経営の手綱を握る経営者。その責任感から、休日でもつい仕事のことを考えてしまったり、常に仕事をしていないと落ち着かなかったりするかもしれません。ただし、経営者もひとりの人間です。定期的に休暇を取らないと精神面、身体面の不調を招きかねません。
今回は経営者の休暇の取り方や過ごし方について、意識しておきたいポイントを紹介します。
休むことの大切さ
働き方や休み方の見直しは、いまや大きな問題となっています。厚生労働省では
「適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。社員の能力がより発揮されやすい環境を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます」
として、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進を提唱しています。
また、厚生労働省が発行している「有給休暇ハンドブック」では、休暇の取得によって発生する業務の引き継ぎから、「業務の非効率な部分のチェックができる」「従業員の多能化が図れる」など、業務効率化にまつわるさまざまなメリットが紹介されています。
経営者も働き手のひとりとして適切に休暇を取る必要があります。また、企業のトップが上手に休む姿を見せることは、従業員の休みやすさにも影響します。健全な労働環境を提供し、事業を発展させていくためにも、経営者自らが率先して休暇をとり、社内に休みを取りやすい雰囲気を生み出すことが大切です。
経営者のワーク・ライフ・バランス
経営者が理想的なワーク・ライフ・バランスを取るために、どのようなことを心がけると良いでしょうか。ヒントをいくつか紹介します。
時間による自己管理
経営者という立場から、会社の始業、終業時間どおりに行動することは難しいかもしれません。オンとオフの意識を持つことを目的として、仕事に関わる時間を明確に決め、その時間内でのみ働くというルールを自分に課すこともひとつの方法です。
また、休日にどうしても働いてしまう場合は、「休日でも働いて良い」と割り切ってみるのも有効かもしれません。ここでのポイントは「休日に仕事をする時間を決める」ことです。「午前中の2時間だけ」など時間の枠を決め、その時間内でのみ働くようにすれば、公私の境界が明確になるうえに、集中力が高まる効果も期待できます。
意識を変える
休むことに対しての意識を変えるという方法もあります。休暇を取ることも仕事の一部だと考えるようにすれば、休むことへの精神的なハードルが下がり、より充実した休息時間が得られるようになるでしょう。自身で効果を実感できたら、従業員にも「休暇を取ることは仕事の一部である」という意識改革をすすめ、社内全体のモチベーション向上を図るのも良いかもしれません。
従業員を信頼し、仕事を任せてみる
事業を推進していくうえで、「思い描いたどおりに組織を動かしたい」というのが経営者の心情ですが、「多少は思い通りにいかない部分があってもしょうがない」と割り切って、従業員にある程度の裁量を持たせて仕事を任せてみることも大切です。
これまで経営者自身が行っていた責任ある仕事を徐々に従業員に譲渡することにより、自身が仕事に費やしていた時間が削減でき、休む時間を得られるようになります。さらに従業員にとってみれば、自分を信頼してもらえたと感じられるため、やる気が高まり、スキル向上のチャンスにもなります。
たとえば、小売業や飲食業などでSquare POSレジを利用している場合、スタッフ管理機能を使って権限レベルを設定することができます。ぜひ導入を検討してみてください。
休むための場所を作る
上手に休むためには、時間の制約を課したり、休むことへの意識を変えてみたりすることに加え、地理的な制約を設ける手段もあります。休暇を過ごすための場所を決めてそこに赴き、外部との関わりを強制的にシャットアウトする方法です。
休暇を過ごすための場所は、隠れ家的な別荘や、日常とは違った環境にあるホテルや旅館などが挙げられますが、アウトドアの愛好家であればキャンプなども良いかもしれません。
休みの過ごし方
休みを取り慣れていない経営者にとっては、有効な休暇の過ごし方がなかなかひらめかないかもしれません。参考として、充実感を得やすい休暇の過ごし方のヒントを紹介します。
家族や友人と過ごす
仕事との接点を持たない家族や友人は、プライベートな気分を高めてくれる存在といえます。予定を合わせて、休暇を家族や親しい友人・知人とともに過ごしてみるのも良いかもしれません。仕事上では見せられない、ありのままの自分をさらけ出せる環境に、心の底からリラックスすることができるでしょう。
運動をする
精神面だけでなく、身体面でのリフレッシュ効果も期待して、体を動かしてみるのも良いでしょう。2016年度にスポーツ庁が行った調査によると、週に一度以上の頻度で定期的に運動をしている人は、定期的に運動をしていない人に比べてより充実感を得ているという結果が出ています。週に一度以上、定期的に休みを取って運動をする習慣を持つのもオススメです。
参考:平成28年度体力・運動能力調査の結果について(スポーツ庁)
天候に左右されずさまざまな運動ができ、インストラクターから丁寧な指導も受けられるスポーツクラブなどを利用して、体を動かす時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
読書をする
普段なかなかまとまった時間が取れず、読みたい本が積みっぱなしになっているような人にとっては、休暇は読書にうってつけの時間です。趣味に関する本や小説なども良いですが、仕事が気になる人は、ビジネス書を読むのも良いでしょう。「休みがあるから本を読む」のではなく、「読みたい本があるから休みを取る」という発想で休暇を取るのもひとつのアイデアといえます。
「家族と過ごす」「運動をする」「読書をする」と三つの休暇の過ごし方を挙げましたが、いずれかひとつに絞り込んで過ごすもの良いですし、すべてに時間を割くというスタイルも悪くありません。
自分自身に合った過ごし方で休暇を有効利用し、健全な企業経営に臨んでみてはいかがでしょうか。
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執筆は2018年6月18日時点の情報を参照しています。
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