フリーランスの履歴書はこう書く!案件獲得や転職につながる書き方

フリーランスとして仕事をしていると、「履歴書って必要?」「どう書けばいいの?」と疑問に感じる場面が少なからずあります。会社員のような「雇用関係」がないからこそ、履歴書を提出する機会がないと思いがちですが、実際はそうとも限りません。

この記事では、フリーランスとして活動している人が履歴書を作成する際のポイントや注意点、職務経歴書やポートフォリオとの使い分け、自営業者向けの補足情報までを網羅的に解説します。

【この記事のポイント】
- フリーランスでも履歴書はケースに応じて必要で、信頼構築に役立つ
- 独立後の案件実績やスキルを具体的に書き、信頼感を高めることが重要
- 履歴書だけでなく職務経歴書やポートフォリオで自己アピールを強化
- フリーランス特有の収入安定性や契約形態の説明を工夫し、誤解を防ぐ
- 個人事業主や自営業者は経営経験をアピールし、転職時は前向きな動機を示す

目次


フリーランスに履歴書は必要?

フリーランスに履歴書は必要なのでしょうか。結論からいえば、「ケースバイケース」です。フリーランスとしての実績やポートフォリオが重視される場面も多いものの、履歴書が求められることは意外とあります。特に法人やエージェントとの契約を結ぶ際には、職務経歴やスキルを正式な書類で提示することが求められるケースもあるようです。

履歴書は単なる形式的な書類ではなく、自分のスキルや信頼性を伝える手段の一つです。フリーランスとしての「自分というブランド」を伝えるための資料として、整えておくことをおすすめします。

フリーランスが履歴書を書くべき場面とは?

法人・企業との契約時(業務委託契約・請負契約)

企業と業務委託契約や請負契約を結ぶ際、先方の担当者から「履歴書や職務経歴書をご提出いただけますか?」と求められることがあります。特に大手企業や公共機関との取引では、コンプライアンスや社内手続きの一環として履歴書の提出が必要になることもあるでしょう。

このような場合、履歴書には「会社員時代の経験」に加えて、「独立後に手がけた案件」や「得意分野」、「使用可能なツールやスキル」を記載することで、より信頼性のある自己紹介資料になります。

フリーランスから正社員転職を目指す時

フリーランスから再び会社員として働くことを検討する場合、採用側はこれまでの経歴を客観的に判断するために履歴書を必要とします。一般的なフォーマットに加えて、「なぜフリーランスを選んだのか」「どのようなスキルを得たのか」「転職を考えた背景」などを職務経歴書や自己PR欄に明記することで、ポジティブな印象を与えることができます。

クラウドソーシング・エージェント利用時

クラウドソーシングサイトやフリーランス専門のエージェントを活用する場合、プロフィール入力の延長として履歴書の提出が求められることがあります。特に高単価案件や継続案件を狙う場合、クライアントは応募者の信頼性や過去の経験を重視するため、履歴書の整備が不可欠です。

エージェントによっては、専用のフォーマットが用意されている場合もあるため、登録時のガイドラインに従って最新の情報を記入しましょう。

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フリーランスの履歴書の書き方

フリーランスの履歴書には、会社員時代とは異なるアプローチが求められます。単に「職歴を並べる」だけではなく、どのようなスキルを提供できるのか、どんな価値を企業にもたらせるのかを明確に伝えることが大切です。

以下のポイントを参考に、自分らしい履歴書を作成してみましょう。

基本情報(氏名・住所・連絡先)

履歴書の冒頭に記載する基本情報は、企業側との円滑な連絡に必要不可欠です。以下の項目は必ず記載しましょう。

  • 氏名(フリガナ付き)
  • 住所(郵便番号も忘れずに)
  • 電話番号(すぐに連絡が取れる携帯番号がおすすめ)
  • メールアドレス(ビジネス用のアドレスが望ましい)

また、ウェブサイトやポートフォリオ、LinkedInのURLがある場合は、連絡先と合わせて記載しておくと、信頼度やプロ意識が高まります。

学歴・職歴の書き方

学歴・職歴欄は、時系列(古い順)で記載するのが一般的です。フリーランス期間は「職歴」として扱いましょう。


2020年4月 株式会社○○ 入社
2022年3月 同社 退職
2022年4月 フリーランスとして独立
ウェブ制作、ライティング、SNS運用などを受託業務として実施

フリーランス期間中は、単なる「在宅業務」ではなく、実績や業務範囲、取引先の業種なども簡潔に書き添えることで、信頼性が増します。

スキル・資格のアピール方法

フリーランスの場合、業務の幅や専門性を示す「スキル」や「資格」は重要なアピールポイントです。

書き方のポイント

  • 使用可能ツール(例:Photoshop、Figma、VS Code など)
  • プログラミング言語(例:HTML/CSS、JavaScript、Pythonなど)
  • 保有資格(例:TOEIC、簿記、ITパスポートなど)
  • 得意なジャンルや業界(例:美容業界向けのデザインに強い)

スキル欄は、箇条書きやカテゴリ分けで見やすく整理しましょう。実務経験のあるものから順に並べると効果的です。

志望動機・自己PRの書き方

履歴書に志望動機欄がある場合は、応募先に合わせて柔軟に対応しましょう。特にフリーランスとして応募する際は、「なぜこの案件・企業に応募したのか」「自分がどのような価値を提供できるのか」を中心に記述します。

自己PRの例
フリーランスWebデザイナーとして3年以上活動しており、コーポレートサイトやLP制作などを多数手がけてきました。顧客とのやり取りから納品まで一貫して担当しており、納期管理や要望の汲み取りにも自信があります。長期的な視点でパートナーとして貢献できればと思い、今回応募させていただきました。

ポイントは、「自分語り」ではなく「相手にとってのメリット」を明確に伝えることです。

AIツールを使って添削

履歴書の内容に自信が持てない場合、AIツールを活用して添削するのも一つの方法です。最近では、ChatGPTをはじめとした生成AIツールや、文章に特化したAI校正ツールも登場しています。

AI活用のポイント

  • 誤字脱字や文法ミスのチェック
  • 自己PRのトーンや説得力の調整
  • 求められるキーワードの挿入(業界や職種に応じて)

ただし、AIのアドバイスをそのままコピーするのではなく、自分の経験や表現に合わせて調整することが大切です。「第三者の目線」でチェックするつもりで活用すると効果的です。

履歴書と一緒に用意すべき書類

履歴書だけでは、フリーランスとしての魅力を十分に伝えきれないことがあります。より信頼性を高め、具体的な実力を伝えるためには、以下の書類や資料を併せて提出するのがおすすめです。

職務経歴書の重要性と記載ポイント

職務経歴書は、これまでの業務内容や実績をより詳しく伝えるための書類です。フリーランスにとっては「仕事の幅広さ」「専門性」「信頼性」をアピールする貴重なツールになります。

記載する内容の例

  • プロジェクト名/期間
  • クライアントの業種(必要に応じて匿名化)
  • 担当業務・使用スキル
  • 成果や評価(売上貢献、納期遵守など)

記載のポイント

  • 案件ごとに分けて、見出し+箇条書きで整理すると読みやすい
  • 専門用語は相手に応じて説明を添える
  • 「工夫した点」や「課題をどう解決したか」などの背景を加えると、説得力が増します

職務経歴書は履歴書より自由度が高いため、自分らしい表現でアピールしましょう。

ポートフォリオや実績紹介の作り方

フリーランスにとって、実績は最大の武器です。過去の成果物を見せる「ポートフォリオ」は、信頼を得る上で非常に有効です。

作成時のポイント

  • 自分のスキルや方向性が伝わるよう、得意なジャンル・業種を中心にまとめる
  • プロジェクト概要・目的・担当範囲・成果などを明記
  • デザインやUIに関わる職種の場合は、ビジュアルのクオリティーにもこだわる
  • ライター・マーケターなどは、PDFやNotion、Google Docsなどで見やすく構成するのもおすすめ

実績紹介のページをオンライン上にまとめておくと、URLを履歴書やメールに添付するだけで簡単に共有できます。

事業用のSNS・ウェブサイトがある場合の活用方法

近年は、SNSやウェブサイトを通じて仕事を得るフリーランスも増えています。履歴書や職務経歴書に加えて、自分の活動が伝わるオンライン媒体を提示することで、信頼性がさらに高まります。

活用できるものの例

  • ポートフォリオ専用ウェブサイト
  • ブログやnoteでの専門的な発信
  • LinkedInやX(業務内容や考え方を発信しているもの)
  • Instagram(デザイナー・フォトグラファーなど職種に特に有効)

活用のポイント

  • プロフィールや投稿内容を「ビジネス目線」で見直す
  • 履歴書や職務経歴書と矛盾がないように整える
  • 更新頻度が低いものはURLを載せないほうが無難

自分の「仕事観」や「人となり」が垣間見える媒体は、クライアントとの距離を縮めるきっかけになります。

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フリーランスならではの履歴書の注意点

フリーランスの履歴書には、会社員とは異なる書き方や見せ方が求められます。採用担当者の不安や疑問に先回りして対応することで、信頼感や安心感を与えることができます。

収入の安定性をどう伝えるか

企業がフリーランスに対して抱く懸念の一つが「収入や仕事の安定性」です。「この人は継続して仕事を得ているのか?」「途中で離脱されないか?」という不安を払拭する工夫が必要です。

アピールの方法

  • 継続取引しているクライアントの有無(※社名を伏せて業種や期間だけでもOK)
  • 毎月○件以上の案件を安定的にこなしている旨を記載
  • 過去3年間での稼働率・プロジェクト数などの実績データを簡単に添える
  • クライアントとの信頼関係、納期遵守の姿勢などを自己PRに盛り込む

例文
2022年以降、3社と継続契約を結びながら、単発案件も平均月3件以上受注しており、年間を通じて安定した稼働を維持しています。

あくまで「雇われていないから不安」ではなく、「自立してキャリアを築いている」と伝える姿勢が大切です。

「雇用」ではないため、職歴の書き方に注意

フリーランスとしての職歴は「会社名に雇用された」わけではないため、会社員と同じ形式で記載すると誤解を招く場合があります。クライアントとの関係性や業務形態を明確にすることがポイントです。

表現例
「業務委託契約として○○株式会社のWebマーケティング業務を担当」
「○○出版社より編集・執筆業務を受託(フリーランスとして)」
「○○アプリ開発プロジェクトに参画(チーム外部パートナーとして)」

また、会社名を出せない場合は「大手アパレル系EC企業」「IT系スタートアップ」など、業種や規模感を伝える工夫をしましょう。

契約終了・プロジェクト単位の仕事の整理方法

フリーランスの仕事は、多くがプロジェクト単位・期間限定です。短期間の契約や複数同時進行していた案件も、見やすく整理しなければ採用担当者に伝わりにくくなります。

整理のコツ

  • 時系列+カテゴリ分け(例:ウェブ制作/ライティング/マーケティングなど)
  • プロジェクト名+期間+業務内容+成果をセットで記載
  • 複数同時並行の案件は「代表的なもののみピックアップ」して簡潔に記載
  • 契約終了理由については、必要な場合のみ簡潔に(例:プロジェクト完了による終了)

記載例
2023年3月~2023年6月
BtoB向けSaaS企業のオウンドメディア記事執筆(全12本)
SEO設計、構成案作成、執筆までを担当。検索順位上位化に貢献。

期間が短い案件も、成果や対応範囲をしっかり伝えることで「経験の多さ」や「対応力」をアピールできます。

【補足】個人事業主・自営業の履歴書の書き方

フリーランスと並び、個人事業主や自営業者も、自らのスキルや経験を伝える場面で履歴書を求められることがあります。たとえば、正社員への転職や、法人との業務提携、新たなビジネスの立ち上げなど。その際は「経営者としての経験」をどのように整理・表現するかが重要なポイントになります。

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店舗運営型(飲食店・美容サロンなど)のケース

飲食店・美容室・ネイルサロンなど「実店舗」を運営していた場合は、「事業内容」「集客」「スタッフマネジメント」「売上規模」などを具体的に記載することで、経営力や実行力を伝えることができます。

記載例
2018年5月〜2024年3月
○○カフェ(東京都中野区)を経営。メニュー開発、スタッフ管理、SNSによる集客などを担当。最大4名の従業員と共に運営し、地域密着型の店舗としてリピーターを多数獲得。

アピールできるポイント

  • 店舗立ち上げ〜運営の一連の流れを経験している
  • 顧客対応や現場管理を自ら行ってきた
  • 数字管理(売上・原価・利益)を行っていた
  • マーケティングやブランディングの実践経験

職種によっては「経営していた」ことがそのまま評価対象になるため、自信を持って書きましょう。

従業員を雇っている場合の履歴書の工夫

従業員を雇用していた場合は、「組織マネジメント」「採用経験」「労務管理」などもアピール材料になります。履歴書では、職歴欄または職務経歴書に次のように記載すると良いでしょう。

書き方の工夫

  • 組織体制の規模(例:最大5名のチームで運営)
  • 採用活動・育成・シフト管理などの内容
  • 社会保険や労働保険など、労務管理に関わった経験


個人事業としてサロンを開業。業務拡大に伴い2名を採用し、店舗運営・スタッフ指導・月次報告書作成などを担当。リーダーシップを持って現場を統括し、顧客満足度向上を実現。

これにより、単なる「現場プレイヤー」ではなく「事業責任者」としての視点をアピールできます。

自営業から正社員転職時のアピールポイント

個人事業主や自営業者が正社員転職を目指す場合、企業側が気にするのは以下の点です。

  • チームで働けるか
  • 組織のルールに馴染めるか
  • なぜ再び雇用を選んだのか

これらに対して、「経験の多様さ」や「柔軟な対応力」を前向きに伝えることが大切です。

自己PR・志望動機のヒント
「個人事業で培った○○(例:現場判断力・顧客対応力)を、今後は組織の一員として生かしたい」
「経営者の視点から、より深く業界に関わりたいと考えるようになった」
「チームでの成果創出や、長期的なキャリア構築を求めて転職を決意した」

単に「個人事業が厳しくなったから」と受け取られないよう、ポジティブな動機を明確にしておくことが重要です。

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まとめ

フリーランスにとっての履歴書は、単なる「書類」ではなく、自分のスキルや信頼性、そして経験、プロ意識を伝えるための大切なツールです。企業やエージェントに提出する場面、正社員転職を考えるとき、さらにはクラウドソーシングでの信頼構築にも役立ちます。

履歴書を作る際は、会社員時代の形式にとらわれず、「自分はどんな価値を提供できるのか」を意識して書くことが重要です。また、職務経歴書やポートフォリオと組み合わせることで、実力や人物像をより立体的に伝えることができます。

フリーランスとしてのキャリアは、自由で柔軟な反面、第三者から見えにくい部分も多くあります。だからこそ、履歴書や関連書類をしっかり整えることで、信頼されるビジネスパートナーとしての第一歩を踏み出すことができるでしょう。


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執筆は2025年7月15日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash