「良い人材を採用したいけど、なかなか応募が来ない」「人手が足りなくて、採用まで手が回らない」などの課題を抱える企業は少なくありません。特に、スタートアップや中小企業では、専任の人事担当者がいなかったり、採用ノウハウが社内に蓄積されていなかったりすることも珍しくありません。
そこで注目されているのが「採用代行(RPO)」という選択肢です。この記事では、採用代行の基本から主なサービス内容、導入のメリット、選び方のポイント、そして成果につなげるための活用術まで、実践的に解説します。
【この記事のポイント】
-採用代行(RPO)は採用活動を外部専門家が支援するサービス
-採用計画から入社手続きまで一括で任せられる
-導入により業務負担の軽減やコスト削減が可能
-費用対効果や対応範囲でサービスを比較することが重要
-成功には明確な方針と代行会社との連携が欠かせない
目次
- 採用代行(RPO)とは?
- 採用代行の主なサービス内容
・採用計画の策定・戦略立案
・求人広告の作成・掲載・管理
・応募者対応
・面接設定・面接代行
・内定通知・入社手続きサポート
・採用マーケティング - 採用代行を利用するメリット
・採用業務の負担が軽減できる
・コスト削減ができる
・採用成功率が向上する
・母集団形成が強化できる
・柔軟な対応が期待できる - 採用代行の選び方・比較ポイント
・対応範囲の広さ
・業界・職種の知識
・費用対効果
・実績・評判 - 採用代行を活用して採用を成功させるコツ
・社内での採用方針を明確にする
・代行会社と密にコミュニケーションを取る
・KPIを設定し、成果を定期的に確認する
・自社ブランディングと組み合わせて活用する - まとめ
採用代行(RPO)とは?
採用代行(Recruitment Process Outsourcing:RPO)とは、採用活動を専門の外部パートナーが一部または全部代行してくれるサービスです。
人材採用は、企業の成長にとって欠かせない重要な業務ですが、同時に時間と労力がかかる作業でもあります。RPOは単なる業務の外注ではなく、採用戦略の設計から実行、改善までをトータルで支援します。採用リソースが不足しているスタートアップや、採用活動を効率化したい中小企業にとって、柔軟に使える強力なサポートです。
採用代行の主なサービス内容
採用代行サービスは、求人広告作成や応募者対応、面接設定から内定通知まで、幅広い支援を提供しています。自社のみでは手が行き届かない部分も、外部のノウハウを使って補強することで、採用活動全体の効率化が可能です。ここでは、代表的なサービス内容を紹介します。
採用計画の策定・戦略立案
まず大切なのは、採用の目的やターゲットを明確にすることです。採用代行では、企業のビジョンや人材要件に合わせた採用戦略の立案をサポートします。社内だけで検討すると情報が偏りがちですが、外部の専門家からの市場分析や競合他社の動向などを取り入れれば、現実的な採用目標を設定しやすくなります。
求人広告の作成・掲載・管理
求人広告の作成・掲載・管理は、企業の採用活動にとって非常に重要な工程です。魅力的な求人原稿は、スキルの高い応募者を呼び込むための入り口になります。応募効果を高めるために、写真や動画を使った求人ページの制作にも対応する場合があります。
応募者対応
求人を出すと、次は応募者対応のフェーズです。書類選考や面接の日程調整、問い合わせの対応は地味ながら時間のかかる業務です。採用代行に任せることで、採用担当者の負担を軽減し、スムーズな選考プロセスが実現します。
面接設定・面接代行
日程調整だけでなく、面接自体を代行するサービスもあります。一次面接やスクリーニング面談を代行してくれるため、企業側は最終選考や重要な意思決定に集中できます。客観的な評価シートの提供など、選考の透明性が高まるのも魅力です。
内定通知・入社手続きサポート
内定通知や入社手続きは、採用プロセスの最終段階にあたりますが、ここでトラブルが起きると内定辞退や入社スケジュールの遅れを招くことがあります。採用代行では、内定通知や条件提示、入社書類の案内など、スムーズな入社までをサポートします。内定辞退のリスクを下げ、入社率アップにもつながります。
採用マーケティング
採用は、広報やブランディングと深く関わっています。SNSや採用サイトを活用した企業の魅力発信、ターゲット層に合わせた情報発信の設計も、RPOの重要な役割です。採用代行会社は、ブランディングや広告運用のノウハウを活用し、企業の魅力を的確に打ち出す支援を行います。
採用代行を利用するメリット
採用代行は、単なるアウトソーシングではありません。業務効率化やコスト面のメリットに加えて、採用活動全体の質を底上げしてくれる存在です。ここでは、企業が採用代行を導入することで得られる主なメリットを紹介します。
採用業務の負担が軽減できる
採用活動には、求人作成から面接、入社手続きまで多くのタスクが発生します。採用代行を活用することで、社内の人事担当者が本来注力すべき業務に集中できるようになります。特に少人数体制の企業にとっては、大きな負担軽減につながります。
コスト削減ができる
採用活動には意外と多くのコストがかかります。たとえば、求人媒体への掲載費、人材紹介会社への成功報酬、人事担当者の残業代などです。RPOを導入することで、これらのコストを最適化し、無駄を削減できます。また、失敗採用による損失リスクも低減できる点は大きなメリットです。
採用成功率が向上する
採用の専門家が関与することで、ターゲットにあった母集団形成や選考プロセスの設計が可能になります。応募者の見極めもプロの視点で行われるため、ミスマッチが減少し、結果的に採用の成功率が向上します。質の高い人材を確実に採用したい企業にとって、大きなアドバンテージとなります。
母集団形成が強化できる
「そもそも応募が来ない」という課題を抱える企業も少なくありません。RPOでは、求人媒体の選定やSNSの活用などを通じて、より広く・効果的にアプローチできる仕組みを構築してくれます。ターゲットに応じた訴求方法を使うことで、応募者の質と量の両面を強化できます。
柔軟な対応が期待できる
採用ニーズは、企業の成長フェーズや事業展開によって大きく変化します。採用代行サービスは、必要なタイミングで必要な分だけ業務を委託できるため、非常に柔軟に対応できます。繁忙期の一時的なサポートから、長期的なパートナーシップまで、企業の状況に合わせたカスタマイズが可能です。
採用代行の選び方・比較ポイント
採用代行を検討する際には、各社のサービス内容や強みを比較して、自社の要件に合致するパートナーを探すことが重要です。契約後に「思っていたサービスと違った」という事態を防ぐためにも、以下のポイントを丁寧に確認しましょう。
対応範囲の広さ
まずチェックしたいのは、どこまで対応してくれるかという対応範囲です。戦略設計から入社後フォローまでフルサポートする会社もあれば、選考や応募者対応など一部のみ請け負う会社もあります。
自社がどの業務に課題を感じているのかを明確にしたうえで、それに合ったサポート体制があるかどうかを確認しましょう。将来的に対応範囲を拡大できる柔軟性もポイントです。
業界・職種の知識
採用には、業界や職種に応じた知見が欠かせません。たとえば、ITエンジニアの採用と営業職の採用では、アプローチ方法も候補者の価値観も大きく異なります。
過去に自社と同じ業界や職種での採用実績があるかを確認すると、より適切な提案や支援が期待できます。専門性が高い職種の採用では、なおさら重要なチェックポイントです。
費用対効果
料金だけを見て安易に選ぶのは避けたいところです。月額固定、成果報酬、スポット契約など、料金体系も企業によって異なります。
大切なのは、支払うコストに対してどれだけの価値が返ってくるかという費用対効果です。たとえば、「採用単価が下がる」「採用スピードが上がる」「定着率が上がる」といった成果が出るのであれば、多少コストが高くても十分に投資効果はあります。
実績・評判
過去にどのような企業が利用し、どんな成果を上げているかをチェックしましょう。自社と類似する業界・規模の実績が多い場合は、その代行会社が自社のニーズを把握しやすいと考えられます。
また、口コミサイトやSNSなどでの評判も役立ちますが、特定のケースに偏った評価に左右されないように注意を払うことも大切です。総合的に判断し、自社に最適なパートナーを選択しましょう。
採用代行を活用して採用を成功させるコツ
採用代行を上手に活用するためには、ただ業務委託するのではなく、社内の方針を明確にし、情報をこまめに共有する必要があります。ここでは、採用代行を最大限に生かし、成果につなげるためのポイントをご紹介します。
社内での採用方針を明確にする
まず何より大切なのは、社内で「どんな人を、なぜ採用したいのか」という採用方針を共有することです。目的やターゲット像が曖昧なままだと、どんなに優れた代行会社に委託しても、的外れな採用になってしまう可能性があります。
ポジションごとの役割や理想的な人物像、カルチャーフィットの基準などを明確にし、社内メンバー間で共通認識を持つことからスタートしましょう。
代行会社と密にコミュニケーションを取る
採用代行は丸投げして終わりではありません。特に導入初期や戦略設計のフェーズでは、代行会社との密な情報共有が成果に直結します。
自社のビジョンや強み、採用における過去の課題などを正直に伝えることで、より的確なサポートが受けられます。また、定例ミーティングなどを設けて、進捗や課題をこまめにすり合わせることも成功のカギとなります。
KPIを設定し、成果を定期的に確認する
採用活動には成果の見える化が欠かせません。採用代行を導入する際は、「応募数」「書類通過率」「面接参加率」「採用単価」など、具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
定期的に数値を振り返ることで、どの施策が効果的だったのか、どこに改善の余地があるのかが見えてきます。代行会社と一緒にPDCAサイクルを回していくことが、採用精度の向上につながります。
自社ブランディングと組み合わせて活用する
採用活動は、単に人を集めるだけではなく、企業の魅力を伝える場でもあります。採用代行に任せつつも、自社としてもSNS発信や採用ページの改善、社員インタビューの公開など、ブランディング施策に取り組むことが大切です。
代行会社と連携して、自社ならではの魅力やカルチャーを応募者に伝える仕組みを作ることで、選ばれる企業への第一歩となります。
Square導入のご相談は営業チームに
Squareサービスの導入を検討中のお客さまに、営業チームが導入から利用開始までサポートします。イベントでの利用や、複数店舗での一括導入など、お気軽にご相談ください。
まとめ
採用代行(RPO)は、単なる業務の外注ではなく、企業の採用力そのものを引き上げる戦略的なパートナーです。求人作成や応募者対応といった実務面のサポートに加え、採用戦略の立案やブランディングの支援まで、幅広い領域で企業の課題に寄り添ってくれます。
採用の成功には、明確な方針と外部パートナーとの信頼関係、そして定期的な振り返りが欠かせません。自社の目指す採用のかたちを見据えながら、最適なサービスを選び、うまく活用していくことが大切です。
Squareのブログでは、起業したい、自分のビジネスをさらに発展させたい、と考える人に向けて情報を発信しています。お届けするのは集客に使えるアイデア、資金運用や税金の知識、最新のキャッシュレス事情など。また、Square加盟店の取材記事では、日々経営に向き合う人たちの試行錯誤の様子や、乗り越えてきた壁を垣間見ることができます。Squareブログ編集チームでは、記事を通してビジネスの立ち上げから日々の運営、成長をサポートします。
執筆は2025年6月30日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash