税理士が独立開業するには

個人や法人の「税務」に関するサポートを行う税理士。今は税理士事務所で働く所属税理士でも、いつかは開業したいと考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで、税理士が独立開業するメリットや、開業に必要な資金や届出、クライアントの開拓方法、業務効率化に役立つツールなど気になるポイントを解説します。

税理士が開業するメリット

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税理士資格の登録には3種類あります。

・社員税理士:税理士法人で業務執行者として税務業務などを行う税理士
・所属税理士:税理士事務所あるいは税理士法人の補助者として税理業務などを行う税理士
・開業税理士:社員税理士、所属税理士以外の税理士で、納税者から直接委託を受けて税務業務などを行う税理士

参考:税理士 登録・開業手引(日本税理士会連合会)

国税庁が発表しているデータによると、2017年3月時点の全国の税理士登録者数は76,493人、そのうち開業税理士が57,215人となっており、日本の税理士の7割以上が開業を選択しています。独立開業にはどんなメリットがあるのでしょうか。

参考:日本税理士連合会(国税庁)

収入アップを目指しやすい

料金や利益率を自由に設定でき、利益が直接自分に入ってくるのが開業税理士の大きな特徴です。業務の効率化を図り、宣伝に力を入れることで、売り上げアップを図りましょう。

また、セミナーでの講師、書籍の執筆や専門雑誌への寄稿という「税理士業務以外」の仕事を得られる可能性もあります。相続税の節税テクニックといった、多くの人が知りたいテーマについて講師として解説することは、セミナー来場者にとって役立つ上、事務所の宣伝にも効果的です。

また、自営業であるため定年退職がありません。年齢や状況に応じて仕事量を調整しながら続けていくことができます。

専門分野で力を発揮できる

税理士の仕事は税理士法で定められた「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つですが、これまで手掛けてきたジャンルを強みに特化型の税理士事務所を開業することもできます。

不動産業界、美容業界といったクライアント特化型の他、国際税務や資産税、相続税などの業務特化型にすることもできます。特化型であることをウェブサイトや広告でアピールすることで、得意分野の仕事に集中的に取り組むことが可能になります。得意分野で力を発揮できるだけでなく、スキルアップにもつながります。雇用されている場合は自分で仕事を選ぶことは難しいですが、自ら専門分野を掲げアピールできるのは、開業税理士の特権といえます。

働く環境、働き方を選べる

開業税理士の利点として、開業する場所を自由に選べることも挙げられます。得意分野の競合が少ない場所や、クライアントになりうる中小企業や個人事業主が多いエリアに的を絞って事務所を構えることができます。

また、開業税理士は時間の融通が利き、自分のペースで働けるのも魅力です。休日も自分で設定したり、クライアントに合わせた曜日で稼働したり、柔軟にスケジュールを調整できます。

開業に必要な費用、資格や届出

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税理士が開業する際、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。また、必要な手続きについても確認しておきましょう。既に税理士資格を保有している人を対象に解説します。

開業にかかる費用

毎年の税理士会の会費の他に、開業税理士の場合は事務所の家賃などの費用が発生します。以下のような初期費用を考えておきましょう。

• オフィスの賃料(賃貸物件か、レンタルオフィスか、自宅かによって費用が異なります)
• 備品(デスク、椅子、書棚、応接セットなど)
• パソコンとその周辺機器
• プリンターやコピー機
• 名刺、封筒、印鑑の作成
• 税理士登録の情報変更
• ウェブサイトやブログ、ソーシャルメディアの開設・運用

初期費用の代表はオフィスの賃料です。自宅で開業する場合は賃料はかかりませんが、新たに物件やレンタルオフィスでスペースを借りたりする場合は、敷金礼金や月々の賃料が経費の大部分を占めるのではないでしょうか。オフィスの形態によって、備品や設備にかかる費用も変わってきます。

他に、毎月の経費として電話やインターネット利用料金、会計システムなどのソフトウェアの月額利用料、広告宣伝費、消耗品費、賃貸オフィスなら水道・光熱費や駐車場代、事務所によっては営業車の維持費が発生します。

必要な手続き

所属税理士が開業税理士になる場合、「登録情報の変更手続」の申請が必要です。以下、東京税理士会の例を基に、登録変更申請に必要なものを紹介します。

• 変更登録申請書 (第25号様式)1通
• 変更登録申請に関する届出書 (第26号様式)1通
※所属支部での収受印を押したもの
• 写真 (縦2.8センチ×横2.4センチ)1枚
※事務所所在地の変更により、所属支部が変わる場合は2枚
• 事務所所在地の賃貸借契約書のコピー、 事務所設置同意書、登記簿謄本のコピーなど
• 変更登録手数料 5,000円
 ※郵送提出する場合は、「現金書留」にて送金

これらの書類や手数料を用意し、税理士会の事務所に直接出向くか、または郵送での手続きが可能です。税理士証票の書き替えには約1カ月必要なので、余裕を持って申請をしましょう。

参考:登録区分・事務所等所在地の変更の場合(東京税理士会)

実際に手続きをする際には、所属する税理士会の情報を確認するようにしましょう。

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クライアント開拓のポイント

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オフィスや備品などを揃え、必要な手続きを済ませただけでは、クライアントは獲得できません。クライアントを獲得するために営業活動やマーケティング活動を続けていく必要があります。たとえば、ウェブサイトの開設などは、開業前の計画段階からデザインや内容を早めに考えておくことをおすすめします。

まずは、何を事務所の「売り」とするかを設定しましょう。ターゲット層、地域の料金相場や潜在的クライアントの特性、事務所の規模や専門性、経営方針を書き出し、安定した利益を生み出すべく現実的な戦略を立てます。「マーケティングに欠かせない、ペルソナの設定とは」の記事もぜひ参考にしてみてください。

ターゲットや事務所の特性をはっきりさせたら、宣伝方法や媒体を決定します。新聞広告やウェブサイト、ウェブ広告、セミナー、看板など、ターゲットに合う宣伝方法を考えていきましょう。また、宣伝方法は1つに絞るのではなく、複数の方法を組み合わせたり、ウェブサイトの専門家などに相談したりするのも効果的です。

また、独立したばかりは慣れない業務に四苦八苦するかもしれませんが、顧客へのアフターケアは忘れないようにしましょう。完了した案件のアフターケアが不十分だと、リピーターとして再依頼や継続依頼の機会を得られないだけでなく、口コミで顧客を獲得できるチャンスを逃してしまうことにつながります。定期的に電話やメールで連絡をとり、コミュニケーションを図りましょう。

業務効率化につながるサービス

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クライアントと金銭のやりとりをする上で、請求書を発行する機会も増えます。請求書作成から印刷、捺印、送付まで手間のかかるプロセスは、開業税理士にとって大きな負担になる場合も多いのではないでしょうか。

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執筆は2018年1月25日時点の情報を参照しています。2021年9月24日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash