従業員の評価をしたり、新しい人材を採用したりするとき、「この人は自社にどのようなスキルや経験を提供してくれるか」は判断材料のひとつとなるでしょう。
今回は、「会社が従業員に提供する価値」であるEVPについて紹介します。
EVPとは
EVPとはEmployee Value Proposition(エンプロイー・バリュー・プロポジション)の略で、「従業員に対する価値の提供」を意味しています。給与やボーナスに代表される金銭的な報酬が代表的な価値ですが、その他にも、たとえば福利厚生の充実やワーク・ライフ・バランスの取組、資格取得補助制度などがEVPの例として挙げられます。「この従業員は自社に何をもたらしてくれるか」ではなく、視点を変えて「会社として従業員に何を提供できるか」という考え方です。
欧米企業では、採用プロセスの中で具体的なEVPを求職者に書面で提示しています。
参考:アジアでの事業展開に必要な「組織作り」(アデコ株式会社)
EVPは、グローバルな会社だけでなく、働き方の多様化が進む今、業種や規模を問わず多くの会社にとって必要なものではないでしょうか。
EVPを考えるメリット
EVPを重視することは、従業員だけでなく、会社にとってもメリットがあります。
従業員満足度の向上
従業員に高い価値を提供している会社の従業員は、在籍期間が長くなるほど多くの価値を会社から享受できるでしょう。会社に対する従業員満足度が高くなり、離職率の低下につながると考えられます。
顧客満足度の向上
従業員満足度の高さは、顧客満足度の向上につながることもあります。会社への満足度はそのまま日々の仕事へのモチベーションに反映されるのではないでしょうか。また、離職率の高い会社は担当者が頻繁に代わるため、お客様との長期的な関係を築くことが難しいことも考えられます。
人材確保
従業員にとって魅力的なEVPを提供しようとする会社の姿勢は、従業員だけでなく、採用活動において多くの候補者に魅力的に映るでしょう。求める人材の確保にもつながります。
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自店限定カードを作る自社のEVPは何か
あなたの会社のEVPは何か、今後どんなEVPを提供できるのか。EVPを考える際のヒントを紹介します。
まずは、自社の強みや他社にはないユニークな点は何かを分析してみましょう。経営者が一人で考えるのではなく、さまざまな立場の従業員の声を聞くことが大切です。「時間を無駄にしない!効果的なブレーンストーミングの進め方」の記事もぜひ参考にしてみてください。
たとえば、EVPの例として
・高い給与やボーナス
・キャリア開発支援
・ブランド力
が挙げられます。
高い給与やボーナス
高い給与やボーナスはEVPとして即効性がある要因のひとつでしょう。しかしながら、金銭的なメリットだけでは、長期的な効果は期待できません。他社がより高い給与を提案すれば、転職してしまうからです。
キャリア開発支援
従業員にキャリア開発支援を提供することも効果的です。キャリア開発とは、従業員のキャリアアップやキャリアチェンジの実現を会社がサポートすることです。研修やコーチング制度の充実、在籍年数に関係なく希望する仕事のチャンスを提供するなど、会社全体で従業員のキャリア開発を支援することが大切です。
ブランド
「この会社だから」「この商品やサービスだから」など従業員が自社に在籍していること自体を誇りに思えるようにしましょう。ブランド力を高めることが方法のひとつです。「あらためて考える、ブランディングの大切さ」の記事もぜひ参考にしてみてください。
EVPを伝える
自社についての分析を通して、従業員にどのような価値を提供できるか、提供したいかが明確になったら、従業員に伝えましょう。組織のトップである経営者が自ら伝えることで、会社全体の取り組みであることをアピールできます。従業員に配るブランドブックなどに記載してみてはいかがでしょうか。「ブランディングの効果を上げる!インナーブランディングとは」の記事もぜひ参考にしてみてください。
そしてEVPを採用活動のときに、候補者にも明確に伝えましょう。「候補者が会社に求める価値」と「会社が従業員に提供できる価値」にギャップがある場合、入社後の早期退職などにつながることがあります。ウェブサイトの採用情報に明記したり、インタビューのときに伝えたりしましょう。
EVPは一度決定すれば良いのではなく、時代や状況によって変えるものです。たとえば、「充実した社内教育」や「海外勤務」などをEVPとして掲げていた場合、現代そして将来に渡ってその制度が従業員にとって価値があるものなのかを見直します。「従業員に提供できる価値」、EVPを常に考えながら、会社の魅力を高めていきましょう。
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執筆は2018年2月19日時点の情報を参照しています。
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