※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
「不動産業にチャレンジしてみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」、そんな人も多いのではないでしょうか。不動産業には仲介、管理、投資や開発など、さまざまなスタイルがあり、興味関心や資金に合わせて選択できます。ただし、法律や契約、資金計画など、事前に知っておきたいポイントも多くあります。
この記事では、不動産業を始めるにあたって必要な知識や資格、ビジネスモデルの種類、開業資金の目安などをわかりやすく解説していきます。
【この記事のポイント】
-不動産業は仲介・管理・投資など多様なビジネスモデルがある
-宅地建物取引士資格は仲介業開業に必須で、信頼獲得にも重要
-開業資金は仲介業で約100〜300万円が目安
-AIやデジタル化による業務効率化、差別化戦略が成功の鍵に
-Squareのツールで家賃集金や請求書業務を効率化
目次
- 不動産業を始める前に知っておきたいこと
・未経験でも開業できる?必要な知識やスキルとは - 不動産業の種類とビジネスモデル
・仲介業
・買取再販業
・管理業
・投資・開発 - 未経験からの不動産開業ステップと資金計画
・宅地建物取引士(宅建)の取得は必須?
・法人設立 or 個人事業主?
・開業資金の目安と準備
・資金調達の方法 - 不動産業界の最新トレンドと成功のポイント
・AI・ビッグデータ活用の可能性
・フランチャイズ展開のメリット・デメリット
・差別化戦略
・DX(デジタル化)による業務効率化 - 不動産業の業務もSquareで効率化できる
・家賃の集金にはクレジットカード決済が便利
・請求書業務の手間が大幅に削減 - まとめ
不動産業を始める前に知っておきたいこと
不動産業は、景気の影響を受けやすい反面、正しい知識と戦略をもって取り組めば、安定した収益を目指せる分野です。副業やセカンドキャリアとして「未経験からでも挑戦できるのか?」と、興味を持つ人も少なくありません。
実際、不動産業は国家資格が必要な業務がある一方で、必ずしも資格取得から始める必要はなく、知識を身につけながら準備を進めることも可能です。ただし、法律・税制・契約関係など、専門性が求められる場面が多いため、事前のリサーチと学びが重要となります。
ビジネスとして軌道に乗せるためには、どの領域で勝負するのか、どんな顧客層をターゲットにするのかといった方向性も、あらかじめ整理しておきたいポイントです。
未経験でも開業できる?必要な知識やスキルとは
未経験からでも不動産業を始めることは可能ですが、成功するためには「知識」「スキル」「信頼」の3点を意識することが大切です。
まず、基本的な不動産の知識として、宅地建物取引業法、建築基準法、住宅ローン、登記・契約の流れなどを理解する必要があります。宅地建物取引士(宅建士)の資格取得は、信頼性の向上にもつながるため、早めの取得を検討するとよいでしょう。
次に求められるのが「営業スキル」や「コミュニケーション力」です。不動産取引は高額である分、顧客との信頼関係が非常に重要です。誠実な対応、正確な情報提供、丁寧なフォローが、口コミやリピーターの獲得にもつながります。
さらに、不動産は地域密着型のビジネスでもあるため、地元の情報収集力やネットワークづくりも大きな武器になります。地場の市場に精通していることが、競合との差別化にもなります。
不動産業の種類とビジネスモデル
不動産業とひと口に言っても、その業態は多岐にわたります。ここでは、主要なビジネスモデルを紹介します。
仲介業
もっとも身近で始めやすいのが「仲介業」です。売主と買主、貸主と借主の間に立ち、契約をサポートするビジネスモデルで、契約が成立した際に仲介手数料を得る形になります。
初期投資を抑えてスタートできる点がメリットです。ただし、競合が多く、インターネットでの物件情報公開が一般化している今、差別化や集客の工夫が成功のカギとなります。
不動産仲介業を行うには宅地建物取引業の免許が必要です。また、事務所や専任の宅建士の設置義務もあるため、開業前には必ず制度を確認しましょう。
買取再販業
物件を一度自社で購入し、リノベーションなどの付加価値を加えたうえで再販するのが「買取再販業」です。近年は中古住宅市場の拡大に伴い、注目が高まっています。
利ざやを狙える一方で、仕入れの目利き、リフォーム計画、販売戦略など、幅広い知識と経験が求められます。未経験者がすぐに始めるのはややハードルが高めですが、少額の物件や提携業者との連携で徐々にステップアップすることも可能です。
管理業
物件の所有者に代わって賃貸物件を管理する「管理業」も、安定した収益が期待できる業態です。具体的には、入居者募集・契約・家賃回収・クレーム対応・修繕手配など、運用全般を担います。
管理業務はストック型収益となり、毎月の管理料が安定収入につながるのが大きな魅力です。少数の顧客から始めて少しずつ拡大していくこともでき、長期的なビジネスとしても成り立ちやすい分野です。
投資・開発
より大きな視点で不動産に関わりたい人には、「投資・開発型」のビジネスも選択肢になります。物件を購入して家賃収入を得る不動産投資や、土地を仕入れてマンションや商業施設などを開発・分譲するデベロッパー型のビジネスです。
高い資金力や事業経験が必要となるため、未経験からすぐに始めるのは難易度が高めですが、不動産の知識を積みながら、小規模な戸建て投資などから経験を積むことは十分に可能です。投資の世界では、収益とリスクのバランスを見極める冷静さと、数字に強いビジネスセンスが問われます。
未経験からの不動産開業ステップと資金計画
不動産業の開業には、資格取得・開業準備・資金計画といった複数のステップがあります。ここでは、開業を目指すうえで押さえておきたい基礎知識と、資金の考え方について解説します。
宅地建物取引士(宅建)の取得は必須?
不動産業、とくに「仲介業」を開業する場合、宅地建物取引士(宅建士)の資格は非常に重要です。法律上、宅地建物取引業を営むには、事務所ごとに専任の宅建士が1名以上必要であり、重要事項の説明や契約書面への記名など、宅建士にしか扱えない業務もあります。
そのため、たとえ自分自身が営業中心であっても、開業者本人が宅建士を取得しておくことが、経営の自由度や信頼性を高める意味でも有利です。取得には国家試験への合格が必要で、毎年約20万人が受験しています。合格率は15〜18%前後とやや難関ですが、独学やオンライン講座、スクールなど、さまざまな学習方法があります。
一方で、不動産投資や管理業のみを行う場合は、必ずしも宅建士の資格が必要なわけではありません。開業するビジネスモデルに応じて、資格取得のタイミングを検討しましょう。
法人設立 or 個人事業主?
不動産業を始める際には、「法人で始めるか、個人事業主として始めるか」という選択が必要になります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身の計画や規模感に応じて判断しましょう。
個人事業主として始める場合
- 設立手続きが簡単で、コストも抑えられる
- 小規模に始めるには向いている
- 所得が増えると税負担が高くなる可能性がある
法人として設立する場合(株式会社や合同会社など)
- 社会的信用が高まり、融資や契約で有利な場面も
- 節税対策が可能になる場合もある
- 設立や運営に関する手続き・コストが発生する
宅建業免許を取得する際にも、法人か個人かによって必要な書類や手続きが異なります。将来的に規模を拡大したい、スタッフを雇いたいという場合は、初めから法人での開業を検討してもよいでしょう。
開業資金の目安と準備
不動産業の開業に必要な資金は、選ぶ業態や事業の規模によって大きく異なります。ここでは、不動産仲介業を例に、おおまかな費用の目安を見てみましょう。
項目 | 費用の目安 |
宅建業免許の登録・保証金(※) | 約100万円(保証協会に加入する場合) |
事務所の賃貸・内装費 | 50〜150万円程度 |
オフィス家具・PC・事務用品など | 20〜50万円程度 |
ホームページ・名刺・広告費など | 10〜30万円程度 |
その他(通信費、開業届など) | 10〜20万円程度 |
※保証金は原則1,000万円(本店ごと)ですが、保証協会に加入すれば60万円+入会金程度で代替可能。
総額でおおよそ100〜300万円程度が初期費用の目安となります。ただし、買取再販や投資型のビジネスは、仕入れ資金が必要になるため、数百万円〜数千万円の資金が必要になることもあります。
資金調達の方法
自己資金だけで賄うことが難しい場合には、以下のような資金調達の手段が考えられます。
- 日本政策金融公庫の創業融資
- 地方銀行・信用金庫の開業融資
- 自治体の助成金・補助金
- クラウドファンディングやビジネスローン
不動産業界の最新トレンドと成功のポイント
不動産業界は、テクノロジーの進化や社会環境の変化により、大きく変わりつつあります。未経験からの開業であっても、時代の流れを理解し、柔軟に対応していくことで成功のチャンスは十分にあります。
AI・ビッグデータ活用の可能性
物件価格の査定や市場動向の予測にAIやビッグデータが活用されはじめています。たとえば、過去の取引履歴やエリアごとのニーズを分析することで、より精度の高い提案が可能になります。未経験者でも、こうしたツールを導入することで、業務の質とスピードを向上させることができます。
フランチャイズ展開のメリット・デメリット
不動産業界ではフランチャイズでの独立も一般的です。ブランド力やサポート体制を生かせる一方で、ロイヤリティや自由度の制限といったデメリットも存在します。未経験者には心強い選択肢ですが、自分のやりたい方向性と合っているかどうかをよく検討しましょう。
差別化戦略
「賃貸専門」「空き家活用」「高齢者向け住宅」など、特定の分野に特化するのも一つの手です。他社とどう差別化するかは、開業時の重要な検討ポイントです。
DX(デジタル化)による業務効率化
物件管理や顧客対応、契約手続きなど、従来はアナログで行っていた業務も、今ではクラウド型システムやチャットツールを使って効率化できます。業務時間を削減しながら、ミスも減らせるため、少人数での開業や兼業スタイルにも強みを発揮します。
不動産業の業務もSquareで効率化できる
不動産業では、物件管理や顧客対応に加えて「お金のやり取り」も日常業務の大きな部分を占めます。こうした会計まわりの業務は、Squareのようなデジタルツールを活用することでスムーズに進めることが可能です。
家賃の集金にはクレジットカード決済が便利
毎月の家賃の集金は、不動産管理業にとって欠かせない業務の一つです。Squareなら、クレジットカードによる定期的な支払いに対応が可能で、家賃のスムーズな回収を実現します。
とくに個人オーナーや中小規模の管理業者にとっては、「集金ミスの防止」「現金管理の手間削減」といったメリットが大きく、入居者にとっても支払い方法の自由度が高まるため、満足度の向上にもつながります。
請求書業務の手間が大幅に削減
リフォーム費用や管理費など、不動産業には請求業務が数多く発生します。Squareでは、オンラインで請求書の作成・送付から、クレジットカードによる決済まで一括で完了できるため、紙の請求書や銀行振込の管理に追われることなく、業務を効率化できます。
リアルタイムでの支払い状況の確認や、リマインダーの自動送信も可能なので、小規模の事務所でもでも請求ミスや入金漏れのリスクを減らしながら、効率よく請求業務を回すことが可能になります。
まとめ
不動産業とひとくちに言っても、その業態やビジネスモデルは多様で、自分に合ったスタイルを見つけることが成功の第一歩となります。特にこれからの時代は、デジタルツールの活用やAI・データ分析の導入など、柔軟で先進的な取り組みが求められるようになっています。開業時には宅建資格の取得や資金計画、法人化の判断など、検討すべきことは多くありますが、一つずつ丁寧に取り組めば確実に道は拓けます。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年6月17日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash