医療費控除・セルフメディケーション税制を解説!病院代・薬代は対象?

※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。

確定申告の時期が近づき、前年の経費を振り返っていると「この病院代は経費になるの?」と考える個人事業主の人もいるかもしれません。個人事業主本人の病院代は、原則として事業の必要経費にはなりませんが、医療費控除やセルフメディケーション税制といった制度の対象になる可能性があります。

医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに受けられる所得控除です。個人事業主も確定申告で適用を受けられます。また、医療費控除の特例として期間限定で導入された「セルフメディケーション税制」は税制改正により延長され、2026年分の確定申告でも引き続き利用できるようになりました。

ただし、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併用することはできない1など、注意点もあります。この記事では、医療費控除とセルフメディケーション税制の違いや制度の変更点、申告方法などを解説します。

📝この記事のポイント

  • 医療費控除は、年間医療費から保険金などの補てん額と一定額を差し引いて計算する所得控除
  • セルフメディケーション税制は、健康診断など一定の取り組みを行い、対象医薬品の年間購入額が1万2,000円を超える場合に利用できる
  • 医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、どちらか一方を選ぶ必要がある
  • 個人事業主本人の病院代や薬代は原則として経費にできないが、従業員の健康診断費などは条件付きで必要経費にできる
  • Square POSレジやSquare 請求書を活用すれば、日々の売上管理や請求・入金状況の確認を効率化できる
目次


医療費控除とセルフメディケーション税制

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まずは医療費控除とセルフメディケーション税制の違いを理解しましょう。

医療費控除とは

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までに自分自身もしくは生計をともにする配偶者や親族のために支払った医療費の総額が一定額を超えると、所得控除が受けられるという仕組みです。所得控除を受けると課税所得が低くなるので、所得税や住民税の節税につながります2。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進および疾病の予防への取り組みとして一定の健康診査や予防接種などを行い、自分自身や生計をともにする家族のために特定の医薬品に対して支払った金額に適用される医療費控除の特例です。適切な健康管理を推奨するために導入された制度で、健康診断や予防接種などを行い、対象医薬品の年間購入額が1万2,000円を超えた場合、その超過分(上限8万8,000円)が控除されます3。

2017年に導入された当初は、2021年12月31日までの期間限定の制度でしたが、その後の税制改正により延長されました。さらに2027年からは、対象となるスイッチOTC医薬品について適用期限が撤廃され、恒久的な制度となります。それ以外の対象医薬品についても、2031年末まで適用期間が延長されます11。

医療費控除とセルフメディケーション税制の控除額

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医療費控除とセルフメディケーション税制では、所得控除の金額の計算方法が異なります。

(1)医療費控除

(年間医療費-保険金などの補てん額)-(10万円と総所得金額等の5%のうち少ない額)=控除額(上限200万円)2

医療費控除には、対象になるものとならないものがあります。いくつか例をみてみましょう。

・医師・歯科医師の診療・治療費(原則対象外:健康診断・謝礼)
・治療に必要な薬代(対象外:予防用ビタミン剤など)
・通院の公共交通機関の費用(対象外:自家用車のガソリン代・駐車場代)
・子どもの治療上必要な歯列矯正(対象外:美容目的)
・緊急時など公共交通機関を使えない場合のタクシー代4

(2)セルフメディケーション税制

対象医薬品の年間購入金額(保険金などで補てんされる部分を除く)-1万2,000円=所得控除額(上限8万8,000円)3

スイッチOTC医薬品とは、医療用医薬品として使われていた成分が一般用に転用され、薬局やドラッグストアなどで購入できるようになった医薬品です。セルフメディケーション税制はこのスイッチOTC医薬品に加え、かぜ薬や解熱鎮痛薬など一部のスイッチOTC医薬品以外の市販薬も対象になります。また、年間購入金額は、保険金などで補てんされる部分を除いて算出します。

ただし、すべての市販薬が対象になるわけではありません。2026年1月からは、メコバラミンなど特定の有効成分を含む医薬品が対象から除外されています。対象商品は、購入時のレシートの表示や厚生労働省の「対象品目一覧」で確認できます5。

医療費控除の計算に使う「総所得金額等」とは

総所得金額等とは、事業所得や給与所得、不動産所得などを、税法上の一定のルールに従って合計した金額です。売り上げや年収そのものではなく、収入から必要経費などを差し引いて求めた所得金額を基に計算します。前章の計算式にもあったように、医療費控除の計算にはこの総所得金額等を使用します。

個人事業主と法人役員の所得金額の計算方法は次の通りです。

(1)個人事業主

個人事業主の事業所得は、事業による収入金額から必要経費を差し引いて計算します。青色申告の場合は、要件に応じて青色申告特別控除も適用できます。

収入金額-必要経費-青色申告特別控除額(10万円、55万円または65万円)=事業所得の金額

不動産所得がある場合も、基本的には収入から必要経費を差し引いて計算します。青色申告特別控除の適用額は、記帳方法や申告方法などの条件によって異なります7。

(2)法人役員

法人役員は会社から役員報酬が支給されるため、原則として給与所得となります。給与所得の基本的な計算方法は次の通りです。

年収-給与所得控除額=給与所得の金額

給与所得控除額は年収に応じて異なり、2026年分にも改正があります。詳しくは国税庁のウェブサイトをご確認ください8。

(3)他の所得金額も合算する

総所得金額等を計算する際は、事業所得や給与所得、不動産所得に加え、株式投資や暗号資産の取引、不動産の売却などによる所得も、税法上のルールに従って合算します。所得の種類によって計算方法が異なり、損失の繰越控除などが影響する場合もあります9。

医療費控除では、この「総所得金額等」が200万円未満の場合、年間医療費から差し引く金額が10万円ではなく、総所得金額等の5%になります。

たとえば、総所得金額等が150万円であれば、差し引く金額は7万5,000円です。保険金などによる補てんがない場合、年間医療費が10万円でも2万5,000円の医療費控除を受けられます2。

セルフメディケーション税制を受けるための条件

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セルフメディケーション税制は、対象医薬品の購入だけでは所得控除を受けることができず、健康の保持増進や疾病の予防に関する一定の取り組みも必要となります。

具体的には次の通りです。

・健康保険組合や市区町村国保などが実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診など)
・市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者などを対象とする健康診査)
・予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
・勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
・特定健康診査(メタボ健診)、特定保健指導
・市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

なお、これらの取り組みは、セルフメディケーション税制の適用を受ける本人が行う必要があります。生計を一にする配偶者や親族が取り組みを行っているだけでは、適用条件を満たしません3。

個人事業主の医療費・病院代は経費になる?

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経営者本人の病院代や薬代は私的な支出であり、原則として事業の必要経費にはできません。ただし、要件を満たす場合は医療費控除またはセルフメディケーション税制の対象として、経営者本人の所得金額から控除できます。

一方で、経営者が従業員の健康管理を目的に負担する健康診断などの費用は、条件を満たせば福利厚生費として経費計上できる場合があります。たとえば、経営者が法人の役員を務めており、会社として従業員全員や一定年齢以上の希望者全員を対象に、健康診断や人間ドックを実施している場合は、経営者自身もその対象に含まれるため、受診費用を会社の福利厚生費として経費計上できるというケースです。個人事業主が雇用する従業員の健康診断費についても、同様に条件を満たせば必要経費となります。

ケース 経費としての扱い
個人事業主が自分の病院代・治療費を支払う ❌原則、事業の必要経費にできない
法人の社長・役員が自分の病院代・治療費を支払う ❌原則、会社の福利厚生費にできない
法人が役員・従業員を対象に健康診断や人間ドックを実施する ⭕️条件を満たせば福利厚生費にできる
個人事業主が雇用する従業員の健康診断費を負担する ⭕️条件を満たせば必要経費にできる

ただし、特定の役員や従業員だけを対象とする場合などは、福利厚生費として認められず、給与として課税される可能性があります10。

医療費控除の確定申告に必要な書類

医療費を支払ったり、健康診断を受診したりすれば、領収書や診断結果表などの書類を受け取るのが一般的です。医療費控除やセルフメディケーション税制を受けるためには、書類の保管がポイントとなってきます。

医療費控除では「医療費控除の明細書」を提出し、領収書を原則5年間保存します。必要事項を満たす医療費通知を添付した分は保存を省略できます6。

セルフメディケーション税制でも専用の明細書を提出し、購入した医薬品の領収書と健康診断などの取組を示す資料を原則5年間保管します3。

確定申告に備えた売上管理に役立つSquare

経営者や個人事業主にとって、確定申告シーズンは忙しい時期です。売上金額や経費の帳簿を確認するうえに、医療費控除の適用を受けるなら、医療費の明細書や領収書などの確認も必要になります。申告直前に事業の取引を一から整理するのではなく、日頃から売り上げや利益を正確に把握しておくことが大切です。そこで役立つのが、キャッシュレス決済や販売管理を支援するSquareの各種業務ツールです。

Square POSレジで売り上げを記録する

Square POSレジは、商品やサービスの販売時に会計を受け付け、販売した商品、数量、金額などを取引ごとに記録できるPOSシステムです。現金での会計や、Squareで受け付けたキャッシュレス決済の情報もまとめて確認できるため、レジの記録を見返しながら日々の売り上げを把握できます。

売り上げの集計には、Square データのレポート機能も便利です。商品ごとの売れ行きや日別・月別の販売状況、取引履歴などを確認でき、売上レポートをCSVファイルに出力できます。確定申告の準備では、取引記録を確認しながら会計帳簿との照合を進められるため、記録漏れなどの見直しにも役立ちます。

Square POSレジは無料で利用でき、かかるのはキャッシュレス決済を受け付けた際の決済手数料のみです。

SquareのPOSレジは高機能なのに初期費用0円

Square POSレジは業務効率化を実現する、高機能な無料アプリです。売上分析、在庫管理、スタッフ管理など、必要な機能が1つのアプリにまとまっています。業務をなるべくシンプルにしたい、小規模なアパレル店、美容院、理容室、サービス業に適しています。

Square 請求書で請求と入金を管理する

取引先に請求書を送って代金を受け取る事業では、Square 請求書が役立ちます。見積書や請求書をオンラインで作成し、メールやSMSなどで送信できます。お客さまは届いた請求書からオンラインで支払えるため、紙の書類を印刷・郵送する手間を減らせます。

送信した請求書の支払い状況はSquare データなどから確認でき、未払いの請求書を絞り込んで把握することも可能です。請求書の送信予約や定期送信、支払いのリマインダーを活用すれば、請求漏れや入金確認の負担も軽減できます。請求から支払いまでの履歴を普段から残しておくことは、確定申告時に必要な情報を探す負担の軽減にもつながります。

まとめ

この記事では、医療費控除やセルフメディケーション税制について解説しました。両制度は併用できないため、それぞれの対象となる費用や控除額、適用条件を確認し、自分に合った制度を選びましょう。個人的な医療費や薬の購入費用などは経費として計上できませんが、従業員に健康診断などを提供している場合は、条件を満たせば福利厚生費として経費計上できる場合があります。確定申告に必要な明細書の作成や領収書の保管も忘れずに行いましょう。

よくある質問

医療費控除の対象や確定申告の手続きについて、よくある質問を紹介します。

医療費が10万円以下でも控除されますか?

総所得金額等が200万円未満なら、差し引く額はその5%となり、10万円以下でも対象になる場合があります2。

個人事業主の病院代は経費になりますか?

個人事業主本人の病院代や薬代は私的な支出であり、原則として事業の必要経費にはなりません。要件を満たせば、医療費控除またはセルフメディケーション税制で所得控除を受けられる場合があります。一方、法人が役員・従業員を対象に実施する健康診断や人間ドックは、条件を満たせば経営者本人の受診費用も福利厚生費として計上できます。個人事業主が雇用する従業員の健康診断費も、条件付きで必要経費にできる場合があります10。

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できますか?

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません1。どちらか一方を選んで申告しましょう。


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執筆は2018年7月9日時点の情報を参照しています。2026年10月15日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。