貿易取引を始めるには!仕事の流れを紹介

「商品を輸出して海外で売ってみたい」「海外のまだ知られていない商品を輸入して国内で紹介してみたい」と国境を越えた商取引である貿易取引に興味を持つ人は少なくないでしょう。

今回は、貿易取引の特徴とその流れ、貿易取引を始めたいときや困ったときに参考になる情報を紹介します。

貿易取引の特徴

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貿易取引を理解するにあたって、国内での商取引とは異なる貿易取引の特徴を押さえておきましょう。

他国も関わる取引環境

貿易取引は国境を越えた取引になるため、取引先国の政情、法制度や税制が取引に大きな影響を与えます。世界には戦争や内戦などで情勢が不安定な国も少なくありません。また、国内事情や社会情勢によっては制度が頻繁に変わる可能性があります。たとえば2018年8月現在、アメリカと中国の間の制裁関税と報復措置の応酬の行方が注目を集めています。また、日本が関連するものの一例として、アメリカが自動車関税の引き上げを検討、示唆しています。

文化や商習慣の違い

取引のプロセスでは、個人にせよ企業にせよ日本と異なる文化を持つ外国の取引相手とのやり取りが発生します。日本では多くの人が似た環境で育ち、働き、以心伝心でコミュニケーションできる部分がありますが、貿易取引では文化や商習慣の違いに悩まされることが考えられます。相手の文化を理解しようと努め、臆せず日本の商習慣や考え方についてもきちんと言葉で伝える姿勢が重要になります。英語が世界の共通語になりつつありますが、英語以外が公用語として使われているようでしたら、現地の言葉でコミュニケーションができると打ち解けてスムーズな取引につながるかもしれません。

複数の通貨による為替リスク

貿易取引では日本円に加えて、相手国の通貨など、複数の通貨を扱うことがほとんどで、この点は軽視できません。国際情勢によって為替レートは日々変動していて、為替レートによって、収益に大きく差が出ることも考えられます。このような為替変動リスクに対しては、為替予約などが対策として考えられます。

長時間・長距離輸送

貿易取引では国内取引に比べて、取引にかかる時間が長く、商品を輸送する距離も長くなります。生鮮食品など劣化しやすい商品を扱う場合は輸送方法は特に気を遣う点です。商品に適した輸送手段をコストと合わせて検討することが重要になります。

貿易取引では通常の国内取引と異なるさまざまな違いに直面することになります。違いに戸惑うことも多いですが、違いの原因や違いにどう対処したらよいか考えて問題の解決に取り組みましょう。為替予約をする、保険をかけるといったリスクを小さく抑える手法も活用してみてはいかがでしょうか。

貿易取引の流れ

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貿易取引の一般的な流れは「検討・調査」「契約」「輸送」「決済」の4段階に分けられます。それぞれを詳細に見てみましょう。

検討・調査
貿易取引を検討する際、まず輸出または輸入したい商品やサービスがあるはずです。取引対象の詳細をよく検討し、取引先になる国や企業を検討します。取引先の候補が見つかったら経営状況など信用調査をすることも忘れないようにしましょう。法律や税制、文化や商習慣についても合わせて調査します。

契約
取引先や取引対象品が決まったら契約を結ぶ段階になります。日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトでは、商品価格だけでなく、トラブルが発生したときの対応など、取引にあたって、取り決めなければならない項目の概要が説明されています。取引について不明な点があればこの時点で入念に確認、納得がいかない点についてもしっかり交渉するようにしましょう。取引相手と合意に達したら、契約書を作成します。

参考:日本貿易振興機構

輸送
輸送手段を確保します。この過程では、相手国または日本の保税地域での通関処理が行われ、輸送されたのち、日本または相手国の保税地域で再度通関処理が行われ、国内または相手国の最終到着地へ商品が輸送されます。貿易取引における輸送は長距離かつ長時間で、さらにプロセスも複雑なため、商品の紛失や破損といったトラブルも十分考えられます。輸送にあたっては保険をかけることも忘れないようにしましょう。

決済
取引相手と結んだ契約の内容にもよりますが、定められた期日までに代金を支払います。

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貿易取引を始めたい、貿易取引で困ったときには

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貿易取引に魅力を感じたものの、国内取引と異なり、考慮しなければならないことがたくさんあることに面食らってしまったという人もいるかもしれません。また、トラブルが発生しないに越したことはありませんが、実際貿易取引を始めてみると思わぬトラブルが発生することもあるでしょう。

日本企業の貿易や海外進出を支援する組織として、経済産業省所管の独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO、ジェトロ)があります。JETROのウェブサイトには貿易取引の流れが掲載されています。ほかに、東京商工会議所も貿易取引の流れ、各手続の詳細をホームページ上で説明しているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考:
日本貿易振興機構(JETRO・ジェトロ)
貿易の流れ(JETRO)
海外ビジネスワークブック(東京商工会議所)

本記事では貿易取引の特徴、その流れ、貿易取引に役立つ情報を紹介しました。自社の商品を世界に送り出したり、海外の商品を日本で紹介したりするには、国内での商取引にはないたくさんのステップや壁があります。

それでも、まだ海外に知られていない商品を輸出したり、また、珍しい商品を輸入して日本のお客様を喜ばせたりできる貿易取引には、さまざまな困難を乗り越えて余りある魅力があるでしょう。

この記事をきっかけに貿易取引についてより詳しく知るところから始めてみてはいかがでしょうか。

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執筆は2018年9月5日時点の情報を参照しています。
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