マイクロブルワリーを開業するには

どんなビジネスにも課題はつきものですが、マイクロブルワリーと呼ばれる小規模なビール醸造所も例外ではありません。その背景にあるのが、運営にかかる費用や原材料費の高騰、そして競争の激化です。

だからこそ、事業の長期的な成功にはコストの把握が不可欠です。常に予算オーバーの状態や、そもそも予算計画すらない事業運営では、想定外の出費に対応できないばかりか、閑散期や情勢の変化を乗り越えられないかもしれません。そうなれば事業成長の鈍化は避けられず、最悪の場合は倒産につながります。

とはいえ、成功する道もあります。 たとえばアメリカのカリフォルニア州にあるブルワリー「Ghost Town Brewing Company」は、事業成長に注力できるビジネスツールを導入したことで厳しい状況を乗り越えました。ビール職人の技術と情熱が、ブルワリーの成功に大きく寄与するのはもちろんのことですが、コストの把握もそこには欠かせません。ここでは、ブルワリー開業にかかる初期投資費用と毎月かかる運転資金を押さえたうえで、テクノロジーを活用してコストを追跡・管理する方法を紹介します。

目次


開業にかかる一般的な初期投資費用

開業費用を見積もる際は、ブルワリーならではの点を頭に入れることが大切です。設備や在庫にお金がかかるだけでなく、物件や許認可の取得、スタッフの雇用などでも支出がかさみます。開業前に資金が底をついてしまわないよう、必要な費用をきちんと理解しておきましょう。ビジネス計画や市場の需要に基づいて製造量を考慮することも重要です。開業費用の調達方法としては、日本政策金融公庫といった金融機関からの融資、補助金の利用、クラウドファンディングなどが考えられます。

内装工事

店舗スペースを設ける場合、開業に備えて内装を整える必要があります。インテリアデザイナーや施工会社にお願いする場合はその費用がかかるうえ、配線や配管には専門の業者も必要です。 バーの内装工事にかかる費用の目安は、1坪あたり15~60万円といわれています。

設備や在庫

中古の醸造設備や什器を購入すればコストを節約できますが、それでも発酵タンクや樽などに2~3,000万円ほどかかることは珍しくないようです。在庫としては、ブルワリーでは穀物、ホップ、酵母などが、バーではビール、ワイン、蒸留酒などが挙げられます。また、いずれのビジネスでも、お客さまによる支払いや売上データを確認するPOSレジシステムが必要です。

許認可

アルコール飲料を醸造・販売するにはさまざまな許認可を受けなければなりません。費用は酒類製造免許が15万円、ビール卸売業免許が9万円、酒類製造業営業許可および飲食店営業許可がそれぞれ数万円(自治体により異なる)です。法律の専門家のサポートを受ける場合は追加費用もかかります。

安全衛生

ブルワリーにバーやパブなどの飲食店を併設する場合、安全衛生面で食品衛生責任者と防火管理者の資格が不可欠です。費用はいずれも1万円程度ですが、開業前の保健所検査の基準を満たす備品や設備を揃えるのにもお金がかかります。ほかにもスタッフへの安全対策研修が必要な場合もありますが、怪我や食中毒の代償を考えればそうした費用を惜しむべきではないでしょう。

グラス類など

バーやパブでお客さまにクラフトビールやおつまみを提供する場合、メニュー、グラス・食器類、洗浄設備、殺菌設備などの備品が必要です。卸売のみのブルワリーでも、瓶詰めや缶詰めの設備、適切な清掃用具や備品が欠かせません。費用は店舗や醸造所の規模によって異なりますが、グラス類だけでも数百万円にのぼることがあります。

スタッフの採用とトレーニング

オープニングスタッフの確保には、予想以上に費用がかかるものです。能力の高いマネージャーや醸造のノウハウを持つ人材を雇うには、高額な採用プラットフォームや人材スカウトサービスの利用が必要になるかもしれません。採用イベントを開催する場合も、宣伝や実施にお金がかかるほか、採用後は自社の基準に合わせた研修も必要です。

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マイクロブルワリー経営にかかる運転資金

初期費用を工面できるとひと息つきたいところですが、事業運営に必要なのはそれだけではありません。ランニングコストはすぐに積み上がるため、収益の維持や改善には経費の把握と予算の立案が大切です。コストの大部分を占めるのは地代家賃、人件費、消耗品などですが、月単位や年単位で発生する定期的な費用も計画に入れておきましょう。

地代家賃

ビールの醸造やバーの営業には物理的な場所、つまり物件の取得が必要です。費用は立地によって大きく変わりますが、どこに構えるかは業態次第です。ブルワリーだけなら経費削減のため倉庫などを検討できます。バー併設の場合はたとえ割高でも人通りの多い繁華街が得策かもしれませんが、その分コストが膨らむ可能性があります。

光熱費

電気、ガス、水道、インターネットは今の生活に欠かせないインフラですが、事業用の光熱費となると高額です。醸造には大量の水のほか、大きな醸造釜を加熱するためのエネルギーが欠かせません。ビールを1リットル製造するのに必要な水はおよそ5〜10リットルだといいます。必要な電力や料金は気候や立地に左右されますが、特に広いスペースでは、冷暖房の費用も高額になるでしょう。なお飲食店の光熱費の目安は売り上げの5~10%、通信費は5%といわれています。

メンテナンス・修繕費

メンテナンス費用や突発的な修繕費は、大きな出費になりえます。定期的に発生するメンテナンス費用はあらかじめ予算に組み込んでおきましょう。大きな故障が発生すると営業にも影響が出かねないため、蛇口やポンプ、空調設備などをこまめに点検しておくと安心です。

人件費や福利厚生費

スタッフの人件費、そしてそれに伴う社会保険や福利厚生の費用は経費のなかで大きな割合を占めます。人件費の見積もりや管理には、給与計算ソフトを使うと便利です。

在庫費用

アルコール飲料の販売や提供には、在庫の補充が欠かせません。ブルワリーでは、発酵タンクを常に満タンにしておくために、原料を計画的に購入する必要があります。またバーやパブでも飲料や食材、消耗品の購入は不可欠です。費用は売り上げにもよりますが、月に100万円前後かかる場合もあります。

マーケティングや広告費用

運がよければSNSや地元のニュースで話題になることもあるものの、継続的なマーケティング施策は大切です。競争の激しいビール業界でお客さまからの支持を保つには、マーケティング予算を確保する必要があります。なお、飲食店の広告費の目安は売り上げの3%程度のようです。

ソフトウェアの導入と月額費用

営業を開始すると、売り上げから決済取引、経費まで金銭のあらゆる動きを管理しなければなりません。そこで検討したいのが会計システムやPOSレジシステムの導入です。こうしたシステムの導入と月々かかるサービス利用料金も予算に入れておきましょう。

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Squareでクラフトビール醸造所の売上管理を効率化

マイクロブルワリーの開業および運営にかかる費用をざっと見ましたが、これらの管理には労力や時間がかかります。そこで活躍するのが、お金の流れを自動的に追跡できるSquareのエコシステムです。

店舗を構える場合であれ、イベントなどで販売するケースであれ、信頼できる効率的なPOSレジシステムは欠かせません。Squareの飲食店向けの「Square レストランPOSレジ」または全業種向けの「Square POSレジ」は、キャッシュレスから現金まで、あらゆる決済取引に対応できるPOSレジアプリです。

また、Squareの連携機能を利用すれば、会計ソフトとの接続も簡単です。 冒頭で紹介したGhost Town BrewingはSquareの導入で事業の運営効率を上げ、スタッフのトレーニングや研修にかかる時間を削減。空いた時間で、事業の成長に注力できるようになりました。

売上管理がスムーズになれば、質の高い商品やメニュー、サービス、顧客体験の実現に集中できるため、お客さまの満足度が上がり、良い口コミも期待できます。

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執筆は2024年8月28日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。