飲食店、小売店、美容院、スポーツジム、運送サービス……どんな業種でも、利益を生み出して事業拡大を目指すためには安定した売り上げが必要です。安定した売り上げは、商品やサービスが多くのお客様によって利用され続けることで生み出されます。そのため、何度も繰り返し来店してくれるリピーター客、つまりお店のファンを増やさなければなりません。
リピーター客を集めるコツの一つとして、お客様との良好な関係の構築があります。お店に対して好感や愛着を持ってもらうことで次回の来店が期待できますし、お店で経験した感動やお気に入りのサービスなどは、知人や家族だけでなくソーシャルメディアを利用して情報拡散してもらえる可能性が高いです。リピーター客の獲得は、新規客の集客にも大いに貢献するのです。
CRM(顧客関係管理)とは、顧客属性(年齢や職業など)や趣味嗜好、購買行動を把握した上でお客様一人ひとりのニーズに適したアプローチを適切なタイミングで適用するビジネス戦略です。同一のサービスを一様に提供するのではなく、お客様一人ひとりとの関係をビジネスの中心に据えて戦略を立てていきます。
CRMについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
一方、通常の営業とは少し異なるサービス内容を提供することでお客様との関係を深めるアプローチもあります。例えば、「ものを売る」や「料理を提供する」などといった通常のサービスに絡めつつも、イベント性のある企画を打ち出してお客様に新鮮さや新しい魅力を感じてもらいます。
今回は、既存のリピーター客や地域住民と触れ合うきっかけになるイベントを企画・開催するコツをお伝えします。
お客様の興味を狙う
お客様が集まるイベントを企画しましょう。主催者も一緒になって楽しむことは重要ですが、一人でも多くのお客様と触れ合えるよう、なるべく多くの人が魅力に感じる企画を準備する必要があります。
飲食店であれば、新メニューの発表を兼ねた試食会を企画してみましょう。日頃から頻繁に来店してくれているリピーター客にとっては、お気に入りのレストランに新しいメニューが加わるというお知らせは興味深いのではないでしょうか。会の終わりにアンケートに答えてもらい、通常の営業に取り入れる前に改良を検討することもお忘れなく。
人気メニューや定番メニューのレシピを思い切って公開するのも一つのアイデアです。お店の味が家庭でも再現できるということは、お客様にとっては大きな魅力ですし、このために来店数が減るかもしれないというよりは、有益な情報が得られたことへの満足度が高く、結果的には主催者のお店に対して良心的というイメージを抱いたり、次回の企画も楽しみにしてくれるのではないでしょうか。情報に敏感になり、来店頻度も上がるかもしれません。
民芸品や雑貨を扱っている小売店の場合、ろくろ体験やコップの絵付けなど、ちょっとしたワークショップを開催してみてはいかがですか。普段は、「買う」だけのお客様にとって、実際に手を動かして自分だけの作品が作れるのは新鮮です。商品知識が豊富な従業員のアドバイスを受けたり、作ったものは持ち帰ることができたりと、普段から利用しているお店で特別な体験を気軽にできることはとても魅力的です。
美容院では、家でも一人でかんたんにできるようなヘアアレンジを教える講座を開催してみるのもいいかもしれません。お客様の中からモデルを選出しましょう。お客様と一緒に手を動かしながら、日常で困っていることや悩みなどを聞いてみましょう。自宅でもできる髪の手入れ方法や、美容に関する情報などを積極的に提供してコミュニケーションを図ります。
イベント開催にかけるコストに余裕がない場合は、定員を決めたり、お得意様など特定のお客様だけに告知をするなどして費用を抑えます。飲み物は各自持参にするのもいいでしょう。ただし、イベント開催の目標は、お客様との関係を深めることにあるので、どんなお客様との関係を深めることでどのような効果が期待できるのかを考えて招待する必要があります。
子供向けイベントでファミリーを狙う
週末や休日には、通常どおりの営業をしながらも家族連れが集まるような場を提供してみましょう。
例えば、ぬり絵や工作などのワークショップをお店の一角を利用して開催すると、保護者たちは待っている間に買い物を楽しんだり、食事をしたりするかもしれません。子どもが楽しく時間を過ごせる場を提供することで、付き添いで来た大人を本来のサービス提供のターゲットにすることができます。
こどもの日やクリスマスなどの行事に合わせて、お楽しみ会を開催するのもいいでしょう。お菓子やかんたんなゲームを準備して、地域住民が触れあえるコミュニケーションの場所作りに一役買って出ることで、地域貢献でイメージが上がります。
子どもにとっても、居心地がよく楽しい体験ができる場所となれば、次回以降も積極的に来店したいと思ってくれるかもしれません。
告知は徹底する
せっかく準備したイベントも、来て欲しいお客様に参加してもらえなければ意味がありません。お店を貸し切ったり、準備費用がかかっている場合はなおさらです。どのようなお客様に何人くらい来て欲しいのかをきちんと定めてから、チラシやメールなどで告知しましょう。
リピーター客との触れ合いを重要視するのであれば、チラシやポストカードなどの告知グッズを作っておき、会計時などに口頭で説明をして手渡しするのがいいでしょう。新規客の獲得を想定し、不特定多数の周辺住民を対象とするのであれば、スーパーやコンビニなどにチラシを掲示してもらったり、地域新聞などにお知らせを載せてみましょう。もちろん、ソーシャルメディアも使わない手はありません。
飲食店でのソーシャルメディアの活用についてはこちらの記事を参考にしてください。
イベント開催の目的を忘れずに!
イベントの内容が決まり、準備も整い、告知もできたら、あとは当日を楽しむだけです。通常の営業とは異なる形式でお客様と触れあえる機会ですので、主催者側も存分に楽しむべきでしょう。しかし、常にイベント開催の目的は何であるかを忘れてはいけません。
イベントに参加してくれるリピーター客には日頃の感謝を表しつつ、通常の営業とは異なるサービスを提供することでさらに愛着を持ってもらい、次回の来店に繋げる必要があります。イベントを通してお店の存在を初めて知った人には、通常の営業にも興味を持ってもらうことで常連客化のチャンスとなります。
例えば、試食会で出したメニューを気に入ったお客様がいれば、通常メニューでは別の味も試せるということを宣伝するだけで再来店の確率は上がるでしょう。
すべての参加者とできるだけ多くコミュニケーションをとり、お店に対する意見や要望を聞き出したり、買い物や食事など日頃利用しているサービスに関するこだわりや趣味嗜好などを聞き出して今後の事業に役立てましょう。
お客様から集めたい情報や質問をアンケートなどにまとめて、イベント終了時に回答してもらい、後にお知らせやメールマガジンなどが配信できるように他の連絡先と一緒に管理するようにしましょう。お客様の情報はSquareの顧客リストを使って管理することをおすすめします。
執筆は2017年4月28日時点の情報を参照しています。