管理が煩雑な「小口現金」をキャッシュレス化するには?

企業や店舗の運営で必要な「小口現金」。現金を手元で管理するので、紛失や盗難のリスクがあるだけでなく、運用に手間がかかります。そこで注目を集めているのが、小口現金のキャッシュレス化です。

クレジットカード決済や電子マネー決済など、キャッシュレス決済は生活に根付いてきています。感染症対策としてキャッシュレス決済を利用する機会は今後さらに増えるでしょう。ビジネスにおいてもキャッシュレス化は重要なトピックで、経費精算にキャッシュレスの観点を取り入れることで小口現金そのものが必要なくなり、経理業務が大幅に簡略化できます。

小口現金のキャッシュレス化に興味のある事業主に向けて、メリットや具体的な導入方法について説明します。

目次



企業・店舗における小口現金とは?

小口現金とは、会社や店舗を経営するなかで発生する少額な出費(文具や切手、交通費など)を支払うために用意しておく現金のことです。少額の出費をすべて仕分けしていると大変なので、経理上でも小口現金という勘定科目で処理されます。

小口現金の処理方法

一般的な小口現金の処理方法としては、

  • すぐに支出できるように数万円の小口現金を担当者の手元におく(手提げ金庫など)
  • 従業員が立て替えた経費を精算するときは、レシートなどと引き換えに小口現金から出し入れする
  • 小口現金の担当者は、支払いの内容を小口現金出納帳に集計し、仕訳を記入する
  • 使われた分を小口現金に補充する

という流れで行われます。

小口現金のメリット・デメリット

小口現金にはどのようなメリット・デメリットがあるのか整理してみます。

メリット:すぐに精算できる

小口現金を利用するメリットは、その場ですぐに経費精算ができるので、立て替えた従業員の金銭的負担が少なくて済むことです。急ぎで現金決済が必要な場合にもスムーズに対応できます。また、支出後すぐに精算できるので、領収書やレシートの紛失リスクもありません。

デメリット:従業員への負担大、紛失や盗難のリスク

その一方、経理担当者への負担が多く、紛失や盗難のリスクもあります。

小口現金は毎日残高の確認が行われます。小口現金出納帳と現金の数字が合わないと原因探しに時間がかかり、担当者が定時に帰れない……という事態が発生する可能性があります。精算してもらう側にとっても、当日すぐに精算できるのは便利ですが、毎回担当者に提出することは従業員に負担がかかります。

ある調査では、小口現金の精算業務をした経験がある人に「小口現金利用時に用途不明金の発生や帳簿と残金が合わなかった経験があるか」を聞いたところ、約6割の経理担当者が小口現金の管理ミスを経験していることがわかりました。また、小口現金処理を行う担当者の8割以上が「小口現金処理を減らしたい」と回答しており、運用を見直すことの重要性がうかがわれます。

参考:~オフィスのキャッシュレス化で業務効率改善~ 世界中のMastercard®加盟店で使用可能 法人向けプリペイドカード「Bizプリカ」11月25日からサービス開始(TOMOWEL Payment Service株式会社)

今こそキャッシュレス化に向けて動き出すタイミングなのかもしれません。

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小口現金をキャッシュレスにするには

小口現金のキャッシュレス化とは、ずばり小口現金を廃止することです。小口現金は、先述の通り従業員に負担がかかり、セキュリティー上も不安があります。キャッシュレス化を行うと、経理担当者の負担が減少して生産性の向上が期待できます。

個人事業主や小規模の事業など、事業主が経理担当も兼ねている場合は、キャッシュレス化という観点で経費処理を見直すことで業務効率アップにもつながります。売り上げと経費のバランスも見える化されるので、スムーズな経営判断にも役立ちます。

キャッシュレス化の方法としては、大きく三つあります。事業の状況に応じて使いやすい方法を選び、組み合わせて導入しましょう。

法人カードや電子マネー
法人や事業用のクレジットカードを使って、経費の支払いはキャッシュレス決済で行う方法です。一人ひとりにカードを渡すのは現実的ではないので、使用頻度の多い従業員や店舗に一枚ずつ支給します。

消耗品はオンラインでまとめて購入してカード決済するようにすると、わざわざ買いに行く手間も省けます。

移動が多い職種の人には、交通系ICカードの支給が便利です。すべての履歴が記録されるので、管理も行いやすいでしょう。

クレジットカードや電子マネー決済の良いところは、払い間違いが起こらないことです。小口現金の場合は担当者がその場で現金を手渡しするので、100円玉と50円玉の渡し間違いや、小口現金出納帳の記入間違いなどが発生する可能性があります。しかし、クレジットカードや電子マネーであれば正確に金銭のやり取りが行われます。利用明細が連動する会計ソフトを使えば、経理担当者の手間も省けます。

また、クレジットカードにはポイントや付帯サービスがあるので、それらを利用して経費の節約にもつながります。

直接取引から口座振替

小口現金で支払う代金の中には、直接集金にきて支払っているものがあるかもしれません。たとえば、新聞購読料などが該当します。これらは、ぜひ口座振替に切り替える手続きを行いましょう。

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月1回の立て替え精算

クレジットカードや電子マネー、口座振替の対応では今までの小口現金でのやり取りをすべてカバーするのは難しいでしょう。キャッシュレス決済に対応していない店舗など、そもそも現金払いしかできないものもあります。そこで、取り入れたいキャッシュレス化の方法に、経費精算の仕組みの見直しがあります。

具体的には、これまで小口現金で立て替え払いをしていた経費を、月に1回まとめて精算する仕組みを取り入れます。従業員が日々の業務で立て替えた経費(交通費や接待飲食費、備品の購入など)については、領収書を保管してもらい、月に一度会社が決めた方法で申請してもらいます。一般的には「経費立替精算書」を作成することが多いです。

そして、その内容に従って給与と一緒に経費分を支払うというのが支払いまでの流れです。

会社として、現金を持たずに済みます。加えて、各人がまとめて請求する流れにすると、経理担当者の負担が大きく減ります。間接部門のコスト削減につながり、結果として会社の生産性向上に寄与します。

支払額が大きい社員には「仮払金」を活用

従業員の中には、出張が多いなど立替金額が高額になる人もいます。その場合、月に一度の精算制度にすると、後で補填があるとはいえ、従業員への一時的な金銭負担が大きくなってしまいます。その場合は立て替えが発生する前に「仮払金」として経費を渡しておき、その後、領収書を提出してもらって残額を精算する方法がおすすめです。通常の経費精算と同様、毎月の給与と同時に支払うようにすれば手間も変わりません。

その小口現金は必要?キャッシュレス化を検討しよう

当たり前のように小口現金を使っている場合、小口現金を廃止することには不安があるかもしれません。確かに、その場ですぐに立て替えられると便利に思えますが、適切な管理をするためのコストがかかってしまいます。

キャッシュレス化を推進することで、煩雑な小口現金の処理をなくすことができます。キャッシュレス化を取り入れて、事業の生産性を上げましょう。

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執筆は2020年11月25日時点の情報を参照しています。
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