PASSAGE by ALL REVIEWS | Square 導入事例

PASSAGE by ALL REVIEWS(以下、PASSAGE)は、2022年に東京・神保町にオープンしたシェア型書店だ。一つひとつの棚は細かく区切られ、そのすべてに「棚主」セレクトの本が並べられている。店舗数は開業から約3年のあいだに4店舗に増加。棚数は1,000を超え、棚主も800人程度いるという。本の数は全店舗分で30,000冊ほどだ。

代表の由井緑郎(ゆい・ろくろう)さんは店舗開業にあたり、入荷作業から棚主への売上分配まで、各業務の効率化に情熱を注ぎ、エンジニアとともにいちから自社システムをつくりあげた。さらには店頭での効率化も考え、全店舗オールキャッシュレスにしている。手間を省くうえで活用したのが、Squareだ。活用方法や利便性について由井さんに伺った。

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業種 小売業
業態 シェア型書店
使用しているSquareのサービス Square レジスターSquare リーダーSquare 請求書Square リンク決済Square 資金調達Square API
目次


利用料の回収に定期請求システムが必要だった

PASSAGEでは誰でも申し込めば棚主になれる。固定費として発生するのは、毎月の利用料と販売手数料だ。この月額利用料を回収するうえでまず必要になったのが、オンラインの定期請求システムだった。

前にも定期請求サービスを使用したことはあった。店舗をはじめる前に、自身の父親である書評家の鹿島茂(かしま・しげる)さんがプロデュースし、由井さんが運営する書評サイト「ALL REVIEWS」にて、書評好きを集めたファンクラブの会費回収に活用していたそうだ。ただ当時使用していたのは他社のもの。なぜSquareに乗り換えたのだろう。

「当時使っていたサービスは決済端末を提供していなかったんです。それから在庫管理をAPI経由でできる、かつ決済端末もあるというサービスを探していました。いろいろ考えましたが、今後の拡張性や利便性を考えると絶対にSquareだなと」

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Squareで定期請求書を送るのは簡単だ。Squareのアカウント内にある請求書作成ページで必要な情報を入力し、そこからそのまま取引先のメールアドレス宛に送信できる。棚主は受け取ったメール内のリンクからクレジットカード情報を登録すると、指定のカードに毎月請求されるようになる。

万が一支払いが止まってしまった場合は、請求額が記載されたリマインダーも送れる。以前のサービスだと「請求額が支払われていません」という通知は送られても、実際の滞納額の記載はなく、その点に不便を感じていたそうだ。Squareに移行してからはそれも解消された。

「ここまで素晴らしいサービスで、決済手数料だけで使えるのは、まさに驚異といえます」

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▲代表の由井さん

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自社システムに登録された在庫情報は、自動でPOSレジに反映

棚主が申込手続きを終えると、パソコンやスマートフォンからPASSAGEのシステムにアクセスして、在庫を登録する。端末のカメラで本のバーコードを読み取ると、タイトルや著者などが自動入力されるしくみで、サクサクと作業を進められる。デジタルでの作業に不慣れな人でもすぐに使いこなせるよう設計したそうだ。

そうして棚主がPASSAGEの自社システムに登録した在庫情報は、なんとリアルタイムでSquare POSレジに自動で反映される。Squareが無料開放しているAPI(※)を活用したことで、こういった連携が可能になった。

※API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェアやアプリなどを連携するためのしくみです。SquareのAPIを活用すると、Squareの機能を自社システムなどに組み込めるようになります。

「ユーザーに(商品登録を)やっていただけるので、僕らが商品登録をする必要がないのが良いなと思っています。本のISBN(国際標準図書番号)といった個別情報をSquareに商品情報として返せるので、そこはすごく助かりますね。在庫管理が単品でもできますし、割とエンジニアにとってもわかりやすいAPIなのかなという印象です。ほかを探してもここまで高機能なAPIを公開してる決済システムはあまりない気がします」

1日店長もすぐに使いこなせるレジ

無事、在庫登録を終えたら、今度は入荷作業だ。店舗に直接持ち込むこともできれば、郵送もできる。搬入作業は事前予約制だそうで、混雑状況を聞くと、週末はオープンから閉店まで予約がみっちり埋まっているそうだ。

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晴れて棚主としての生活がスタートしたら、基本的には遠隔で本の売れ行きを見守る形なのだろう。そう思いきや、PASSAGEでは1日店長として実際に店に立てるという。自分の棚をプロモーションしつつ、展示台に入り切れば普段棚に収まりきらない冊数でも販売できる。

そこには決まりごともある。たとえば、1日店長はレジも担当する。

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1日限りのスタッフにレジを触らせることに不安を感じる人もいるかもしれない。Squareだと操作が簡単なため、由井さんはこの点は特に心配していないそうだ。

「高性能ですがシンプル。バイト初日の人でも使いやすいUI(ユーザーインターフェース)になってるのが良いところだなと感じます。あとは担当者ごとにパスコードを設定して、誰がレジで会計をしたかを把握できるようにしています」

Squareのスタッフ機能を使うと、無料でスタッフの名前や役職などを登録し、特有のパスコードを発行できる。レジを操作する際にパスコード入力を必須にすれば、誰がどの会計を担当したかがあとで追える。1日限りのレジ係もいるからこそ、こういった機能も助かっているようだ。

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手軽に資金を調達できた

PASSAGEではもう一つ利用したSquareのサービスがある。Square 資金調達だ。加盟店が条件を満たすと、Squareが提示した上限金額の全額、あるいは一部を前払いで資金として受け取れるサービスだ。管理画面から条件を満たしたとの表示を見て、さっそく申し込んだという。

「合理化の徹底、サービスレベルの維持向上やSNSでの戦略などが功を奏したのか、『神保町で棚主になりたい』というご要望が多くいただき、1年に1店くらいのペースで出店していました。都度、銀行さんからご融資をいただけていたんですが、看板を新しく作りたいなど新調したいものがいろいろと出てきたり、我々の成長率だったらSquare資金調達もいただけそうだったので、申し込んでみました」

Squareの管理画面から数分で申し込めるうえ、調達額は申込日から最短2日で入金される。そのスピード感や申し込みの手軽さについても感想を聞いてみた。

「びっくりしましたよ。結構な額でしたが次の日ぐらいに来たので、『すごい』という印象でした」

融資以外の方法で資金を調達できるのは経営者としてはありがたいという。

「新米経営者だと予期せぬ出費が結構あるので、非常に心強い存在です」

今後は自社システムをレンタル販売していく

たったの3年ほどで4店舗にまで拡大したPASSAGE。このスピード感で店舗を増やすことは、開業当初は予定していなかった。「予想を遥かに超えて人気があったんです」と由井さんは振り返る。

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直近の目標は、店舗数を維持しながら、SquareのAPIを組み込みいちから開発した渾身の「PASSAGEの棚貸しシステム〈SOLIDA〉」を、個人法人問わず一般向けに提供していくことだ。シェア型書店を実際に営みながら、書店特有の手間を徹底的に省くことを念頭につくられたシステムだからこそ、無駄を極力減らしたい書店新規参入者には朗報かもしれない。2025年7月にはPASSAGEの棚貸しシステムを利用した新規シェア型店舗も開店するとのこと。システムについてのリリース情報などは、PASSAGEの公式サイトやSNSなどから追いかけよう。

「ここまで素晴らしいサービスで、決済手数料だけでこれが使えるのは、まさに驚異といえます」ーPASSAGE by ALL REVIEWS 代表 由井緑郎さま

Squareで実現できたこと

オンライン上での定期請求

PASSAGEではSquare 請求書を活用することで、簡単に棚主から月額利用料をオンライン上で回収できるようになりました。課金が止まった場合に滞納額が記載されたリマインダーを自動で送れるのも、助かる点でした。

APIを活用した自社システムの開発

PASSAGEの由井さんは、できるだけ効率的にシェア型書店を運営できるよう、エンジニアとともに自社システムを開発しました。Squareが無料開放しているAPIを活用することで、自社システムに登録した商品情報がSquare POSレジに自動で反映されるよう構築でき、店舗運営の負担を取り除くことに成功しました。

レジのトレーニング時間削減

PASSAGEでは、棚主が1日店長になれる制度を設けています。1日店長の業務に由井さんが含めたかったのが、レジ打ちです。SquareのPOSレジは画面の表示に従うだけで迷いなく操作できるため、慣れるまでつきっきりで教えたり、トラブルの発生を心配したりすることなく、すぐに任せることができました。さらにスタッフごとにパスコードを発行し、会計時にパスコードの入力を必須にすることで、誰がどの会計を受け付けたかを追うこともできています。

短期間での資金調達

PASSAGEではSquare 資金調達を活用して、高額な資金をおおよそ2日で調達できました。Square 資金調達は加盟店が条件を満たすと利用できるようになるサービスです。条件を満たしているかどうかは、Squareの管理画面から確認できます。

記事に​​掲載されている​​店舗情報 (商品内容、​​価格、​​営業時間など​​) は​​2025年5月時点の​​ものです。