中小事業主必見!POSレジをお得に導入できる支援制度

中小規模の事業主の中には、ビジネスの効率化やコスト削減のためにPOSレジを導入したいと考えている人もいるのではないでしょうか。POSレジを導入するというと、以前はかなりの費用がかかり、導入を迷う人も少なくありませんでした。キャッシュレス決済が普及する中で、決済システムだけでなくPOSレジを含むシステムが手軽に導入できるようになりつつあります。ただ、それでもPOSレジの導入には、タブレット端末、ソフトウェア、周辺機器などが必要で、初期費用としてある程度まとまったお金が必要です。本記事では、POSレジの導入に使える金銭的な支援制度とその申請手続き、申請する際の注意点について説明します。

目次



POSレジ導入に使える支援制度

POSレジを導入したい中小規模の事業主が利用できる代表的な支援制度として、以下の四つの支援制度があります。ただし、軽減税率対策補助金は申請の受付が終了しています。

  • 軽減税率対策補助金(2021年6月現在、申請受付終了)
  • IT導入補助金
  • 業務改善助成金
  • 小規模事業者持続化補助金

ここではそれぞれの制度の概要を紹介し、次項以降では現在申請可能なIT導入補助金、業務改善助成金、小規模事業者持続化補助金の申請手続きについて説明します。

軽減税率対策補助金

2019年10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられ、合わせて軽減税率制度が実施され、「酒類・外食を除く飲食料品」「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」に8%の軽減税率が適用されるようになりました。

軽減税率対策補助金は、軽減税率制度の実施にともない、新しいシステムの導入やシステムの改修が必要となる中小企業や小規模事業者を支援することを目的とした補助金制度です。

消費税率の変更と軽減税率の導入に合わせ、軽減税率対策補助金を利用してPOSレジや関連システムを導入した事業者も少なくありませんでした。残念ながら、2019年12月に申請の受付は終了しており、これからのPOSレジの導入に軽減税率対策補助金は使えません。

IT導入補助金

IT導入補助金は中小企業や自営業者がITツールを導入するときに申請できる補助金です。

支援内容はITツールの導入や感染リスクを低減させるような非対面化の費用を補助するもので、最大450万円までの補助を受けられます。IT導入補助金には、通常枠(A・B類型)と、特別枠と呼ばれる低感染リスク型ビジネス枠(C・D類型)があります。C・D類型は業務の非対面化を助けるツールの導入が前提となっており、POSレジの導入で補助を受けるには、A・B類型で申請することが多いでしょう。

A・B類型のITツールの対象範囲としては、「調達・供給・在庫・物流」「総務・人事・給与・労務」「顧客対応・販売支援」「決済・債権債務・資金回収管理」などが挙がっています。POSレジは会計だけでなく、在庫管理かつ販売支援にもつながるため、導入は補助金の対象範囲となります。

通常枠のA類型とB類型では、補助の上限額と下限額が違います。A類型では支出に応じて最大半額までの30万円から150万円未満、B類型では150万円から450万円以下が補助されます。たとえば、POSレジの導入に100万円の費用が見込まれる企業がA類型で申請し、申請が通ると最大50万円の補助を受けられます。

A・B類型では、ソフトウェアの費用や、システムの導入にかかる費用が対象です。ハードウェアのレンタル費等はC・D類型では対象ですが、A・B類型では対象外です。

「ITツールやシステムは難しくて……」という人も心配はいりません。IT導入補助金の申請にあたっては、IT導入支援事業者(ITベンダーやサービス事業者)と協力して申請を行います。ITツールの情報提供を受けられるほか、導入だけでなくサポートやアフターフォローを依頼することもできるでしょう。

業務改善助成金

業務改善助成金は中小企業や小規模事業主の生産性向上と事業所内の最低賃金の引き上げを目指す助成金制度です。

賃金の引き上げ額に応じて「20円コース」(20円以上の賃金引き上げ)、「30円コース」「60円コース」「90円コース」の四つの区分があり、賃金を引き上げる労働者の数によって助成上限額が変わります。助成率は満たしている要件によって変わりますが、いずれの場合でも助成率は四分の三以上と他の支援制度と比べて高く設定されています。

業務改善助成金のホームページでは、事例として「POSレジシステム導入による在庫管理の短縮」が挙がっています。助成金の趣旨である生産性向上のためのPOSレジ導入であることに重点をおくとよいでしょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金の一般型は、小規模の営利法人や個人事業主、一定の要件を満たす特定非営利活動法人を対象とした補助金で、販路開拓や業務効率化などによる生産性の向上を支援する制度です。補助範囲は機械装置等費、広報費、旅費など幅広く網羅しています。

小規模事業者持続化補助金の対象となる小規模事業者の定義は業種によって異なります。また、補助対象者とならない人として、医師、歯科医師、助産師が挙げられています。創業予定者も対象外で、開業届上の開業日が過ぎてからでないと小規模事業者持続化補助金の申請はできません。

POSレジの導入は、機械装置等費にあたり、売上管理業務を効率化するものとして、補助対象となりうる取り組み事例とされています。補助の上限額は50万円で、対象となる費用の3分の2以内です。

ただし、条件によっては、補助上限額が上がることがあるので、詳しくは小規模事業者持続化補助金公募要領を参考にしてください。

ここまででPOSレジの導入に利用できる代表的な支援制度の概要がわかりました。続いてそれぞれの支援制度にどのように申請したらよいのか、具体的な申請手続きを見てみましょう。

IT導入補助金の申請手続き

IT導入補助金のホームページには、補助金の申請手続きについて説明したページがあります。

参考:申請・手続きフロー(IT導入補助金2021)

申請の最初のステップとして、交付規程と公募要領をしっかり読み込みましょう。次に、IT導入補助金制度で「IT導入支援事業者」に登録されているITベンダーやITサービス事業者にPOSレジの導入について相談します。

申請の準備と並行して、認証システムgBizIDプライムのアカウントを取得しましょう。合わせて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のSECURITY ACTIONを宣言します。gBizIDのホームページでは、gBizIDプライムのアカウントは発行されるまでに3週間以上かかると説明しており、余裕を持って手続きをすることをおすすめします。

IT支援事業者と協力して、必要な情報を用意し、申請を行います。申請が受理されたら、POSレジの発注や契約、支払いを行います。POSレジ導入後、導入を証明する書類を提出し、補助金が交付されます。

最後に、IT導入支援事業者と事業実施効果報告を提出することも忘れないでください。

業務改善助成金の申請手続き

業務改善助成金について説明した厚生労働省のホームページの中ほどに、申請手続きの説明があります。

申請者は、業務改善計画と賃金引上計画を盛り込んだ申請書を都道府県労働局に提出し、労働局による審査を経て助成金の交付が決定します。

申請書に記載した業務改善計画と賃金引上計画を実施し、業務改善の実施結果と賃金引き上げの状況について労働局に報告書を提出します。労働局で審査が行われ、助成金額が決まります。申請者は確定した助成金額で支払い請求書を提出し、助成金が支払われます。

小規模事業者持続化補助金の申請手続き

小規模事業者持続化補助金について説明したホームページに、申請手続きの説明があります。

申請者は経営計画書と補助事業計画書を作成します。小規模事業者持続化補助金は日本商工会議所による補助金で、これら計画書の作成にあたっては、地域の商工会議所に指導や助言を求めることもできます。

経営計画書と補助事業計画書が完成したら、商工会議所で要件を満たしているかなど確認してもらい、事業支援計画書などの作成と交付を依頼します。書類が完成したら日本商工会議所に申請書を送付します。

日本商工会議所による審査を経て補助金の採択が決まったらPOSレジを導入し、利用を開始します。期限内に実績報告書などを提出し、日本商工会議所の確認を受け、確認が終わり次第補助金を請求し、補助金が支払われます。

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支援制度を利用するときの注意点

ここまで、POSレジの導入に利用できる支援制度について説明してきましたが、実際申請を行う場合は、各制度のウェブサイトで最新情報を入手してください。軽減税率対策補助金のように過去にはPOSレジの導入に利用できたものの、現在は募集を終了している支援制度もあります。年度や制度によって支援の対象者や対象品目、条件が異なることもあるかもしれません。過去に類似の補助金や助成金を受けている場合は、支援の対象外となっている可能性もあります。各制度の要件を読み込んでもわからない点があれば、事務局などに問い合わせて疑問を解消しましょう。地域の商工会議所などに相談してみるてもよいでしょう。

申請にあたっては、手続きの流れを理解し、いつからPOSレジを利用し始めたいのか考え、締め切りまでに余裕を持って書類やデータを準備するのが鉄則です。関係機関や支援機関とのやりとりや、申請に必要なアカウントを取得するのに思いのほか時間がかかることがあります。

余裕を持って申請するのと合わせて、手続きの順番を間違わないことも重要です。多くの助成金や補助金では、審査後にPOSレジを契約する流れになっています。審査結果が確定する前に先走ってPOSレジを導入するといったことのないように注意しましょう。

本記事で紹介した制度では、助成金や補助金が支払われるのは、実際にPOSレジを導入したあとです。金銭的な支援を受けられるとはいえ、いったんは事業者側で費用を支払う必要があります。POSレジの導入費用は以前に比べて手頃になりましたが、タブレット端末や周辺機器、ソフトウェア一式を契約するとなると、まとまった出費になります。資金繰りの観点からも補助金は導入後に支払われる点に注意しましょう。

最後になりますが、助成金や補助金によっては、報告義務などがある制度もあります。助成金や補助金をもらって終わりではなく、きちんと義務も果たすようにしましょう。また、当たり前のことではありますが、申請書には真実を記載しなければなりません。報告義務を怠ったり、虚偽の記載をしたりすれば、事業者としての信頼を問われるだけでなく、制度の存続にも影響をおよぼしかねません。

支援制度についてもっと知りたいときには

ここまで代表的な支援制度と申請手続き、注意点について見てきましたが、新しい制度が発表される、地域ごとの支援制度があるなど、本記事で紹介した以外にもPOSレジの導入に利用できる支援制度があるかもしれません。

どのような支援制度があるか最新の情報を知りたい人は、地域の商工会議所や商工会、よろず支援拠点に連絡をとってみるとよいでしょう。若手や女性経営者、特定領域の支援など、自身やビジネスの状況に合った支援制度を教えてもらい、POSレジの導入に利用できるかもしれません。

本記事ではPOSレジの導入に利用できる支援制度とその手続きを紹介しました。POSレジを導入したいものの費用でためらっていたという人は、本記事をきっかけに各種支援制度を検討して、POSレジ導入に向けた一歩を踏み出してください。

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執筆は2021年7月12日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash