アイリストになるには?必要な資格、独立・開業までのロードマップ

目元の美容サービスを専門とする「アイリスト」の仕事に興味を持っている人もいることでしょう。この分野でキャリアを築いていくことは、美に関心のある人にとって魅力的な選択肢の一つです。アイリストになり、独立・開業するにはどのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。本記事では、アイリストという仕事の紹介から始め、キャリアパス、必要な資格、独立・開業までのロードマップを詳しく説明します。

目次


アイリストとは?

アイリストは、アイビューティーのスペシャリストで、美しい目元を作り出すことでお客さまの魅力を最大限に引き出します。美的センスと合わせて、目元という繊細なパーツに、手先を使って細かいケアを施す技術が求められます。

アイリストの仕事内容

アイリストの具体的な仕事として、「マツエク」と呼ばれるまつげのエクステンションや、まつげパーマがあります。このような施術に加え、お客さまの目元の形や顔立ち、希望に応じて、最適なデザインや施術内容を提案するのも重要な仕事です。また、衛生管理やアフターケアの指導も欠かせません。アイリストには、お客さま一人一人の希望をていねいに聞き、目元から美しさを引き出すサービスを提供することが求められます。

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収入の目安と利益率

アイリストの収入は、正社員、パート、フリーランスなどの勤務形態、勤務地、経験や技術レベルによって大きく異なります。未経験者の場合は月給20万円前後を目安とするとよいでしょう。サロンに勤務する場合、基本給に加えて施術数や種類に応じた歩合給が加算されることもあるので、ていねいな施術がお客さまから評価されれば、大きく給与を増やせる可能性もあります。

独立・開業した場合、初期投資にはある程度の資金が必要ですが、一度営業をスタートした後は、よほど特殊なケア用品を使うなどしない限り、資材や消耗品にかかる費用は抑えられます。このため、サロンの家賃や人件費をいかに抑えるかで利益率は大きく変わります。

向いている人、向いていない人

細かい作業に対する集中力と忍耐力を持ち、トレンドに敏感で、美的センスに自信があるという人はアイリストに向いているでしょう。また、人と話すことが好きで、お客さまのニーズを察知し、満足度の高いサービスを提供できるコミュニケーション能力も欠かせません。

技術については経験によってスキルアップすることはできますが、コミュニケーションが苦手な人や、流行や美容に関する話題に興味が持てない人は、アイリストとしてのキャリアを築いていくのが難しい可能性があります。

業界の成長と将来性

株式会社アイラッシュガレージの「アイビューティ白書2023」によると、国内のアイビューティー市場は、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年に大きく落ち込みましたが、以降、回復の兆しを見せ、2023年の市場規模は2019年を上回るとみられています。

参考:『アイビューティ白書2023』マーケティングレポート 発刊!(2023年6月15日、株式会社アイラッシュガレージ)

市場の回復と成長に伴い、リモートワークでも目元は印象を左右する大事なパーツであることから、アイビューティーやアイリストの需要が今後も高まることが期待されます。また、技術の進化や新しい美容法の登場、SNSの普及により、多様なアイリストが求められるようになることが予想され、アイリストは将来性のある職業と言えるでしょう。

アイリストになるためのステップ

アイリストになるための道は一つではありません。個人の状況や目指すキャリアパスに応じて、最適な教育や資格取得のルートを選びましょう。ここでは、アイリストを目指す上での一般的なステップを紹介します。

美容専門学校に通う

日本でアイリストとして働くには、国家資格の美容師免許が必要です。美容専門学校では、美容師免許取得に必要な基本的な技術や知識を学べます。アイリストになるための最も一般的な最初のステップといえるでしょう。美容に関する幅広いカリキュラムの中で、まつげエクステンションに関する専門的なスキルを習得できる学校もあります。実践的なトレーニングも含まれ、卒業時には即戦力として業界で仕事を始められることでしょう。

通信講座を受講する

アイリストを目指す人の中にはすでに仕事をしていたり、育児や介護をしていたりして、毎日学校に通うことはできないという人もいることでしょう。通学できる範囲に美容専門学校がないこともあります。このように時間や地理的な制約がある場合は、通信講座で技術や知識を学ぶこともできます。基本的な学習は自宅で進めながら、実技のトレーニングなどは対面の授業が行われます。

国家試験に合格する

規定の年数、美容専門学校に通うか、通信講座を受講するかした後に、国家試験を受け、合格すると美容師免許を取得できるようになります。

美容師名簿に登録する

国家試験に合格した後、アイリストとして仕事をするには、美容師名簿に登録する必要があります。美容師免許を申請すると、申請者の情報が美容師名簿に登録されます。美容師免許の申請には、申請書や国家試験の合格証書だけでなく、戸籍抄本や病院での診断書なども必要です。書類を用意し、免許が交付されるまでに一定期間がかかることから、国家試験に合格したらすぐに手続きを始めるとよいでしょう。

その他のスクール

アイリストとして仕事を始めるには、専門の教育課程を経て、美容師免許を取得する必要がありますが、専門技術や知識に磨きをかけるために、さらに資格取得のためのスクールやワークショップを受講する人もいます。短期間で集中的に学べる講座もあり、キャリアアップを目指すアイリストにとって有効な方法といえるでしょう。

アイリストとして働くために必要な資格

日本でアイリストとして働くには、国家資格である美容師免許が必要です。このほか、キャリアやスキルアップを目指して民間団体による認定資格や関連する資格を取得する人もいます。ここでは、アイリストのための資格について説明します。

美容師免許

前項で概要を紹介しましたが、美容師免許を取得するには、都道府県知事が指定する美容師養成施設を卒業し、美容師国家試験に合格しなければなりません。美容師養成施設は、高等学校卒業者(当分の間は中学校卒業者も含む)を入学対象とし、通常課程では昼間、夜間を問わず2年以上、通信課程では3年以上学ぶ必要があります。

参考:理容師・美容師免許の取得まで(厚生労働省)

費用についてはどのような課程で学習するかによって大きく異なります。美容専門学校の昼間の部では200万円から300万円の学費がかかり、夜間では少し費用を抑えられるようです。通信課程では50万円から70万円ほどですが、美容専門学校に通うのと比べて学習期間が長くなります。また、学費に加えて国家試験の受験料が25,000円、美容師免許の申請時に登録免許税が9,000円と手数料5,200円がかかります。

資格取得の方法と費用

一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構(JECA)は、安全技術師、まつ毛エクステンション1級〜3級、認定講師の技能検定試験を実施しています。

一般社団法人日本ラッシュアーティスト協会(JLA)は、まつ毛エクステンションの技術評価試験をレベル1からレベル5までの5段階で実施しています。

検定料は数千円から数万円です。また、これに加えて、試験対策のためのセミナーや教材を購入する場合は追加で費用がかかります。

美容師免許の有無が及ぼす影響

アイリストとして働くには美容師免許が必須です。美容師免許を持たない人が他者に対して、まつげのエクステンションなどの施術をすると美容師法に違反し、最悪の場合、書類送検や逮捕につながることもあります。

アイリストとして活動する場合には、必ず正規の教育を受け、美容師免許を取得し、美容師名簿に登録した上で活動を始めましょう。

アイリストのキャリアパス

アイリストとしてのキャリアは、個々の目標やライフスタイルに応じてさまざまで、初心者から経験豊富なプロフェッショナルまで、成長の機会が豊富にあります。ここでは、アイリストの一般的な主要なキャリアパスを紹介します。

マツエクサロンなどで勤務する

多くのアイリストは、マツエクサロンや美容院といった既存の施設に就職し、キャリアをスタートさせます。これらの環境では、実務経験を積みながら技術を磨くことができます。また、サービス、サロン運営、商品知識など、アイリストとして成功するために必要なスキルを幅広く学ぶこともできます。勤務することで、同じ業界で働く同僚ができ、チームワークや業界の動向についても理解を深められます。

フリーランスとして働く

アイリストとしての経験を積んだ後、フリーランスとして独立する道を選ぶアイリストもいます。フリーランスのアイリストは、自宅や出張で、また、婚礼をはじめとするイベントでサービスを提供しながら、活動の幅を広げていきます。自分のスケジュールを管理し、好きな場所で働く自由があります。一方で、自分自身でマーケティングや顧客開拓を進め、経営を行う必要もあります。

サロンオーナーとして独立・開業する

アイリストのキャリアパスの中で、最も野心的なステップの一つが、独立して自分のサロンを開業することです。自身のビジョンに基づいたサロンを設立し、経営者として、サービスを通じてお客さまに美を提供します。サロン経営には、事業計画の策定、資金調達スタッフの管理、マーケティング戦略の実施など、多くの挑戦が伴いますが、自分の事業を築き上げる達成感は計り知れません。

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アイリストが独立・開業する前に検討すること

独立・開業は大きな挑戦ですが、独立・開業前の検討事項を知っておくことで、サロンのイメージを具体的にする助けにもなります。ここでは、サロンを開業する前に検討したいことについて説明します。

開業の形態

どのような形態で開業するか決定することは、ビジネスをスタートする上で最初のステップです。開業の形態は物件を借りてサロンを始めるだけではありません。開業資金を抑えたい、育児や介護など時間的な制約があるといった場合は、自宅で小規模なサロンから始めるのも一つの手です。

スモールスタートのためのもう一つの選択肢として、出張を専門とすることもできますが、出張サービスには美容師法や自治体ごとの規定があり、違反しないように注意が必要です。本格的にアイリストとしてサロンを開業する場合には、物件やスペースを借りて営業することになります。

ライフスタイルや、資金、目指すビジネスの規模を考慮して開業形態を決定しましょう。

開業する場所

自宅での営業や出張サービスでない場合、サロンの立地は、ビジネスの成功に直結する重要な要素です。人通りが多く、ターゲットとするお客さまの層にアクセスしやすい場所を選ぶのが重要です。また、物件の賃料や競合との距離も考慮する必要もあります。開業にあたっては、専用の物件を借りることを考えがちですが、商業施設内に店舗を構えるといった選択肢もあります。しっかり時間をとって開業を予定している地域の市場調査を行い、サービスを提供する最適な場所を選定しましょう。

開業に必要な資金の目安

一般的に、独立してサロンを開業するには、物件の賃料、内装費用、機器購入費、初期在庫費用、広告費など、多額の初期投資が必要となります。自宅での開業や出張サービスによって初期投資を抑えることはできますが、少なくとも数十万円、開業するエリアによっては数百万円またはそれ以上かかることもあることを覚悟しておきましょう。初期投資に加えて、開業後の固定費と変動費もできるだけ正確に見積もり、資金調達の計画を立てます。

特に初期投資については、自己資金が足りなくても開業をすぐに諦める必要はありません。家族や友人からの支援、銀行から資金を借りるといった選択肢があることも忘れないでください。

独立後の収益予測

独立後の売り上げと収入を予測することは、開業前にビジネスの持続可能性を評価する上で不可欠です。予測を立てる際には、市場の需要、競合の状況、価格設定、見込み顧客数などを考慮に入れましょう。また、季節変動や特定のイベントによる売り上げの変動も予測に含めることが重要です。

具体的には、一日あたりの来客数と客単価の予測を立て、月次の売り上げを少なくとも向こう一年分試算します。売り上げから月々の家賃や光熱費、人件費などの固定費、売り上げに応じて変わる資材の費用などの変動費を差し引き、収入を計算します。

ビジネスの成功を願う気持ちもあるかもしれませんが、現実的な収益予測を立てるように努めましょう。

アイリストのサロン開業までの準備

アイリストとして自身のサロンを開業するには、綿密な計画と準備が欠かせません。ここでは、開業までの主なステップを説明します。

開業計画の立案

サロン開業の第一歩はビジネスプランの作成から始まります。この計画には、サロンのコンセプト、市場分析、財務計画、マーケティング戦略、運営計画などが含まれます。明確な目標と実行可能な戦略を定めることで、開業へ向けた道筋が明確になります。

物件の選定

理想的な物件選びは、サロン成功の鍵です。立地条件、賃貸契約の条件、周辺環境、アクセスのよさなどを考慮して選びましょう。ターゲットとするお客さまが足を運びやすいエリアを選ぶのも大切です。

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資金調達

開業資金は開業形態によって大きく金額が変わりますが、いずれの場合でもまとまった金額を用意する必要があります。開業資金に加え、最初の数カ月の運営に必要となる資金、万が一に備えた資金も含め、調達しなければならない資金の総額を見積もります。自己資金、家族や友人からの援助、銀行の融資、政府の補助金や助成金など、利用可能な資金調達方法を検討しましょう。資金計画は慎重に行い、借り入れを行うのであれば、返済計画も合わせて立てておきましょう。

内装、外装工事

サロンの内装と外装は、お客さまに与える印象に直接影響します。サロンのコンセプトに合わせてデザインを選び、快適で魅力的な空間を作り出しましょう。予算内で最大限の効果を得られるよう、プロのデザイナーや施工業者と密に連携することが大切です。

開業届など必要な手続き

サロンを開業するにあたって、店舗を管轄する地域の保健所に美容所の開設届を提出し、検査確認を受ける必要があります。届出書のほか手数料を支払う必要があります。地域の保健所に手続きを問い合わせることから始めましょう。開業だけでなく、サロンについて変更があった場合にも速やかに保健所に届け出る必要があります。サロンの廃止、承継についても同様です。美容所の開設届のほか、店舗を管轄する地域の税務署には開業届を提出します。

備品や決済システムの準備

サロン運営に必要な設備、備品、商品をリストアップし、購入計画を立てます。お客さまから支払いを受け付ける決済システムの準備も忘れずに。現金払いやキャッシュレス決済など、決済の選択肢を複数用意しておくことで、お客さまの利便性と満足度を高められるでしょう。

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スタッフ採用

優秀なスタッフはサロン成功の鍵です。募集から面接、採用に至るまで、お店の理念に合った人材を選びましょう。また、定期的な研修や教育プログラムを通じて、スタッフのスキルアップを図り、チームワークを重視する文化を作り上げることも重要です。

アイリストの施術以外の業務

アイリストの業務は、施術だけではありません。ここでは、サロンの運営を円滑に行うために欠かせない業務について説明します。

集客

サロンの成功には、効果的な集客戦略が不可欠です。ターゲットとするお客さまに合わせて、ソーシャルメディアマーケティング、地域での宣伝、割引キャンペーンなど、多様な方法で新規顧客獲得を目指しましょう。合わせて、質の高いサービスを提供し、次回使い使えるクーポンを提供するなどして、リピーターを増やすことにも力を入れてください。

予約管理

予約管理を効率的に行うことで、サロンとしてお客さまとの時間や技術力の向上に時間を割けるようになるだけでなく、お客さまの利便性も向上します。予約管理は手作業で行うのではなく、予約管理システムを導入するとよいでしょう。

会計管理

正確な会計管理は、サロンの財務状況を把握し、健全に経営を続ける上で欠かせません。収入や支出の記録、利益の分析など、日々の会計業務を適切に行うために、会計ソフトウェアを導入し、必要に応じて会計士や税理士のアドバイスを受けることで、会計業務の負担を軽減できます。

備品管理

サロンで使用する備品の管理も重要な業務の一つです。適切な在庫管理を通じて、必要な美品を必要な量だけ持っていることを確認できれば、無駄な購入や廃棄を防ぐことができ、コスト削減にもつながります。定期的に備品の点検や更新を行うことで、サービスの品質を維持し、顧客満足度を高められるでしょう。

Square 予約を導入して予約受付から決済までスムーズに

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予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。

アイリストとして独立し、サロンを開業するには、美容専門学校に入学してから少なくとも数年かかることから、道のりの長さに圧倒されていたという人もいるかもしれません。本記事で具体的なステップが明らかになり、イメージをつかめたという人もいるのではないでしょうか。アイリストとしてサロンの経営に成功するには、センスや技術力はもちろん、業務を効率化するための予約や会計システムの知識も欠かせません。本記事で概要をつかんで、アイリストとして、そして経営者としての一歩を歩み始めてください。


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執筆は2024年3月4日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash