ネットショップ運営でトラブルを回避するクレーム対策とは?

ネットショップで起こるトラブルは、お客様からのクレームにつながることがあります。ネットショップの商品に関するトラブルの他、梱包や配送に関するトラブルなど、未然に防ぐことが可能なケースも少なくありません。トラブルの予防策と、起きてしまった場合の対応策とに分け、ネットショップで欠かせないお客様対応の方法を解説します。

目次



ネットショップで発生するトラブル例と予防策

手軽かつ効率的にネットショップで買い物をしたいお客様にとって、商品や配送のトラブルの発生はショッピングの快適さを大きく損なうものです。同時にネットショップ側にとっても、お客様を失う、お客様から低評価を受けるなど、トラブルがネガティブな結果につながることがあります。

双方にとって満足のいく結果を生むためには、トラブルを未然に防ぐ仕組みが重要です。ネットショップで起こりがちなトラブルを例に、事前にどんな予防策を採ればトラブルを防止できるか考えてみましょう。

トラブル1. 商品が指定日に届かなかった

ネットショップの商品やお客様によっては、用途や受け取り可能日の都合から、到着日を重要視しているケースがあります。お客様がオーダーの際に設定した「指定日」とは違う日に商品が届いてしまったトラブルの場合、クレームに発展することが考えられます。お客様の視点で考えると、希望したサービスが受けられなかったことになるため、不満や失望を感じ、ネットショップのレビューに低評価をつけるかもしれません。

指定日配送が可能なネットショップの場合、トラブル予防策として以下のような点に注意しましょう。

  • オーダーフォームに、あらかじめ配送にかかる最短日数を明記しておく
  • 配送日数の他の商品よりも長くかかる商品は、商品ページにその旨を明記しておく
  • ネットショップや配送業者の繁忙期、局所的な悪天候などにより配送遅延が予想される場合は、赤字や太字で目立つようにお知らせする
  • お客様の配送指定日が配送伝票に正しく反映されているか、ネットショップ側で最終確認を行う

トラブル2. 商品が破損・汚損していた

オーダーしたものが到着し、いざ梱包を開けたら商品が壊れていたり、汚れていたりするようなトラブルが発生した際、お客様がネットショップにクレームの連絡を入れることは想像に難くありません。破損や汚損のトラブルを防ぐためにネットショップができる予防策としては、以下のような対応が挙げられます。

  • 梱包や発送の前に商品の状態をしっかり点検する
  • 破損を防ぐ梱包方法を検討する
  • 壊れやすい商品の梱包には「割れ物注意」のステッカーを貼る
  • 梱包後の破損を防ぐために慎重に取り扱う
  • 配送中の悪天候で水濡れによる汚損が考えられる場合は、防水の梱包材を使用する

さらに、ネットショップにおける仕入れや在庫管理の段階でも、商品の破損や汚損が起きないよう厳重に管理しましょう。

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トラブル3. 商品写真と実物のイメージ(色など)が違った

色、サイズ感、質感などの商品の詳細を正確に伝えることは、ネットショップにとって簡単なことではありません。商品によっては、画面越しでは実物の色味が伝わりにくく、ネットショップとお客様の使うデバイスのスクリーンで色の見え方が違えば尚更です。

商品の寸法などの仕様は数字で示すことでトラブルを回避できますが、それ以外のディテールについては、写真や文言などに工夫を凝らすことでお客様に正確なイメージを伝える努力が必要です。

  • 実物とイメージが異なる場合があることを記載する
  • 対照物(モデルや家具など)と共に写った商品写真を用意し、「モデル身長:170センチ」などの参考情報を併記することで商品のサイズ感を伝える
  • 「実際は写真よりやや赤みのある紫です」「ゴワゴワした見た目ですが、実際は毛布のような柔らかな手触りです」など、ネットショップ側の人間の五感による情報を商品説明として付け加える
  • リニューアルした商品の場合は、旧タイプとの違いを説明する

トラブル4. 商品のサイズが合わなかった

衣類や靴など、身に着ける商品はサイズが特に重要です。日本製でも、表示されているサイズと実際に着用した際のサイズ感が異なることがあり、メーカーごとの違いや生産国のサイズ表示の違いに関する注意が必要です。

たとえば、成人男性の靴のサイズは、日本で26センチの場合、EUでは42、アメリカでは8、イギリスでは7と表記されることがあります。また、同じ23センチの靴であっても、海外では子どもサイズと大人サイズで表示方法が異なることもあります。国産品・輸入品を問わず、メーカーやブランドの個性により靴の幅や甲の高さが異なることもあるため、ネットショップ側が以下のようにサイズ選びの注意を促す工夫をすることで、返品にまつわるトラブルやクレームを予防しましょう。

  • 輸入品のサイズ対照表を用意し、選びやすくする工夫をする
  • 商品・メーカーによる特色を、個人の使用感として写真や文章で説明する
  • お客様からネットショップに、気軽にサイズ選びの相談ができるようにする
  • 使用後の返品・交換のルールをあらかじめ明記する

トラブル5. 商品が在庫切れしていた

オーダーの受け付けが完了してから、ネットショップにあるはずの在庫がなかったというトラブルでは、新たに商品が入荷するまでお客様を待たせてしまう可能性や、入荷困難によるオーダーのキャンセルなどの可能性が生じます。予期せぬ在庫切れのトラブルを防ぐために、在庫管理を徹底しましょう。

  • 在庫数がネットショップの商品ページに正確に反映されているかチェックする
  • 発送直前に破損や汚損、欠品が発覚して商品が出荷できないことがないよう、在庫の定期的な棚卸しをする
  • 回転の早い商品や人気上昇中の商品については、入荷サイクルを見直す
  • 仕入れ元・生産元の状況をこまめにチェックする

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トラブルを未然に防ぐための2大原則

ネットショップのトラブル回避は、入念な予防策にかなりのウエイトがかかっています。トラブル発生前に対応ができていれば、クレーム対応やお詫び、破損による代替商品の発送などに時間とコストを使うこともありません。

ただし、ネットショップ側が万全の予防策を採っているつもりでも、お客様側からは十分ではないと受け止められるケースがあります。致命的な齟齬(そご)を避けるため、トラブル予防策では以下の2大原則を守りましょう。

1. 商品説明で誤解がないようにする

ネットショップ側は「十分な商品説明をしているから大丈夫」と思っていても、お客様から見て有効な情報であるかどうか、客観的な判断が必要です。

たとえば、「小学生向けサイズ」という商品説明は、小学校1年生向けとも6年生向けとも取ることができてしまいます。このような誤解が生じやすい商品説明は、トラブル回避の予防策のつもりが、新たなトラブルを生む危険性をはらんでいます。言葉の定義を明確にし、曖昧な表現を使わないことで、購入を検討する人の立場に立った情報を提供しましょう。

また、商品の色やデザインを基に「男性向け、女性向け」「若者向け、年配者向け」といった限定的な商品説明を付与することには、現代ではお客様を不愉快にさせトラブルを招く可能性が伴います。旧来の価値観に捉われず、個々人の個性を尊重するネットショップの姿勢を示しましょう。

2. 購入の注意点を「読んでもらう」工夫をする

ネットショップが用意した商品説明や配送指定の注意点など、購入に関する注意書きを、お客様が必ず読んでくれるとは限らない、と覚えておきましょう。ネットショップ側は「書いたから大丈夫」と思っても、お客様側は「どこに書いてあるか見つからなかった」「書かれていなかった」と受け取るかもしれません。注意書きをしたことに満足してしまうと、トラブルの原因になりかねないということです。

特に読んでもらう必要がある箇所は太字や赤字にする、注意点を承諾するボタンを押さないと決済画面に進めないようにするなど、注意点を必ず読んでもらうための工夫を怠らないようにしましょう。目的はネットショップからの一方通行の情報提供ではなく、あくまでお客様が情報を理解することです。

トラブル発生時の対応手順

ネットショップが万全の予防策を採っていても、トラブルが発生する可能性はゼロではありません。違うサイズの商品を発送してしまった、配送業者が配送指定日を間違えたといった人為的なミスに起因するトラブルの他、悪天候や悪路による配送遅延や商品の破損といったトラブルも起こり得ます。

トラブルの責任が誰にある場合も、誠実なクレーム対応が問題収束の鍵を握っています。既に発生したトラブルに対してお客様からクレームの連絡を受けた場合、必ず以下の順序で対応しましょう。

  • 謝罪する
  • 状況を確認する
  • 問題を解決する

「謝罪」は、ネットショップとの取り引きの中でお客様が不便を被ったこと、不快な思いをしたことへのお詫びの気持ちの表明です。この時点ではまだ、誰のミスでトラブルが起きたかは解明・説明できないため、まずはお客様の気持ちを理解し、寄り添うことを優先しましょう。

次の「状況確認」は、お客様のクレームの内容を整理し、どの時点でトラブルが発生したか、あるいは発生した可能性があるかを客観的に確認するステップです。お客様の申し出に誤りがあったとしても頭ごなしに否定するより、トラブルに陥っているお客様の状況を思いやりつつ、その時点で明確な事実と何を調査すべきかにフォーカスしましょう。

最後の「問題解決」は、トラブルに対する具体的なソリューション提供のステップです。トラブル発生の原因を解明し、責任の所在を明らかにしたら、破損した商品を交換するのか、遅延した商品を返送してもらい返金するのか、対応を決定し、お客様に提案します。同時に、トラブルの再発防止策を考え、お客様に提示することで、今後の安心とネットショップへの信頼を保ちます。

この三つのステップは、いずれもお客様とネットショップとの今後の関係に大きく影響します。トラブルの原因をしっかり調査せずに返金だけすれば、お客様には不信感と不満が残りますが、誠実かつ真摯な対応をすればネットショップの評価が上がることもあります。

クレーム対応メールの文例

トラブル発生時のクレームに対し、迅速な返答ができるよう、ネットショップでメールのテンプレートを事前に用意しておくと安心です。以下、配送指定日に関するトラブル対応のメールのサンプルを参考に、想定されるトラブルについてテンプレートを作ってみましょう。

◯◯様

日頃からネットショップ◯◯◯をご利用くださり、誠にありがとうございます。

この度は、商品のお届けが遅延し、お受け取りに際し
ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申しあげます。
ご指摘の通り、◯◯様のご希望の配送日は◯月◯日と
ご注文の際に確かに承っておりました。
しかしながら、調査の結果、一時的な停電に伴い
当店の受注システムにトラブルが生じ、
誤った配送日が配送伝票に印字されていたことが判明いたしました。
私どもの日付の再確認への配慮が足らず
今回の遅延を招いてしまいましたことを、重ねてお詫び申し上げます。

トラブルの再発防止のため、◯◯様からのご指摘を真摯に受け止め、
システムの不具合にも迅速かつ的確に対応できるよう、
当店の業務フローの大幅な見直しを実施いたしました。
現在、受注システムも正常に機能していることを確認済みです。
安心してお買い物をお楽しみいただけるよう、
今後もご意見を生かしながらいっそうの業務改善に取り組んで参ります。

今後ともネットショップ◯◯◯へのご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

ネットショップ◯◯◯
(署名)

クレーム対応時の三つの注意点

トラブル発生時のクレーム対応はお客様との貴重な接点と考え、人と人のやりとりとして、お客様の気持ちに寄り添ってみましょう。お客様からネットショップに対してクレームの連絡を受けた場合、以下の3点に注意して対応します。

1. メールで対応する

トラブル発生を知らせるお客様からの連絡は、メールまたは電話で入ることが一般的ですが、第一報が電話であっても、以降の連絡はメールで対応することが望ましいと考えられます。メールであれば記録に残り、後から読み返すこともできるため、言った・言わないというさらなるトラブルを防ぐことが可能だからです。メールのやりとりが苦手なお客様に対しては、手紙の郵送も検討してみましょう。

2. 記録は一定期間保存する

メールは送受信した内容が残りますが、電話での会話も音声を録音しておくことで、後から冷静に聞き返すことが可能になります。トラブルの記録をネットショップで保存しておくことは、今後のトラブル再発防止のための情報としても役立ち、お客様からの不当な申し出に対して法的手段を講じる必要が生じた際にも有効です。

さらに、トラブルに関連する受注データなども含めて、クレーム対応の始まりから解決、お客様の反応までの一連の記録をまとめて残しておくことで、ネットショップ運営において改善すべき点を洗い出しやすくなります。

3. 感情的にならない

お客様から感情的なクレームが来たとしても、ネットショップ側は冷静に対応する必要があります。双方が感情的であればトラブルは拡大し、ネットショップの運営にマイナスの影響をもたらす可能性があるからです。トラブルへの対処は、謝罪、状況確認、問題解決の三つのステップを事実に基づいて行い、冷静に、しかし誠実にコミュニケーションを図ることが重要です。

以上のように、トラブル発生後のクレーム対応はネットショップの業務改善やイメージ向上につながる可能性があるなど、決してマイナスな点ばかりではありません。トラブルの予防策は、見方を変えればお客様に親切な情報を提供することであり、ネットショップのファンを増やす施策にもなり得ます。トラブルをめぐる対応をあらかじめ検討しておくことで、迅速かつ的確な対処を行い、ネットショップのリスクをチャンスに変えていきましょう。

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執筆は2021年5月12日時点の情報を参照しています。
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