近年では友人、家族、仕事仲間などと日々コミュニケーションをとるツールとして、幅広い層に利用されているLINE。国内の月間アクティブユーザーが9,500万人もいることが、LINEの発表でわかっています(2023年6月時点)。InstagramやX(旧Twitter)などのほかのソーシャルメディアよりも国内の利用者数が多く、メールマガジンと比べて開封率も高いことから、LINEはさまざまな業種の店舗経営者やネットショップ運営者にとって、集客には欠かせない手段となりつつあります。
ここではLINE公式アカウントを開設し、集客に活用したいと考える事業者に向けて、LINEで集客を行うメリットや役に立つ機能、集客を成功させるコツなどを紹介します。
目次
LINE集客の重要性とメリット
まずはLINE公式アカウントで集客するメリットを見ていきましょう。
アクティブユーザーが多い
できるだけ多くの人に情報を届けるためにも、発信先を選ぶときは各プラットフォームのアクティブユーザー数を把握しておきたいところです。
LINEの月間アクティブユーザー数は、2023年6月時点だと9,500万人です。この数字から考える、日本の人口(約1億2,456万人)のうち約75%がLINEを使用していることになります。ユーザーの年齢層も幅広いので、さまざまなビジネスに適した発信先だといえるかもしれません。
主要なソーシャルメディアとの比較表もご参考ください。
参考:人口推計 2023年(令和5年)7月報(2023年7月20日、総務省統計局)
SNS名 | 投稿できるメディア | 活用方法 | ユーザー層(※7) | 月間アクティブユーザー |
LINE | 画像・動画 | メルマガのように文章や画像、動画を組み合わせて配信。会員証などの機能もある | 10代〜40代が中心 | 9,500万(2023年6⽉時点)(※1) |
YouTube | 動画 | 動画で商品の魅力を伝える。数分の短い動画から一時間以上のものまで投稿できる | 10代〜40代が中心 | 6,500万(2020年9月時点)(※2) |
X(旧Twitter) | 画像・動画 | 商品の魅力を全角140文字、あるいは半角280文字におさめて投稿。画像や動画を添えることもできる。投稿は拡散しやすい仕組み | 10代〜30代が中心 | 4,500万(2017年10月時点)(※3) |
画像・動画 | 主に写真で商品の魅力を発信。最近では動画やライブ配信を行うことも可能 | 10代〜20代が中心 | 3,300万(2019年3月時点)(※4) | |
画像・動画 | 商品情報を文章と画像または動画で発信 | 30代〜40代が中心 | 2,600万(2019年時点)(※5) | |
TikTok | 動画 | 15秒から1分程度の動画で商品の魅力を伝える | 10代〜20代が中心 | 1,700万(2021年8月)(※6) |
※1: LINEの特徴やユーザーを知る(LINE キャンパス)
※2 :月間 6,500 万ユーザーを超えた YouTube、2020 年の国内利用実態──テレビでの利用も 2 倍に(2020年12月、Think With Google)
※3: Twitter、日本の月間利用者4500万超え 1年で500万増(2017年10月27日、ITmedia NEWS)
※4:Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破(2019年6月7日、メタ・プラットフォームズ)
※5: フェイスブック ジャパン長谷川代表が語る「退任の真意」–独占ロングインタビュー(2019年7月8日、CNET Japan)
※6: TikTokマーケ成功の4条件 偶然の出合いが消費を生むメカニズム(2022年03月07日、日経BP)
※7: 令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(令和4年8月総務省情報通信政策研究所)
開封率が高い
LINEが2023年に発表した調査によると、ユーザーのうち「企業からのメッセージを読んだ」と答えた人は全体のうち約70%もいました。比較対象としてメールマガジンの平均開封率を見てみると、小売業では27%だということがメール配信システムのBenchmarkの調査からわかっています。このような結果から、LINE公式アカウントからの発信は多くの人の目にとまりやすいといえます。
参考:
・LINE Business Guide(Summary)(LINE株式会社)
・平均メール開封率・クリック率レポート (2022年度版) 業種別・地域別(国別)の最新情報(Benchmark)
無料ではじめられる
LINE公式アカウントは無料で開設できます。料金プランは月間で配信するメッセージ通数ごとに分かれており、月200通までは無料で配信が可能です。なおメッセージ通数の計算方法は、月間で送るメッセージの数×LINE公式アカウントの友だちの人数です。つまり200人の友だちに対して月に1回メッセージを配信する、100人の友だちに対して月に2回メッセージを配信する、など200通以内におさめることができれば、無料プランを利用できます。200通とは送信したメッセージの数ではなく、メッセージ数×友だちの数ですので、ご注意ください。
LINE for Businessの公式サイトには、いくつかの項目を記入すると適した料金プランを提案してくれる「LINE公式アカウント 売上シミュレーター」があるので、アカウント開設時にはLINEの料金プランのページとあわせてチェックしてみるといいでしょう。
さまざまな業種で使える
LINE公式アカウントには、多岐にわたる業種で活用できる機能が備わっています。ここでは小売・飲食・美容に絞って、活用例を見てみましょう。
▼小売店
新商品のお知らせ、クーポンの配布、ネットショップへの誘導など
▼飲食店
新メニューのお知らせ、クーポンの配布、ポイントカードの活用など
▼美容院やサロン
キャンペーンのお知らせ、クーポンの配布、予約の受け付け、ポイントカードの活用など
リピーター獲得につながる
LINE公式アカウントには数々の便利機能があり、リピーター獲得に役立つものも少なくありません。たとえばクーポンを配布できるのはもちろん、オーディエンスを細かく絞ったメッセージ配信も可能です。また、お客さまがLINEのアプリ上でポイントを貯められる「ショップカード」機能もあります。もちろん特典も設定しておけます。このような機能を活用すると、リピーター率の向上が狙えるかもしれません。
ネットショップへの導線が引ける
LINEではネットショップへの導線を引く方法がいくつかあります。一つ目は、メッセージ文にそのままネットショップのリンクを貼り付けることです。新商品の紹介文のあとに「お求めはこちら」などと書いて誘導することができるでしょう。
もう一つは、LINEのトーク画面下部に固定で表示させられる「リッチメニュー」という機能を活用することです。リッチメニューとは、ユーザーに最もアクセスしてほしいリンクをボタン形式で複数並べられるメニューです。外部リンクも設定できるため、ネットショップをボタンとして大々的にトーク画面に表示させることができます。パッと目に入るビジュアルを使い、ネットショップの認知度アップ、アクセスのしやすさに働きかけることができるでしょう。
集客に役立つLINEの機能
続いて、LINEで集客をする際に特に活用したい機能を見ていきましょう。月に200通まで送れる無料プランを選んだ場合でも、これらの機能はすべて利用できます。
メッセージ配信
商品を魅力的に伝えるためには、メッセージ配信機能を使いましょう。テキストに限らず画像も追加できたり、商品ページに飛べる画像付きのリンクも設置できたりと、発信した情報からお客さまがすぐに商品を購入できます。
あいさつメッセージ
あいさつメッセージとは、友だち追加時に送られるメッセージです。メッセージ配信と同様、テキストや画像を入れたり、クーポンを配布したりすることができます。
あいさつメッセージを集客に役立たせるには、
- 初回限定のクーポンを配布する
- 友だち特典の説明
などを含めて配信するといいでしょう。LINE for Businessのサイトに掲載されているインナーウエア商品ブランドの事例によると、LINE経由の売り上げの半数以上がクーポンを含めたあいさつメッセージからだそうで、あいさつメッセージは消費行動を促しやすいことがうかがえます。
参考:クリック率はメルマガの5.1倍!若年層を獲得したSHIROHATOのLINE公式アカウント活用戦略とは(LINE for Business)
クーポン
クーポンの配布は、LINEの友だちを増やすうえで効果的です。たとえばソーシャルメディアなど既存の発信チャネルを通して「お友だち限定のクーポンあります」と発信すると、友だちの数も着々と増えていくかもしれません。その後も友だち限定クーポンなどを定期的に配布していくことでLINE友だちならではの限定感を出し、店舗やネットショップの集客に役立てることができるでしょう。
LINEの調査によると、「企業から送られてきたクーポンを利用した」と答えた人は58%もいたそうで、ある程度の効果が見込めることがうかがえます。
参考:LINE Business Guide(Summary)(LINE株式会社)
リッチメニュー
「ネットショップへの導線が引ける」の章でも紹介したリッチメニューは、トーク画面の下部に固定で表示される各種リンクです。最もアクセスしてほしい箇所へのリンクをここにまとめておきましょう。集客の観点でいうと、ネットショップへのリンク、また店舗情報へのリンクなどは必ず設置しておきたいところです。
ひょっとしたらネットショップの開設はまだで、実店舗の集客だけしたいという人もいるかもしれません。実店舗も大切ですが、ウェブサイト(飲食店ならデリバリーサイト、美容サロンなら予約サイトなど)を用意しておくことも、近年では集客に欠かせないといえるでしょう。オンライン上ならお客さまは時間や場所を気にせずに商品を購入したり、サービスの予約ができたりするため、売り上げのアップがのぞめます。
ウェブサイトを開設するにあたって、あまりにもコストがかかると二の足を踏んでしまいますが、最近では無料ではじめられるサービスもあります。Squareもその一つです。Squareは実店舗向けにキャッシュレス決済を提供していますが、ウェブサイト作成機能「Square オンラインビジネス」も利用できます。無料プランを選べば、かかるのは決済手数料のみ。そのほかの費用は一切発生しないうえ、売り上げは最短翌営業日に振り込まれます。
ウェブサイトを開設する時間が見つけられない……という人には、Squareの決済リンク機能もおすすめです。商品やサービスの販売に適した機能で、商品名と価格を入力するだけで、商品ごとに購入ページを作ることができます。作業にかかるのはたったの数分。ウェブサイトを作るとなると店舗情報や画像を入れたりと、こだわりによっては完成までの工程数が多くなりがちです。この機能なら商品情報を入力するだけでオンライン販売がはじめられます。
▲Squareの決済リンク機能で作成できる商品ページ(イメージ)
肝心なのは、お客さまがメッセージの配信などを見て、「商品がほしい」「サービスを利用したい」と思ったときにすぐに手に入れられる手段を用意しておくことです。そのためにもLINEのアカウントからそのまま商品を購入できるような導線は必ず引いておきましょう。
友だち追加広告
集客をするにも、情報を配信する友だちの数が少ないと店舗やネットショップに呼び寄せられる人数も限られてしまいます。友だちの数を増やすうえでさまざまな企業に活用されるのが「友だち追加広告」です。広告は、LINEアプリ内のトーク画面上部に表示されます。属性などを絞って打ち出せるので、効率よく潜在顧客にアプローチすることができます。
ショップカード
LINEのポイントカード機能、ショップカードは再来店を促すうえで効果的です。ポイント特典を設定しておけば、お客さまも継続的に来店するメリットを感じやすいでしょう。
LINEチャット
LINE公式アカウントからの発信はどうしても一方的になりがちです。商品やサービスに関する不明点や店舗の営業時間、予約の空き状況などをすぐに聞ける体制も整っていると、集客や商品の購入にもつながりやすくなるかもしれません。このときに役立つのが1対1でコミュニケーションがとれるLINEチャットです。
この機能を活用すれば、お客さまは友人や家族などとやりとりをするように、店舗とやりとりができるようになります。リッチメニューに「問い合わせ」のボタンを設置するなどして、気軽に問い合わせができることをアピールしましょう。
LINEの集客を成功させるコツ
LINEの集客には上述の機能の活用も欠かせませんが、配信のタイミングや、適切な対策を心得ておくことも同じくらい大切です。ここではLINEでの集客を成功させるためのコツを見ていきましょう。
ブロック防止対策に取り組む
前項であいさつメッセージでのクーポン配布について説明しましたが、「それではクーポンだけ受け取って、すぐにブロックされてしまうのでは」と思った人もいたかもしれません。ブロックされてしまわないためにも、あいさつメッセージなどでは「友だちになると定期的に特典が受けられる」など、友だちでい続けるメリットを作り、伝えておくといいでしょう。
配信日時はターゲットの生活リズムに合わせる
せっかくメッセージを配信するのなら、お客さまが開封し、目を通しやすい曜日や時間帯を狙いたいところです。たとえば食品を取り扱っている場合はお昼前や夕食前など、おなかが空いてくる頃を狙って配信してみるなど、ターゲット層の生活リズムにあわせてみてもいいでしょう。
また、各アカウントからのメッセージがどっと流れてくる曜日や時間帯もあるものです。LINEの調査によると、多くのアカウントは金曜日に配信する傾向にありました。四方八方からメッセージが送られてくると、お客さまは一つひとつ開いて目を通すことを億劫に感じるかもしれません。開封率アップのためには配信があまり集中しない曜日や時間帯を狙うことも一つの案です。
分析機能を活用する
どんな内容の配信だと反応がいいかは、LINE公式アカウントに完備されている分析機能からある程度つかむことができます。お客さまの傾向を知るためにもこまめにチェックしておくといいでしょう。メッセージ内にあるリンクのクリック数やクーポンの開封率など、細かいところまで分析できるので、次の配信に生かせるデータが発見できるはずです。
LINEの集客で成功した事例
LINE for Businessの公式サイトには、LINEの公式アカウントの活用例を載せたページがあります。ビジネスの規模や業種などで絞り込んで事例を検索できるので、自分と似た業態のビジネスがどのようにLINEを活用しているかを知ることができます。導入の際に目を通しておくと、使い方のイメージが一段と湧いてくるかもしれません。
LINEの公式アカウントを活用した集客方法について説明してきました。幅広い層にリーチできるよう、まずはアカウントを開設してみてはいかがでしょうか。また、メッセージを受け取ったお客さまがほしい商品をすぐに手に入れられるよう、ネットショップの開設やオンライン販売への対応も忘れずに取り組んでおくといいでしょう。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2023年9月11日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash