正しく理解して労使関係を守りましょう、最低賃金制度とは

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2017年6月現在の東京都の最低賃金は時間額932円です。この額は、東京地方最低賃金審議会が審議の結果、前年の907円から25円分の引き上げを決めて改定されたものです。

賃金などの労働条件は、原則、労働者と使用者(従業員に対して賃金を支払う経営者など)との間で交渉によって決められます。しかし、労働組合などがない中小企業では、使用者が労働者に対して不当な低賃金を強要する場合も考えられるため、全ての労使が最低限度の生活が営むことができるよう、セーフティーネットの役割とし最低賃金が法律によって定められています。

賃上げは、最低賃金に近い賃金で働く労働者(例えば、パートやアルバイトなど時間給の雇用形態にある労働者)にとっては収入増加に繋がる分かりやすいメリットになるかもしれません。しかし、企業にとっては人件費の上昇を意味し、場合によっては労働需要の減少や人員削減を招くおそれもあります。このような事態にならないよう、最低賃金の意義を理解し、労働者のモラルや労働力の質的向上を実現し、離職率の低下や企業の生産性の向上に繋げていくことが重要です。

今回は、毎年引き上げの審議がされている最低賃金について、基本的な理解から計算方法や罰則まで、労使関係において知っておくべきポイントをお伝えします。

最低賃金とは

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最低賃金とは、最低賃金法に基づいて国が定めた賃金の最低額のことを指します。使用者は、従業員に適用される最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけません。

最低賃金には、地域別最低賃金特定最低賃金の二種類があります。

地域別最低賃金

地域別最低賃金とは、各都道府県ごとに定められた賃金の最低額のことで、全ての労働者とその使用者に適用されます。現在47件の最低賃金が定められています。

産業や職種、雇用形態(パートタイマー、アルバイト、臨時社員、正社員など)全ての労働者とその使用者に対して適用されます。派遣労働者の場合、派遣元の会社の所在地ではなく派遣先の最低賃金が適用されます。

地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に対し、金額改定の目安が提示され、この目安を参考にしながら各地方最低賃金審議会はそれぞれの地域の実情を考慮した地域別最低賃金額の改正に関する審議を行います。

地域別最低賃金の設定基準となる「労働者の生計費」、「労働者の賃金」、「通常の事業の賃金支払い能力」を総合的に考慮した上で、全国的な整合性を図るため毎年見直されています。

労働者と使用者は、該当する都道府県の最低賃金を把握しておくことが重要です。一般的に、大都市圏に近づくにつれ高く設定される傾向にあります。

参考:地域別最低賃金の全国一覧

特定(産業別)最低賃金

特定(産業別)最低賃金とは、特定の産業において定められている最低賃金です。2017年4月現在、全国で233件の特定最低賃金が定められています。

特定(産業別)最低賃金は、関係労使の申出に基づき、最低賃金審議会の調査審議を経て、地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認められた産業に定められます。

地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。

最低賃金の計算方法

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労働者に最低賃金以上の賃金を支払う義務は使用者にありますが、毎年審議される最低賃金はその都度見直される可能性があるので、全ての労働者と使用者は各自が支払われる賃金が最低賃金以上であるかを把握しておくことはとても重要です。

最低賃金の対象

雇用形態によっては残業代やボーナスが支払われる場合がありますが、最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金であるということを覚えておきましょう。したがって、賃金を計算するときは、実際に支払われる賃金から次の賃金を対象から除外する必要があります。

  • 結婚手当など 臨時に支払われる賃金
  • 賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
  • 所定労働時間を超えた時間の労働に対して支払われる賃金(時間外賃金、休日出勤手当、深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

最低賃金の計算方法

  • 時間給の場合

時間給の場合、1時間あたりに支払われている賃金(時間額)が最低賃金と同額もしくはそれ以上であることを確認します。

  • 日給の場合 

(日給 ÷ 1日の所定労働時間)が最低賃金額(時間額)と同額もしくはそれ以上であることを確認します。日額が定められている特定(産業別)最低賃金の場合は、日給が最低賃金額(日額)と同額もしくはそれ以上であることを確認します。

  • 月給の場合 

(月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間)が最低賃金額(時間額)と同額もしくはそれ以上であることを確認します。

  • 出来高払制・請負制による賃金の場合 

出来高払制や請負制によって計算された賃金の総額を、当該期間において総労働時間数で割った金額が最低賃金(時間額)と同額もしくはそれ以上であることを確認します。

例えば、基本給と除外対象ではない諸手当などの賃金形態が異なる場合(日給制と月給制など)、それぞれを上記の計算方法で時間額に換算し、それを合計したものを最低賃金額と同額もしくはそれ以上であることを確認します。

使用者の義務

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最低賃金法第八条では、最低賃金の適用を受ける使用者は、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に提示するなどして、労働者に周知させるための措置をとらなければならないと定められています。最低賃金の概要とは、例えば、最低賃金の適用範囲や効力発生年月日など、すべての労働者が自分が支払われる賃金が最低賃金以上であるかを正しく把握できるような情報のことで、周知が義務付けられています。

万が一、最低賃金額未満の賃金しか支払われていない場合、労働者はその差額を請求する権利があり、使用者はすみやかに応じる義務がります。場合によっては、地域別最低賃金に違反している時は使用者には50万円以下の罰金が(最低賃金法)、特定(産業別)最低賃金に違反している時は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働基準法)。

参考:労働基準法、守れていますか?今すぐ確認したい6つのポイント

また、仮に最低賃金額を下回る賃金を労働者、使用者双方合意で定めても、最低賃金法によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めになります。

前述の通り、全国の最低賃金は毎年審議されています。改定されたことに気づかないまま賃金を支払うようなことがないよう、常に最新情報を把握しておくことを心がけましょう。

参考:平成14年度から平成27年度までの地域別最低賃金改定状況

執筆は2017年6月16日時点の情報を参照しています。
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