販売に関連するさまざまな業務を効率的、かつ正確に行うためには、販売管理ソフト・システムの導入が効果的です。数多くの販売管理ソフト・システムが提供されており、その中から自社の業態や規模、費用面の条件に適した製品を選定する作業は、決して容易ではありません。
この記事では、販売管理ソフト・システムが備えている主な機能や販売管理ソフトを導入することで期待できるメリット、選定する際に重視すべきポイントなどをわかりやすく解説します。個人や小規模事業者におすすめの販売管理ソフトの特徴もご紹介します。
📝この記事のポイント
- 販売管理ソフト・システムは、販売〜在庫〜購買までの一連業務を一元管理できる
- エクセル管理のデメリットである“式ズレ・版ズレ・人依存”を回避
- リアルタイムな売上・在庫データで分析や意思決定が速くなる
- 作業の自動化で属人化を防ぎ、業務を標準化できる
- Squareならユーザー数無制限でサポートも無料、導入も運用も手軽
目次
- 販売管理ソフト (販売管理システム) とは?
・ エクセル管理との違い
・ 販売管理ソフト・システムの主な機能
・ クラウド型とオンプレミス型の特徴 - 個人・小規模事業者が販売管理ソフトを使う5つのメリット
・ (1) 低コストで導入できる
・ (2) 多くの情報を一元管理できる
・ (3) データ分析がしやすく、集客や問題の早期発見に活用できる
・ (4) データ入力の手間を減らし、人件費の節約とミス防止につながる
・ (5) インボイス制度に対応する場合の事務負担も軽減できる - 個人・小規模事業者の販売管理ソフトの選び方
・ クラウド型の販売管理ソフトがおすすめ
・ 事業内容に合った必要な機能に絞り、無駄なコストを避ける
・ サポート体制の充実度を確認する
・ 無料トライアル期間があれば試してみる - 個人・小規模事業者におすすめのクラウド型販売管理ソフト3選
・ (1) Square
・ (2) フリーウェイ販売管理
・ (3) FLAM - よくある質問 (FAQ)
・ 販売管理ソフト・システムの導入費用は?クラウド型が安い?
・ ERPと販売管理ソフト・システムの違いは?
・ クラウド型の販売管理ソフト・システムはセキュリティ面で安全? - まとめ
販売管理ソフト(販売管理システム)とは?
販売管理ソフト(販売管理システム)とは、販売管理や在庫管理、購買管理などに関連する販売業務全般を一元管理するためのソフト・システムです。販売管理ソフト・システムを導入することによって、商品の見積りから受発注、出入荷、仕入れ・買掛、請求、入金までの販売に関する多種多様な業務を効率よく管理できます。
近年、導入費用や月額費用を抑えて利用できるクラウド型の販売管理システムが主流になっており、個人や小規模事業者が導入しやすい製品も多数提供されています。
エクセル管理との違い
専用のソフトやシステムを利用せずに販売管理を行う代表的な方法としては、Excel(エクセル)や手書きの帳簿を使った管理が挙げられます。
Excelを使用する方法では、Excelの持つ機能を活用することで、効率的な販売管理の実施も可能です。ただし、使用するフォーマットの計算式や表記の変更などを定期的に行う必要があり、税制や販売方法に変更があった際に、大きな負担が生じやすいというデメリットもあります。
販売管理ソフト・システムを導入すれば、製品を提供するプロバイダーの定期的なアップデートによって、販売管理業務のベースとなる情報が自動更新されます。自社で調整や変更を行う作業は、基本的に不要です。販売管理のための事務作業が大幅に軽減される点は、販売管理ソフト・システムの大きな強みです。

販売管理ソフト・システムの主な機能
販売管理ソフト・システムを導入することによって、豊富な機能を利用することができます。販売管理と在庫管理、購買管理、それぞれに関する機能の概要を説明します。
販売管理に関する機能
販売活動は、事業を維持・拡大するための基盤となるものです。販売活動の過程には商品の見積りや受発注、請求などの業務があります。多岐にわたる業務を一元管理して、販売活動の効率性を高めるために行うのが、販売管理です。販売管理のための主な機能には、以下の項目があります。
(1)見積管理
見積書を作成する機能です。過去に作成した見積データの検索や、一覧表示などの機能も利用できます。こうした機能を活用することで、見積作成業務の効率性を高め、作業負担を軽減することが可能です。
(2)受注管理
商品やサービスの注文に関する情報を管理する機能です。受注データを入力・登録して、過去の受注情報を検索できます。受注と発注の情報の処理を同時に行うことも可能です。受注にくわえて、発注に関する情報の管理も実施することで、取引に必要な業務負担を大幅に軽減できます。
(3)売上管理
売上関連のデータの入力、過去のデータを検索する機能です。自動集計したデータのCSV出力も可能です。売り上げに関する情報を一元管理することによって、今後の売上予測や目標設定の参考データにすることができます。
(4)請求管理
売上データから請求書を自動発行する機能です。未回収の債権検索や一覧表示も可能で、入金が完了した債権の消込処理も実施できます。請求や債権に関する情報を可視化することで、請求業務の負担軽減だけでなく、債権不良化を防ぐ効果も期待できます。
在庫管理に関する機能
商品の出荷や在庫を管理する機能です。在庫切れや余剰在庫を防ぎ、受注した商品を迅速に顧客へ届けることは、企業の信頼性や顧客の満足度を高めるための必須条件です。販売管理ソフト・システムに備えられた以下の機能を利用することで、在庫管理の品質向上と効率化を図ることができます。在庫管理に関する主な機能は、以下の通りです。
(1)出荷管理
受注データ確定後、適切な出荷指示を出す機能です。商品の在庫確認や在庫調整などのデータ管理を行うことができます。出荷データも検索でき、在庫量をリアルタイムで確認することも可能です。
(2)入荷管理
商品の入荷数を確認し、仕入れた商品を検品する機能です。入出庫数の管理が可能です。仕入管理データとの連携によって、自動的に在庫数を算出でき、在庫管理に必要な業務負担を大幅に軽減できます。
(3)棚卸し
棚卸しを行う際の商品登録、在庫との照合などを実施する機能です。製品によってはハンディ端末との連携も可能で、在庫管理の精度向上と効率化を実現できます。
購買管理に関する機能
商品や資材の仕入・入荷に関する業務の効率化、最適化のための機能です。商材の仕入・入荷時期や価格、個数などの情報を確認して、一元管理します。販売管理や在庫管理と連携・統合させることで、経営効率の向上にもつながります。購買管理機能には、以下のような機能があります。
(1)仕入管理
発注した商品の仕入れを管理する機能です。起票の手間を省き、二重入力などのミスを防止します。販売管理システムでは、在庫管理と仕入管理のデータを一元管理できるので、在庫状況に応じた仕入を円滑に実施できます。
(2)支払管理
取引先が定めた支払い方法に応じて、支払予定表を自動作成する機能です。支払消込も簡単にでき、支払業務の正確性と効率性の向上を図ることができます。
クラウド型とオンプレミス型の特徴
販売管理システムは、サービスの提供形態によってクラウド型とオンプレミス型の二つの種類に分けられます。クラウド型とオンプレミス型、それぞれの主な特徴について説明します。
クラウド型
クラウド型とは、インターネット上に構築されたシステムのことです。近年の販売管理ソフト・システムの主流は、クラウド型の製品となっています。
自社のサーバーやパソコンにソフトウェアをインストールして利用するのではなく、インターネットを経由してシステムを利用します。インターネットを利用できる環境さえあれば社内外を問わずアクセスできるので、複数の拠点がある企業やリモートワークを行っている企業でもスムーズな導入が可能です。
システムの構築やパソコンへのインストールが基本的に不要で、アップデートやメンテナンスなどの運用業務も、プロバイダー側が実施します。ITやECに関する専門スキルを持つスタッフがいない事業者でも安心して利用でき、オンプレミス型と比べて導入・運用コストが安価であることが、クラウド型の販売管理ソフト・システムの大きな特徴です。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、社内に専用のサーバーを設置し、 自社の業務形態に合わせて構築する販売管理システムです。機能の追加や帳簿の書式変更といったカスタマイズの自由度が高いこと、高度なセキュリティー対策を講じやすいことなどが、オンプレミス型の特徴です。
オンプレミス型のシステムを導入するには、専用サーバーの設置をはじめとするインフラの整備が必要となるため、初期費用が高額になること、利用開始までに一定の時間がかかることなどが、オンプレミス型のデメリットとして挙げられます。システムのメンテナンスや保守、トラブル対応も自社で行うので、専門的な知識やスキルを持つ人材を確保する必要があります。

個人・小規模事業者が販売管理ソフトを使う5つのメリット
個人や小規模事業者が販売管理ソフトを利用することで期待できる、主なメリット5点について解説します。
(1) 低コストで導入できる
現在、主流となっているクラウド型の販売管理ソフト・システムはサーバーの購入・設置が不要で、利用開始後の保守・メンテナンスもプロバイダーが行うため、初期費用や運用費用を抑えて導入できます。
(2) 多くの情報を一元管理できる
販売や在庫、仕入データなどを一元管理できるため、データの検索や分析などを効率よく行うことが可能です。正確なデータを参考にして、経営判断を行うことができます。
(3) データ分析がしやすく、集客や問題の早期発見に活用できる
販売管理ソフト・システムの利用によって、データの社内共有や分析が簡単にできる点も大きなメリットの一つ。収集・分析したデータを営業活動やマーケティング戦略の立案などに活用できます。
(4) データ入力の手間を減らし、人件費の節約とミス防止につながる
Excelへのデータ入力に要していた手間と時間を低減することによって、販売管理のために費やしていた時間が短縮され、人件費の削減につながります。
販売管理ソフト・システムの導入で、業務の標準化・自動化を図ることができ、販売管理業務における入力や確認ミスを防ぐ効果も期待できます。
(5) インボイス制度に対応する場合の事務負担も軽減できる
販売管理ソフト・システムには、基本的に法的要件や税務上の規制に準拠するプロセスが組み込まれています。販売管理ソフト・システムを利用することで、インボイス制度をはじめとする税制改正への対応が必要となった際の作業負担を大幅に軽減できます。
個人・小規模事業者の販売管理ソフトの選び方
個人や小規模事業者が販売管理ソフト・システムを選定する際に重視すべきポイントを解説します。
クラウド型の販売管理ソフトがおすすめ
個人や小規模事業者に適しているのは、低コストで導入・運用できるクラウド型の販売管理ソフトです。クラウド型のソフトであれば、利用開始後のメンテナンスや保守を自社で行う手間やコストも必要ありません。
事業内容に合った必要な機能に絞り、無駄なコストを避ける
販売管理ソフト・システムは、自社の業種・業態に合ったものを選定しましょう。販売管理ソフトには、基本的な販売管理機能だけを備えたものから、多種多様な機能を持つものや機能を柔軟にカスタマイズできるものまで、さまざまな製品があります。必要な機能について十分に検討して具体的に絞り込んだ上で、自社に最適なソフトを導入することが重要です。
必要な機能の絞り込みを行ったうえで導入するソフトを選定すれば、結果的に費用対効果の高い製品を選びやすくなります。自社の現状や課題を明確にし、課題解決に必要不可欠な機能を持った、コストパフォーマンスの高い製品を選びましょう。
サポート体制の充実度を確認する
プロバイダーのサポート体制が充実していれば、導入後に操作方法の不明点が生じたり、トラブルが発生したりした際にも、適切な対応を受けることが可能です。利用を開始してからサポートやトラブル対応に不満を感じることのないよう、慎重に判断することをおすすめします。
インターネット上の口コミや専門家の評価などをチェックして、客観的な情報からサポート体制の充実度を確認しましょう。
無料トライアル期間があれば試してみる
販売管理ソフト・システムの中には、無料で製品を使用できるトライアル期間を用意しているものがあります。トライアルを活用して、資料や担当者からの説明だけでは判断しづらい操作性や画面の見やすさなどを確認しましょう。
トライアル期間内に操作方法やサポート体制などに関する疑問が生じた場合は、積極的に担当者に質問や相談をして、導入後の運用イメージを明確にすることが重要です。無料トライアル期間が終了すると自動的に有料プランに切り替わるケースもあるので、注意しましょう。

個人・小規模事業者におすすめのクラウド型販売管理ソフト3選
(1)Square
Square(スクエア)では、売上情報を記録できるSquare POSレジアプリや、リアルタイムで販売実績や在庫状況を確認できる管理画面、さらにレポートや分析機能を無料で提供しています。
無料アカウントを作成してSquareの管理画面にサインインするだけで、どこにいてもリアルタイムで売り上げや在庫、支払いなどの情報をパソコンやスマートフォンから確認できます。従業員へのアクセス許可なども簡単に設定可能です。
販売活動に関する各種データは自動作成されるレポートを確認することで把握でき、有効なマーケティング戦略の立案や目標設定などに役立ちます。
【Square 料金 】
| 💰 初期費用 | 無料 |
| 📅 月額料金 | 無料 ※キャッシュレス決済時の手数料のみ |
| 👨💻 ユーザー数上限 | なし |
| 🤝 サポート | 無料 |

(2)フリーウェイ販売管理
フリーウェイ販売管理は、1,000伝票まで無料で発行できる販売管理ソフトで、3ユーザーまで利用できます。
売上伝票の入力や請求書発行、入金伝票の入力といった機能を利用できるので、できるだけ低コストで販売管理ソフトを導入したい事業者におすすめです。操作画面はシンプルで使いやすく、初期設定も短時間で行うことができます。
【フリーウェイ販売管理 料金】
| 💰 初期費用 | 無料 |
| 📅 月額料金 | 無料/1,000伝票まで |
| 👨💻 ユーザー数上限 | 3ユーザー |
| 🤖 サポート | AIチャット ※📞電話や✉️メールによるサポートは有料 |
(3)FLAM
FLAM(フラム)は、販売管理の基本機能をパッケージ化したクラウド型システムです。
見積りや請求といった売り上げに関連する機能から、発注や支払などの仕入れに関する機能、在庫や棚卸しまでを一元管理できます。会計業務に必要となる帳票も簡単に出力でき、外部の会計システムとの連携も可能です。決算業務の効率化や入力ミスの低減といった効果が期待できます。
【FLAM 料金(STANDARDプラン)】
| 💰 初期費用 | 無料 |
| 📅 月額料金 | 9,800円(税別) |
| 👨💻 ユーザー数上限 | 3アカウント |
| 🤝 サポート | オプション ※12,800円(税別)/月 |
Square導入のご相談は営業チームに
Squareサービスの導入を検討中のお客さまに、営業チームが導入から利用開始までサポートします。イベントでの利用や、複数店舗での一括導入など、お気軽にご相談ください。
よくある質問 (FAQ)
販売管理ソフト・システムに関して疑問を持つことの多い点に対して、以下に回答します。
販売管理ソフト・システムの導入費用は?クラウド型が安い?
オンプレミス型の販売管理ソフト・システムの導入には、専用サーバーの購入・設置やシステム構築が必要で、100万円~1,000万円程度の初期費用が発生します。導入後のメンテナンスやトラブル対応も自社で行うため、運用コストも比較的高額になります。
クラウド型の販売管理ソフト・システムは、自社でサーバーを用意する必要がないため、初期費用を抑えることが可能です。クラウド型の販売管理ソフト・システムの費用相場は、月額料金で数千円~数万円前後となります。初期費用が無料のシステムも複数あり、導入コストを抑えたい企業に適しています。
ERPと販売管理ソフト・システムの違いは?
販売管理ソフト・システムとERP(Enterprise Resource Planning)には、管理する情報の範囲と利用する目的に違いがあります。販売管理ソフト・システムは、商品の販売プロセスを最適化するための製品で、注文や在庫、仕入れを管理するための機能を提供するものです。
ERPは企業全体の活動を支援するシステムです。財務や人事、生産、調達、顧客サービスといった広範な分野に関する情報を統合的に管理します。
どちらのシステムが適しているのかは、事業者のニーズによって異なります。基本的には、コストを抑えて販売関連業務を一元管理できる販売管理ソフト・システムは、小規模事業者に適していると考えられます。
クラウド型の販売管理ソフト・システムはセキュリティー面で安全?
クラウド型の販売管理ソフト・システムを導入する際には、セキュリティー対策について具体的に確認することが非常に重要です。情報漏えいや不正アクセスなどのリスクを感じることなく安心して利用するには、高度なセキュリティー対策を実践している信頼性の高いプロバイダーの製品を選定しましょう。
まとめ
この記事では、個人や小規模事業者に役立つ販売管理ソフト・システムに関するトピックについて解説しました。
販売管理ソフト・システムの導入を検討する際には、販売管理の目的を明確にし、目的達成に役立つ機能を持つシステムを選ぶことが重要です。本記事で取り上げた情報を参考にして、自社に最適なソフト・システムの導入を実現してください。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年9月12日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash

