売り場が変わる!?インストア・マーチャンダイジングで現場から購買を促進する方法

宣伝や販促活動だけでなく、「売り場」の在り方も商品の売れ行きを大きく左右します。消費者目線で活気ある売り場を作るため、商品の魅力をより的確に伝えるためには、消費者行動への理解が不可欠といえます。

今回は小売店のほか、メーカーにとっても役立つ売り場作りの方法、インストア・マーチャンダイジングについて解説します。

インストア・マーチャンダイジングとは

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インストア・マーチャンダイジングは、ISMの略称でも知られ、小売店の店頭や店内、特に売り場において効果的な商品配列やプロモーションによって販売促進を行うことを意味します。

どれほど魅力的な商品であっても、店内のどこで売られているかが来た人に分からなければ買ってもらうことはできず、また陳列棚での並べ方や状態によっては商品の魅力が十分に伝わらず購買意欲を刺激できない場合があります。インストア・マーチャンダイジングでは、消費者の買う・買わないといった行動パターンと売り場・店内の状況の相関関係を研究し、ベストな方法で商品を店内に展開し、より売り場の生産性を高めるための手法です。

スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの日用品店で多く活用されているだけでなく、その他の小売店のバイヤーや売り場担当者にとっても非常に有効な販促方法です。インストア・マーチャンダイジングによるマネジメントは商品の陳列や店内PRだけでなく、時に商品構成にも及びます。そのため、自社商品を小売店で販売したいメーカーや卸売企業にとっても、小売店で売り場展開のアドバイスを行う上で強い武器となる実践的なメソッドといえます。

2種類のインストア・マーチャンダイジング

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インストア・マーチャンダイジングは主に、店内での販促活動と売り場展開の効率化という二つの角度から実践します。

インストア・プロモーション

購買アップのために店舗で販促活動を行うインストア・プロモーション(ISP)は、インストア・マーチャンダイジングの構成要素の一つです。店頭や店内で、以下のようなPRやアクティビティを行うことで、たとえば広告チラシやオンライン上の告知を見て来店した人にも、店舗の前を偶然通りがかっただけの人にも、商品やサービスを上手に印象付けることができます。

・店頭の特売コーナー
・店頭イベント
・クーポンや特売チラシの配布
・来店や購入ノベルティー特典の実施
・サンプルの配布、試食・試飲の実施

新商品を大々的に売り出す場合、店頭で商品のチラシやクーポン券を配布することで、全く知らない人に対しても認知度向上の効果が得られます。また、購入特典としてノベルティを付与することを店頭や売り場でPRすれば、購入を迷っている人の背中を押すことになり、売り上げに貢献します。

シャンプーや化粧品などの肌に直接つける商品、食品や飲料など味を確認してから買いたい商品については、サンプル品を店舗で配布する、あるいは試食や試飲を実施することで、購入を検討中の人の判断材料になるだけでなく、商品の存在感をアピールすることにもつながります。

スペース・マネジメント

お客様の購買行動を促進する売り場を作るスペース・マネジメント(SPM)は、その名の通り、商品を売るための店内空間を、消費者行動の分析結果に基づいて管理することで、お客様が商品を手に取りカゴに入れやすい環境を作ります。具体的に、スペース・マネジメントでは以下の要素を考えます。

・店内の棚割り、動線作り
・商品カテゴリごとのフロア配置
・陳列棚ごとの商品配置
・特設売り場のマネジメント

たとえば食料品店では、最後に向かう会計場所に近いエリアや、買い物時間の後半に差し掛かるエリアに冷凍食品コーナーがあることが多いです。もし冷凍食品コーナーがレジから遠い入り口付近にあれば、お客様は商品が溶けてしまうのを避け、後でまた売り場に戻ろうと考えるうちに購入を忘れてしまう可能性があります。パンなどの軽く潰れやすい商品も同様です。

個々の陳列棚については、ターゲットとなる消費者の目線の高さを意識することもスペース・マネジメントのポイントです。女性と男性、子どもと高齢者では、平均身長が異なるため目に入りやすい位置も違ってきます。特に売り上げを強化したい商品をターゲットの目線に入りやすい位置においたり、同じ用途の商品でも必要に応じて陳列場所を入れ替えたりすることで、来店頻度の高いお客様がそれまで気づかなかった商品を手に取る確率を高めることができます。陳列位置による販売数の違いなどをPOSレジを使ってデータ化すれば、より正確な陳列棚管理が可能です。

また、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでレジ付近にガム売り場があるのは、会計のための列に並んでいる間に買い忘れを思い出す効果を狙っています。同様に、乾電池や絆創膏などの日用品や、マスクや虫除けスプレーなどの季節商品といった「買い置きが必要な商品」や「あると便利な商品」をレジ回りに配置することも、購買を促進する効果があります。

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EC時代のインストア・マーチャンダイジング実践法

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最近では、ネットスーパーや総合ECサイトなど、実店舗とは異なるオンラインの小売店も一般化してきました。そのため、実店舗に陳列されている商品を手に取り確認し、買わずに帰って後からオンラインで最安値を調べて購入するという消費者行動も増えています。Eコマースが浸透した時代に実店舗のインストア・マーチャンダイジングを行う際は、オフラインのリアルな売り場であることを生かした戦略が効果的です。

店頭イベントやキャンペーンは、実店舗ならではのマーケティング方法といえます。ローカルエリアで人気のあるミュージシャンのミニライブ、店内スペースを活用した小規模な展覧会、福引きや抽選などの参加型キャンペーンなど、店舗に足を運ぶ理由を作ることで、来店を促進します。

その上で実際に商品購入に結びつけるためには、テイスティング、実店舗でしか使えないクーポン券の発行や、メンバーシップカードのポイントアップ特典、当日限定の割引セール、購入特典としてノベルティーの付与など、そこで買わなくては得られない体験や特典を用意することが効果的です。「帰って一度検討してから購入を決めよう」と思わせるのではなく「今決定し購入して良さそうだ」とお客様がポジティブに判断できる要素を整えれば、快適で気分の良い買い物体験につながります。

実店舗での購買を何よりも強く促進するのは、人と人とのコミュニケーションです。相談しながら購入できる、使用感や率直な感想を直接聞くことができる、他の購入者の例を知ることができるなど、消費者側から見たメリットを意識する必要があります。適切なコミュニケーションは売り場の陳列効果の検証や、ターゲットと陳列方法のマッチングなどを分析するためにも役立ちます。

オンラインショッピングにはない生の購買体験にインストア・マーチャンダイジングを組み込むことで、売り場の生産性をより高め、販売する人の顔が見える店舗の魅力を、売り上げに確実につなげていきましょう。

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執筆は2019年2月6日時点の情報を参照しています。
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