日本ではビジネスを展開する上で、名刺を自社の顔であり自分の分身であるという考え方があります。これから起業をしようとしている方も、起業準備の段階で宣伝道具として名刺を作成することをおすすめします。今回は名刺作成のヒントを紹介します。
名刺の歴史
名刺の始まりは、一説には今から2,000年以上前に中国の皇帝だった劉邦(りゅうほう)からだったという説があります。劉邦が妻を娶る際にその父親に政治献金をしますから嫁に下さいと言うメッセージを木や竹に彫り、戸口に刺して面会の取り次ぎを頼んだのが始まりとされています。名刺の「刺」のいわれはそこにあるという説です。
日本に名刺が登場したのは19世紀初めと言われているようです。最初は手書きで名前を書いた和紙を訪問先で相手が不在の際に置いてくるものでした。19世紀半ばの開国後は日本を訪れた外国人と会う際に名刺の交換をしたという記録も残っています。明治以降、名刺は盛んに使われるようになり社交界の必需品となっていったそうです。
名刺の役割
現代において、名刺はどのような役割を担っているのでしょうか。初対面の挨拶のため、今後のビジネスを円滑にするためなど、状況によってさまざまな役割があります。名刺を渡す機会は、多くの場合初めて会った時です。共通する役割は、相手に自分を知ってもらうことではないでしょうか。
記載項目
名刺という限られたスペースに記載する内容としてどのような情報が必要でしょうか。大切なのは、あなたが相手に何を伝えたいかではなく、相手が必要な情報は何かという相手目線で考えることです。今回は、名刺交換後のやりとりがスムーズに進むような名刺に必要な記載項目の代表例を挙げてみました。
名刺表面
・会社名
個人事業主の場合には屋号、法人の場合には社名を記載しましょう。
・会社ロゴ
フリーランスの方や起業準備段階でこれからロゴを作ろうとしている方は、ロゴを発注する時のポイントについての記事もぜひ参考にしてみてください。
・肩書き
・個人名(ローマ字表記も併記)
・会社住所
フリーランスで自宅を仕事場にしていて住所を記載したくない場合は、コワーキングスペースの住所を使うことも方法の一つです。
・電話番号
固定電話番号がある場合は、記載しましょう。携帯電話番号のみの記載よりも信頼度が上がる可能性があります。
・Eメールアドレス
フリーランスの場合、プライベートで使用しているメールアドレスが不可というわけではありませんが、ビジネス用のメールアド レスを取得することが好ましいでしょう。社会的信用という面で、相手が受ける印象が変わる可能性があります。
・ホームページURL
フリーランスで働いている方は、自分のソーシャルメディアのアカウント情報を記載しても良いでしょう。しかしながら、プライベートな情報が混在している場合は記載しないほうが無難です。
名刺裏面
両面印刷にする場合には、名刺の裏面も有効に活用しましょう。両面印刷にすると、その分伝えられる情報量も多くなります。裏面には、展開している事業内容や個人の自己PRや経歴などを記載し、相手が後で名刺を見返したときにも思い出せるようにしましょう。組織に所属しているか、フリーランスで働いているかによってアピールポイントも変わってきます。相手の印象に残るかがこの部分で決まると言って良いでしょう。名刺を渡したときに話題のきっかけとなり、会話が広がるかもしれません。
両面印刷にする場合は、厚手の用紙を使うなどして片面の文字が透けないように工夫しましょう。
デザイン
名刺のデザインに関しては、既存のデザインの中から選択する方法や直接デザイナーに依頼する方法などがあります。
デザインに共通することは、
・余白をとる
紙面いっぱいに情報を詰め込むことは避けましょう。
・全項目で同じフォントサイズを使用しない
優先項目のフォントサイズを大きくしましょう。
例) 会社ロゴ、会社名、個人名 > 役職名 > 会社住所、電話番号、Eメールアドレス、ホームページ
・使用するフォントの種類を統一する
ゴシック体、明朝体など使用するフォントの種類を統一しましょう。
・ロゴ以外で使用する色の種類は最低限に抑える
上記は基本的な考え方ですが、クリエイターの方などは四角ではない他の形にするなど名刺の形にこだわったり、あえて複数の色を使うことで相手の印象に残るようにするかもしれません。そのような場合でも、名刺入れや名刺管理フォルダーに入る大きさで作成するなど受け取る相手目線で考えることが必要です。
フリーランスの場合、名刺は一種類だけでなく肩書きやデザイン、自己PRを変更して複数の種類を持っておくことも検討してはどうでしょうか。仕事の発注が期待できる相手には氏名や個人の連絡先などの情報を記載した名刺を、集客向けには社名と代表の連絡先だけを記載した名刺を用意するなど、場合によって名刺を使い分けることも良いかもしれません。
発注
名刺作成は、印刷会社や専門の会社に依頼することをおすすめします。費用を抑えるために、自社で作成することも可能ですが、印刷会社や専門の会社に依頼した場合、紙質や出来栄えなどに差が出ます。名刺にこだわることは、プロフェッショナルであると相手に印象づけることもできます。
法人の場合、名刺作成を発注する際には社員のリストの用意が必要です。Square POSレジをお使いの場合、スタッフ管理機能があるので、かんたんに社員のリストを用意することが可能です。
日本では、名刺はビジネスを展開する上で大切なコミュニケーションツールです。上手に活用して、ビジネスの拡大に役立てましょう。
執筆は2017年10月3日時点の情報を参照しています。
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