する情報は、各社のウェブサイトなどから得ることができます。また、特色のある企業の場合には、インターネット上で取材記事がみつかることもあるかもしれません。仕入先候補として気になる企業がみつかったら、会社案内やパンフレットを取り寄せて、より詳細に検討できるようにしておきましょう。
見本市や展示会へ出向く
業界ごとに、関係する業者が一堂に会する見本市や展示会が開催されている場合があります。売り手と買い手のマッチングの場となる見本市や展示会は、実際にサンプルなどを手にとれるだけでなく、各社の担当者と直接顔を合わせて話ができる貴重な機会なので、ぜひ足を運んでみることをおすすめします。
開催については、主要な展示場や業界団体のウェブサイトをチェックするほか、地域の商工会などに尋ねてみるのも一つの方法です。
相見積もりをとる
取引先の目星がついたら、複数の業者から見積もりをとり、比較検討に入ります。見積もりを依頼する際には、仕入れを予定している数量だけでなく、支払い方法や納期の希望など、提示できるものはできる限り具体的に示しましょう。また、この見積依頼の返答期限も忘れずに伝達するようにしてください。
このように仕入先選定のステップを自身で一つひとつ対応していくほかに、実用的な方法として同業他社で購買担当をしていた経験のある人材を登用して仕入先選定を任せるという手段もあります。
みつけることは難しいかもしれませんが、さまざまな業者とのコネクションを持ち、優れた仕入先を選ぶスキルも備えたスタッフが採用できれば、即戦力としての活躍が見込めるでしょう。
仕入先の選定ポイント
仕入先を選定する際に重視すべきポイントは、「品質」「価格」「納期」の3点です。それぞれどのようなところをチェックすればよいのでしょうか。細かくみていきましょう。
品質
すでに製品として存在するものを仕入れる場合はもちろん、現在生産されていないものを仕入れようとしている場合でも、できる限り見積もりとともにサンプルの提供を求め、要求する水準を満たす品質であるかどうかを確認します。
仕様書などと照らし合わせてスペック面で確認できるものは当然チェックしますが、ものによっては質感や色、香りなど、感覚的な面の判断も合わせて行っておくとよいでしょう。耐久性などの確認が必要な部材などの場合には、自社なりの品質判断基準を設けておくことも大切です。
また、仕入れのたびに品質が変わってしまう事態も避けなければなりません。品質のバラつきがないかを確認するために、可能であれば別ロットのサンプルを複数提供するよう要請するのも一つの方法です。
さらに、実物そのもののチェックだけでなく、品質管理方法の確認もしておきたいものです。どのように品質管理を行っているかを尋ねるだけでなく、可能であれば生産現場を見学させてもらい、原料や製品の取り扱いの丁寧さや従業員の態度、施設内の整頓状況や清潔さなども自身の目で確かめ、安心して長く取引していけるパートナーであるかどうかを見極めましょう。
価格
相見積もりをとって比較検討する場合、最もはっきりとした差が出るのが価格です。金銭面での仕入れコストができる限り抑えられるよう、希望する価格内で収まる業者のなかから条件のいいところをピックアップしましょう。
慣れていないと提示金額のみに目が行きがちですが、備考欄や取引条件も忘れずにチェックしてください。価格が変動する可能性や割引条件が提示されている場合には、特に重要なポイントとなります。
納期
発注から納品までの期間がなるべく短い方が余計なコストをかけずに済むので、納期もしっかりと確認、比較検討しましょう。
短期間での納品だけでなく、小ロットにも対応してくれるような小回りの利く業者は事業推進への大きな味方となります。価格的に多少高くても、それを上回るようなメリットが享受できることもあるので、事業内容や計画と照らし合わせて最適な業者を選定してください。
その他
上記のほかにも、仕入れ後の支払いに関して、長めの支払いサイトや手形取引への対応など、自社が求める方法に合わせてもらえるかどうかも仕入先を選択する条件として挙げられます。
また、納品の速さや、仕入れ価格に反映される物流コストを考えると、できるだけ自社から近距離にある業者の方が有利なことが多いため、立地面も大切な要件となります。
さらに、永続的な取引を考えると経営面で安定感のある業者が安心です。規模や社歴を確認するほか、場合によっては調査会社などを利用して信頼のおける取引先をみつけるようにしてください。
仕入先との上手な付き合い方
複数の仕入先を持っておく
仕入先と長く良い付き合いを行っていくためのコツの一つとして、同じ資材を仕入れる場合でも複数の仕入先を持っておくことが挙げられます。
仕入先と自社、また仕入先同士に緊張感のある関係が生まれることによって、納品物のクオリティ保持、向上が望めるほか、価格面で相場が見極められるようになるなどのメリットが見込めます。
また、仕入先を複数持っておけば、仕入先の1社に思いがけないトラブルが発生したような場合にも、別の仕入先に協力を仰いで当座をしのぐといった対応がとれるかもしれません。
定期的にコミュニケーションをとる
業務上、仕入先と自社の担当者同士がやり取りすることは頻繁にあるかもしれませんが、経営者同士が顔を合わせる機会も定期的に持っておきたいものです。
一定の頻度で顔を合わせておくことにより、お互いの信頼関係を育てていくことができ、何かあった場合の相談も心情的にしやすくなるでしょう。また、このようなコミュニケーションの習慣は、新素材の開発や他社の動向、法令の変更など、業界にまつわる情報も定期的に収集できるいい機会となります。
対等な立場のビジネスパートナーとして
仕入元と仕入先との関係は、お金の流れを重視して買い手側が強い立場となるような上下関係がみられる取引事例もみられますが、本来はお互いに対等な立場で取引を行うビジネスパートナーです。
「良い仕入先との付き合いがなければ、思い描いたどおりの事業展開は難しい」ということを念頭において、信頼のおける仕入先をみつけ、ときには条件を付けて相手の要望を飲むなどの対応をしながら、長く良い関係を保ち、お互いに繁栄していけるよういけるようにしていきましょう。
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執筆は2020年4月21日時点の情報を参照しています。
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