※本記事の内容は一般的な情報提供のみを目的にして作成されています。法務、税務、会計等に関する専門的な助言が必要な場合には、必ず適切な専門家にご相談ください。
見積書の作成は、契約から納品、請求、入金までの取引全体をスムーズに進めるための最初のステップです。書面で内容や条件についてあらかじめ合意しておけば、取引開始後にトラブルが起こる可能性が大きく下がるだけでなく、事業の運営効率も飛躍的に高まるでしょう。
今回は、見積書の役割や書き方を解説したうえで、見積書に必要な項目について具体的に言及し、効率のよい作成および管理方法を紹介します。事業を始めたばかりの人はもちろん、これまで見積書の作成を省略してきた人も、この機会に改めて見積書の重要性を理解しておきましょう。
目次
見積書とは
見積書は、商品あるいはサービスの内容と対価、条件を提示する文書です。取引の内容について正式な合意を取るためのもので、発注者にとっては実際に発注するかどうかを決める根拠となる重要な資料です。
取引の契約を成立させるうえで、見積書は必須というわけではありません。しかし、合意した内容が書面で残っていない状態では、取引の途中や納品・請求段階で認識のずれが発覚したときに立ち返る根拠がなく、トラブルに発展する場合もあります。そうなれば、コミュニケーションのコストが発生するだけでなく、取引先との信頼関係にも影響しかねません。
見積書は、取引内容に対する関係者の認識を揃え、取引をスムーズに進めるための重要な役割を担っています。将来発生しうるトラブル対応に費やす労力を考えると、決して疎かにできないステップです。
見積書の書き方:記載する10の項目
見積書の書き方に決まりはありません。そのためフォーマットは自由ですが、認識の齟齬を避けたい項目について、情報を正確かつ見やすい状態に整理するよう心がけましょう。
基本的な項目は次のとおりです。
(1) タイトル
請求書や納品書などの書類と一目で判別できるよう「見積書」と明記します。
(2) 見積書の日付
見積書を発行する年月日を書きます。年は西暦・和暦どちらでも構いませんが、有効期限や納品日などほかの表記と揃えましょう。
(3) 見積書の番号
管理や問い合わせ対応を効率的に行えるよう、番号をつけておくとよいでしょう。一つの取引先に複数の見積書を送る場合も、番号でやり取りすれば混乱を避けられます。
(4) 宛名
会社名や屋号、担当部署、氏名など、取引先に確認した内容を記載します。敬称も忘れずに。
(5) 有効期限
見積書に有効期限を定めておけば、売り上げや人材配置、在庫管理、スケジュールのめどをつけやすくなります。また、原材料の価格変動に影響されやすい商品やサービスに関しては、期限を区切ることで料金をこまめに見直せるというメリットもあります。
(6) 納期の目安
取引先と事前に合意した納期を記載します。ただし、指定された日時ではなく「受注後〇日以内」などとする場合は注意が必要です。詳細はのちほど解説します。
(7) 提出者の情報
会社名や屋号と代表者氏名は少なくとも必要です。事業所の住所や連絡先電話番号、代表者役職名などもあるとなおよいでしょう。
(8) 社印、代表者印
必須ではないものの、あれば会社が発行した公式文書であるという印象を与えられます。
(9) 見積内容
提供するサービスまたは商品項目ごとに、数量、単価、金額を記載します。項目欄には、必要に応じてメーカー名や形式などの具体的な情報を含めるとよいでしょう。値引きを実施する場合もここに含めます。下の欄には、それらの小計、消費税額、合計金額を明記しましょう。
(10) 見積金額
税込みの総額を記載します。取引先が総額でいくら支払うことになるのかが一目でわかるよう、目立つ位置にわかりやすく明記しましょう。
見積書の書き方:注意点
ここでは、上に挙げた10項目のうち、特に注意を払うべきポイントを解説します。
トラブルになりやすい項目は慎重にチェックする
取引において特にトラブルが起こりやすいのが、納期に対する認識です。「日数の数え方」「何を以て納品とするのか」は特に認識のずれが生じやすい点です。
たとえば「受注後5日以内に納品」の場合、日数を営業日でカウントするのかどうか。また、発注側と受注側の休日が異なる場合は、営業日にどちらの基準を適用するのか。さらに「納品」が指し示すのは、「発送」なのか「商品到着」なのか。見積書を作成したら、少しでも曖昧な点がないか、受け取る側の視点に立ってチェックしましょう。
また、初めての取引の場合は、備考欄に支払い条件を明記しておくと安心です。すでに付き合いのある取引先でも、前払いや分割払いなど通常とは異なる条件が必要な場合は、希望する支払いスケジュールを記載しておきましょう。
見積書で細かい条件まですべてを明らかにしておけば、認識がずれたまま取引がスタートする事態を避けられます。また、見積書を受け取った発注側も、具体的な情報があることで交渉や議論を効率よく進められるため、取引の速やかな成立につながるでしょう。
見積書の宛名を確認する
見積書の宛名は必ず事前に確認しましょう。取引先によっては、担当者ではなく決裁者の名前や部署名のみを指定される場合もあります。
また、宛名を書く際は細心の注意が必要です。よくあるのが部署や役職、氏名の表記の間違いです。名刺やウェブサイトなどで必ず正式名称や正しい表記を確認しましょう。こうした間違いは取引先の心証を悪くする可能性があります。
また、敬称に誤りがないかどうかもチェックしましょう。宛名が社名や部署名の場合は「御中」、人の名前の場合は「様」です。複数の名前を記載する場合はそれぞれに「様」をつけます。なお、「〇〇部御中 △△様」と「御中」と「様」を両方使うのは誤りです。
見積もりの保存義務について
法人や個人事業主は、帳簿と関連書類を一定期間保存することが義務づけられており、その書類には見積書も含まれます。
保存期間は法人で7年、個人では5年
見積書の保存期間は、法人で通常7年間、個人事業主で5年間です。このとき注意したいのは、その期間が「事業年度の確定申告書提出期限の翌日」から数えられる点です。たとえば、事業年度が3月31日に終わる法人の確定申告期限は5月31日であるため、2024年4月1日に発行した見積書の保存期間は、2025年6月1日から2032年5月31日です。
ただし、法人の場合、繰越欠損金が生じた事業年度などの保存期間は10年間(2018年4月1日より前に始まった事業年度は9年間)と定められています。詳しくは国税庁のウェブサイトを参照してください。
なお、見積書の保存は、授受した双方に義務づけられています。
契約に至っていない見積書は保存義務なし
見積書を発行したものの契約には至らなかった場合、その見積書が保存対象にあたるかどうかは特に定めはありません。とはいえ、時期を改めて再度見積もりを依頼される可能性や、似たようなケースに備えて残しておくことをおすすめします。
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取引先が見積もりをメール内から承諾できる
見積書を受け取った取引先は、内容を確認後、問題がなければ見積書の「承諾する」ボタンをクリックまたはタップするだけです。取引先が見積書を閲覧したかどうか、承諾または却下したかどうかはSquare上の把握できるため、やり取りや管理の手間を省けます。
ワンクリックで請求書に変換できる
見積書への承諾を得られたら、請求書の準備をしておきましょう。Square 請求書なら見積書をワンクリックで請求書に変換できるため、内容を転記する必要がなく、ミスの可能性も大幅に下がります。また、見積書と請求書の状況を同じシステム上で確認できるため、管理もぐっとシンプルになるでしょう。
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執筆は2020年5月12日時点の情報を参照しています。2024年10月9日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。