ネットショップへの集客という課題の対応策として、ブログは有効な選択肢の一つです。ネットショップの商品ページだけでは伝えきれない商品やブランドの魅力を、ブログを通じて多くの人に伝えるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ブログをただ導入し継続するだけでなく、ネットショップの集客に効果の出るブログ運営のコツを解説します。
目次
- なぜネットショップがブログを持つ必要があるのか?
- ネットショップがブログを導入するメリット
- ネットショップがブログを導入するデメリット
- ネットショップ用のブログを作る方法
- ブログを成功させる八つのコツ
なぜネットショップがブログを持つ必要があるのか?
ネットショップの集客において、ブログは有効な情報発信ツールであり、フロント業務(商品を売るための業務)の一つです。ブログというコミュニケーションのチャネルを通してネットショップや商品の魅力を伝えることで、新たなユーザーとの接点が生まれるだけでなく、既存ユーザーにもさらなる興味を持ってもらい、リピーターを獲得できる可能性もあります。
通常、ネットショップの商品ページに載せられる情報には限りがあり、情報過多では見づらくなってしまいます。しかし、そこにブログへのリンクを貼れば、商品を取り巻く情報をブログ記事を通して伝えることが可能です。
たとえばインターネット検索で「ベジタリアン おやつ」と検索したユーザーが、同じキーワードを含むブログを訪問し、そこからベジタリアン向けの食品を取り扱うネットショップの存在を知り、商品を購入することもできます。ネットショップの商品と密にリンクしたブログがあることで、検索からの新規ユーザー流入の可能性が高まります。
ネットショップがブログを導入するメリット
集客のためにブログを導入しているネットショップは少なくありませんが、ブログを「効果的」に運用するのは案外難しいものです。そこで、何のためにブログを運用するか、ネットショップにどんなメリットをもたらすかを念頭に置くことで、効果的にブログを運営しましょう。
メリット1. ブランディングができる
ブランディングでは「お客様にとっての商品価値を向上させること」を目指します。ネットショップでもブランディングは売り上げや顧客ロイヤリティーに大きく影響します。
たとえば、リネン100%の手作りシャツをネットショップで販売する場合、ネットショップAでは商品名と簡単な商品説明だけであるのに対し、同じ商品を扱うネットショップBではブログを用意して「なぜリネンを素材に選んだか」「デザインの背景」「コーディネート例」「手入れ方法」などを解説しているとします。似た商品でも、ネットショップBから買うほうが価値が高く感じられ、より愛着のわくシャツとなることが容易に想像できます。
このように、ブランディングを行うことで商品の価値を高め、ユーザーとの結びつきを深めるために、ブログは適したツールです。
メリット2. 検索にヒットする
買い物前の情報収集に検索キーワードを利用する消費者は少なくありません。検索キーワードを含むブログ記事があれば、検索にヒットし、ターゲットに見つけてもらえる可能性があるということです。
ブログを通して商品に魅力を感じれば、貼っておいたリンクからネットショップにアクセスしてくれるかもしれません。
メリット3. 信頼感が生まれる
商品について、開発から生産工程までを誠実にブログで説明すれば、商品への信頼感と同時にネットショップへの信頼感も育むことができます。ブログを通した情報提供でユーザーを安心させ、購入につなげるだけでなく、信頼感が生まれればリピーターになる可能性も高まります。
ユーザーが販売者の顔を見ることができないネットショップでも、ブログを通してショップの雰囲気や執筆者の人柄を感じることで、画面の向こうに人がいるという温かみも実感できます。
メリット4. 商品を確実に紹介できる
ネットショップの商品ページでは、見せられる情報の量と質に限度があります。しかし、ブログならページ数を自由に使い、文章だけでなく写真や動画なども駆使して、さまざまな角度から商品の魅力を紹介できます。
商品そのものの特徴だけでなく、類似商品との差別化ポイント、旧モデルからの改良点など、比較によって特性を伝えることができるのもブログの強みです。また、衣類やバッグなどの着用例・使用例なども紹介すれば、商品サイズに迷うユーザーに必要な情報を提供できます。
メリット5. ネットショップ自体の紹介ができる
ブログで伝えられるのは商品そのものの魅力だけではありません。ブログで使われる言葉の選び方や文体、写真や動画のクオリティーは、そのままネットショップの雰囲気としてユーザーに受け止められます。あたかも、実店舗での店員の接客品質が店のイメージに影響するように、フレンドリーさ、高級感、頼もしさ、安定感、穏やかさなど、ECサイトから伝えきれないネットショップの雰囲気を伝えます。
同時に、ブログで商品に関わる説明をしながら、ネットショップのコンセプトや商品に込めた思いなどを織り込んでいくことも可能です。
メリット6. 拡散してもらえる
ネットショップのブログがコンテンツとして優れていれば、ユーザーによって拡散してもらえることもあります。たとえば、伝統工芸品を扱うネットショップが商品を作る職人の思いをブログで記事化し、その記事を読んだ人の心の残ったら、「他の人にも知ってもらいたい」とSNSや自分のブログで紹介する、ということが起こり得ます。
ネットショップがブログを導入するデメリット
ブログの運営はネットショップに多くのメリットをもたらす一方、デメリットもゼロではありません。ブログ運営にかける時間の使い方を、しっかり考えてみましょう。
デメリット1. 投稿に手間がかかる
ブログとして読んでもらうコンテンツを作るためには、内容に応じた時間がかかります。ブログの内容を考え、掲載する写真を撮影し、時には動画を作成し、いざライティング作業に取りかかるとなると、特に最初は予想以上に時間を要することがあります。
そのため、キーワードの決定、書きたい内容の箇条書き、写真撮影、画像編集など、作業をステップごとに分けると、上手にすきまの時間などを使って効率的にブログ投稿を作成できます。文章も一気に書き上げるのではなく、章ごとに少しずつ書き進めるといった方法もあります。時間があるときにブログ投稿数本分を用意しておき、適切なタイミングで投稿・公開する、ということも可能です。
デメリット2. 運営に時間がかかる
ブログは情報発信だけでなく、コミュニケーションのツールとしても有効です。ブログ投稿へのコメントや、ブログを見た人からの問い合わせなどは、ユーザーの生の声を知るチャンスである一方、丁寧な対応には時間を使う必要があります。
スパムコメントはブロック設定にする、過度に悪質なコメントは削除する、またはコメント欄を閉じておくといった方法もあります。しかし回答の難しいコメントにも上手に応えればユーザーの信頼を勝ち得ることもあるため、ブログ運営はあくまでネットショップの集客やブランディングのためという目的を忘れずに、臨機応変に対応しましょう。
ネットショップ用のブログを作る方法
ネットショップ用のブログを開設する場合、ネットショップのECサイトとは別に、既存のブログサービスを利用することが多いようです。既存のブログサービスは初心者にも使いやすく設計されているため、専門知識は一切不要でブログを始めることができます。開設したブログのURLをネットショップに貼り付けてリンクさせたら、あとは投稿を増やし、投稿をネットショップの商品ページやSNSで紹介することで、読んでもらうチャンスを増やします。
ブログサービス
さまざまなブログサービスがあり、各社で無料・有料のプランが用意されています。手始めに無料プランからスタートして、追加機能の必要性を感じたら有料プランに移行するという方法もあります。
ネットショップの集客に使いやすい代表的なブログサービスには以下のようなものがあります。実際に利用しているブロガーのブログを見ると、インターフェース(画面デザイン)などのイメージが掴みやすくなります。
ブログサービス名 | 特徴 |
アメーバブログ | ・デザインの自由度は低めだが、写真や動画を多数掲載化 ・アメーバユーザー同士の交流可 ・スマートフォン版の表示は制約がある |
はてなブログ | ・デザインの自由度は低めだが、投稿は簡単 ・投稿をSNSに共有しやすい ・スマートフォン版の表示は制約がある |
ライブドアブログ | ・デザインの自由度は低めだが、投稿は簡単 ・独自ドメイン設定が無料 ・スマートフォン版の表示は制約がある |
LINE BLOG | ・ソーシャルメディア感覚で投稿できる ・ブログ管理、投稿は全てスマートフォンアプリから ・デザインの自由度は低い |
WordPress.com | ・デザインの幅が広く、無料テンプレートも多い ・投稿の自由度が高く、どのデバイスからも読みやすい ・世界中で使われているが日本語サポートも充実 |
WordPress(ワードプレス)の活用法
ブログ運営の自由度の高さを求めるなら、WordPress.comがおすすめです。デザインのテンプレート数が豊富なので、HTMLなどの知識がなくてもシンプルかつおしゃれなブログを開設できます。
操作方法も簡単で、ウェブブラウザ、またはスマートフォンやタブレットPC用のアプリから投稿可能です。ただし、無料で利用可能なデータ容量には制限があるため、容量を超える場合は有料プランを契約し、データ容量を増やす必要があります。
ブログを成功させる八つのコツ
いざブログを開設したら、ネットショップの集客のための記事を投稿します。その際、以下の八つのコツを意識することで、検索にヒットしやすく、かつ魅力を感じてもらえる投稿が可能になります。
1. 読者のペルソナを設定する
ペルソナとは、架空のユーザー像、人物像のことです。「どんな人がブログを読むか」を具体的に想定しておくと、読み手を引きつけるブログコンテンツを作ることができます。
たとえば、男性向け革製品専門のネットショップのブログで、新製品のカバンを紹介する場合、誰にカバンを紹介したいか考えます。そこで、大手企業の営業職、33歳、東京23区で一人暮らし、身につけるものは質にこだわり個性も重視、趣味はサッカー観戦とショップ巡り、余暇にはジム通いで健康にも気を使い……といったように、一人の読み手のイメージを作り上げます。
ターゲットのペルソナを限定すると、その人が興味を持ちそうな表現方法を考えやすくなり、ペルソナに合う文章や写真を使うことで、読み手の心に刺さるようになるでしょう。
2. 目標を決める
ブログ自体の目的はネットショップの集客です。では、その目的を達成するために、何をすべきかを具体的な「目標」に落とし込みましょう。集客、つまりブログからネットショップに移動してもらい、商品を閲覧し、購入してもらうためには、以下のような数字が指標になります。
- ブログからネットショップへのユーザーの流入数
- ブログからネットショップを訪れたユーザーの購入率
- ブログがSNSなどでシェアされた数
これらの指標に対して具体的な数値目標を掲げ、その目標を目指してブログを運営することは、目的達成までの有効なステップとなります。ユーザー流入の多い投稿があれば、その理由を分析し、他の投稿に生かすことも可能です。
3. キーワードを意識する
ユーザーが検索からブログに辿り着くには、「検索キーワード」が重要です。「オーガニックコットン タオル」というキーワードで検索すると、その二つのキーワードを適切な割合で含み、かつ読み物として内容が充実しているコンテンツが検索上位に表示されます。
その商品を潜在的に求めているユーザーが、どんなキーワードで検索するかを想定した上で、検索にヒットするコンテンツを作成するSEO対策を意識してブログを投稿しましょう。
4. 質の高いコンテンツを作成する
いくらブログを書いても、コンテンツとして優れていなければユーザーから読まれることはありません。優れたコンテンツの条件とは、主に以下のようなものです。
- タイトル、キーワード、内容が一致していて、散漫でない
- 読後に納得感やお得感がある
- 誤字脱字、語句の誤りがなくすんなり読める
- 社会常識に反する内容、差別、個人攻撃などがない
優れたブログコンテンツでは、ネットショップや商品への信頼性が高まり、拡散される可能性も高くなります。
5. できるだけ一定頻度で更新する
年に一度しか更新のないブログを見ると、ネットショップの商品が回転していない、営業しているかわからない、という印象を受けます。毎日である必要はないので、週1回や2週に1回など、ある程度の決まった頻度でブログ投稿をすることで、ネットショップのアクティブさを伝えることも重要です。
6. 商品と関係のない話はしない
検索からブログを訪問したユーザーが求めているのは、検索キーワードに合致した内容です。「結婚式 和服」をキーワードとするブログ投稿で、無関係な個人的な話題を持ち出すと、読み手が離れていってしまう可能性が高まります。ただし、自分が結婚式で和服を着たエピソードや失敗談など、読者に役立つ「関係のある話題」であれば、個人的な経験を活用することも効果的です。
7. セールやイベント情報を発信
リピーター作りを考えるなら、ブログでネットショップの特売や新入荷、セールなどの最新情報を発信することもおすすめです。ブログを訪れるたびに役立つ情報が得られるとわかれば、ユーザーはブログをブックマークしたり、頻繁に見てくれたりするようになります。ブログを更新したら、即座にSNSなどで知らせることも有効です。
8. 商品の魅力を伝える
ネットショップの商品の魅力を伝えるのは、ブログの大きな役割です。ただし、自分が伝えたいことだけを詰め込むのでなく、「ユーザーが何を知りたいか」を意識すると、本来の目的である集客につながりやすくなります。たとえばユーザーは、商品の素材だけでなく、その素材の丈夫さや手入れ方法、使い心地など、実際的かつ役立つ情報を求めています。
以上のようなコツを意識しながらブログを運営することで、やみくもに記事を増やすのでなく、ネットショップの集客に効果的な投稿が可能になるでしょう。プロだからできる「ユーザーに役立つ情報発信」で、ネットショップを活況に導きましょう。
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執筆は2021年11月22日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash