労務コンプライアンスの​ために​知って​おきたい​こと

コンプライアンスは​企業活動とは​切り離せない​存在で​あり、​ビジネスの​あらゆる​場面に​おいて​徹底されなければなりません。​それは​従業員の​労務管理に​おいても​同様です。

今回は、​労務コンプライアンスに​ついて、​裁判例も​交えて​紹介します。

コンプライアンスとは

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コンプライアンス​(compliance)とは​「応じる​・従う​・守る」と​いう​意味の​コンプライ​(comply)を​語源と​する​言葉で、​日本では​「法令や​企業倫理を​守る​こと」と​表現されます。​そして​この​コンプライアンスが​実現できているかどうかは、​その企業の​信用に​直結します。

たとえば、​スーパーで​買い物を​する​消費者は、​手に​取った​加工食品が​どの​工場で​どう​いった​方法で​製造され、​スーパーに​届いているのか、​自身の​目で​確かめる​ことは​難しいです。​その​食品を​置いている​スーパーや、​製造する​食品メーカーを​信用して​購入に​至っています。

企業の​活動、​食品の​製造方法や​企業と​しての​姿勢に​不信感を​覚えてしまうと、​その​食品を​買う​ことを​ためらうかもしれません。​企業が​食品の​安全性を​確保する​ために​定められている​基準、​法令を​守って​活動する​ことで、​消費者との​信頼関係が​築かれると​考えられます。

さらに​企業は​消費者だけでなく、​取引先や​従業員との​関係に​おいても​コンプライアンスを​意識しなければなりません。​取引先との​間に​問題が​あったり、​従業員に​背を​向かれてしまったりすると、​事業が​上手く​いかない​可能性が​あります。

たとえば、​長時間​労働や​時間外労働の​問題は​従業員の​心身を​疲弊させ、​不満を​高め、​従業員満足度の​低下や​離職率の​高さに​つながります。​労働に​関する​問題に​世間の​注目が​集まる​今、​コンプライアンスに​基づいた​従業員の​労務管理体制の​整備は、​企業の​存続に​不可欠です。

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労務に​関する​コンプライアンス

労務管理の​目的には、​賃金や​労働時間、​教育、​配置など​労働環境を​整える​ことで、​従業員の​モチベーションを​高め、​企業の​目標を​達成する​ことが​あります。

参考:労務管理とは​(一般社団法人日本人材育成協会)

労務コンプライアンスは、​労働関係​法令を​遵守したうえで​労務管理を​行う​ことを​指します。

労働基準法を​はじめと​して、​労働組合法や​最低賃金法、​パートタイム労働法、​男女雇用機会均等法、​育児介護休業法、​高齢者雇用安定法など、​労働に​関する​法律は​さまざまです。​こうした​法律に​よって​最低限の​労働条件が​定められており、​企業側は​それを​守らなければなりません。

企業側とは、​一般に​管理職と​呼ばれる​管理監督者、​事業主と​いった、​法律で​「使用者」に​定義される​人です。​使用者は​企業ごとの​個別の​規則である​就業規則を​作成し、​職場に​必要な​規律や​条件を​定めます。​この​就業規則は​法律や​労働協約を​ふまえた​ものでなければいけません。

就業規則は​労務コンプライアンスの​要で​あり、​事業場単位での​基本ルールと​なります。​そのため就業規則が​労働関係​法令に​反していないか、​細部まで​確認しておく​ことが​重要です。

ただ、​守るべき労働関連法令に​対する​使用者の​理解が​不十分であると、​気付かないうちに​問題が​発生する​可能性が​あります。​就業規則作成の​専門家である​社会保険労務士や​労務関係が​得意な​弁護士に​相談しても​よいでしょう。

「企業には​必須な​就業規則の​作成に​ついて」の​記事も​ぜひ参考に​してみてください。

長時間労働問題

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労務コンプライアンスに​関する​問題の​例と​しては、​長時間労働ならびに​残業代など​賃金の​不払いが​挙げられます。

この​問題に​悩む労働者は​多く、​厚生労働省が​過重労働解消キャンペーンに​おいて​実施した​「過重労働解消相談ダイヤル」では、​一日の​間に​合計367件の​相談が​ありました。​そのうち​「長時間労働・過重労働」に​関する​相談は​136件と​最も​多く、​次いで​「賃金不払い残業」が​110件と​なっています。

参考:​「過重労働解消相談ダイヤル」の​相談結果を​公表します(厚生労働省)

労働時間は​原則と​して、​法定労働時間を​超える​ことができません。​法定労働時間は​週40時間以内、​1日8時間以内の​範囲と​労働基準法で​決められています。

しかし、​「時間外・​休日労働に​関する​協定」いわゆる​36協定が​締結されていれば、​その協定の​範囲内で​残業させる​ことは​できます。​ただし原則月45時間、​年360時間以内と​いう​上限が​あります。​この​協定なしの​残業は​違法です。

特別条項を​事前に​定めておけば​その上限を​超えて​残業を​命じる​こともできますが、​その回数などには​制限が​あります。

な​お、​法定労働時間は​法律で​定められた​時間なのに​対し、​所定労働時間は​企業の​就業規則や​雇用契約書で​定めた​時間を​指します。​所定労働時間と​して​規定できる​時間は​法定労働時間の​範囲内です。

残業などで​法定労働時間を​超えた​時は、​一定の​割合分を​増額した​割増賃金を​使用者は​従業員に​支払わなければなりません。

「労働基準法、​守れていますか?​今すぐ​確認したい​6つの​ポイント」の​記事も​ぜひ参考に​してみてください。

使用者には、​従業員の​労働時間を​適正に​把握する​責務が​あります。​厚生労働省の​ガイドラインを​確認するようにしましょう。​管理認識が​不十分な​場合、​従業員との​間に​トラブルを​招き、​ときには​裁判にも​発展してしまう​ことも​あります。

参考:労働時間の​適正な​把握の​ために​使用者が​講ずべき措置に​関する​ガイドライン(厚生労働省)

また、​Squareの​アカウントを​お持ちの​場合、​スタッフ管理機能を​利用できます。​タイムカードと​しても​使える​ため、​従業員の​出退勤を​記録できます。​また、​管理者は​スマートフォンや​タブレット端末を​使って、​外出先など​いつでも​どこからでも​確認可能です。​ぜひ導入を​検討してみてください。

労働時間と​割増賃金に​関する​裁判例

京都銀行事件
2001年の​大阪高等裁判所での​裁判です。​ある​銀行の​元従業員が​始業前の​準備作業や​朝礼、​融資会議、​昼の​休憩時間、​終業後の​残業などに​対する​時間外勤務手当の​未払い分などの​支払いを​求める​事案が​ありました。

とも​すれば​多くの​会社で​当たり前に​行われている​時間外の​作業に​ついて、​それが​労働時間だと​認識される​可能性が​ある​ことが​分かる​裁判例です。

京都地裁は​いずれの​請求も​棄却しましたが、​大阪高裁は​昼の​休憩時間以外の​労働時間性を​肯定し、​控訴を​一部容認しました。

参考:5-2​「割増賃金不払い」に​関する​具体的な​裁判例の​骨子と​基本的な​方向性(厚生労働省)

三菱重工業長崎造船所事件
この​事件では、​所定労働時間外に​行うように​就業規則で​定めていた、​保護具の​装着や​資材の​受渡しに​かかる​時間などが、​労働時間に​あたると​されました。

労働時間に​該当するか​どうかは​客観的に​定まる​ものであり、​就業規則などの​会社の​定めに​より​決定される​ものではない​ことが​分かる​事件です。

参考:​(37)​【労働時間】労働時間の​定義(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

労務コンプライアンス実現の​ために、​労働関係​法令の​正確な​理解が​重要です。

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執筆は​2018年6月25日​時点の​情報を​参照しています。​
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