スムーズな取引は見積書が決め手、クラウド作成サービスも活用しよう

業務の引き合いが来るなど、取引のチャンスが訪れたとき、スムーズに契約までこぎつけるために活用したいのが見積書です。見積書は、契約から納品、請求、入金までの取引全体を円滑にするためのスタートを決める重要なアイテムです。

見積書なしで取引を始めるケースもありますが、見積書で定義したことが契約上の根拠になっていくため、トラブルを防ぐためにも、取引のはじめに見積書を作成し、合意をとっておくことをおすすめします。

ここでは、見積書の基本としておさえておくべき項目を整理し、便利なクラウド会計と連動して使える見積書作成サービスを合わせて紹介します。

見積書とは

見積書は、いわば「金額の確認」です。「これだけの商品あるいは業務サービスを提供した場合にはこのくらいの費用がかかる」と請求するときの根拠となるものです。

契約は、民法第522条(契約の成立と方式)によれば、当事者同士の合意で成り立つものです。このため、口頭でも契約そのものは成立するのですが、口頭だけでは証拠が残らず、水掛け論となってトラブルが生じる可能性があります。

たとえば、各省各庁との契約については、契約の目的・金額・期間などを記載した契約書を作成することが会計法第29条の8で規定されています。しかし、小規模な企業や個人事業主だとここまで厳密に契約手続きをとることが少ないかもしれません。

契約書がない状態で業務が開始された場合、書面に基づくものがないと業務中や納品・請求時にトラブルが発生した時に収集がつかなくなります。見積書というやりとりの証拠を残しておくことは、お互いにとって重要です。また、見積りの段階で業務内容や金額などの取引範囲が明確になっていると双方の合意もとりやすくなります。その意味でも、見積書を作成することで契約の詳細を詰めておくことは重要です。

見積合せ

見積合せ(相見積もり)とは、二社以上から見積書を集めて比較検討することを指します。

官公庁の場合、随意契約の場合には、透明性や公平性を確保するため、二人以上から見積書をとることが予算決算及び会計令第99条の6(見積書の徴収)により定められています。

民間企業でも公共性の高いところは同じような仕組みを採用している場合があります。

参考見積書との違い

参考見積書は、担当者が予算編成に使うための概算を知りたい時に依頼されるものです。やりたい事業にどのくらいの予算を確保しておく必要があるかを確認するためのもので、契約を結ぶ前に提示する見積書とは異なります。

参考見積書をお願いされたときは、その見積書が確実な契約に結びつくものではないことに留意しておきましょう。担当者が金額確保のための参考にしたいという目的なので、値引きは考慮せず通常の値段とし、通常の期間で見積もったほうがよい場合が多くなります。

ただし、参考見積書を依頼している担当者がどちらも単純に「見積書」と表現している場合も考えられるため、どちらの見積書作成なのか曖昧なときは、あらかじめ確認することをおすすめします。

見積書と納品書、請求書の関係

納品書は、契約成立後、業務完了日や商品引渡し日の根拠になるものです。代金の支払いに関するトラブルを避けるためにも、納品書をつけて引き渡すことが望ましいといえます。

請求書は、契約取引後、代金回収のために作成されるものです。法的根拠については状況により異なりますが、税法上は一定期間保存が義務付けられています。

見積書、納品書、請求書は、契約の段階に応じて提出し、その都度当事者同士で合意をとっていくための書類です。このため、それぞれに記載された内容は連動し、整合のとれたものになっている必要があります。たとえば、業務を進める中で大幅に変更があり、見積書通りでなくなった場合は、その都度見積書を作成して合意をとることが望まれます。

見積書の書き方

見積書の書き方は法律で規定されているわけではありません。契約に必要となる事項をもらさず記入しておけばよいといえます。ポイントは、取引として合意をとっておくべき項目を明記しておくことです。

見積書に記載する項目

見積書には、次のような項目を記載します。

  • 日付(見積書発行日、見積書の有効期限)
  • 会社名
  • 住所、電話、連絡先電話番号、代表者役職名、代表者の氏名
  • 社印、代表者印
  • 宛名
  • 見積内容(業務名・品名・メーカー名・形式などの仕様項目、数量、単価、本体価格、値引額、消費税、税込合計額)
  • 付帯事項(実施場所、前提となる仕様の範囲、変更可能なオプションの条件など)

見積書を作成する際の留意点

契約の権限が誰なのかをよく確認しましょう。見積書を担当者個人宛に送るよう指示されたときは、見積書は会社名、送付状に担当者名とすべきかを問い合わせておくと確実です。また、見積書を発行する側の記載も、通常は会社名と代表者名にします。

見積書の日付は、項目としては必須です。ただし、担当者がいつ上層部へ提出し決済をとるか未定の場合などで、具体的な数字を入れずに空けておいてほしいと依頼されることもあります。柔軟な対応を求められることも多いため、担当者と電話で確認しておくと良いでしょう。

見積書の作成部数は、特別に部数を指定されない場合、通常1部でよいでしょう。

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おすすめのクラウド見積書作成サービス

見積書はあくまでも契約の前段階として作成する申込書ですから、契約内容がしっかり反映されている必要があります。どんな取引であっても契約書を交わすことが望ましいところですが、そうでない場合、見積書の存在が重要になります。

また、納品書や請求書は見積内容と整合がとれていなければなりません。このため、見積書、納品書、請求書は連動した形で作成できるほうが効率的です。また、見積書などの帳票作成だけなら表作成ソフトでも簡単に作ることができますが、取引を一元的に管理する会計システムなどと連動させて作成するほうが手間も少なく、転記ミスも起きないことから確認も楽になり、より管理がしやすくなります。

さらに、クラウド管理にしておけば、拠点が点在する場合や外出先でもすぐに作成できるため、取引の機会を逃さず、商売の幅も広がることでしょう。

クラウド会計システムに連動できる見積書作成サービスを含め、便利なクラウドサービスを紹介します。

Square 請求書

スマートフォン一つで、顧客のメールアドレス宛に簡単に見積りを送付できます。請求書への変換もスムーズです。Squareのクレジットカード決済サービスと連携できるので、請求書を受け取ったお客様はメールの画面からそのまま支払いをすることが可能です。新しいお客様へ見積りを送って取引の機会を増やしたり、請求書が必要というお客様へ対応して信頼を深めたりと、商取引の幅を広げることができます。

クラウド会計ソフトfreee(フリー)

見積書・納品書・請求書の作成から、帳簿付けや確定申告などの決算書作成まで一元的に管理できます。また、損益計算や資金繰りのレポート作成、人事労務ソフトとの連携なども可能で、経営の見える化、改善に活用できます。個人事業主向けと法人向けがあります。

マネーフォーワードクラウド請求書

マネーフォーワードのクラウド会計・確定申告と連動させることができます。出力して送付する必要がある場合、見積書、納品書、請求書、領収書をクラウドから直接郵送するサービスがあります。

クラウド見積・納品・請求書サービスMisoca(ミソカ)

弥生会計グループのサービスで、弥生オンラインとの連動が可能です。デスクトップ版の弥生会計ソフトや、freeeやマネーフォーワードのクラウド会計ソフトとも連動できます。

ヤマト運輸「請求業務クラウドサポート」

あらかじめ運送の契約をしておくと、納品書を作成したときに宅急便の送り状も一緒に作成できるため便利です。商品を出荷する機会が多い事業主は検討してみるのもよいでしょう。

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執筆は2020年5月12日時点の情報を参照しています。
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