ビジネスを展開する上で、商品やサービスのファンであるリピーター客の存在は欠かせません。以前、コストをかけずにリピーター客を獲得するヒントを紹介しましたが、今回はリピーター客との距離を近づけるツールを取り上げます。
プライベートのやりとりにコミュニケーションアプリのLINE(ライン)を使っている人も多いのではないでしょうか。個人間のやりとりに利用するLINEとは別に、情報発信や集客に活用できるビジネス版LINEがLINE公式アカウントです。日本国内では月間9,200万人(※2022年6月末時点)以上がLINEを利用していることから、LINE公式アカウントを使うことでLINEを利用しているお客さまとの距離をぐっと縮めることが期待できます。この記事では、企業、ブランド、商品やサービスの魅力をお客さまに発信できるさまざまな機能が備わってるLINE公式アカウントについて紹介します。
参考:LINE公式アカウントの作り方|開設の設定と運用方法(LINE)
目次
- LINE公式アカウントとは
- LINE公式アカウントの開設方法
・ウェブサイトから申し込む
・複数あるプランから自社にあったものを選ぶ - LINE公式アカウントの主な機能
・メッセージ配信
・絞り込み配信
・LINEチャット
・LINE VOOM
・ショップカード
・クーポン
・リッチメッセージ
・リッチビデオメッセージ
・リッチメニュー
・A/Bテストメッセージ
・LINEで予約
・AI応答メッセージ
・リサーチ
・アカウント満足度調査
・LINEコール - LINE公式アカウント導入のメリット
・アプリ内でコミュニケーションが完結する
・無料で利用できる
・メッセージを開封する可能性が高い
・リピーター獲得が期待できる
・お客さまの登録が簡単になる
・顧客満足度の向上につながる - LINE公式アカウント有料版と無料版の機能比較
- LINE公式アカウントを運用する上での注意点
・1.友だち登録をしてもらわないとコミュニケーションが取れない
・2.ブロックに注意する
・3.メッセージ送信数によって料金が変わる - LINE公式アカウントの活用した商品販売にはSquareを
LINE公式アカウントとは
LINE公式アカウントとは、LINE内で企業や店舗の公式アカウントを開設できるサービスです。業種や規模を問わず、月間1,000通までのメッセージであれば無料で利用できます。たとえば、店頭やホームページなどにQRコードを掲載し、LINEアプリを使用しているお客さまがQRコードを読み込んで友だち登録を行うと、トーク画面でそのお客さまにメッセージを送信できるようになります。詳しくは後述しますが、メッセージのほかにもクーポンを配布したり、ショップカードを作成したりとさまざまな機能を利用することができます。
LINE公式アカウントの開設方法
LINE公式アカウントを開設するには、どのようにすればいいのでしょうか。その手順を解説します。
ウェブサイトから申し込む
LINE公式アカウントを開設するには、LINE公式アカウントのウェブサイトから「LINE公式アカウントの開設(無料)」ボタンをクリックして、アカウントを作成します。すでに使用している個人のLINEアカウントと連携させる、もしくはメールアドレスと必要情報を登録することで、LINE公式アカウントを作成できます。続いて、管理画面にログインし、基本情報を登録します。
複数あるプランから自社にあったものを選ぶ
LINE公式アカウントには、誰もが取得できる「未認証アカウント」とLINEの審査を通過した場合に取得できる「認証済アカウント」と「プレミアムアカウント」があります。認証済アカウントは青色、プレミアムアカウントには緑色の認証バッジが与えられ、LINEアプリ内での検索結果に表示されたり、広告が出稿できたりなどの利点があります。未認証、認証済み、プレミアムのアカウント種別による料金の差はなく、フリープラン(無料)、ライトプラン(5,500円)、スタンダードプラン(15,000円)のいずれかを選択できるようになっています。
LINEの審査を通過した認証済アカウント、プレミアムアカウントが利用できる主な機能やサービスは、以下になります。
- LINEアプリ内のアカウント検索結果に表示される
- 販促用ポスターデータが無料でダウンロードできる
- POPなど、友だち集めに有効なツールが発注できる
- 「友だち追加広告」が利用できる
参考:認証済アカウントの申し込み方法|特徴や機能、未認証アカウントとの違い(LINE)
LINE公式アカウントの主な機能
LINE公式アカウントを開設することで、どのようなことができるのか、その主な機能を紹介します。
メッセージ配信
友だち登録をしてくれたお客さまにメッセージを配信することができます。文章だけでなく、画像、音声、動画やスタンプも送ることが可能です。また、次項で詳述する絞り込み配信など、配信先を絞ることができるので、お客さまの年齢、性別、地域に合わせたアカウント運営やメッセージ配信を行うことができます。
絞り込み配信
メッセージ配信において、配信先を「属性で絞り込み」に選択することで、メッセージを配信するお客さまの属性を設定できます。たとえば、複数の都市で多店舗展開を行っている飲食店であれば、ウェブサイトの都内にある店舗情報にアクセスしたことがあるお客さまという属性を指定し、「都内店舗限定ワインキャンペーン」などのメッセージを配信することができます。東京の店舗のキャンペーンを他の地域の店舗に興味があるお客さまに送ってもその効果はほとんど見込めませんが、配信先を適切に絞り込むことで、宣伝効果を高めることができます。
LINEチャット
友だち登録をしてくれたお客さまと1対1でコミュニケーションが取れる機能です。トーク履歴が画面に残るので、忙しくてすぐに返信ができない場合も、後からメッセージ内容を確認して、返信することができます。
LINE VOOM
「タイムライン」としてきた機能が2021年にリニューアルされ、動画を中心としたプラットフォーム「LINE VOOM」になりました。投稿を見たお客さまが気軽に「いいね」などのアクションやコメントができる機能がついていて、店舗や企業もそのコメントに返信ができます。LINE公式アカウントが「フォロー」されていれば、お客さまのLINE VOOMに投稿が表示されます。
メッセージ配信は月に1,000通まで無料と制限がありますが、LINE VOOMの投稿数制限はありません。また、投稿はシェアできるので、LINE公式アカウントの友だち以外にも情報の拡散が期待できます。ただし、ここで注意しなければいけないのは、LINE VOOMの場合はLINE公式アカウントの友だち登録だけでなく、「フォロー」をしてもらう必要があることです。
LINE公式アカウント友だち登録:LINE公式アカウントからのメッセージ配信が受け取れるが、LINE VOOMへの投稿が、「フォロー中」のタブに表示されない
LINE VOOM フォロー:LINE VOOMの投稿を受け取れるが、LINE公式アカウントのメッセージ配信は受け取れない
という違いがあります。
ショップカード
来店時や商品購入の特典として付与するポイントカードを発行・管理することができます。紙ののポイントカードやアプリなどは制作にコストがかかりますが、LINE公式アカウントのショップカード機能なら無料です。さまざまなキャンペーンと連動させての販促が可能になります。
クーポン
LINE公式アカウントを友だち登録してくれたお客さまに、店舗や企業で利用できるクーポンを送付することができます。割引やプレゼントなどのキャンペーンに利用することで、再利用の機会を増やすことができるかもしれません。
リッチメッセージ
画像やテキスト情報を一つのビジュアルにまとめ、わかりやすく訴求する機能です。通常のメッセージ配信で送った画像は、タップをすると画像が拡大されるだけですが、リッチメッセージでは画像にリンクを埋め込んだり、LINE公式アカウントのクーポンに誘導できたりするので、より訴求効果が高いといえます。
リッチビデオメッセージ
お客さまがタップしなくても、自動再生される動画を配信できる機能です。動画は、縦型、横型、正方形などさまざまな形に対応していて、縦型動画の場合はトーク画面いっぱいに動画を再生することができます。また、動画再生終了後にアクションラベルを表示させ、設定した外部サイトに誘導することもできます。
リッチメニュー
トーク画面下部に固定で表示されるメニュー機能で、画像を設定することができます。この画像をお客さまがタップすると、クーポンやショップカードなどのLINE公式アカウントの機能に誘導することができます。また、店舗や企業の自社サイトやネットショップ、予約サイトなど外部へのリンクも設定することができます。
参考:リッチメッセージの活用法|特長やクリエイティブ、運用のコツを解説(LINE)
A/Bテストメッセージ
A/Bテストメッセージとは、メッセージ配信のテストを行うことができる機能です。2通り以上のメッセージを指定した割合でテスト対象のお客さまに振り分けて、効果が高かったメッセージを残りのお客さまに配信することができます。無料のLINE公式アカウントでも利用が可能ですが、友だち登録をしてくれているお客さまが5,000人以上いることが条件になります。
LINEで予約
LINEの店舗情報ページやLINE公式アカウントのプロフィール、トークルームなどから予約ができる機能です。アプリを切り替えることがなく予約が完了するので、お客さまにとっては利便性の高い手段といえるでしょう。
AI応答メッセージ
お客さまからのメッセージに対して、AIが適切な応答メッセージで返信する機能です。よくある問い合わせに対して、回答メッセージを設定することができます。営業時間外や定休日などでも、24時間365日対応が可能です。AIが反応できない複雑な質問については、後日手動で返信を行う必要があります。
リサーチ
投票形式やアンケート形式で、お客さまの好みや意見を集めることができる機能です。リサーチページと呼ばれるコンテンツでは、性別・年齢・居住地など、あらかじめ設定されている任意の項目を質問できる「質問設定」と、質問が自由に設定可能な「自由形式」があります。作成したリサーチページは、メッセージで配信することができ、店舗や企業のサービスに役立つデータを収集することが可能です。
参考:LINE公式アカウントの新機能「リサーチ」をリリース!インタラクティブなコンテンツが配信可能に!(LINE)
アカウント満足度調査
アカウントに対するお客さまの満足度を無料で調査することができます。アンケート形式のメッセージをお客さまに送り、店舗や企業で運営しているアカウントに対するフィードバックを受け取ることができます。
LINEコール
無料で音声・ビデオ通話を行うことができる機能です。店舗や企業は、通話用のURLやQRコードを発行することができるほか、指定した電話番号への転送も無料で行うことができます。通話の記録も残るので、通話後にLINEチャットでメッセージを送ることもできます。
LINE公式アカウント導入のメリット
LINE公式アカウントは、他の方法と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。LINE公式アカウントをおすすめする理由を挙げてみました。
アプリ内でコミュニケーションが完結する
一昔前までは、店舗が行う販促としては、ハガキなどを利用したダイレクトメールなどが一般的でした。インターネットが普及した現在では、メールマガジンや専用アプリなど、さまざまな方法でお客さまにアクセスできます。その中でも、LINE公式アカウントはアプリ内でメッセージ配信から、クーポンの配布や通話まであらゆるコミュニケーションが成立します。
無料で利用できる
LINE公式アカウントのメリットは、無料でも1,000通までのメッセージ配信やLINE VOOM投稿などさまざまな機能を利用することができます。そのため、集客に予算を回すことが難しい中小企業でも導入可能です。有料プランを選択すれば、より多くの機能を利用できます。まずは、無料のフリープランから始めてみてはいかがでしょうか。
フリープランと有料プランの詳しい内容は、下記の「LINE公式アカウント有料版と無料版の機能比較」の項目を確認してください。
メッセージを開封する可能性が高い
お客さまがプッシュ通知機能をオンにしている場合、メッセージを受信するとスマートフォンの画面にポップアップが表示されます。そのため、チラシやメルマガなどと比べて、お客さまが内容をきちんと確認する可能性が高いといえるでしょう。注意点としては、頻繁にメッセージを送信するとお客さまがうっとうしいと感じ、プッシュ通知機能をオフにすることが考えられます。メッセージ配信は大切なお知らせに限定する方がいいでしょう。
リピーター獲得が期待できる
LINE公式アカウントで友だち登録を行ってくれたお客さまは、すでに店頭やホームページを通して店舗や企業のサービスについて認知しています。そのため、LINEを活用した積極的なコミュニケーションを行うことで、再来店や再利用を促すことができます。リピーターを獲得するのに適したツールといえるでしょう。
お客さまの登録が簡単になる
お客さまはQRコードにスマートフォンをかざしたり、LINE IDを入力するだけで簡単に企業やお店のLINE公式アカウントに友だち登録することができます。氏名やメールアドレスの登録が必要なメールマガジンなどに比べて、お客さまにとっては登録に手間がかからず、企業にとってもより多くのお客さまの登録を目指すことが可能です。店内のポスター、レシートやショップカードにQRコードを印字し、お客さまに友だち登録してもらいましょう。
顧客満足度の向上につながる
LINEチャットやLINE電話など、お客さまと双方向のコミュニケーションが取れることで、顧客満足度につながることが期待できます。また、クーポンの送付やキャンペーンの通知など、友だち登録をしてくれたお客さまへ特典を設けることも、顧客満足度の向上につながります。
LINE公式アカウント有料版と無料版の機能比較
LINE公式アカウントは、無料版でもさまざまな機能が利用できます。有料版との違いは、月に送信できるメッセージ通数です。メッセージの数は、送付人数×メッセージ通数でカウントされるので、500人のお客さまにメッセージを送信したい場合は、月に2回までがフリープランで利用可能な1,000通の範囲となります。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
月額固定費(税別) | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ通数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金(税別) | 不可 | 5円 | 1.1円から3円(利用通数で1通あたりの単価が変動) |
参考:料金プラン(LINE)
LINE公式アカウントを運用する上での注意点
LINE公式アカウントを運用する上で、注意しておきたい三つのポイントを紹介します。
1.友だち登録をしてもらわないとコミュニケーションが取れない
LINE公式アカウントでメッセージ配信やクーポンの送付ができるのは、友だち登録をしてくれたお客さまに限られます。店頭やホームページなどで積極的に告知して、友だちを増やす必要があります。友だち登録をしてくれたお客さまには、飲食店であればドリンクのサービスなどの特典を設けるとよいかもしれません。
2.ブロックに注意する
配信したメッセージがお客さまにとって必要ないものだと判断されると、ブロックされてしまう可能性もあります。ブロックされると、お客さまにはメッセージが配信されなくなるので、「頻繁にメッセージを配信しない」「夜遅くには配信しない」などの工夫をする必要があります。
3.メッセージ送信数によって料金が変わる
フリープランでは、月のメッセージ送信数が1,000通と決まっており、追加メッセージの送信はできません。しかし、上記の表にもあるように、有料プランでは追加メッセージを送信することができ、1通あたりの金額も決まっています。友だち登録が多いアカウントは、メッセージの送信通数で費用が変わってくるので、注意が必要です。
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LINE公式アカウントの活用した商品販売にはSquareを
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執筆は2017年9月21日時点の情報を参照しています。2024年7月5日に記事の一部情報を更新しました。 当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash