ネイルチップ販売を徹底解説!販売方法、値付け相場、注意事項を紹介

つけ爪の呼び名で知られるネイルチップの販売は、ネイルの技術を持つ人にとって始めやすいビジネスです。特にオンライン販売の場合は手間やコストも抑えられるため、プロのネイリストだけでなく、趣味を仕事にしたい人や副業での収入を得たい人にも人気です。

本記事では、これからネイルチップの販売を始めたい人向けに、ネイルチップが人気な理由から、ネイルチップの売り方、販売のコツ、相場、注意事項までわかりやすく解説します。

📝この記事のポイント

  • コスパ・時短・再利用・デザイン多様性でネイルチップは利用者メリットが大きい
  • 販路は6種(フリマ/自ショップ/委託/イベント/専門サイト/ハンドメイド)で一長一短
  • 価格帯は専門サイト2,000〜5,000円、フリマは低価格、オーダーは高価格、サロンは5,000〜1万円前後が目安
  • 副業は月数万円の収益が目安だが、本業化には生産力・集客力・手数料最適化が鍵
  • 成功のポイントはサイズ適合と品質管理、SNS運用、資格活用に加え、税務および知財の遵守
目次


ネイルチップが人気な理由

ネイルチップはフリマサイトやハンドメイド販売サイトでも人気のカテゴリーです。販売に乗り出す前に、まずは利用者目線でのメリットを改めて理解しておきましょう。

ネイルサロンよりも高コスパ

ネイルチップが人気の理由は、ネイルサロンに行くよりもコストを抑えておしゃれなデザインを楽しめることです。

ネイルサロンでジェルネイルの施術を受けると、安い場合でもワンカラーのシンプルなもので3,000円程度、デザインが含まれたもので5,000円程度かかります。複雑なアートを希望すると、サロンによっては15,000円〜20,000円程度になることも。さらにつけ替えの場合は1,000〜2,000円程度のオフ料金が別に設定されているのが一般的です。そのため、一度ネイルサロンに行くと安くても4,000円程度、高い場合は20,000円ほどの出費になります。

一方で、ネイルチップ専門ショップ「ミチネイル」の人気商品を見ると、デザインが含まれるものでも2,000円台が中心です。チップは専用接着剤や両面テープを使って爪に装着できるため、つけ替えの際にオフの料金はかかりません。

仕事や育児、介護などで忙しい人にとっては時間もコストです。ネイルサロンでオフを含めた施術を受ける場合、早くても1時間半、場合によっては3時間程度かかります。そうした時間の捻出がままならない人にとって、自宅でチップをつけるだけで爪のおしゃれを楽しめる点も、ネイルチップが人気の理由です。

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セルフネイルよりも綺麗な仕上がり

サロンに行かずネイルを楽しむには、自分でネイルポリッシュやジェルネイルを施す方法もあります。しかしよほど器用でない限り、トレーニングや経験を積んだプロが生み出すクオリティには及びません。特に、利き手とは逆の手でブラシを持つと安定しづらく、塗り跡がムラになる、線がまっすぐ引けないなどといったことも。さらにポリッシュの場合は完全に乾くまで時間がかかるため、その間に何かの跡や傷がつきやすく、綺麗に仕上げるハードルが上がります。

その点、ネイルチップならプロによって綺麗に仕上げられたチップを爪につけるだけなので、自宅にいながらサロンで施術を受けたような美しい爪が手に入ります。セルフネイルとサロンでのネイル、両方の「いいとこ取り」だといえるでしょう。

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バリエーションが豊富

ネイルチップが人気の理由として、ほかにもバリエーションの豊富さが挙げられます。たとえば、ハンドメイド販売サイトのminneに出品されているネイルチップは13万点以上(2025年10月時点)。シンプルなものから、立体的なアートが施されたもの、和装に合うもの、ハロウィンやバレンタインなど季節性のあるものなど、デザインは多岐にわたります。イベントやお出かけの予定、気分などに合わせて異なるデザインを気軽に楽しめるのも、ネイルチップの醍醐味です。

オンラインで販売されているネイルチップは、デザインだけでなくサイズや形もいくつかのバリエーションから選べる場合がほとんどです。また、サイズやデザインのオーダーに対応している場合は、自分にぴったりのチップを作ってもらうことも可能です。

再利用可能!気軽に変えられる

仕事の都合でネイルのおしゃれが難しい人にとって、イベントや旅行など特別な日だけにピンポイントで使える点もネイルチップの魅力です。適切な方法で使用および保管したネイルチップは基本的に再利用できるため、ネイルを楽しみたい日だけ気軽に楽しむことができます。

また、頻繁にネイルデザインを変えたい人にとっては簡単につけ替えられるのもメリットです。チップの着脱は簡単に行えるため、その日の服や気分に合わせてアクセサリーのような感覚でネイルチップを選ぶことができます。

ネイルチップ販売のやり方・売り方

個人でネイルチップを販売する場所として検討したいのは、主に六つです。それぞれの特徴や、メリットとデメリットを知り、自分のビジネスに一番合う方法を考えましょう。

1. フリマサイトに出品

新品から中古品まで、多様な商品を扱うフリマサイトはネイルチップ販売に活用できます。好きなデザインを自由な価格設定で販売できるため気軽に始められる一方で、値引き交渉が発生する、低価格になる傾向があるという点も覚えておきましょう。

2. 自分のショップを作って販売

販売手数料やデザインの制約なくネイルチップを販売したいなら、独立したショップを開店して販売するという選択肢があります。実店舗は開店前も開店後もコストが大きくなりますが、ネットショップなら初期費用がゼロ円でもスタートできます。問い合わせ対応、集客、製作、販売と全業務を自分で担当することになるものの、ネイルチップのデザイン、運営方法ともに自由度の高さが魅力です。

3. 委託販売

オンライン販売以外では、美容室やエステサロン、雑貨店、貸し衣装店などに自分が手がけたネイルチップの販売を委託する方法があります。委託販売のメリットは、自ら集客せずとも、ターゲットに訴求できる点です。たとえば和風デザインを得意とする場合は、成人式やブライダル用、あるいは観光地散策用の着物を貸し出す店舗に商品を置かせてもらえれば、着物と合わせたトータルコーディネートの一環として購入されることが期待できます。

委託販売のデメリットとしては、委託先の開拓や条件交渉、契約締結、請求や支払いなどに手間や時間がかかる点です。営業活動や事務作業をすべて自分で行う必要があるため、場合によってはネイルチップの製作時間が圧迫される可能性があります。

4. イベントポップアップ出店

「実店舗を構えるハードルは高いけれど、お客さまの顔を見て販売したい」という人はイベントでのポップアップ出店がおすすめです。たとえばデザインフェスタやハンドメイドマルシェ、地域で開催される青空市などに出店すれば、お客さまと直接会話できるだけでなく、トレンドを把握できたり、ほかの出店者とのつながりが生まれたりするなどのメリットがあります。

イベントの出店料は、決まった額を支払う場合と、売り上げの一定割合を支払う場合があります。大規模なイベントの場合は決まった出店料を支払うケースが多いようですが、売り上げが芳しくないと赤字になるため注意が必要です。また、イベント出店にはいろいろと手間がかかります。出店要項の理解から始まり、申し込み、出店料の支払い、指定の方法での搬入、什器やラッピングの準備、ブースの設営、搬出と、ネイルチップの製作以外にもやることが多いため、ある程度余裕のあるときに検討するのがよいでしょう。

5. ネイルチップの販売専門サイト

手作りのネイルチップやカスタムオーダーのネイルチップに特化した販売サイトの魅力は、何といってもその「専門性」にあります。サイトを訪れるユーザーは確実にネイルチップを探していることから、販売に至る可能性が高いことが特徴です。具体的なサイトの例は記事の後半で紹介します。

ネイルチップの作り手はサイトに登録し、注文の入ったデザインを製作します。問い合わせ対応や集客などに時間を使わず製作に専念できることがメリットである一方、指定の納品期限や数、デザインに合わせる必要があり、納品単価が安いケースもあります。

6. ハンドメイド販売サイト

ネイルチップ専門ではなく、服やアクセサリー、生活雑貨などさまざまな手作り品を扱う販売サイトでも、ネイルチップの販売が可能です。ハンドメイド販売サイトを利用するメリットは、オリジナルデザインのネイルチップを自分の決めた価格で販売できることです。

ただし、問い合わせ対応などのカスタマーサービスから発送までを自分で担当することに加え、販売サイト上の数ある商品のなかから自分のネイルチップを見つけてもらう集客方法も考えておく必要があります。こちらも、具体的なサイトの例は記事の後半で紹介します。

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ネイルチップの販売専門サイト

ネイルチップに特化した販売サイトとしては、以下の二つがよく知られています。

ミチネイル

ミチネイルは、商品ラインナップに掲載したネイルチップを登録ネイリストが製作するシステムを採っています。3Dなどのアートもできる技術力の高いネイリストは需要が高く、デザインの人気が出れば受注も多くなるためやりがいも十分です。

ユミネイル

ネイルチップのカスタムオーダーができるユミネイル。対面やオンラインでユーザーの希望をヒアリングし、デザインもサイズもユーザーにぴったりのネイルチップを製作・販売することが特徴です。ネイルチップを作る在宅ネイリストの募集では、経験者のみ応募可能となっています。

ハンドメイドネイルチップの販売サイト

ネイルチップ以外の手作り品も扱うハンドメイド向けの販売サイトでも、ネイルチップを販売可能です。以下の販売サイトを検討してみてはいかがでしょうか。

minne(ミンネ)

minneは、メディア掲載などが多く、広く知られたハンドメイドマーケットです。雑貨やアクセサリーの販売が多く、1,800万点(2025年6月末時点)を超える作品が販売されています。シンプルなものから個性的なものまで、ネイルチップも多数掲載中です。通常の販売手数料は販売価格と送料の合計額の10.89%(税込)ですが、minne PLUSという有料サービスに登録すれば10.56%(税込)に下がるうえ、動画のアップロードなどの限定機能を利用できます。

Creema(クリーマ)

Creemaは、2,000万点(2025年8月時点)の作品を販売し、minneと並んで多数のユーザーに利用されているハンドメイドマーケットです。「ネイルチップ」でサイト内検索をすると、大人っぽい雰囲気のネイルチップが人気であることがうかがえます。販売手数料は、2025年11月4日までは商品価格の11%(税込)となっています。

iichi(いいち)

クラフトマンシップが光るハイレベルな手作り商品が多いiichi。ネイルチップの販売数は少なめですが、その分ユーザーに見つけてもらいやすくなる可能性があります。販売手数料は商品価格の20%です。

Etsy(エッツィー)

グローバルなハンドメイドマーケットとして知られるニューヨーク発祥のEtsy。個性派のネイルチップも多数販売され、国内外のマーケットで自分の作品を販売したい人にぴったりです。一つ出品するごとに0.20米ドルの出品料がかかり、取引手数料は消費税を含めた商品価格と送料の合計に対して6.5%です。

Square オンラインビジネス

ハンドメイド品の販売サイトでは5%から20%の販売手数料がかかりますが、自分のオンラインショップを開けるサービスSquare オンラインビジネスでは決済手数料3.6%だけで利用できるプランがあります。

ハンドメイド販売専門のサイトではページデザインや商品の見せ方に制約があるのに対し、Square オンラインビジネスは自分らしいネットショップでネイルチップを販売したいと考える人、開店手続きの簡単さと自由度の高さを求める人におすすめです。

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ネイルチップ販売におけるメリット・デメリット

気軽に始められるネイルチップ販売ですが、改めてここでビジネスとしてのメリットとデメリットを押さえましょう。

メリット:オンラインで売りやすい

アクセサリーのように、ネイルチップはオンライン販売に適した商材といえます。複数の商品写真や着用写真でネイルチップのイメージを正確に伝えれば、ユーザーは納得して購入することができるでしょう。小さく軽量なネイルチップは、送料が安く済む点も売り手・買い手の双方にとってメリットです。

メリット:副業にもなる

見本品の写真をネットで公開し、あとはオーダーが入ったらネイルチップを作って販売するという手順にしておくことで、大量に在庫を持つことなくビジネスができる点も魅力です。特に、ハンドメイドサイトや自分のネットショップで販売する場合は、納品スケジュールを自分で調整することができるため、副業として始めることもできます。

メリット:自分のセンスを世の中に発信できる

ネイルチップの製作にはセンスや創造力が必要です。トレンドを自分なりに解釈したり、新しいアイデアを形にしたりして生まれたネイルチップは、いわば自分の作品ともいえるもの。それをお客さまが身につけ、さらにその様子をSNSに投稿することで、自分のセンスが世の中に発信された状態になります。自分が生み出したものをお客さまに喜んでもらえる満足感のほかに、表現者として大きなやりがいを得られるでしょう。

メリット:ネイルチップクリエイターの肩書きがつく

ネイルチップの製作をビジネスとしているのなら、あなたはネイルチップクリエイターです。「そこまで売り上げは大きくない」とか「副業だし」などと気後れする必要はありません。むしろ、肩書きを掲げることでプロ意識が芽生え、ビジネスが加速する可能性があります。また、肩書きをつけることでお客さまにも安心感や信頼感を与えることができ、あなた自身のブランディングにもつながります。

肩書きに決まったルールはありません。ネイルチップクリエイターのほかにも、「ネイルチップアーティスト」「ネイルチップ作家」など、自分にとって違和感のないものを使うとよいでしょう。

デメリット:品質の高さが必須

手作りのネイルチップを販売する以上、ユーザーが納得できる品質の商品である必要があります。見本品と届いたネイルチップのデザインが違う、つけたらすぐに壊れてしまった、使ったらけがをしてしまった、といったトラブルがあってはプロの仕事とはいえません。ユーザーがリピート購入したくなるような安定した品質を実現する技術力は、ネイルチップ販売の必須項目といえます。

デメリット:商品の魅力が問われる

技術的に優れているだけでなく、装飾品としての魅力のあるネイルチップであることも重要です。ネイルチップを使うシーンを想定したデザインやかたちだけでなく、トレンド感や季節感といった「旬」も押さえたネイルチップで、なおかつ価格も適正であればユーザーの目に魅力的に映るでしょう。作り手の独自性を売りにして、オリジナリティーあふれるデザインを生かしてブランド化するという方法もあります。

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ネイルチップ販売の4つのコツ

ネイルチップ販売のビジネスを軌道に乗せるには、ただ作ればいいというわけではありません。販売を成功させるための工夫として、4つのコツを実践してみましょう。

ファンを作る

見ているだけでも美しいネイルチップはジュエリーに似た魅力があり、かつジュエリーより低価格で身につける人を美しく装うことができます。ブランドやショップのファンになった人がアクセサリーを購入するように、ネイルチップのデザインでファンを獲得すればリピーターになってくれる可能性もあります。販売および発送時の丁寧な対応など、ファンを増やす方法は無限にあるので、ユーザー目線で「うれしい買い物体験」とは何かを考えてみるとよいでしょう。

SNSで魅力を発信

ネイルチップの販売には、ソーシャルメディアが力強い武器になります。特に写真をメインに掲載するインスタグラムなどが相性が良く、ネイルチップに合う背景色で撮った商品写真、着用写真など、ネイルチップの魅力を余すことなく伝えて販売につなげましょう。

サイズ確認の方法を確立

ネイルチップを初めて買う人にとって気になるのが「サイズ」です。合わないサイズのネイルチップは綺麗につけることができないため、返品や交換になる可能性があるほか、ユーザーの満足度にも響くと考えられます。事前にサイズ確認用のチップをプレゼントするなど、確実にぴったり合うサイズのネイルチップを販売できる方法を用意しておくことをおすすめします。

検定試験を受けて技術力の差別化を図る

日本のネイリストにとってよく知られた資格として、JNECネイリスト技能検定試験とJNAジェルネイル技能検定試験があります。こうした検定試験で技能を証明することで、技術力の高さと同時に、機能性や安全性にも配慮したネイルチップを作れるとユーザーに示すことができ、ほかのネイルチップ製作者との差別化を図ることができます。

ネイリスト技能検定はネイル技術を広く学び、プロになる人も受験する資格です。1級から3級があり、1級はトップクラスのネイリストが持つ資格といわれています。ジェルネイル技能検定はその名の通りジェルネイルに特化した知識と技術を測るもので、初級、中級、上級の3つがあります。

ほかに、JNECネイル知識検定という爪の構造や健康についてオンラインで学んで受験できる検定試験もあります。

ネイルチップ販売における値付け相場

ネイルチップ販売で収益を得るうえで価格設定は重要です。まずは販売場所ごとの値付け相場を見ていきましょう。

サロンの相場

多くのネイルサロンでは、ネイルチップのオーダー製作に対応しています。料金は、通常の爪への施術とほぼ変わらず、5,000円から10,000円ほどが相場です。複雑なアートを希望する場合は10,000円を超える場合もあります。

オンラインショップの相場

オンラインショップにおけるネイルチップの相場は、サイトによって大きく異なります。たとえばSHEINやTEMUといった海外のオンライン通販サイトで販売されているネイルチップは1,000円以下が中心です。一方、オーダーチップ販売専門サイトのユミネイルでは、価格は15,000円〜20,000円に設定されています。

とはいえ、ミチネイルなどの一般的なネイルチップ販売専門サイトの場合は、2,000円〜5,000円の商品が多いようです。これらのサイトでは基本的にオーダーには対応せず、決まったデザインやサイズで販売している分、価格が抑えられています。

フリマサイトの相場

フリマサイトでは出品者の属性や目的が幅広い分、販売価格もさまざまですが、売れ筋は1,000円以下の商品が中心です。ただし、フリマサイトでは価格交渉を持ちかけられることが多いため、値引きを見込んで最初の提示価格を設定する人もいます。

ハンドメイドサイトの相場

ハンドメイドサイトでは、1,000円〜5,000円が相場です。凝ったアートが施されたものは5,000円〜8,000円程度で販売されており、ネイルチップ販売専門サイトよりもやや高めの価格設定です。その分、全体的に作家ごとのオリジナリティーが光る複雑なデザインが主流で、サイズオーダーに対応している出品者が多いという特徴があります。

ネイルチップ販売はどれくらい稼げる?

ネイルチップで稼げる金額は、副業と本業の場合で大きく異なります。

パートタイムの場合(副業)

ネイルチップの販売を始めたばかりの段階では、月の売り上げが10,000円に満たないケースが多いようです。販売歴が浅く購入者のレビューが少ない状態では、買ってくれるお客さまはさほど多くありません。最初のうちは価格を抑えて購入者レビューを集めることを重視する、あるいはSNSなどでフォロワーを増やすことに専念するなど、長い目で収益化を目指しましょう。

ただし、ネイルチップの製作はひとつひとつ手作業になるため、副業の場合は時間が限られている分、稼げる額もそこまで大きくありません。期待できる売り上げは月に数万円程度でしょう。

フルタイムの場合

フルタイムのネイルチップクリエイターのなかには、売り上げが月に数十万円にのぼるケースもあります。稼ぎを左右するポイントは生産能力と集客力です。

生産能力とは、1カ月あたりに製作できる数です。売れる見込みが立っている場合、製作スピードを上げる、稼働時間を増やすなどして月あたりの生産数を上げれば上げるほど、売り上げが期待できます。アシスタントを雇って下準備などを任せるのも一案です。

集客で重視したいのがリピーターの獲得です。お客さまのレビューに返信する、SNSで交流するなど、ファンを増やす工夫に力を入れましょう。

利益に注目すると、経費を圧縮することで手元に残るお金を最大化することができます。特に販売や売上金振込にかかる手数料は積極的に見直したいポイントです。ある程度のファンがついたら、初期費用および月額手数料ゼロで運営できる自身のネットショップを開設するのもおすすめです。

ネイルチップ販売で用意すべきサイズ

ネイルチップの販売で理解しておきたいのがさまざまなサイズへの対応です。

通常、各ネイルチップのサイズは0〜10の数字で表示され、指ごとに数字を割り当てて5桁の組み合わせとして用います。たとえば「25468」とある場合の組み合わせは次のとおりです。

  • 親指:2
  • 人差し指:5
  • 中指:4
  • 薬指:6
  • 小指:8

ただし、同じ番号でもチップの幅やカーブはメーカーによって異なります。そのため、多くのショップでは番号だけでなく実際の幅をミリ表記で掲載しています。

ネイルチップ販売でのサイズ対応は、大きく2つのパターンに分かれます。

標準サイズで販売

1つは、販売サイズを決めて販売する方法です。ネイルチップ専門ショップでは、多くの場合S/M/Lなどいくつかのサイズバリエーションが設けられています。

標準サイズで販売するメリットは、サイズオーダーに対応する手間や時間を省ける点です。また空いた時間にまとめて製作して在庫を用意できるため、即日発送などスピーディな対応が可能です。

オーダーメイドサイズで販売

もう1つは、お客さまごとに異なるサイズで販売する方法です。ハンドメイド販売サイトでは、購入者が注文画面の備考欄で希望する5桁のチップ番号の組み合わせを記入し、それをもとに出品者が購入者ごとに異なるサイズのネイルチップを製作するという流れが多いようです。なかには購入希望者に対してサイズ確認用のサンプルチップを送付する出品者も見られます。

オーダーメイドサイズで製作したネイルチップは、標準サイズに比べてお客さまの満足につながりやすく、リピート購入も期待できます。サイズ対応のコミュニケーションや管理の手間はかかるものの、リピート購入が期待できる分、集客の手間は軽減できるでしょう。

ネイルチップ販売における注意事項

ネイルチップの販売を始めるにあたって、特に注意したい点が3つあります。

ジェルネイルで強度に配慮

ネイルチップの製作では、ジェルネイルの使用が主流です。ネイルポリッシュは手軽ですが、デザインが剥げたり欠けたりしやすく、耐久性の面でおすすめできません。その点、ジェルネイルなら強度が高く、立体的なパーツも取れにくいため安心です。

ジェルネイルにはハードジェルとソフトジェルがありますが、持ちがよいのはハードジェルです。ソフトジェルだけで仕上げたネイルチップは傷がつきやすく、耐久性がやや劣ります。うまくハードジェルを組み合わせて製作するとよいでしょう。

ほかのショップとの差別化

ビジネスとして売り上げを立てていくのなら、選ばれるための戦略が欠かせません。ほかではなくあなたのショップだからこそ提供できるメリットを洗い出してみましょう。「イベント用のデザインが豊富」×「問い合わせには24時間以内に対応」×「注文後3日以内に発送」というように、かけ合わせる要素が多いほど唯一無二の強みとなり、お客さまにとってあなたのショップで買いたい理由が生まれます。

また次回購入につなげる施策も、お客さまにとって再度あなたのショップで買いたい理由につながります。送付時のラッピングにこだわる、ちょっとしたおまけをつける、口コミに丁寧に返信するなど質の高い買い物体験を提供し、ショップの印象を高める工夫を考えてみましょう。また、次回割引チケットを同封するなどのリピート施策も効果的です。

利益が多いと確定申告が必要

ネイルチップを販売する場合、売り上げから経費を引いた利益(=所得)が一定の額を超えると所得税の確定申告をしなければなりません。

ネイルチップの販売を本業とする人は、所得控除(基礎控除など)を差し引いた結果、納税額が生じる場合に確定申告が必要です。2025年分(令和7年分)からは基礎控除が見直され、最大95万円となります。なお、本業が別にあり、ネイルチップ販売を副業とする場合は、給与以外の所得の合計が20万円超なら確定申告が必要です。

経費に含められる支出の例は次のとおりです。

  • 材料費、梱包資材費、送料
  • 販売プラットフォームへの手数料
  • ホームページやネットショップ作成費用およびドメインなどの利用料
  • 広告費用
  • 製作用の家具や備品(テーブルや椅子、ライト、ダストクリーナーなど)

また、以下のものは業務使用分のみ経費として認められます。業務使用分は、使用時間や面積など合理的な割合を全体の料金に掛けて算出します。

  • 水道光熱費
  • インターネット料金
  • 家賃

確定申告は、原則として毎年2月16日から3月15日の間に行わなければなりません。期限内に申告しない場合は無申告加算税、税金の納付が遅れた場合は延滞税が課されます。場合によっては重加算税や刑事罰の対象にもなるため、必ず期限内に終わらせるよう注意しましょう。不安な人は税務署の相談会に参加するなど、専門家に相談するとよいでしょう。

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まとめ

ネイルチップの販売は簡単に始めることができますが、目的によって取るべき戦略や方法は異なります。

たとえば趣味の延長としてネイルチップを販売したいのであれば、フリマサイトで標準サイズのセットを販売する方法から始めるのがよいかもしれません。最初からネイルチップクリエイターとして事業展開を目指す場合は、ハンドメイド専門サイトなどでオーダーチップを出品し、SNSを駆使して集客とブランディングに注力するのがよいでしょう。同時に自身のネットショップを開設する準備を進め、ある程度のファンやリピーターがついたところで徐々に軸足をネットショップに移していけば、手数料を削減してより効率よく売り上げを伸ばせる可能性があります。

まずはあなたがネイルチップを販売する目的を洗い出し、それに応じて最適な方法を選ぶとよいでしょう。

よくある質問

最後に、ネイルチップ販売に関してよくある質問を見ておきましょう。

ネイルチップを販売するにはどんな方法がありますか?

ネイルチップを販売するには、主に次の6つの方法があります。

  1. フリマサイトに出品する
  2. 自分のショップを作って販売する
  3. 雑貨店や美容室、貸衣装店などで委託販売する
  4. イベントにポップアップ出店する
  5. ネイルチップの販売専門サイトに出品する
  6. ハンドメイド販売サイトに出品する

ネイルチップ販売を副業にできますか?

ネイルチップの販売を副業にしている人は少なくありません。空いた時間を活用してネイルチップを販売すれば、月に数万円程度の副収入を得られる可能性があります。ハンドメイドサイトや自身のネットショップで販売する場合は、納品スケジュールを自分で調整できるため、副業でも無理なく続けられるでしょう。

ただし、製作にはどうしても時間がかかるため、副業での製作では販売数が限られます。そのため、副業で大きく稼ぐ手段としてはあまり現実的ではありません。

ネイルチップ販売はどれくらい稼げますか?

ネイルチップ販売で期待できる売り上げは、副業の場合は月に数万円程度ですが、本業のネイルチップクリエイターになると数十万円ほどにのぼる可能性があります。ネイルチップ販売で稼ぐためには、製作数を増やす、ファンを獲得してリピーターを増やす、経費を削減するなどのポイントがあります。

ネイルチップの販売における注意事項はありますか?

ネイルチップ販売における注意事項としては、ジェルネイルを使用すること、ほかのショップとの違いを打ち出すこと、所得が一定額を超えた場合は所得税の確定申告を行うことなどがあります。

それ以外に注意したい点が、有名ブランドのロゴやアニメのキャラクターを模倣したデザインを使用しないことです。多くの場合、ロゴやキャラクターの商用利用は禁止されており、うっかりデザインに取り入れて販売すると著作権法や商標権の侵害にあたり、ペナルティーの対象となります。

また、ほかの人のデザインを参考にする場合も注意が必要です。参考にしたうえでオリジナリティーのあるものを作る場合は問題ないものの、活用の仕方によっては著作権や意匠権、商標権の侵害と見なされる場合があります。なお、マンガやアニメのタイトルが商標登録されている場合は、商品の説明欄に使用することも避けましょう。こうしたルールについては、ハンドメイド販売サイトなどでも注意事項として公開されています。事前に必ず目を通しておきましょう。


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執筆は2022年3月1日時点の情報を参照しています。2025年10月28日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash