多くの高級鮨店が軒を連ねる銀座で、半年先まで予約が埋まる店がある。職人・村山大作さんが2019年に開いた、「鮨むらやま」だ。そして2026年には同じビルの5階にあった鮨むらやまの離れを「鮨らい落」として改め、職人の相澤ひろさんに託した。また、同時期に2店舗の決済端末を他社からSquareに変更。2店舗それぞれの個性を育てる一方で、会計や売上確認などの運用は統一して整えていく必要があった。今回は鮨むらやまの村山さんと、鮨らい落の相澤さんに、店づくりへの想いとSquare導入の背景を伺った。
| 業種 | 飲食業 |
| 業態 | 鮨店 |
| 使用しているSquareのサービス | Square ターミナル、Square POSレジ |
目次
- 銀座で味わう、日本料理の技を生かした鮨とあたたかな時間
- 若手に握る機会を。「鮨らい落」に込めた継承のかたち
- 余韻と効率を両立するため、2店舗同時にSquare導入へ
- 2店舗の売上とお客さまの動きを、Square データで確認
- 受け継ぐもの、届けたい体験。店づくりの先にある、鮨むらやまの未来
- Squareで実現できたこと

銀座で味わう、日本料理の技を生かした鮨とあたたかな時間
村山さんは、元々日本料理の職人として経験を積んできた。鮨の道へ進むきっかけになったのは、仕事でアメリカに渡ったときの経験だった。海外のお客さまに食事の希望を尋ねると、かなりの確率で返ってきたのが「Sushi」という答えだったそうだ。和食のなかでも鮨は海外ですでに広く知られ、多くの人に求められている。そのことを実感した村山さんは、帰国後に一度鮨を学んでみたいと考えるようになった。
「最初は2年くらいお鮨を学びたいなと思っていたんですが、始めてみたらすごい楽しくなってしまって。日本料理のときは厨房で作ったものをお運び担当の方がお出しする流れが一般的だったので、カウンターでお客さんの反応をダイレクトに感じながら仕事をするということがすごく新鮮だったんです」(村山さん)

▲鮨むらやまの店主、村山大作さん
当初は2年ほど学んだら、再び日本料理の道へ戻るつもりだった。しかし、カウンター越しにお客さまの反応を見ながら仕事をする鮨店の現場に惹かれ、気付けば鮨店での勤務は7年に及んでいた。
そして2019年、銀座に「鮨むらやま」をオープン。日本料理で培った技術と、鮨店での経験を活かし、季節の食材を取り入れた「おまかせコース」を提供している。
▲素材の持ち味を丁寧に引き出す、村山さんのお鮨(写真提供:鮨むらやま)
鮨むらやまの特徴は、店づくりにも表れている。カウンターの背面に壁を設けず、炊飯や仕込み、焼き物、握りまで、オープンな空間でお客さまに見ていただけるつくりにした。
「僕の感覚だと、このカウンターの中って舞台のようなものなんです。作っている過程を見てもらうことでお客さまもワクワクするし、僕たちも一定の緊張感を持ってしっかり仕事に向かえます。お客さんと会話しながら、反応を見ながら料理を作れることがすごく楽しいですし、お客さんと繋がっていく感覚みたいなものを大切にしています」(村山さん)
作ったものをできるだけよい状態で提供すること。目の前のお客さまの反応を見ながら、会話を重ねること。日本料理の技術を生かした鮨を味わいながら、肩肘張らずに過ごせる時間をつくること。それが、鮨むらやまの店づくりの根底にある。

▲カウンターの奥まで見渡せる、鮨むらやまの板場
若手に握る機会を。「鮨らい落」に込めた継承のかたち
村山さんが店づくりのなかで大切にしていることのひとつが、若い職人の育成だ。鮨の世界では、若い職人がつけ場に立ち、お客さまの前で握る機会を得るまでに時間がかかることが少なくない。仕込みや下仕事を重ね、親方の仕事を見て学びながら、少しずつ経験を積んでいく。伝統的な職人の育ち方である一方、実際に握らなければ身につかない感覚もある。村山さんは、そこに課題を感じていた。
「鮨むらやまには、僕の握った鮨を楽しみにしたお客さんがいらっしゃいます。そうすると、若い子はお鮨屋さんにいるのに、お鮨を握る経験がなかなか積めないんですよ。なので、向上心があって仕事のできる若い子たちに、ここで成長してもらえる環境をつくってあげたいという想いがあります」(村山さん)
そんな想いから、弟子たちが握る機会としてランチタイムを設けているほか、同じビルの5階に離れをオープン。当時の一番弟子に店を任せた。
一方で、「離れ」としての難しさもあった。「鮨むらやま離れ 好雪別処」という当時の店名は、本店の「鮨むらやま」の名前を冠していたため、本店と比較される場面も少なくなかった。また、海外からのお客さまを中心に、本店と勘違いして予約し、来店するケースもあったという。
「僕のお店だと思って予約を取ったのに実際は違った、と言われてしまう。最初の入り口が、“間違い”になってしまう。それは僕たちにとっても本意ではなかったので、当時お店を任せていた子が退職するのをきっかけに、名前を変えました。“むらやま”という名前から切り離そうと思ったんです」(村山さん)
2026年1月、村山さんは5階の店を「鮨らい落」として改める。つけ場に立つのは、職人の相澤ひろさんだ。相澤さんは、村山さんが以前勤めていた店で共に働いていた後輩職人。その後別の鮨店でも経験を積み、職人歴11年目を迎えるタイミングで「鮨らい落」に加わった。
「鮨らい落」という名前は、相澤さんの人柄を表す言葉として村山さんが挙げた「豪放磊落(ごうほうらいらく)」に由来する。豪放磊落とは、心が広く、細かなことにとらわれないおおらかな人柄を表す言葉だ。自分の名前を屋号にすることには抵抗があったという相澤さんが、村山さんと相談しながら候補を絞り、最終的に「らい落」という名前に決めた。

「最初にお話を聞いたときは、率直にありがたいなと思いました。自分で決めた以上は、責任を持ってお店を運営していかなきゃなと身の引き締まる思いもありましたし、やらせていただくことへの感謝の思いもありました。いずれは自分の店を持ちたいので、そこに向けたいいステップアップになるのかなと思っています」(相澤さん)
鮨らい落では、コース構成や価格設定、仕入れなども相澤さんに任せている。鮨むらやまと同じ食材や構成をなぞるのではなく、相澤さん自身の考えで食材を選び、コースを組み立てる。たとえば、7階の鮨むらやまでは扱う機会が少ない鮨ネタをあえて取り入れることもあるという。
「上と下で違うお店としてやっているので、同じようなメニューになってしまうと分けている良さがなくなってしまうと思うんです。むらやまとは少し違うメニューを考えたり、村山さんが普段あまり使わない食材や鮨ネタを使ったりすることで、下の従業員にとっても勉強になるのではないかと考えています」(相澤さん)
鮨むらやまの系譜を受け継ぎながら、鮨らい落は相澤さんの個性を生かした店として歩み始めている。相澤さんの直近の目標は、任されている「鮨らい落」を繁盛店にすること。村山さんに見守られながら、職人としての経験をさらに重ねていく。

▲鮨らい落の店主、相澤ひろさん
余韻と効率を両立するため、2店舗同時にSquare導入へ
鮨むらやまと鮨らい落は、どちらも8席のカウンターのみの店だ。目の前で一貫ずつ鮨を握り、会話を交わしながらコースを進めていく。料理を食べ終えたあとの会計まで含めて、お客さまが店で過ごす時間は一つの体験になる。
一方で、限られた席数のなかで次のお客さまを迎えるには、会計を滞りなく進めることも大切だ。会計対応でiPadを使っている間は、次のお客さまの予約確認や来店対応に同じ端末を使えず、現場が慌ただしくなる場面もあった。また、手書きの伝票も併用していたため、日々の売上管理にも手間がかかっていた。
お客さまの余韻を壊さずに会計を進め、2店舗の売上も確認しやすくすること。そうした会計まわりの運用を見直すきっかけになったのが、Squareの営業担当からの提案だった。当初、村山さんは以前から使っていた端末に慣れていたこともあり、決済端末をすぐに切り替えることは考えていなかったという。
「うちに訪ねて来てくれたSquareの営業の方が、すごくいい感じだったんですよ。普段だったら話も聞かないで帰しちゃうんですけど、ちょっと話を聞いてみてもいいなって思うぐらい、面白い方でしたね」(村山さん)
営業担当の提案を受けるなかで、村山さんが特に興味を示したのがSquare POSレジだ。決済端末だけを入れ替えるのではなく、メニュー登録から会計、売上確認までをひとつの流れで管理できる点に可能性を感じた。
もうひとつ後押しとなったのが、決済手数料だった。1人あたりの単価が高い高級店では、決済手数料の差が積み重なると無視できない金額になる。営業担当は、手数料や端末の使い方だけでなく、鮨むらやまと鮨らい落の会計の流れを確認しながら、2店舗でどのように活用できるかを提案した。
2026年5月、鮨むらやまと鮨らい落は、2店舗同時にSquare ターミナルとSquare POSレジを導入した。会計にはSquare ターミナルを使い、メニュー登録や売上確認にはSquare POSレジを活用している。

カードも電子マネーも、決済はこれ1台で
Square ターミナルは、クレジットカードや電子マネーに対応したオールインワンの決済端末です。スタイリッシュなデザインに、レシートプリンター内蔵で持ち運びも可能。カフェや美容サロン、アパレル店など、決済に柔軟性とスピードを求める店舗にぴったりです。ビックカメラやヨドバシカメラなど、家電量販店でもお求めいただけます。また、初期費用をかけずに始めたい方には、お手持ちのスマホを使った「スマホでタッチ決済」もおすすめです。
2店舗の売上とお客さまの動きを、Square データで確認
会計担当スタッフにとって、Square ターミナルの操作感は安心材料の一つになっている。
「金額が大きいので、操作のやり直しなどが生じると、お客さまも不安に思われることがあります。以前使用していた決済端末はエラーが起きてしまったり、結果的に問題がなくてもその場で説明が必要になったりすることがありました。Square ターミナルにしてからは、今のところそういうことがないのでありがたいです」(会計担当の木村さん・金さん)
なかでも海外からのお客さまとのやり取りでは、言葉の面でも説明が難しくなることがある。会計担当スタッフは、決済まわりの不安や問い合わせが少なくなったことで、業務に集中しやすくなったと感じているようだ。

もうひとつ変わったのが、売上確認の流れだ。Square POSレジを導入したことで、日々の売上をSquare データで確認できるようになった。村山さんは、鮨むらやまと鮨らい落2店舗分の売上を、営業後や帰宅後にiPadから確認しているという。
「僕はそんなに経理や数字の管理が得意じゃないんですが、その日の売上はチェックするようにしています。あとは、いつどのお客さんが来てくださっているかという情報も見ています。うちのお店に来てくださっている方が、らい落の方に行ってくださるパターンも結構あるので。そういう面で、Squareを導入してよかったと思います」(村山さん)
Square データでその日の売上やお客さまの情報を確認することは、店の状況を振り返る手がかりにもなっている。誰が来店し、どの店にどのくらい足を運んでいるのか。来店の流れや好みを把握し、次に迎えるときの会話やもてなしにつなげている。

受け継ぐもの、届けたい体験。店づくりの先にある、鮨むらやまの未来
鮨むらやまには、村山さんの鮨を求めて通うお客さまが大勢いる。一方で、お客さまが楽しみにしているのは味だけではない。店に流れる空気や、カウンター越しの会話も含めて、鮨むらやまの魅力になっている。
「よく『村山のところは雰囲気がいい』って言われるんですよ。ピリピリした空気のなかでお客さんも緊張しながら食べて、振り返ると全然味も覚えてない、なんてことになったら、僕はそれはちょっと違うなと思うんです。銀座だからといって敷居を高くするのではなく、僕自身も自然体で営業することで、それを受け入れてくるお客さんが集まってくれているなと感じます」(村山さん)
今後、村山さんの仕事はさらに広がっていく。新たな出店や、ホテルでの鮨店のプロデュースなど、鮨むらやまの外でも村山さんの経験が求められる場面が増えてきた。ただ、村山さんがもっとも気にかけているのは、店を増やすことそのものではない。
「僕は正直、自分の夢はもう全部叶ったと思っていて。自分の店を持って、自分の料理で目の前のお客さまが喜んでくれること。そして、僕のところで一生懸命やってくれた子たちが独立して、自分の店を持つ夢を叶えられるようサポートすること。今それができているので、もう十分幸せなんです。それ以上に欲しいものはないですね」(村山さん)
鮨むらやまのカウンターに立つ村山さんのまわりには、お客さま、職人、関係者が自然と集まってくる。日本料理の技術を生かした鮨と、自然体であたたかな時間。その積み重ねが店の評価をつくり、次の出会いや新しい仕事へとつながっている。

「僕はそんなに経理や数字の管理が得意じゃないんですが、その日の売上はチェックするようにしています。あとは、いつどのお客さんが来てくださっているかという情報も見ています。うちのお店に来てくださっている方が、らい落の方に行ってくださるパターンも結構あるので。そういう面で、Squareを導入してよかったと思います」 ー 鮨むらやま 店主 村山 大作さん
Squareで実現できたこと
高額会計にも落ち着いて対応できる決済環境
1人あたりの単価が高い高級鮨店では、決済時のエラーや操作のやり直しが、お客さまの不安につながることがある。以前は、その場で説明が必要になったり、海外からのお客さまとのやり取りで言葉の面に難しさを感じたりする場面もあった。Square ターミナル導入後は、今のところそうした不安や問い合わせが発生しておらず、会計担当スタッフにとっても安心して会計対応に向き合える環境になっている。
2店舗の状況を見守る売上確認
村山さんは営業後や帰宅後に、その日の売上を確認している。Square POSレジを導入したことで、iPadからSquare データを確認しやすくなり、鮨むらやまと鮨らい落、2店舗の状況をさっと振り返れるようになった。相澤さんに任せた鮨らい落の歩みを見守るうえでも、日々の状況を無理なく確認できることが役立っている。
お客さまの来店情報をもてなしの参考に
Square データでは、いつ、どのお客さまが来店したかという情報も確認できる。鮨むらやまに通うお客さまが鮨らい落にも足を運ぶことがあるため、2店舗をまたいだ来店の流れを把握しやすくなった。売上だけでなく、お客さまとの関係を深める手がかりとしても役立っている。
記事に掲載されている店舗情報 (商品内容、価格、営業時間など) は2026年6月時点のものです。

