コミュニケーションアプリ「LINE」を経由した通販のプラットフォーム、LINEショッピング。LINEに通販を組み合わせることで、ネットショップとユーザーの双方に高い利便性が提供される一方、利用登録にはいくつかの条件もあります。ネットショップを運営する事業者なら知っておきたい、LINEショッピングのメリットとデメリット、登録方法などを解説します。
目次
LINEショッピングとは?
スマートフォンなどで利用できるアプリ「LINE」は、コミュニケーションツールとしての機能がよく知られていますが、他にも複数の機能を持ち、その一つが「LINEショッピング」です。LINEショッピングはオンライン通販のためのプラットフォームで、買い物をするユーザー側の利用方法には以下のような特徴があります。
- 新たなアプリのダウンロードは不要
- 同一商品の価格をLINEショッピング上の複数店で比較できる
- 画像から類似商品を検索できる
- LINEショッピング経由で購入するとLINEポイントが貯まる(条件あり)
- 各店のLINE公式アカウントからセール情報などを受け取ることもできる
LINEショッピングは2021年6月時点で、会員登録数が4,000万人超。参加するECサイトは350店以上で有名店も多く、掲載商品数は約4億点にのぼります。また、ユーザーの男女比は3:7で女性が多く、年齢別では20代後半から40代前半が全体の約80%を占めているため、ターゲット層の一致するECサイトにとって魅力的です。
参考:
LINEショッピング 4周年記念企画(LINE株式会社)
LINEショッピング 配信面の特徴(LINE株式会社)
LINEショッピングの仕組み
LINEショッピングは、登録サイトの商品が一堂に会した総合ショッピングモールのようなプラットフォームで、スマートフォンだけでなくパソコンやタブレットからもアクセス可能です。
ただし、LINEショッピング上には決済機能がなく、購入の際はユーザーが各ネットショップへ移動して決済を行う点が、一般的なモール型ネットショップとは異なります。つまり、LINEショッピングは便利な通販カタログのような役割を果たすサービスといえ、身近で便利なアプリからネットショップへの送客効果が期待できます。
登録の条件
LINEショッピングの利用には月額55,000円(税込)と、売上額に一定率を掛けた金額が手数料として発生します(2021年9月時点)。以下の条件にマッチする事業者が登録可能です。
- 自社のECサイトを持っている
- LINEショッピングのカテゴリーに該当する商品を取り扱っている
- 登録のための審査に通過した
LINEショッピングの商品カテゴリーは、アパレル、健康アイテム、医薬品、介護用品、食品、酒、雑貨、家電製品、植物、書籍、CDなど、幅広く設定されています。
登録から利用開始までの手順
LINEショッピングの登録と利用開始までのステップは、以下の通りです。
- 「パートナーシップを提案」のページを開く
- 同ページで、LINEのパートナーになる希望を申請。「対象国・地域」は日本、「パートナーシップカテゴリー」はLINEショッピングを選択。その他、自社ECサイトのURLや事業内容の詳細を記入し、自社に関する資料を添付
- 審査通過の連絡が来たら、LINEショッピングへの情報掲載のための技術協力パートナーを紹介される
- 掲載用データを作成し、LINE側での連動が確認されたら公開
なお、事業者がパートナーになるための審査基準は非公開とされています。
参考: LINEショッピング ヘルプセンター(LINE株式会社)
事業者にとってのLINEショッピングのメリット
ここで、LINEショッピングを利用するとどんなメリットがあるかを考えてみましょう。
顧客との接点が増える
LINEのアプリ自体の月間アクティブユーザー数は約8,600万人で、これは日本の総人口の約68%に相当します。そのため、LINEショッピングに登録すれば、大きな存在感を持つアプリを通して自社のECサイトの商品を身近に感じてもらうことができます。ECサイトそのものや自社のSNSアカウントと並んで商品やブランドを露出するチャネルが増えることで、ECサイトのメジャー感の演出にも役立つかもしれません。
参考: LINE Business Guide(LINE株式会社)
ポイントが購買を後押し
ユーザーがLINEショッピングを通じて商品を購入すると、買い物などに使えるLINEポイントが付与されます。ポイント還元のシステムが購買意欲を後押しすることで、ECサイトのビジネスチャンスが増えるといえます。
LINE公式アカウントと連動したマーケティングが可能
個人のLINEアカウントとは別の「LINE公式アカウント」は、企業や店舗などのためのアカウントで、販売促進やカスタマーサービスに活用できます。
ユーザーがLINE公式アカウントを「友だち追加」してつながっていれば、クーポンの発行やセール情報の配信の他、タイムライン機能でLINEショッピング上の商品を紹介するといったマーケティング活動も可能です。LINEを介したメッセージはメールマガジンより開封率が高いといわれており、伝えたい情報が確実にユーザーに届き、ECサイトにアクセスしてもらいやすい環境を作ることができます。メッセージを送信すると毎回ユーザーに通知されるため、適切な頻度のコミュニケーションを検討しましょう。
事業者にとってのLINEショッピングのデメリット
ECサイト側にとって多くのメリットがある一方、デメリットもゼロではありません。LINEショッピングを利用する際の注意点を事前に検討しておきましょう。
同一商品は価格で比較されやすい
LINEショッピングの商品ページでは、同一商品を扱う他のECサイトの情報も表示され、ユーザーは販売価格や獲得できるポイントなどを簡単に比較することができます。オリジナルのブランドや商品であれば比較される心配はありませんが、競合の存在する商品を扱うビジネスでは価格競争が起きてしまう可能性があります。
利用コストがかかる
上述のように、事業者はLINEショッピングの利用料を毎月支払う必要があります。ECサイトの売上規模によっては、安くないコスト負担となるかもしれません。
対象国でしか使えない
現在、LINEショッピングは世界中の全ての国のユーザーが使える機能ではありません。海外ユーザーを主なターゲットとするECサイトの場合は、サービス提供の対象国を確認してから利用登録を検討すると良いでしょう。
以上のように、LINEショッピングを活用したECサイトの運営にはメリットとデメリットの両方が存在します。ECサイトの規模やターゲット、取扱商品とチャネルの相性などを検討した上で、LINEショッピングの活用について考えてみてはいかがでしょうか。
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執筆は2021年9月29日時点の情報を参照しています。
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