税金・社会保険の支払いが困難なときに知っておきたい情報

この記事は2020年4月15日時点の情報を参照しています(2023年4月28日に一部情報更新)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生状況、感染予防に関する最新情報は厚生労働省のウェブサイトも合わせてご確認ください。

新型コロナウイルス感染症の影響により、大きなダメージを受けている事業主のなかには、資金繰りに苦労し、せめて税金や社会保険料だけでも支払いを伸ばせないか、納付額を減らせないかと考えている人も多いのではないでしょうか。このような悩みを抱える事業主向けに、税金・公共料金・社会保険料の支払い猶予について紹介します。

ポイントとしては、支払いの延滞をせずに、なるべく早めに税務署、各自治体の納税課、年金事務所などに相談をしましょう。個々の事情によっては、支払い期限を伸ばせるだけでなく、延滞税などを減額・免除してもらえる可能性もあります。

確定申告の期限延長

確定申告は、前年度の所得を翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に提出するのが原則ですが、2019年度の申告に関しては2020年4月16日(木)まで提出期限が延長されました。2020年度の申告に関しては、2021年4月15日(木) まで申告・納付期限が延長されています。

2020年度の申告手続きでは、感染リスクを軽減するために国税庁ではe-TAXの利用を勧めています。また、確定申告会場を利用する場合には、入場整理券が必要です。入場整理券の入手方法など、詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限を令和3年4月15日(木)まで延長します(国税庁)

国税の支払い猶予

国税(法人税、所得税や消費税など)の支払いが事業運営・生活の大きな負担になる場合は、納税を猶予する制度の利用を検討しましょう。

下記の条件に当てはまると、1年以内の納税の猶予、もしくは換価の猶予が認められます。期間中、延滞税は免除もしくは軽減されます。

【納税猶予を受ける条件(延滞税免除・軽減)】

  • 新型コロナウイルス感染症の患者が発生し、店舗や倉庫の消毒作業を行ったことで、在庫や備品を破棄した場合
  • 納税者本人または生計を一にする家族が感染した場合
  • やむを得ず事業を休業・廃業した
  • 事業の利益減少などにより、著しい損失を受けた

【換価猶予を受ける条件(延滞税軽減)】

  • 納税により、事業継続や生活維持に困難が生じる可能性がある
  • 納税の意志がある
  • 納期限から6カ月以内に申請している
  • 国税以外に滞納がない

参考:国税の納税の猶予制度FAQ(国税庁)

質問・相談がある場合は、国税局猶予相談センターが窓口として用意されています。

地方税の支払い猶予

住民税、固定資産税、法人住民税、法人事業税など、地方税の支払いに関しても、感染症の影響で支払いが困難な事情がある場合、猶予が認められる可能性があります。詳細・相談・申請は各自治体のウェブサイトをご確認ください。

【猶予を受けられるケース】

  • 財産に相当な損失が発生した
  • 納税者本人または家族が感染した
  • 事業の廃業・休業
  • 事業が著しい損失を受けた

参考:新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方税における対応について(総務省)

固定資産税・都市計画税の減免

新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業・小規模事業者を対象に、2021年度の固定資産税・都市計画税の減免制度が設けられています。

【減免を受ける条件】

  • 2020年2月から10月の間の任意の3カ月間の事業収入が前年同期比で、50%以上減の場合は全額免除、30%以上50%未満の場合は半額免除

【減免の対象】

  • 事業用家屋および設備などの償却資産に対する固定資産税
  • 事業用家屋に対する都市計画税

参考:新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者に対して固定資産税・都市計画税の減免を行います(中小企業庁)

詳しくは中小企業庁のウェブサイト、各自治体のウェブサイトをご確認ください。

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公共料金の支払い猶予

経済産業省は支払いが困難な人に対して、電気、ガス、携帯電話、固定電話の料金支払いを猶予してもらえるように、各事業に柔軟な対応を要請しています。

KDDI、ソフトバンク、東京電力、東京ガスなど、さまざまな事業者が支払い期限を延ばすなどの対応をしています。ただし、対象者は緊急小口資金を受けている人など、ある程度限定されており、また各事業者への個別の申込が必要です。代表的な各社の対応を紹介します。最新情報は、利用している事業者のウェブサイトなどでご確認ください。

【電気・ガス】
北海道電力、東北電力、東京電力エナジーパートナー、関西電力、九州電力、沖縄電力、東京ガス、大阪ガスなど電力・ガス各社は、電気料金・ガス料金の支払期日を延長する特別措置を実施しています。延長期間・対象者などは各社異なるので、利用している電力会社・ガス会社のウェブサイトなどをご確認ください。

【携帯電話・固定電話】
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、法人・個人両方に対して支払い困難の申し出があった場合、2月末以降の料金の支払期限を7月末日まで延長します。また、緊急事態宣言が再度発出がない限り、延長のさらなる実施は行わない予定です。

社会保険料の支払い

【国民年金保険料】
個人事業主・自営業者などが加入する国民年金第一号では、所得が減少したり、失業をしたりした場合、保険料の支払いが免除される可能性があります。免除は、全額、4分の3、半額、4分の1、の4種類あります。詳しい手続きはこちらをご確認ください。

【厚生年金保険料】
経営状況の悪化により厚生年金保険料の支払いが難しい場合は、年金事務所に申請すれば、支払いの分割や、延滞金の一部または全額免除が認められる可能性があります。詳しくはこちらをご確認ください。

【国民健康保険料】
国民健康保険料も、自治体の窓口に申請をすれば支払いの分割などが認められる場合があります。詳しくは、各自治体のウェブサイトなどでご確認ください。


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執筆は2020年4月15日時点の情報を参照しています。2023年4月28日に一部情報を更新しました。
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