コンセプトが​大事!​バー開業に​向けた​立地と​物件選びの​ポイント

日本語では​「酒場」と​訳される​バー​(Bar)。​色んな​種類の​お酒が​試せる​ショットバー​(ボトルキープなどを​せず、​お酒を​グラスで​一杯ずつ提供する​タイプの​バーを​指す和製英語)、​店内に​ジャズが​流れる​ジャズバー、​ビリヤードが​できる​プールバー、​ペンギンを​見ながら​お酒が​飲める​ペンギンバーなど、​街を​見渡せば、​さまざまな​タイプの​バーを​目に​するのではないでしょうか。

お酒を​出すと​いう​点では​他店との​差別化が​図りにくい分、​独自の​サービス内容や​コンセプトを​元に​した​ブランディングが​各バーには​求められます。​他にはない​魅力で​お客様の​「お気に入りの​バー」や​「行きつけの​バー」に​なって​常連客を​増やす​ことが​売り上げアップを​導き、​また​新規の​お客様への​口コミにも​繋がります。

とは​いえ、​バーの​基本的な​目的が​お酒の​提供と​いう​ことも​あり、​全ての​お客様を​集客ターゲットに​する​わけには​いきません。​これから​バーを​開業したいと​思っている​経営者は、​お店の​コンセプトを​はっきりさせ、​どんな​お客様に​来て​欲しいかを​明確に​した上で、​確実に​集客を​狙える​店づくりに​取り組む​ことが​重要です。

一方で、​他店には​無いユニークな​サービスや​魅力を​揃える​ことが​そのまま​集客に​直結するとは​限りません。​今回は、​集客や​売り上げを​左右するとも​いわれる​店舗開業・経営に​大切な​立地に​ついて、​バーの​物件選びと​併せてお話しします。

人通りの​調査

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バーを​開きたい​地域に​ついて​理解を​深めましょう。​人口に​関する​資料や​世帯の​居住状況は、​市区町村から​手に​入る​統計資料などで​調べる​ことができますが、​実際に​開業した後、​どのような​お客様に​どれくらいの​頻度で​来店して​もらえるかを​予測する​ことができません。

そこで、​バーを​開店する​候補地に​立ち、​前を​通る​人々の​動きを​観察しましょう。​調査は​昼間と​夜間の​両方に​行う​ことを​おすすめします。​人通りの​多い​少ないや、​どれくらいの​お客様が​飲食店を​探しているのかは​時間帯に​よって​異なります。​仕事帰りの​お客様に​宴会場と​して​利用して​欲しいのか、​食事を​済ませた​お客様に​お酒を​提供するのを​メインに​したいのか、​お店の​コンセプトに​合わせて​集客したい​お客様を​絞って​通行人の​動向を​観察してみましょう。

街に​立ってみて​初めて​気づく​ことも​多いかと​思います。​例えば、​当初は​18時開店で​食事も​提供する​バーの​開業を​考えていた​ところ、​近くの​事業所の​終業時刻に​合わせて​17時過ぎから​人​通りが​増える​ことが​分かったとします。​仕事帰りに​立ち寄れる​飲食店を​探している​お客様も​集客ターゲットに​含める​場合、​開店時間を​30分​早める​ことも​検討できるのではないでしょうか。

お店の​立地を​決めると​いう​ことは、​見込める​集客数を​知る​ことだけでなく、​営業時間の​見直しなど、​集客の​戦略にも​影響が​あるのです。

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入りやすさ=良い​立地とは​限らない?

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街の​通行人の​動向や​バーを​開く​候補地周辺の​人通りがだいたい​分かってきたら、​実際に​バーを​オープンした​時、​どのように​お店が​道行く​人の​目に​映るかを​想像してみましょう。​開業したばかりの​バーは、​知名度も​口コミも​ゼロに​近い​状態からの​スタートなので、​お店の​存在感を​どう​アピールできるかは​特に​意識する​必要が​あります。

スポーツバーなど、​賑やかな​雰囲気の​中で​お酒が​飲めるような​バーは​集客ターゲットの​幅が​広いので、​お店の​入りやすさを​重視した​立地が​好ましいです。​例えば、​駅から​近いビルの​一階の​角に​お店が​あると、​複数方面から​来る​通行人からも​見つけやすく​入りやすいのではないでしょうか。

しかし、​入りやすい​お店が​必ずしも​バーに​とって​良い​立地であるとは​限りません。​前述の​通り、​それぞれの​バーには​コンセプトが​あり集客ターゲットも​異なります。​お客様が​バーに​求める​サービスや​雰囲気も​それぞれ異なるのは​自然の​ことです。

例えば、​食事は​他の​場所で​済ませており、​バーで​静かに​お酒を​飲みながら終電までの​時間を​過ごしたいと​いう​お客様に​とって、​スポーツバーは​必ずしも​最善の​選択肢ではないかもしれません。​なるべく​人に​知られていない​場所で​静かに​飲む​ことができる​バーを​行きつけに​したいと​思っているかもしれません。​このような​お客様を​集客ターゲットに​する​場合、​見つけにくい​場所に​あっても​夜景が​見えたり街の​喧騒から​隔離されたような​落ち着いた​空間は、​魅力的で​「好立地」と​いえます。

集客ターゲットを​あまりにも​狭く​絞ってしまうと、​お店に​とっては​客入りが​少なくなり効率良く​売り上げを​上げられないので​デメリットと​感じるかもしれませんが、​隠れ家的な​バーを​好む​お客様に​とっては​行きつけの​バーに​しやすく、​貴重な​リピーター客獲得の​チャンスです。​大切な​顧客と​して​サービスを​徹底すれば、​定期的な​来店や​客単価アップが​期待できるのではないでしょうか。

バーの​立地を​考える​ときは、​常に​経営者の​「どんな​お店に​したいか」や​「どのような​お客様に​来て​欲しいか」と​照らし合わせながら、​オープンした​お店が​街の​風景に​どのように​当ては​まり、​通行人の​目に​どのように​映るかを​想像する​ことが​大切です。

参考:道行く​人を​店内に​誘う​カフェ看板の​作り方

物件選びは​慎重に

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次に、​物件選びです。​今回は、​バーを​含めた​飲食店開業では​一般的な​賃貸の​場合に​ついてお話します。

店舗物件は、​交通アクセスの​良さ、​築年数、​広さ、​家賃など、​さまざまな​要素を​考慮して​決める​ものですが、​これまで​述べて​来た​人​通り​コンセプトに​あった​立地も​併せて​意識しながら物件を​選ぶ​ことを​忘れないようにしましょう。

例えば、​スポーツを​観ながら​大勢で​賑やかに​食べたり​飲んだりできる​スポーツバーの​場合、​観戦を​目的と​する​お客様や、​食事を​目的と​する​お客様など、​来店目的が​異なってもなるべく​幅広い​客層が​来店できるように​「入りやすさ」を​意識した​物件が​好ましいです。​店内の​楽しい​雰囲気が​伝わるように、​ガラスを​多めに​使ったり、​入り口が​分かりやすい​物件を​探してみましょう。

隠れ家的バーで​あれば、​必ずしも​広さは​重要ではないかもしれません。​経営者一人で​お店を​回していたり従業員が​少ない​場合は、​広すぎる​物件を​借りても​人手が​足りず無駄に​なってしまいます。​照明や​音響の​配置など、​雰囲気が​演出しやすいような​間​取りかどうかなどに​着目すると​いいでしょう。

スケルトン物件と​居抜き物件

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店舗物件を​探していると​直面する​選択肢が、​スケルトン物件と​居抜き物件です。

前者は、​店の​内装や​設備が​一切ない​物件の​ことで、​水道、​ガス、​電気などの​基礎工事から、​厨房の​設置、​機材の​購入など​バーに​必要な​改装と​備品の​準備を​全て​自己負担する​必要が​あります。​莫大な​お金と​時間が​かかる​ことから、​すぐに​バーを​開業したい​人には​不向きかもしれません。​しかし、​店作りを​一から​始めると​いう​意味では、​予算の​都合は​ありますが​比較的​自由が​許されるかもしれません。

一方、​居抜き物件とは、​以前​借りていた​テナントが​営業していたままの​状態を​残した​物件を​指します。​店作りと​いう​意味では、​前者に​比べて​自由が​少ないかもしれませんが、​水まわりや​電気などの​基本的な​工事を​する​必要がなく、​場合に​よっては​家具や​食器まで​残っている​ことも​あるので、​初期費用と​準備時間を​大幅に​抑える​ことができます。​居抜き物件を​紹介している​不動産も​多く、​条件に​あった​居抜き​物件が​探しやすくなっているようです。

しかし、​以前​営業していた​店舗が​賃貸情報に​出されていると​いう​ことは、​何かしらの​理由で​閉店したと​いう​ことでも​あります。​なるべくどのような​事情で​閉店したのかを​調べておく​ことを​おすすめします。​どんなに​魅力的な​内装でも、​駅から​すごく​遠かったり​入り口が​分かりづらかったりすると、​十分な​集客が​見込めず​いつの​間にか閉店に​追い込まれた、​なんて​ことも​あるかもしれません。

また、​以前の​店舗で​使用していた​機材などを​そのまま​引き受ける​場合、​前テナントから​買い取る​必要が​ある​場合も​あります。​その際、​買い取る​機材に​故障が​無いかなど​事前に​よく​確認した上で​引き取りましょう。

店舗退去時の​物件引き渡しに​関する​ルールも​きちんと​確認して​おきましょう。​大家さんに​よっては、​スケルトン返し​(躯体の​状態に​戻す​こと)を​条件と​する​ことも​あります。​スケルトン物件を​借りるにしても、​居抜き物件を​借りるにしても、​原状回復の​必要性や​条件を​事前に​しっかり​確認しておく​ことが​重要です。

バーは​お店の​コンセプトを​反映しやすい​業種です。​ターゲットの​お客様に​長く​通って​もらえるような​店舗を​目指して、​コンセプトに​合わせた​立地や​物件を​念入りに​選びましょう。

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執筆は​2017年6月26日​時点の​情報を​参照しています。