融資やビジネスローンには、金利や返済期限などの利用条件が設定されています。借り換えでは、既存の借入を新たな借入に置き換えることで、これらの利用条件を更新できます。借り換えの申請が承認されて最終手続きが完了すると、以前の融資が全額返済され、新規借入の契約が成立します。
理想的な流れでは、借り換えによってビジネスの資金繰りが改善されることです。この記事では、借り換えを検討中の事業者に向けて、その仕組みを紹介します。
借り換えの仕組み
借り換えは、現在利用している融資から、他の融資に乗り換えることを指します。具体的には、一つの金融機関から受けている複数の融資を一本化する場合もあれば、A社の融資からB社の融資に乗り換える場合もあります。後者では、A社と契約している融資を一旦B社からの借入金で返済し、その後はB社に返済をしていきます。
借り換えと似た「おまとめローン」という言葉もありますが、おまとめローンは、A社やB社、C社など複数社からの借入をD社にまとめることを指します。
借り換えを行う理由
借り換えを行う理由は多くありますが、最も一般的なのは、金利を引き下げるためです。今よりも金利に借り換えることで、総返済額を減らすことができます。現在の借入を契約したタイミングによっては、借り換えによって金利を引き下げられる可能性があります。また、借入後に事業の収益が拡大した場合も、より有利な金利を期待できるかもしれません。
借り換えを行うもう一つの理由は、変動金利型の借入から固定金利型の借入に切り替えるためです。変動金利型では、市場の金利に応じて毎月の返済額も変動します。一方、固定型は全期間にわたって金利が変わりません。金利が低ければ、この選択肢が有利になる場合もあります。さらに、月々の返済額を見通しやすいというメリットもあります。
資金繰りに課題を抱えているのなら、借り換えにより、返済額を業績に見合った額に下げられる可能性があります。合わせて、金利を下げる、または返済期間を延長することで月々の返済額が減ると、他の費用や事業への投資に充てる資金を確保できます。
借入が複数ある場合、それぞれを個別に借り換えるのではなく、一つの新しい借入にまとめることを検討しましょう。負債をまとめることで、月々の返済額を減らし、返済期間を短縮できる可能性があります。
借り換えを利用できる融資の種類
あらゆる種類の借入で利用できます。代表的なのが、住宅ローンです。運転資金や設備への融資など、事業者向け融資も借り換えが可能です。たとえば、日本政策金融公庫では「公庫融資借換特例制度T」という制度を設けています。
借り換えを利用するには
借り換えには審査があります。金融機関によって必要な書類が異なるため、申し込む前に確認することをおすすめします。合わせて、現在の融資残高と金利を確認して、借り換えが理にかなっているかどうかを確かめましょう。
借り換えには手数料がかかるため、借り換えによって節約できる金額がそれを上回ることが前提となります。一般的には10万円前後の手数料がかかるといわれています。借り換えシミュレーションなどのツールを利用して、適切な借り換えかどうかを判断しましょう。
次に、審査に必要な情報を準備します。金融機関は、事業者本人とビジネスの両方の情報を求めてきます。主に以下のような書類の提出が求められます。
- 本人確認書類
- 確定申告書
- 決算書
- 銀行の取引明細書
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 事業計画書
同じ金融機関でローンを借り換えることも、新しい金融機関を探すこともできますが、複数の金融機関の金利や期間、手数料を必ず比較しましょう。
借り換えのメリットとデメリット
借り換えのメリット
- 金利を下げることで、融資期間全体にわたって、月々の返済額と利息の総額を引き下げられる場合があります。
- 返済額を減らすことで、毎月のキャッシュフローを改善できます。
- 借り換えは、借入を増額して運転資本を増やせる機会となります。
借り換えのデメリット
- 借り換えで節約できる金額を手数料が上回り、新しいローンが以前よりも高額になる場合があります。
- ローン期間の延長により、支払う利息が増える場合があります。
- 他の金融機関に乗り換えることで、前の金融機関との関係性が悪化する可能性があります。
最適な決断を下すためのヒント
借り換えにより返済期間を短縮できる可能性もありますが、必ずしも正しい選択とは限りません。メリットとデメリットを慎重に比較し、借り換えが理にかなっていることを計算して確認したうえで、最適な条件と金利を探しましょう。十分に情報を得たうえでの決定は、事業の長期的な成長と安定性につながります。借り換えは場合によっては、成長戦略のカギとなる可能性があるのです。
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執筆は2024年3月7日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash