不動産鑑定士は、土地や建物の価値を見極めるエキスパート。司法試験や公認会計士などと並び、文系最難関の国家資格のひとつとして知られています。取得できたら、キャリアアップにもつながるでしょう。
今回は、不動産鑑定士として独立した場合のメリット、開業に必要な費用や各種手続きについて解説します。独立後に重要なポイントになる集客のヒントや業務の効率化もあわせて紹介します。
不動産鑑定士が独立するメリット
不動産鑑定士の資格を活かせる勤務先には、不動産会社や不動産鑑定事務所、コンサルティング会社や銀行、証券会社などがあげられます。勤務先で経験を積み、「不動産鑑定士として独立すること」を目指している人もいるでしょう。不動産鑑定士として独立開業するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
定年がなく、長く働き続けられる
独立すれば定年がないので、健康であればいくつになっても仕事を続けることができます。60代から70代の不動産鑑定士も多く活躍しているようです。
参考:不動産鑑定士の年齢構成の変化への対応 並びに業務の「多様化」「専門化」及び それらの社会発信に向けた取組み(公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会)
仕事のやり方次第で年収アップが見込める
資格を生かせる企業に就職して経験を積んだ後に独立し、年収アップを目指すことも可能です。たとえば、公的機関から依頼される不動産鑑定評価をコンスタントにこなし、不動産売買や賃料などに関わる民間の仕事も行うなど、仕事のやり方次第によっては企業勤めの頃よりも年収がアップする可能性があります。
開業に必要な費用や手続き、届出
開業に必要な費用
不動産鑑定士として開業するにあたり、まずは、新規登録費用がかかります。このほか、以下の費用も必要になります。
・事務所の家賃
・水道光熱費
・通信費(郵便代・インターネット回線費用など)
・プリンター、複合機など(リース、購入含む)
・封筒、名刺などのデザインや印刷費用
・事務所内の備品(デスク、椅子、来客用応接セットなど)
・ホームページなどの開設、運営費用
・取引事例閲覧サービスの利用料
など
自宅を使えば、事務所の家賃はかかりませんが、賃貸物件だと月々の家賃がかかります。
ホームページも、見やすく安全性の高いサイトをプロに依頼して制作すれば、ある程度費用がかかります。他にも封筒や名刺などのデザイン料や印刷代、挨拶状や看板代などの費用もかかってきます。
開業にまつわる各種手続き
新たに不動産鑑定業を営む際には、都道府県をまたがって事務所を2カ所以上設ける場合は国土交通大臣、1つのみの場合は都道府県知事への登録申請が必要です。
また、個人事業主として開業する場合は、開業から1カ月以内に「開業届」を税務署に提出します。確定申告で青色申告を選ぶ場合は、青色申告承認申請書も一緒に提出しましょう。
参考:
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続(国税庁)
集客のヒントと業務の効率化
開業はゴールではなく、スタートです。開業後は、事業継続に向けて集客を考えていかなければなりません。
得意分野を持つ
不動産鑑定士の仕事は多岐にわたります。たとえば、銀行からの担保評価、その他士業との連携による民間評価やコンサルティング業務なども不動産鑑定士の仕事です。
また不動産の相続や贈与などの相談業務もあります。企業勤めの頃から得意分野を磨き、独立後も得意分野をウェブサイトでアピールすることで、他社との差別化になり、顧客獲得に繋がります。
効率アップのためのサービス導入
独立後は集客のための営業作業から、細かな事務作業までひとりでこなすことも多く、不動産鑑定士としての本業になかなか時間が取れないこともあります。最近では、経理業務や事務作業をサポートするツールが開発され、無料もしくは比較的安い料金で利用できます。事業運営を支えてくれるツールやサービスを積極的に導入することで、本業に集中できる時間が増えます。
たとえば、請求書の発行も意外に時間のかかる作業のひとつです。請求内容を記載して印刷するだけではなく、捺印や封入作業など、発行枚数が増えるほど作業は煩雑化します。
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執筆は2018年9月4日時点の情報を参照しています。2021年9月24日に記事の一部情報を更新しました。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash