上代・下代とは?ネットショップ運営の小売専門用語まとめ

仕入れ先とのやりとりで使われる「上代」や「下代」といった小売ビジネスの専門用語は、ネットショップの運営にも必須の知識です。販売したい商品が見つかったら、メーカーや卸売業者との間で「上代は◯円」「◯掛けで下代は◯円」といった確認を行います。今回は、上代・下代のほか、ネットショップ運営で使うその他の販売価格用語についても解説します。

📝この記事のポイント

  • 上代は仕入れ先が指定する販売価格、下代は仕入れ価格を指す
  • 下代は「上代 × 掛け率」で計算でき、一般的に40〜70%程度となる
  • 掛け率は業種ごとに異なり、アパレルや食品などで相場が変わる
  • 下代は発注量や取引条件の工夫で安くできる可能性がある
  • 参考上代や定価など他の価格用語も理解しておくと取引がスムーズになる
目次


上代​(じょうだい)​・下代​(げだい)とは?

上代と​下代は、​主に​流通業界で​使われている​用語です。​上代​(じょうだい)とは、​仕入れ先が​指定している​「商品を​販売する​際の​価格」です。​下代​(げだい)とは、​仕入れ先が​定めた​仕入れ価格を​意味し、​「卸価格」や​「仕入れ原価」とも​呼ばれます。

次項以降では、​上代と​下代の​それぞれの​違いに​ついて​説明していきます。

上代とは​仕入れ先指定の販売​価格を意味する

上代は、​仕入れ先が​指定した​「商品を​販売する​際の​価格」で、​上代価格とも​いいます。​上代は​小売店が​自由に​設定する​ものではなく、​メーカーや​卸売業者などが​定めた​価格である​点が​特徴です。

仕入れ先との​コミュニケーションの​中で​「この​商品の​上代は​10,000円」と​聞いたら、​ネットショップや​店頭では10,000円で​販売する​商品であると​理解しましょう。​なお、​上代は​税込みと​税抜きの​どちらの​価格にも​使える​用語である​ため、​不明な​場合は​「この​上代は​税込み価格ですか?」と​確認が​必要です。

小売店から​お客さまへの​販売価格と​しては​上代の​他にも、​参考上代、​定価、​メーカー希望小売価格、​オープン価格などが​ありますが、​これらは​それぞれ上代とは​異なる​意味を​持っています。​その​違いに​ついては​後述します。

下代とは仕入れ価格を​意味する

下代は、​下代価格とも​呼ばれ、​仕入れ先が​定めた​仕入れ価格を​意味します。​下代は、​「卸価格」や​「仕入価格」とも​同義で、​商品を​仕入れる​小売店側の​視点では​「仕入れ原価」と​呼ぶこともできます。​上代が​ネットショップなどの​小売店と​お客さまとの​間の​販売価格であるのに​対し、​下代は​小売店と​仕入れ先との​間の​取引価格です。

小売店は、​下代で​商品を​仕入れ、​そこに​経費や​利益を​乗せた​価格で​お客さまに​販売します。​そのため、​小売店側と​しては​下代が​下がれば​利益率が​上がりやすくなります。​メーカーや​卸売業者に​よっては、​小売店や​取引先の​業界ごとに​異なる​下代で​商品を​卸すこともある​ため、​業界の​相場などが​特に​ない​場合は​下代の​引き下げ交渉を​してみても​良いでしょう。

下代の計算に欠かせない上代と掛け率の基本

商品の​下代は、​上代と​掛け率​(かけりつ)を​基に​算出します。​掛け率とは​仕入れ先が​定める​卸値の​割合で、​業種や​トレンドに​より​異なりますが​一般的に​上代の​40%から​70%ほどだと​いわれています。

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上代をもとに下代を導く掛け率の仕組み

上代が​5,000円の​商品を​例に​すると、​下代は​次の​計算で​導き出す​ことができます。

上代(5,000円)× 掛け率(50%)=下代(2,500円)

メーカーや​卸売業者に​下代が​いくらかを​尋ねると、​「5掛け​(ごがけ)」のように​いわれる​ことも​あります。​この​場合の​「掛け」とは​掛け率の​ことで、​「5掛け」は​「上代に​5割を​掛けた​金額が​下代」と​いう​意味と​なります。

この仕組みにより、小売店は上代と掛け率が分かれば簡単に仕入れ価格を計算できます。また、掛け率は仕入れ数量や販売実績によって優遇されるケースもあり、同じ商品でも取引先によって下代が異なる場合があります。掛け率を理解しておくことで、利益率の見積もりや販売戦略を立てやすくなります。

掛け率の相場の業種別目安

掛け率は業種や商品の性質によって異なります。以下は一般的な目安です。

アパレル業界:50〜60%
流行の移り変わりが早く在庫リスクが高いため、やや高めの掛け率が設定されることが多いです。

雑貨・日用品:50〜60%
回転率が高い商品では利益を確保しやすく、やや高い掛け率で取引されます。

白物家電:45〜65%
高額商品で価格競争も激しいため、仕入れ条件や交渉次第で大きく変動します。

食品:70%前後
消費期限が短いことから仕入れ価格は高めになりやすく、利益率は比較的低く設定されます。

これらはあくまで目安であり、実際にはブランド力、取引量、シーズンごとの需要などによって変動します。取引開始時には自社にとって妥当な掛け率かを確認することが大切です。

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下代を安くするための交渉ポイント

下代を抑えることができれば、その分利益を確保しやすくなります。以下のような交渉方法が考えられます。

発注数量を増やす:まとめ買いをすることで単価を下げてもらえる可能性があります。

長期的な取引を約束する:継続的な取引が見込めると、仕入れ先は安定収益を期待できるため、下代を下げてくれることがあります。

シーズンオフを狙う:需要が落ち着いた時期に仕入れると価格交渉がしやすくなります。

他社の条件と比較する:市場相場を調べて「他社では◯掛けでした」と提示するのも有効です。

ただし、過度な値下げ交渉は仕入れ先との信頼関係を損なう恐れがあるため、双方にメリットがある形での交渉を心がけましょう。

ネットショップ運営で使うその他の販売価格用語

上代・下代の​他にも、​ショップビジネスに​必要な​専門用語を​覚えておく​ことで、​商品の​販売価格設定に​おいても​ミスを​避けましょう。

参考上代

上代に​似た​言葉ですが、​参考上代は​あくまでも​参考で​あり、​必ずしも​この​販売価格に​する​必要は​ありません。​業界や​メーカーに​よっては​「上代」と​いう​場合に​参考上代を​指している​こともある​ため、​初めて​取り引きを​する​仕入れ先との​間では​しっかり​確認を​しましょう。

定価

定価は、​あらかじめ決められている​販売価格の​ことで、​値下げや​値上げは​不可です。​上代と​似ているように​感じられますが、​上代が​日本の​商慣習に​起因する​販売価格であるのに​対し、​定価は​法律に​基づく​拘束力を​持つ販売価格です。​たばこ、​新刊の​書籍、​新聞、​CDなどは、​定価販売が​法律で​認められています。

定価について公正取引委員会は以下のように説明しています。

小売業者等に自社商品の販売価格を指示し,これを守らせることを再販売価格維持行為といいます。再販売価格維持行為は,競争手段の重要な要素である価格を拘束するため,原則として禁止されています。また,指定した価格で販売させるために,これに従わない小売業者に経済上の不利益を課したり,出荷を停止することも禁じられています。ただし,著作物(書籍,雑誌,新聞,音楽用CD,音楽テープ及びレコード盤の6品目)については,例外的に独占禁止法の適用が除外されています。これを著作物再販適用除外制度といいます。

メーカー希望小売価格

メーカー希望小売価格は、​文字通り、​メーカー側が​小売店に​対して​「この​価格で​売って​ほしい」と​希望する​販売価格です。​実際の​価格決定権は​小売店に​あり、​メーカーの​希望より​高い・低い​金額を​設定する​ことができます。​なお、​海外との​取り​引きでは​一般的に、​定価や​上代でなく​メーカー希望小売価格が​用いられます。

国内での​販売に​おいて、​お客さま向けの​値札や​広告に​「メーカー希望小売価格の​20%オフ」と​いった​表現が​使われ、​問題化した​ことが​あります。​実際には​割引後の​価格が​商品の​相場価格だったとしても、​相場を​知らない​お客さまが​お得に​感じて​購入すると​いう​誤解が​起きてしまう​可能性が​あるからです。​これは​「二重価格表示」と​呼ばれ、​価格表示の​適正性の​問題と​して​消費者庁が​ガイドラインを​設けています。

オープン価格

小売店が​自由に​決める​販売価格は​オープン価格と​呼ばれ、​この​場合、​メーカーが​決めるのは​下代のみで、​上代は​設定しません。​オープン価格は、​前述の​二重価格表示の​問題を​避ける​意味でも、​近年、​家電製品などで​特に​よく​用いられています。

ネットショップ運営で使うその他の仕入用語

仕入れ先との​取り​引きに​おいて、​価格以外にも​耳慣れない​専門用語が​登場する​ことが​あります。​メーカーや​卸売業者との​関係を​スムーズに​する​用語と​その意味を​覚えて​おきましょう。

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口座

仕入れ先との​取り​引きの​開始前に、​「口座を​作ってください」と​いわれる​場合が​あります。​口座と​いっても​銀行口座ではなく、​仕入れ先企業の​商品や​サービスを​利用する​ために​必要な​手続きの​ことで、​利用登録とも​換言できます。

掛けで​買う

上代の​6掛け、と​いった​使い方とは​別の​「掛け」と​いう​表現も​発注の​際に​使われます。​掛けで​買う​(掛け買い)とは、​代金を​後で​支払う​約束を​して​先に​商品を​手に​入れる​ことです。​たとえば、​月の​初旬と​中旬に​2回、​同じ​仕入れ先に​発注を​行い、​月末に​一括で​支払う​ことなどが​掛け買いと​呼ばれ、​仕入れ先の​ルールや、​仕入れ先と​小売店の​関係​性に​よって​可能に​なります。

元払い、​着払い

発注した​商品が​送られてくる際の​送料は、​着払い、​つまり​小売店側が​支払う​ことが​一般的です。​ただし、​取引金額や​仕入れ先に​よっては​元払いが​可能な​ケースも​ある​ため、​発注前に​確認しましょう。

お客さまの前では​使わない​上代や​下代と​いう​概念だけでなく、​以上のような​専門用語を​正しく​理解する​ことは、​仕入れや​販売の​トラブルを​防ぐことに​つながります。​仕入れを​始める​前に​正しい​知識を​身に​つけ、​ネットショップなどの​小売ビジネスを​円滑に​進めましょう。

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よくある質問 (FAQ)

小売ビジネスのオーナーが頭を悩ませがちな疑問を、以下に四つ取り上げてみました。

上代と定価の違いは?

上代は仕入れ先が「この価格で売ってほしい」と希望した価格で、法的拘束力はありません。一方、定価は法律に基づいており、値引きや値上げが認められない点が大きな違いです。

上代は消費税込?

上代は税込・税抜のどちらでも使われます。取引時に不明な場合は「この上代は税込ですか?」と必ず確認することが大切です。

上代と参考上代の違いは?

参考上代はあくまで目安であり、必ずしもその価格で販売する必要はありません。上代は仕入れ先が正式に定めた価格であるのに対し、参考上代は柔軟な価格設定が可能です。

参考上代は必ず守るべき?

必ず守る必要はありません。ただし、仕入れ先によっては参考上代を「推奨価格」として扱う場合もあるため、初めての取引では解釈を確認しておくと安心です。

まとめ

上代・下代・掛け率といった用語を正しく理解することは、仕入れや販売価格設定の基本です。特にネットショップ運営では、仕入れ条件や利益率を見誤ると経営に大きな影響を与えます。
また、参考上代・定価・メーカー希望小売価格・オープン価格といった販売価格の多様な考え方を把握しておくことで、顧客に対して正しい価格表示ができ、信頼を築くことにつながります。
仕入れ条件の交渉や価格戦略を工夫しながら、Squareのような無料のネットショップ作成ツールを活用することで、小売ビジネスを効率的に成長させていきましょう。


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執筆は2021年9月20日時点の情報を参照しています。2025年8月29日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash