メイクアップアーティストになるには?必要な資格、独立・開業までのロードマップ

メイクアップアーティストは、メイクアップによってお客さまの魅力を最大限に引き出すプロフェッショナルです。メイクアップアーティストという仕事に興味があり、どのようにキャリアをスタートしてビジネスにしていいのか知りたいという人もいることでしょう。本記事では、メイクアップアーティストになるための道のり、必要な資格、独立・開業について詳しく解説します。

目次


メイクアップアーティストとは?

はじめに、メイクアップアーティストとはどのような仕事なのか、仕事内容、種類、向く人向かない人、業界の動向についてみてみましょう。

メイクアップアーティストの仕事内容

メイクアップアーティストとは、ヘアスタイルをアレンジしたり、メイクアップを施したりすることで、お客さまの魅力を引き出し、理想のイメージに顔を中心に外見を変化させる専門家です。メイクアップアーティストの手にかかると、顔立ちが一層際立ち、個性が光るようになります。これがメイクアップ「アーティスト」と呼ばれる由縁です。

メイクアップアーティストは芸能人やモデルと仕事をすることが多い印象を受けますが、ソーシャルメディアの追い風もあり、一般の個人がメディアに出演するようになり、仕事の範囲は広がっているといってよいでしょう。具体的には、日常的なメイクアップの提案から、ブライダル、映画・テレビ、ファッションショー、写真撮影といった特別な場面でのメイクアップまで、メイクアップアーティストはさまざまなシーンでお客さまにメイクアップを施します。

メイクアップアーティストはお客さまの肌質や顔の形、メイクアップが必要になるシーンに応じて、最適なメイクアッププランを提案し、お客さまとのコミュニケーションを通じてイメージを固めていきます。そのため、メイクアップの知識や技術はもちろんのこと、お客さまと密接なコミュニケーションを取りながら、その人の魅力を最大限に引き出すセンスやコミュニケーション能力も求められます。

メイクアップアーティストの種類

メイクアップアーティストと一口にいっても、メイクアップアーティストにはさまざまな専門分野があります。ここではそのいくつかについて説明します。

たとえば、ブライダルメイクアップアーティストは、結婚式という特別な日に、新郎新婦や参列者の美を引き立てるスペシャリストです。映画やテレビのメイクアップアーティストは、キャラクターの役割や時代背景を表現するために、出演者に特別なメイクを施します。

ファッション業界では、モデルをブランドのファッションショーや雑誌の撮影に合わせて、メイクアップでイメージを作り上げることが求められます。少し変わった分野では、特殊メイクを専門にするメイクアップアーティストもいます。特殊メイクアップアーティストは、造形技術で怪我や老化、架空の生物などをリアルに再現します。これらの分野ごとに、異なる技術や知識、特有の創造力が求められます。

向いている人、向いていない人

メイクアップアーティストに向いている人は、第一に美への情熱を持ち、創造力にあふれている人といえます。細かい作業に対する忍耐力と精密さ、色彩や形、質感への敏感さも必要です。さらに、お客さまの要望を正確に理解し、それを目に見える形にできるコミュニケーション能力も不可欠です。

逆に、メイクアップアーティストに向いていない人は、コミュニケーションが苦手な人です。また、流行や美容に対する関心が薄い人も、この職業での成功は難しいでしょう。創造力はある程度必要な要素ではありますが、技術的な部分は情熱と忍耐力さえあればある程度あとからでも習得し、補えます。

業界の成長と将来性

メイクアップアーティストは、美容とファッションの世界で常に重要な役割を果たしています。世界的にメイクアップ用品の売り上げは増加傾向にあり、今後の増加も予測されているため、美への強い関心は続くとみられます。

これまで通り、ファッション、映画やテレビ、広告業界では、専門性と技術力を持つメイクアップアーティストが求められることでしょう。

近年、ソーシャルメディアの普及により、個人が自分のスタイルを世界に発信できるようになりました。その中で、プロのメイクアップアーティストやその技術に対する需要が高まっています。メイクアップアーティストは、直接メイクアップをほどこさなくても、メイクアップの方法をソーシャルメディアで発信し、報酬を得ることもできるようになりました。

一方で、ソーシャルメディアでは、メイクアップにたけた個人が競争相手となるのも事実です。ソーシャルメディアでの競争は激しくなることが見込まれますが、新たなチャンスをつかむ機会でもあります。メイクアップアーティストは、自身のブランドを築くことができれば、フリーランスとして活動し、指名を受けて仕事をする機会も増えるでしょう。

メイクアップアーティストになるには?

メイクアップアーティストになるのに必ず通らなければいけない進路や、必要な経歴はありませんが、ここでは一般的な学校で学び、就職する進路について説明します。

専門学校やその他の学校で学ぶ

美容やメイクアップに特化した専門学校に通ったり、通信教育を受けたりした上でメイクアップアーティストになるのが一般的です。基本的なメイクアップ技術に加えて、卒業後に進みたい分野に応じて、ブライダル、ファッション、映画・テレビメイク、特殊メイクの技術を身に付けます。

学校を選ぶにあたっては、自身の目的に合った学校や講座選びが重要です。カリキュラム、講師陣、施設・設備、卒業後のサポートが求めているものと合っているか確認し、学校の評判についても調べましょう。自分の目指すキャリアパスに最適な学校や講座を選び、基礎から応用までしっかりと学びましょう。

関連業務の会社に就職する

メイクアップアーティストとしての教育を受けたあとは、独立する人もいますが、多くの人が美容業界での就職を目指します。具体的には、美容室、化粧品会社、ブライダル会社、ファッション関連企業、映画・テレビ業界など、選択肢は多岐に渡ります。これらの職場では、メイクアップアーティストとしての専門技術を生かし、ファッションやエンターテイメント業界で活動するだけでなく、直接お客さまの依頼でメイクアップをする人もいれば、新しい化粧品を開発や販売する人、メイクアップ教室の講師などとして活動する人もいます。

メイクアップアーティストになりたいと思った段階で、どのような分野のメイクアップアーティストになりたいか具体的にイメージを固め始めておくとよいでしょう。

メイクアップアーティストのキャリアパス

メイクアップアーティストとしてのキャリアは多様で、個々の目標やスキルに応じて異なる道を選択することになります。以下では、就職、フリーランスや業務委託での活動、そして独立開業の三つの主要なキャリアパスについて解説します。

就職する

多くのメイクアップアーティストは、キャリアの第一歩として前述のように関連業務を行う会社に就職します。会社に就職して働くことで、比較的安定した収入を得られます。また、研修プログラムが充実していれば、新たな技術や最新のトレンドを学ぶ機会になるでしょう。就職は、メイクアップアーティストとしての基礎を固め、将来のキャリアアップにつながる重要なステップになるでしょう。

フリーランス、業務委託で活動する

ある程度メイクアップアーティストとしての経験を積むと、フリーランスや業務委託契約で仕事を検討する人も出てきます。フリーランスとして活動することで、自分の好きな時間に働き、さまざまなクライアントとのプロジェクトに携われる可能性が広がります。ブライダル、ファッションショー、映画・テレビ制作、雑誌や広告など、幅広い分野でフリーランスや業務委託で仕事をするメイクアップアーティストの需要があります。フリーランスで成功するには、優れた技術と創造力に加え、マーケティングや経営に関する知識、強い人脈が必要になります。

独立開業してサロンを開く

メイクアップアーティストを志す人の中には、独立してサロンを開業することを夢見ているという人もいることでしょう。独立開業では、自分のサロンのコンセプトやデザイン、提供するサービスの質を自ら決定し、お客さまにサービスを提供しながらビジネスを成長させていきます。サロン経営には、メイクアップ技術だけでなく、経営管理、マーケティング、人材管理など、多岐にわたるスキルが求められます。成功するためには、事業計画の策定から資金調達、運営まで、細かな準備と計画が不可欠ですが、自分の理想とするサービスをビジネスにし、お客さまから感謝されるのは、大きなやりがいとなるはずです。

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メイクアップアーティストの独立に必要な資格

美容師法では美容を「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定めており、「美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことはできない」としています。そのため、美容師免許はメイクアップアーティストとして活躍にするにあたって必須といえるでしょう。美容師免許以外にも、キャリアパスやサービスの幅を広げるために有利となる資格がいくつか存在します。ここでは、独立に役立つ資格を紹介します。

メイクアップアーティストの独立に役立つ資格

専門性を示し、お客さまに信頼していただくために、資格の取得を目指すのはよい選択といえます。具体的な資格として、民間のメイクアップや色彩に関する資格などがあります。これらの資格を持っていることで、マーケティング面でも有利になることがあります。また、資格取得のために講座を受け、最新の技術やトレンドにふれることで、プロフェッショナルとして成長する機会にもなるでしょう。

メイクアップアーティストが独立開業する前に検討すること

一口に独立開業するといっても、さまざまな独立開業の形があります。ここでは開業の形態、開業する場所、開業に必要な資金の目安について説明します。

開業の形態

独立開業の形態には、個人事業主としての開業、法人としての開業が考えられます。個人事業主として規模は小さくてもていねいなサービスを提供し続けたいのか、徐々に法人化に向けてステップアップしていくのか、初めから法人化するのかなど、ビジネスモデルや将来のビジョンも考慮しながら、最適な形態を検討してください。

開業する場所

店舗を構えて独立開業する場合、立地選びは非常に重要です。お客さまの層、競合の有無、賃料、アクセスの良さなど、多くの要素を考慮する必要があります。たとえば、ブライダルメイクを中心に考えている場合は、結婚式場や写真スタジオが近い場所が適しているかもしれません。立地によっては高額な賃料が発生することもあるため、予算とのバランスを考慮することも重要です。

開業に必要な資金の目安

物件を借りる場合には、賃貸契約、内装・外装工事、備品・設備の購入、初期の運転資金など、多額の資金が必要になります。立地によっては数百万円またはそれ以上かかることもあるでしょう。銀行から融資を受けたり、補助金や助成金を活用したりすることで、必要となる自己資金を抑えられます。

独立後の売上と収入の予測

独立後の収益予測は、楽観的でも悲観的でもなく、現実的な視点で行う必要があります。完璧に収益を予測することはできませんが、独立後の見込み客を推定することはできます。

その上で、競合他社を調査し、適切なサービス単価を設定し、お客さまの数を見積もります。これにより売り上げの予測を立てられます。続いて家賃や光熱費、人件費といった固定費と、メイクアップ用品や消耗品にかかる変動費を見積もります。売り上げから固定費と変動費を引くことで収入の予測を立てられます。

メイクアップアーティストのサロン開業までの準備

メイクアップアーティストとしてサロンを開業するには、入念な計画に基づく段階的な準備が必要です。ここでは開業に向けて検討すべき主要なステップについて説明します。

開業計画の立案

サロン開業の成功は、しっかりとしたビジネスプランに基づいています。サービスの内容、ターゲット顧客、価格設定、市場分析、競合分析、販売戦略など、事業の全体像を明確にし、目標達成のための具体的な計画を立てましょう。

物件の選定

サロンの立地は、ビジネスの成功に大きく影響します。対象とするお客さまが来店しやすい場所を選ぶことが重要です。物件を探すときには、家賃だけでなく、周辺環境や競合の有無も考慮するとよいでしょう。

資金調達

開業資金の計画を立て、必要な資金を確保します。個人の貯蓄、家族や友人からの借入れ、銀行ローン、助成金や補助金の利用など、資金調達の方法は多岐にわたります。リスクを考慮し、返済計画も含めて慎重に検討しましょう。

内装、外装工事

サロンのコンセプトやブランドイメージに合わせて、内装・外装の設計と工事を行います。お客さまが快適に過ごせる空間作りを心がけるとともに、サービス提供時の効率も考慮した設計が求められます。

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開業届など必要な手続き

サロン開業にあたっては、保健所で美容所として登録し、税務署に開業届を提出します。保健所での登録では、届出書だけでなく、設備についてや、美容師免許保有者の医師診断書など、提出する書類が少なくありません。入念に準備し、開業までに確実に手続きを終えられるようにしましょう。

備品や決済システムの準備

サロン運営に必要な備品、器具、化粧品などの購入と合わせて、お客さまが利用しやすい決済システムを導入します。予算内で購入するためにも、必要なものをリストアップし、品質はもちろん、費用対効果や使いやすさ、評判などを考慮して選定を進めましょう。

スタッフ採用

スタッフの採用は必須ではありませんが、採用する場合には、スタッフはサービスの質や業務の効率を左右するため慎重に採用を検討します。職種によっては書類選考や面接に加え、実技テストを行うのも一つの手です。

メイクアップアーティストの施術以外の業務

メイクアップアーティストとしてのサロン運営において、施術以外にも多くの重要な業務があります。ここでは主な四つの業務について説明します。

集客

サロンの成功には、効果的な集客が不可欠です。ソーシャルメディアやウェブサイトを活用したデジタルマーケティング、口コミや紹介制度の導入など、さまざまな方法で潜在顧客にサロンの存在を知ってもらいましょう。集客にあたっては、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターを増やすことにも力を入れましょう。

予約管理

予約管理システムを導入することで、お客さまの予約状況を一元的に管理し、スムーズにサロンを運営できるようになります。オンラインで予約できると、お客さまの利便性向上にもつながります。

会計管理

サロンの財務状況を正確に把握し、健全な経営を維持するためには、会計管理が欠かせません。POSシステムや会計ソフトウェアを活用し、適宜専門家のアドバイスを受けることで、会計業務の正確性と効率性を高めましょう。

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備品管理

サロンで使用する化粧品や器具、その他の備品の在庫管理は、重要な日々の業務の一つです。適切な在庫を保ち、消耗品の補充や機器のメンテナンスを定期的に行うことで、常に高品質なサービスを提供できます。また、無駄な在庫を抑えることで、コスト削減にもつながります。

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本記事では、メイクアップアーティストとはどのような仕事なのか、どのようにキャリアを開拓していくのか、独立・開業の基本的な道筋、成功に向けて考慮すべき点を説明しました。独立・開業までは数年はかかる長い道のりですが、順を追って見てみるとイメージをつかみやすくなったのではないでしょうか。

本記事をきっかけに、この時代ならではのメディアやツールを最大限に活用して、独立・開業を目指してください。


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執筆は2024年2月27日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash