現金での支払いが多いとされる日本においても、近年はキャッシュレスによる決済が浸透しつつあります。
キャッシュレス決済の代表の一つがクレジットカードによる決済です。現金の受け渡しがない分、会計がスムーズになり、お店の業務効率化などが期待できます。
これからお店をオープンする事業者やすでにお店を経営している事業者の中にも、カード決済を導入しようと検討している人がいるかもしれません。
カード決済には、事業者とお客様の両方にとって多くのメリットがある一方で、少なからずリスクも存在します。そこで、今回は、カード決済の導入からメリット、さらにカード決済に関係するリスクについて紹介します。
カード決済導入の流れを確認
お店がカード決済を導入するにあたっては大きく分けて以下の二つの方法があります。
カード会社と直接契約する方法
各カード会社と個別に契約を結ぶ方法です。カード会社に申し込み、審査を経て導入となります。
ただし、カード会社ごとに申請をしなければならないため、手続きや管理に手間がかかるなどのデメリットもあります。
決済代行会社と契約
この方法は、カード会社とお店の間に決済代行会社を挟んで手続きを行う方法です。決済代行会社は、複数存在するカード会社とお店の間に入って手続きを一括で行ってくれます。
お店側は、決済代行会社に一度申請手続きを行ってしまえば、複数のカード会社との契約ができ、手続きの簡素化が可能です。
ただし、お店はカード会社に対する手数料に加えて、決済代行会社にも手数料も支払うなど、手間が省ける分、コストがかかることが多いようです。
カード決済のメリット
次に、カード決済導入のメリットについて紹介します。
販売機会の向上
手持ちの現金が足りないけれど、カードならあるというお客様がいた場合、もしお店にカード決済を導入していなければ、そのお客様は商品の購入をあきらめてしまうかもしれません。カード決済の導入は、このような販売機会のロスを減らす機会になります。
外国人観光客の集客
日本を訪れる外国人観光客数は近年、過去最高を更新し続けています。
海外では、現金よりもクレジットカードなどのキャッシュレス決済が主流になっている国も少なくありません。
また、手持ちの現金を日本円に両替せずに済む、クレジットカードのほうが便利だと感じている外国人観光客もいます。カード決済の導入は、外国人観光客の集客にもつながります。
海外に行くと、その国ならではの商品やサービスに、ついつい財布の紐が緩んでしまったという経験をした人も多いのではないでしょうか。商品やサービスの充実に加えて、支払いの選択肢を増やすこともおもてなしになります。
キャッシュレスに伴う業務の効率化
カード決済ではお札や小銭を扱う必要がなく、カード情報を読み取れば決済完了です。一方、現金決済の場合、お釣りが発生することもあり、正確にお釣りのやりとりをするだけでも手間がかかります。
また、閉店時にその日の売り上げを集計する際、現金のやり取りが多いと、集計に時間がかかるほか、小銭が合計額と合わないといった事態が起こる可能性もあります。カード決済が増えればその分、現金管理の手間を省くこともできます。
カード決済に伴うリスク
お店にとってもお客様にとっても便利なカード決済ですが、注意していなければ思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではありません。カード決済にはどのようなリスクが伴うのかを、確認してみましょう。
不正利用
スキミングやフィッシングなど不正な手口で作られた偽造カードによる決済が行われるケースがあります。
実際、2013年以降、クレジットカード不正利用による被害額は増加傾向にあります。
参考:平成28年度商取引適正化・製品安全に係る事業報告書(経済産業省)
不正利用が起きた場合、その商品やサービスを販売した分の売り上げが入金されないなどの可能性もあり、お店の経営にも響きます。
不正利用を防止するために、カード裏にあるサインの確認などが推奨されていますが、完璧に防止できる方法はありません。また、各カードブランドがセキュリティに関する情報をウェブサイトなどに掲載しているので、逐次確認することをオススメします。
クレジットカードには磁気ストライプかICチップ、もしくは両方が搭載されています。磁気ストライプよりもICチップのほうが安全性が高く、日本を含め各国でICチップを搭載したカードの普及が進んでいます。
また、2015年10月以降、ライアビリティシフトが適用されています。ライアビリティシフト(債務責任の移行)とは、ICチップを搭載したカードを対面で提示された際に、ICチップに未対応の決済端末を使用し、不正利用が発生した場合、債務責任が加盟店に課されるというものです。
もし、ICチップに未対応の決済端末をまだお使いなら、対応端末への切り替えをオススメします。Squareなら、EMV(ICカードの国際標準規格)に準拠した専用のIC カードリーダー(Square Reader)を7,980円(税込)で購入することができます。
参考:ライアビリティシフトとは:どのようなビジネスが対象に?
情報漏えい
不正アクセスなどにより、お店からお客様の個人情報が漏れてしまうことも考えられます。経済産業省による「クレジット取引セキュリティ対策協議会」では、2020年までに加盟店のカード情報非保持化を進めるとともに、PCI DSSへの準拠を進める実行計画をまとめています。
参考:クレジット取引セキュリティ対策協議会 実行計画 -2018- の概要について(経済産業省)
PCI DSSは「Payment Card Industry Data Security Standard (ペイメント・カード・インダストリー・データ・セキュリティ・スタンダード)」の略称です。クレジットカード決済を受け付ける全ての事業者を対象に、カード情報の受付、保管、処理、伝送に至るまでのプロセスを安全に行うために、国際カードブランド5社が策定した基準です。
PCI DSSについて、詳しくは「PCI DSSとは:事業者が知っておくべき安全なカード情報の取り扱いのはなし」をご確認ください。
PCI DSS準拠には費用もかかり、また認定セキュリティ評価ベンダーによる定期的なネットワークスキャンが必要など、手間もかかってきます。Squareが提供する決済端末(Square Reader、Square Terminal)はPCI DSSに準拠しています。また、Square側でお客様のカード情報の保存、伝送を行うため、加盟店がPCI DSSのために手続きをしたり費用を負担する必要もありません。ぜひ導入を検討してみてください。
執筆は2018年5月22日時点の情報を参照しています。2021年3月16日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash