商品ディスプレイには、単に商品を並べるだけではなく、消費者の興味を引き、購買意欲を高めるための工夫が詰まっています。商品を目立たせ、買いたいと思わせるためには、ディスプレイの役割を理解し、それをどのように生かすかが鍵となります。本記事では、効果的な商品ディスプレイの基本的なテクニックや店舗ごとの具体的な工夫について解説します。
目次
- 売れるディスプレイとは?
・商品ディスプレイの役割
・「視線誘導」と「購買心理」 - 効果的な商品陳列の基本テクニック
・ゴールデンゾーンを活用する
・三角陳列・ピラミッド陳列を取り入れる
・シンメトリーに配置する
・フェイシングする
・グルーピングする
・POPを活用する - 【店舗の種類別】売れるディスプレイのコツ
・アパレルショップ
・雑貨・小物店
・飲食・食品販売 - 商品が売れる売り場作りのポイント
・動線の設計
・レジ周辺のディスプレイ
・季節ごとの売場変更 - オンラインショップでも応用できるディスプレイ術
・サイトデザインを工夫する
・魅力的な商品ページを作る - まとめ
売れるディスプレイとは?
売れるディスプレイの鍵は、お客さまの第一印象を左右するレイアウトと商品配置の工夫です。視線が自然に誘導される構成に加え、目を引くアイテムや色使いがあれば、多くの人が足を止めやすくなります。また、商品に関連するストーリーを演出し、購入後のイメージを持ってもらうことも重要です。照明やPOPを上手に活用することで、さらに注目を集めることができます。イベント時にはテーマを設定し、季節やトレンドを反映させる方法も有効です。
商品ディスプレイの役割
商品ディスプレイの役割は、視覚的に商品を際立たせ、その魅力を短時間で伝えることです。また、ディスプレイは店舗の雰囲気を統一し、イメージを表現する重要な手段でもあります。さらに、ディスプレイが整理されていることで、お客さまは商品を見つけやすく、快適に買い物を楽しむことができます。
下記が商品ディスプレイの主な役割です。
- 商品の魅力を短時間で伝える
- 店舗の雰囲気を統一し、世界観を表現する
- 新商品やキャンペーンを強調し、販売機会を逃さない
- お客さまに快適な購買体験を提供する
「視線誘導」と「購買心理」
「視線誘導」とは、お客さまの目線を自然に特定の方向に導くディスプレイの工夫です。商品を配置する位置や形状、色使いなどを意識して、消費者の目を引くポイントを作ることで、注目商品や関連商品に視線を誘導します。これにより、お客さまが商品に興味を持ち、手に取る可能性が高まります。
一方、「購買心理」は、消費者が商品を購入する際の心理的なプロセスを指します。視線誘導と組み合わせて、消費者の心理に働きかけるディスプレイが効果的です。たとえば、テーマカラーを使って視線を集中させたり、商品のストーリー性を持たせて感情を動かすことで、購買意欲を刺激することができます。このように、視線誘導と購買心理を上手に活用することで、消費者の購買行動を後押しすることができます。
効果的な商品陳列の基本テクニック
商品陳列では、見やすさと手に取りやすさが重要です。ここでは基本的なテクニックをいくつか紹介します。
ゴールデンゾーンを活用する
「ゴールデンゾーン」とは、消費者が自然に目を向けやすい位置や高さを指します。一般的には、視線が集中しやすい場所として、店頭や棚の中心付近が該当します。具体的には、目の高さのゾーン、つまり約1.2メートルから1.5メートルの範囲がゴールデンゾーンとされ、この高さにに主力商品や話題性のあるアイテムを配置すると、立ち止まる人が増えるだけでなく、手に取ってもらえる可能性も高まります。
三角陳列・ピラミッド陳列を取り入れる
「三角陳列」や「ピラミッド陳列」は、視覚的に安定感を生み出し、消費者の目を引きやすい商品陳列の手法です。三角陳列(トライアングル陳列)は、商品を中央に向けて高く積み重ね、周囲を低く配置する方法です。ピラミッド陳列は、三角陳列と似ていますが、より明確にピラミッドの形を作る方法です。中央に最も重要な商品やメイン商品を配置し、そこから外側に向けて商品の高さを徐々に低く配置していきます。
三角陳列やピラミッド陳列は限られたスペースでも印象的な売り場を作りやすい手段です。ほかにも、同じ商品を複数回並べて配置するリピート陳列、あえて乱雑に積み重ねる「ジャングル陳列」、通路の角を利用する「エンド陳列」などの陳列方法があります。
シンメトリーに配置する
シンメトリー(左右対称構成)は、左右対称の構成を生かして落ち着きや高級感を演出する手法です。
以下が主なシンメトリー構成のポイントです。
- 左右対称の配置:中心にメイン商品を配置し、その両側にバランスよく関連商品を並べます。視覚的な整然さが生まれ、商品が引き立ちます。
- カラースキームの統一:同じカラーグループのアイテムを左右に配置することで、統一感を強調します。ディスプレイ全体が調和し、見た目が美しくなります。
- 商品サイズや高さの調整:商品が均等に配置されることで、視覚的な安定感が生まれ、お客さまに安心感を与えます。たとえば、中央に大きな商品を配置し、その両側に同じサイズの商品を並べるとバランスが取れます。
- 空間の使い方:商品と商品の間に一定の空間を設けることも大切です。余白を適切に取り入れることで、商品の魅力を際立たせます。
シンメトリー構成は特に高級感や整然とした雰囲気を求める店舗やディスプレイに適しています。
フェイシングする
フェイシング(Facing)は、棚に並べた商品が正面を向くように整える陳列技術です。同じブランドやカテゴリーの商品を揃え、見やすさと手に取りやすさを両立させることで、お客さまに良い印象を与えることができます。
- 商品を前側に寄せて空きスペースを減らす
- 崩れた位置をこまめに直して清潔感を維持する
こうした細やかな気配りが、来店者に「きちんと管理されている」という安心感を与えます。
グルーピングする
グルーピングは、用途やスタイル、カテゴリーごとに商品をまとめて配置する方法です。関連商品を近くに配置することで、お客さまが購入後の使用イメージを抱きやすくなります。
- カラーや素材が似たアイテムをまとめる
- シーズンごとに関連商品を近くに並べる
こうした視覚的整理によって、商品が探しやすくなり、まとめ買いの機会を生み出します。
POPを活用する
POPには、商品の特徴や価格、キャンペーン情報を一目で伝える役割があります。店頭で目を引くデザインやキャッチコピーを使うことで、お客さまの興味を引き、購入意欲を高めます。
- サイズや色違いがある場合、わかりやすく明記する
- 期間限定の割引やイベント情報を大きく表示する
こうしたPOPを活用することで、お客さまは「今が買い時だ」と感じやすくなります。
【店舗の種類別】売れるディスプレイのコツ
次に店舗の種類別にディスプレイの工夫を見ていきましょう。
アパレルショップ
アパレルショップでできるディスプレイの工夫には、いくつかのポイントがあります。まず、マネキンやトルソーを使って実際のコーディネートを提案すると、お客さまがイメージしやすくなります。次に、グラデーション配色を取り入れると、統一感が生まれ、視覚的に美しい印象を与えます。また、色数を絞りすぎず、同系色をつなげることで、まとまりと華やかさを両立できます。季節感やトレンドを演出するために、小物やアクセサリーを活用すると、より魅力的なディスプレイが可能です。
さらに、ディスプレイの中心に注目商品を配置し、まとめ買いを促進するように配置すると効果的です。照明の使い方も重要で、商品の美しさを引き立てるようにライトを配置すると効果的です。また、視線誘導を意識して、重要な商品を目立つ位置に配置することも大切です。
雑貨・小物店
雑貨や小物店では、まず目の高さに商品を配置して、お客さまが手に取りやすくします。棚の上段や下段も活用し、目に入りにくい場所にはアクセントアイテムやセール商品を置くと、視覚的にバランスが取れます。
季節ごとのディスプレイ変更も効果的で、春には明るい色調、秋には落ち着いた色合いを取り入れることで新鮮な印象を与えます。また、テーマ性のあるディスプレイも有効です。商品同士の関連性を強調することで、セット購入を促すことができます。さらに、ディスプレイの高さにバリエーションをつけることで、視覚的に動きが生まれ、商品の魅力が引き立ちます。
飲食・食品販売
飲食・食品販売では、商品の鮮度や季節感を強調することが重要です。旬の食材や季節限定メニューを目立つ場所に配置してお客さまの興味を引きます。鮮度をアピールするために、POPを使用して「今しか食べられない」という特別感を伝えることも効果的です。
目を引く場所に新商品や人気商品を配置したら、その周囲には関連商品や調味料、サイドメニューなどを置くようにしましょう。お客さまのまとめ買いを促進できます。さらに、食品の色や形を生かした視覚的なバランスを意識することで、見た目にも楽しませるディスプレイが可能です。
商品が売れる売り場作りのポイント
商品が売れる売り場を作るには、要所を押さえた配置とお客さまの動線が欠かせません。売り場作りのポイントをチェックしていきましょう。
動線の設計
客さまが店内を自然に回遊できるようレイアウトを考えることが基本です。棚を配置する際には邪魔にならない通路部分をしっかり確保して混雑を防ぎます。
- 入口やレジなど主要なポイントを考慮しつつ通路幅を確保する
- 誘導サインや目印を使って商品へとスムーズに案内する
視覚的にストレスを感じない空間をつくり、ゆっくりと商品を見てもらえるための工夫を重ねることでお客さまの購買意欲の向上が期待できます。
レジ周辺のディスプレイ
レジ周辺はついで買いを促す大きなチャンスです。小物やお試しサイズの商品をレジ近くに配置すると、お客さまが会計を待つ間に目につき、思わず手に取りやすくなります。
- ミニサイズのお菓子や安価な日用品をカウンター横に並べる
- お得感を前面に押し出したPOPや値札を大きく表示する
通路を圧迫しないよう注意しつつ、目に留まりやすい高さでディスプレイするとより効果が増します。
季節ごとの売場変更
定期的にディスプレイを変えて季節感を演出することで、リピーターでも飽きない楽しさを提供できます。
- 季節のモチーフを取り入れ、色味で変化をつける
- 陳列する商品やPOPも時期に合わせて刷新する
こうした工夫をこまめに重ねると店内が活気づきます。新商品も自然に注目され、売り場全体の盛り上がりに貢献します。
オンラインショップでも応用できるディスプレイ術
オンラインショップでも実店舗と同じように視線誘導や購買心理を活用できます。
サイトデザインを工夫する
サイトデザインでは、重要な情報や人気商品を目立つ場所に配置し、視線誘導を意識したレイアウトにすることが欠かせません。ファーストビューにセールやキャンペーン情報を大きく掲示すれば興味を引きやすくなります。
- 商品写真はサイズや向きをそろえ、一貫したイメージを与える
- 強調したいボタンや注意書きは色をアクセントにして誘導する
こうした設計によってサイトの操作感が上がり、欲しいと感じた瞬間に迷わず行動してもらえます。更新をこまめに行うと常に最適な状態を保てます。
魅力的な商品ページを作る
商品ページでは、購買心理を考慮した説明文やレイアウトを工夫することが大切です。商品のメリットを具体的に示し、利用シーンを想像しやすい写真や文章を添えると購入の後押しになります。
- サイズや素材の詳細をわかりやすく記載する
- レビューやSNSでの反応を引用し、信頼感を高める
- 複数の角度から撮影した画像を用意する
- 実際に使用しているシーンを動画で見せる
こうした要素を取り入れることで、オンラインでも効果的な商品をアピールできます。
まとめ
商品ディスプレイは、売り上げを大きく左右する重要な要素です。視線誘導や購買心理をうまく活用することで、商品がより魅力的に見え、消費者の関心を引きやすくなります。さらに、オンラインショップでも実店舗と同様に視覚的な工夫やサイトデザインを最適化することで、ユーザーの購買意欲を引き出すことができます。適切なディスプレイは、消費者の購買体験を向上させ、売れる環境を作り出す鍵となるのです。
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執筆は2025年5月7日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash