近年、飲食店で見かけることが着実に増えてきたモバイルオーダー。お客さまが自身のスマートフォンから注文できるシステムだ。「どんな効果が期待できる?」「使い勝手は?」と気になる店舗経営者も多いかもしれない。
そこでSquareは「funfo」と共同で、モバイルオーダーの体験イベント「Smart Restaurant」を2025年7月3日(木)、大阪・梅田のTALKS cafe & barにて開催した。funfoは飲食店向けのPOSレジとモバイルオーダーのアプリで、Squareと連携して活用すると、funfoで受け付けたモバイルオーダーのお支払いを、Squareの決済端末で受けられるようになる。
イベントでは、飲食店事業者向けにSquareとfunfoの使い心地を実際に体験できる対面式のデモンストレーションを実施。あわせて、funfoの担当者と、実際にfunfoとSquareを連携させている加盟店を登壇者に迎え、トークイベントも開催した。便利な活用方法や、導入後の効果などがたっぷりと語られたトークの内容をここではお届けする。
▼登壇者
加盟店:Another Table 代表 川﨑正太(かわさき・しょうた)さん
funfo担当者:横田裕也(よこた・ゆうや)さん

▲会場の「TALKS cafe & bar」。2025年3月にオープンした「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」うめきた公園サウスパーク内にある。
大切にしているのは、空の下で過ごす時間
Another Tableは2018年に創業。関西エリアで「ASAKARA GOOD STORE」、「DOORS COFFEE ROASTERY」、「brocantique THE BAKERY」、「THE PORT on the Green」の4店舗を手がけている(2025年7月時点)。印象的なのは、4店舗がすべて異なるコンセプトで設計、運営されているところである。店舗開発において、同社代表の川崎正太さんはどんなことを大切にしているのだろうか。

▲Another Table代表の川﨑さん
「自分自身、おやすみのときに公園で過ごす時間がすごく好きで、そこで読書をしたり、お食事したりできたらというところから、『空の下で時間を過ごす』を一つのキーワードにしています」(川﨑さん)
たとえば創業と同時にオープンした1店舗目の「ASAKARA GOOD STORE」では、店舗から徒歩3分ほどの難波宮跡公園でピクニックができるよう、飲食物を注文したお客さまにはテーブルや椅子などを無料で貸し出している。2025年3月にオープンしたばかりの「THE PORT on the Green」では、テラス席でも食事を楽しめるのが特徴的だ。

続けてAnother Tableのコンセプトについて、こう語る。
「日本にある自然資源と食材を最大限に生かし、そこに価値を見出すことをコンセプトに掲げています。ピクニックもそのうちの一つで、もしかしたらキャンプも一つの表現かもしれません。ただ食べるだけではなく、プラスそこで感じ取っていただく体験をセットで提供させていただいています」(川﨑さん)
また自身の父親を病でなくしたことをきっかけに、食が体に与える影響についても深く考えるようになった。だからこそ食材を選ぶとき、メニューを考えるときには、心も体も健やかになることを何よりも意識しているそうだ。

テラス席を設けたことをきっかけに、funfoを導入
Another Tableは、2025年3月にオープンした商業施設「なノにわ」内にある「THE PORT on the Green(以下、THE PORT)」で、funfoとSquareを導入している。
Squareの決済端末とPOSレジはオープンと同時に使いはじめ、funfoは同年の6月からSquareと連携して活用するようになった。
広々とした店内が特徴で、席数は54席と「ASAKARA GOOD STORE」の2倍ほどあり、テラス席でも食事を楽しめる。このテラス席こそが、モバイルオーダー導入のきっかけだ。
「実際に営業をはじめてみると、テラス席が思ったより稼働したんです。それこそワンちゃん連れのお客さまもすごくいらっしゃって。スタッフも十分揃えてはいたんですが、それでもなかなかテラス席までのケアが行き届かないなというところが、導入の一つの理由でした」(川﨑さん)
テラス席の注文を円滑にすることにくわえて、もう一つ改善したかった点があったという。
「チャレンジングなメニューを臨機応変に仕掛けていくなかで、メニューを毎回紙で準備するとなると、デザイナーに依頼し、出力し、メニューブックに入れて、と更新作業がすごく煩雑で大変だと感じていました。テラスのお客さまの満足度を上げたいというオペレーションでの点はもちろん、メニューを今すぐ変えたいときにデータ上ですぐに更新できるというのが大きな強みだと思い、導入を決めました」(川﨑さん)

アルコールの注文数が増え、客単価がアップ
「Smart Restaurant」開催時点ではモバイルオーダーの導入からほんの1カ月ほどしか経過していなかったが、川﨑さんはすでに効果を感じていたそうだ。
「夜10時まで営業しているのでお酒にもすごく力を入れている店舗でして。夜はお料理と一緒にお酒も楽しんでいただくなかで、お酒の注文率が比較にならないほど上がりました。お客さまがモバイルから注文していただけるというのは、大きく客単価に貢献してるなと思います」(川﨑さん)
メニューもその日、その日で柔軟に変えていけるようになった。
「今までだと『メニューができないと、この商品出せないよね』みたいなものもありました。ただやはりお魚など、その日とれたからこそ今日出したいという作り手、料理人の方たちの思いもあります。すぐその場で写真を撮って、データに反映して、その日のうちにご提供できるというのは、お客さまにとっても価値として感じていただける大きな点かなと思います」(川﨑さん)
funfoの担当者である横田さんによると、こんな活用方法もあるそうだ。
「居酒屋業態などで多いのが、複数フロアで営業をしているケースです。たとえば上の階まで注文を取りに行くのに結構手間がかかっている、というお客さまに改善策としてモバイルオーダーを導入いただくことも結構あります。オーダー業務の削減のみならず、調理オペレーションについても各階のオーダーをキッチンに集中させることも可能ですし、各階ごとに振り分けて出力することも可能になっています」(横田さん)

▲funfo担当者の横田さん
Squareの魅力は他社にはない決済の速さと端末のわかりやすさ
そもそもSquareの導入の決め手はどういった点だったのだろう。川﨑さんに問うと、「THE PORT」オープン前に行った海外視察について、話してくれた。
「THE PORTをオープンする前に、ニューヨークに視察をしに行きまして。そのときにアメリカでのPOSシステムの進化を結構まざまざと見せつけられました。なかでもレストランなどでは、やっぱりSquareを導入されている店舗が非常に多かったんです。
決め手としては決済のスピードがもうめちゃくちゃ早いので、今にでもそれを実現できたらなと思ったのが一つと、チップの機能をシステム上で使えるところです。日本ではなかなか根付いていないチップ制度ですが、今これだけインバウンドの方もいるので、この2点がSquareを導入する大きなきっかけになりました」
THE PORTではカウンター会計にSquare レジスター、テーブル会計にはSquare ターミナルを活用している。実際に使ってみての感想はどうだろう。
「本当にかっこいいんですよね。あと先ほども言いましたように、決済のスピードや端末のわかりやすさみたいなのは、他社にはないものなのかなと思っております」

▲Square レジスターを使用したカウンターでの決済(イメージ)
なかでもSquare ターミナルは、お客さまの負担軽減に大きく貢献しているようだ。
「特にテラス席のお客さまにおいて、支払いのためだけに店内に入るという動線はないようにしたかったんです。Square ターミナルを使うと、それこそQRコード決済から電子決済、クレジットカード決済までできて、そのうえレシートの発行もできます。Square ターミナルですべて完結するというのは、本当に秀逸な点だなと思っています」

▲Square ターミナルを使用したテーブル会計(イメージ)
今後はいまある店舗数を維持しながら、食・人・文化・街をつなげ、新たな価値を生み出すプロジェクトに力を注いでいきたいという川﨑さん。たとえば、いま心を尽くしているのは、行政と連携しながら過疎化が進む地域の魅力を再発掘していく事業だ。知られざるすばらしい自然や食をいままでにない形で、人々に届けていきたいと心を込めて話す。funfo、LINE、Squareはもちろん、テクノロジーの力も借りながら、ビジネスをどう発展させていくかは今後もフォローしたいところである。

▲イベントでは、Squareとfunfoの担当者によるデモが実施された



