ICTでスモールビジネスの業務を効率化する方法とは? IT、IoTとの違いも解説

ビジネスの現場運営に課題を感じているなら、ICTを活用するという選択肢があります。無料のICTツールでも、最新技術を使ったアプリやプラットフォームを導入すれば、業務の効率化や人材不足の解消に大きな力を発揮します。ICTをより使いこなすために、ICTとは何か、ITやIoTとの違いや活用のメリット、利用事例などを解説します。

ICTとは

ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」や「情報伝達技術」と訳される概念です。メッセージ送信や通話に使えるスマートフォンアプリや、書類や画像をオンラインに保存し共有できるクラウドサービスなど、ICTを使ったツールは既に日常生活やビジネスに深く浸透しています。

「情報技術」と訳されるIT(Internet Technology)と比較すると、ICTは「コミュニケーション」の部分、つまり人やモノのやりとりにフォーカスした技術である点が特徴です。

IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と訳され、ITやICT技術を使ったシステムを指し、スマートフォンで出先からでも操作できるエアコンや照明器具などのIoT家電が知られています。

ICTが今、日本でも注目されている背景には、総務省を中心とした社会課題解決へのICTの積極的な利用促進があります。地方活性化や人材、教育、医療などさまざまな分野でICTを活用する方針で、働き方改革においてもICTを使ったテレワークなどの施策を掲げています。ICTは、大企業だけでなく、人材資源に悩む中小規模のビジネスにおいても大きな効果を発揮します。

参考:ICT利活用の促進(総務省)

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ICTを活用するメリット

ICTによる「コミュニケーション(伝達)」の要素をビジネスに加えることで、具体的に以下のようなメリットが考えられます。

  • 顧客サービスが迅速になる
  • 情報共有が簡単・活発になる
  • 意思決定が迅速になる

たとえば、旧式のレジ機器では会計時に売上情報を蓄積し、1日の終わりに集計することまではできても、1カ月、1年という単位で平均算出や比較をするためには、集計用のソフトなどに別途入力する手間がありました。人間の手による入力は人件費がかかるだけでなく、ときには間違いも発生し、その修正にも時間がかかります。

しかしICTを活用したシステムでレジでの会計から情報集計や管理、分析までを一括してできれば、売り上げの伸びる時期や売れ筋商品などの傾向が自動的にわかり、販促活動などにもすぐデータを役立てることが可能です。メンバーシップカードのデータを紐付ければ、ICTの導入により顧客サービスをより充実させることもできます。

さらに、集計されたデータを即時的に他の端末でも確認できれば、経営者が休暇や出張中で現場を離れていても遠隔でデータを確認して指示を出せる、というメリットもあります。ICTは、情報共有や意思決定といったビジネスの重要なファクターを効率化させ、経営や業務を加速度的に成長させるポテンシャルを秘めたツールなのです。

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スモールビジネスでのICT活用方法

実際にスモールビジネスにICTを導入する場合、以下のような活用方法と効果が考えられます。

ICT活用法(1) ミーティングを効率化
定例会議から人材採用の面談まで、これまで「対面」を前提としていたミーティングの多くは、ビデオ通話サービスなどのICTツールを使ってオンラインで実施することが可能です。国内外の遠隔地の取引先、出張中の人、他支店・支社の人など、会議室に同席できない人がいても、ICTを活用すればミーティングの日程を変更することなくスムーズにディスカッションができ、決定事項の承認など意思決定にも時間がかかりません。

これにより効率的な業務が実現できるだけでなく、顔を見て意思疎通を図ることで複数の店舗や事業所で働く従業員同士に一体感が生まれることもポイントです。日頃からコミュニケーションがしやすい環境ができていることで、トラブルや緊急時の情報共有も円滑化され、現場での問題が顕在化するまで何も知らなかったというような事態を防ぐことにもつながります。ICTを活用したミーティングのためのビジネスツールとしてはSkypeZoom.usが世界的によく使われ、日本語版も普及しています。

ICT活用法(2) 多様な「働き方」を支援
ICTの力で、働き方の多様性を確保することも可能です。メールより気軽で即時性の高いチャットツールや、書類や画像などを共有できるオンラインストレージを使えば、デスクワークを同じ空間で行う必然性は低くなります。

たとえば、電話対応や請求書作成などの事務作業。担当者がICTツールを使って自宅で作業できれば、オフィスに出勤できない事情があっても問題なく働けます。急な休みや時短勤務が必要となる子どもがいる家庭からの職場復帰は従来、フルタイム雇用を希望する企業とのミスマッチにより、高い壁に阻まれていました。しかしICTを活用してリモートワークを可能にすれば、働く意欲と時間のある人材に活躍してもらう環境ができます。

GoogleドライブDropboxのようなクラウド型のオンラインストレージで書類などのデータをやりとりし、チャットワークSlack(スラック)上のチャット形式の会話で業務内容や進行状況の確認をすれば、どこにいてもまるで隣室にいるかのようにスムーズに仕事ができます。

ICT活用法(3) 保有情報の価値を最大化
ビジネスの財産である情報の価値を最大化するために、ICTは大きな役割を果たします。営業日報や議事録のように定期的に作成される書類も、紙での共有では、必要なときに過去の記録をさかのぼって探すことが難しいという弱点があり、アクセス性や保存の永続性も難点です。

しかしICTを使ったクラウドサービスなどに情報を保存しておけば、スマートフォンやタブレット端末で出先から確認できたり、容量次第で大量のデータ保存にも対応できたりと、利便性が大きく向上します。迅速にデータを活用できることで、機会損失を減らし、ベストなタイミングで営業や販促が行えます。出先から隙間の時間に日報や進捗報告を書くことができれば、時間の有効活用になります。

たとえば顧客情報をICTツールで管理する場合、営業担当者が変わったときに情報の引き継ぎもスムーズで、担当者が休みのときも代理の人が情報を確認して顧客対応をしやすいというメリットがあります。ICTツールを使った情報共有は、アクセス権の制限も管理者が自由に設定できる場合が多いため、セキュリティー面でも安心です。

ICT活用法(4) 災害・緊急時の対応を強化
ICT導入による働き方の変革は、自然災害の発生時にもビジネスを円滑に継続できる可能性を提示しています。自宅は被災せず本人も無事でも、交通網が機能しないために出社できないとしたら、ICTツールの出番です。

自宅のパソコンやタブレット端末から、顧客情報を確認し、取引先と連絡を取り、従業員の無事を確認し、物流や在庫状況を確認し、必要な人員や商品を手配でき、問い合わせの対応もできるとしたら、非常時でもビジネスの動きを止める必要はありません。ICTツールとインターネット環境は災害に強いビジネスモデルの実現につながります。

このように、ICTは既に身近にあるテクノロジーです。新しいツールを柔軟に試し、導入していくことで、ICTはビジネスの価値を高め、可能性を広げてくれます。

執筆は2019年12月5日時点の情報を参照しています。
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