日用品からレアな商品まで、さまざまな商品の購入をお客様に代わって行うサービスは「買い物代行」と呼ばれています。
買い物代行ビジネスを起業したい、または副業として検討している人を対象に、買い物代行ビジネスの概要と始め方を説明します。
買い物代行とは
買い物代行とは、文字通り、お客様に代わって買い物をし、商品を届け、手数料を受け取るビジネスです。買い物の対象範囲は、食品や日用雑貨の買い物、入手が難しい商品、海外の商品の購入など多岐にわたります。近隣に住む人を対象にした買い物代行は、高齢者が多い地域、過疎の地域にニーズがあり、近隣にネットワークがある人であれば副業として始めやすいでしょう。一方、入手が難しい商品や海外商品の購入については、ある程度の語学力や専門知識が問われ、顧客開拓が必要です。続いてこの2種類の買い物代行について詳しくみてみましょう。
買い物代行の種類
食品や日用雑貨の買い物代行
日常生活を営む上で、食品、日用雑貨などの買い物は欠かせません。総務省が2017年に発表した「買物弱者対策に関する実態調査 結果報告書」では、内閣府の「国土形成計画の推進に関する世論調査」(2015年8月)を引用し、日用生活を営むうえで徒歩・自転車で行ける範囲に最低限必要な施設として、「日用品、食料品などを販売するスーパーマーケット」「個人商店など小規模な小売店舗、コンビニエンスストア」を挙げた人はそれぞれ73%、69.6%にのぼったとしています。
近年ネットスーパーが普及し、商品をオンラインで注文し、宅配便で商品を受け取れるようになってきていますが、買い物をしたくても、過疎化の影響や忙しさから思うように買い物ができない人が出てきています。高齢者の中にはこのようなサービスを使うのが難しいという人は少なくありません。高齢者でなくても、配送対象の地域に住んでいない、購入量が少量で送料が割高になってしまうといった問題を抱える人も少なくありません。
地域の御用聞きのように、自分の買い物も兼ねて、高齢者や、仕事や子育てに忙しい世帯の買い物をするのであれば、副業として小さく買い物代行ビジネスを始めることができます。副業として始めてみて、定期的かつ継続的なニーズがあるようであれば、本格的に起業を視野にいれてもよいでしょう。
ただし、配送まで自分で行う場合には、オートバイを含め車両の登録や、車両によっては配送業の登録が必要になることがあります。車両を利用する場合には注意が必要です。少しでも疑問がある場合は、地域の運輸支局や国土交通省に問い合わせるとよいでしょう。
入手が難しい商品や海外の商品の買い物代行
趣味や仕事で特定の分野に詳しい、輸出入の手続きに通じている、英語をはじめ外国語に精通しているという人は、入手が難しい商品や海外の商品の買い物代行をビジネスにできる可能性があります。
入手が難しい商品として、アニメや漫画のキャラクターグッズ、芸能人やミュージシャンのノベルティーグッズ、地域限定の飲食料品などがあります。これらの買い物代行は、対象について知識がある人の方がお客様のニーズに的確に応えることができるでしょう。
海外の商品は、大手通販サイトやネットショップや、インターネットオークションで事実上誰もが条件さえ満たせば購入できる状態ですが、言葉の壁から購入を断念する人も少なくありません。英語など外国語に自信のある人であれば、スムーズに買い物に関するコミュニケーションができるでしょう。また、輸出入では、関税の処理や商品によっては検疫が必要になるので、輸出入の手続きに関する知識も役立ちます。海外商品の買い物代行というと、海外の商品を日本に取り寄せたり、買いに行ったりすることを想像しがちですが、日本の商品を海外のお客様に届けするという方向性も考えられます。居住地域や得意分野によってどちらをビジネスとするか検討するとよいでしょう。
この分野の買い物代行は、日用品の買い物代行と異なり、お客様が必ずしも身近な人の中からみつかるとは限りません。副業として小さくビジネスを始める場合は、商品を必要としている人のコミュニティの中でニーズを探りお客様をみつけるほか、買い物代行サイトにバイヤーとして登録するのも一つの手です。
本格的にビジネスを始める場合は、対象商品を絞る、地域を絞るといった工夫をし、これからお客様を開拓する場合にはインターネット上で広告を打つといった工夫も必要です。具体的には、環境先進国の多いヨーロッパからベビー用品の買い物代行をする、オーガニック食品の買い物代行をするといった具合です。ビジネスにするのはあくまで「買い物代行」であって、「違法な転売」とならないように注意しましょう。不安な点があれば、専門家に相談の上、何をビジネスとするのか明確にして手数料や価格の設定をしてください。
買い物代行ビジネスを始めるには
買い物代行ビジネスを始めるにあたって、必要な資格や届け出はありません。お客様から買い物の依頼を受ければ、依頼を受けたその日にビジネスを始めることができます。
ただし、注意が必要なケースもあります。お酒やタバコといった特殊な商品を扱う場合には税務署などにあらかじめ問い合わせて問題がないことを確認しておくことをおすすめします。
海外からの輸入、海外への輸出として買い物を代行する場合、関税について、輸出入の規制に当たらない商品であるか入念に調べる必要があります。もし規制の対象であれば規制に準じた形で買い物を代行しなければなりません。飲食料品、美容・医薬品、動植物、植物の種子、精密機械などは、規制対象になる可能性の高い商品です。これら以外の商品の買い物代行をする場合でも、念のため税関やJETRO(日本貿易振興機構)に問い合わせることをおすすめします。そのほか、国境を越えた取引の場合、トラブルが発生する可能性が高くなります。必要に応じて返品保証について確認する、追跡できる方法で商品を送る、保険をかけるといった措置をとりましょう。
買い物代行ビジネスは個人と個人の取引になることが少なくありませんが、金銭のやりとりが発生する限り、所得によっては確定申告が必要になります。少額だからと自己判断で申告しないのは避けましょう。本業がある場合は本業と副業として買い物代行ビジネスをすることが可能か調べることも忘れないでください。副業を許可する企業は増えていますが、依然副業禁止規定のある会社も少なくありません。
インターネットで買い物が便利になる中でも、今後一定のニーズが見込める買い物代行ビジネスについて説明しました。食品や日用品については、仕事や生活と両立しながら小さく始めやすいビジネスといえそうです。また、趣味や仕事で特定の分野に詳しい、語学力があるという人は、入手が難しい商品や海外の商品の買い物代行ビジネスを視野に入れてもよいでしょう。いずれの場合でも、事前の各種問い合わせや確定申告などは忘れないようにしましょう。
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執筆は2020年3月20日時点の情報を参照しています。
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