不動産登記や商業登記、そして法律相談と、市民の法的な手続きをサポートする司法書士。そんな司法書士の試験は、難関試験のひとつとして知られています。
試験をパスした直後はどこかの事務所で働く道を選んでも、最終的に「自分の力でやっていきたい」と考えて、独立開業することも少なくありません。もちろん、最初から独立開業を視野に入れて勉強し、試験をパスした直後に独立開業する司法書士もいます。
司法書士の独立開業にはどんなメリットがあるのでしょうか。また、独立開業のためにはどんな手続きや準備が必要なのでしょうか。
今回は、司法書士の独立開業に向けたヒントを紹介します。
独立するメリット
日本司法書士会連合会の調べによると、2018年4月1日の段階で司法書士会員数は22,488人となっています。また、会員数はこの10年徐々に増えています。
独立開業するメリットとして以下の3つが考えられます。
収入とモチベーションの変化
従業員として勤めていると、事務所の方針や給与体系などでなかなか給与を上げるのは難しいかもしれません。一方、独立すれば、案件数がそのまま収入に結びつきます。独立したばかりのころは難しいかもしれませんが、ある程度軌道に乗れば収入増も期待できます。自分の頑張りが結果に反映されるので、仕事へのモチベーションも上がる可能性があります。
ワーク・ライフ・バランスの実現
事務所に勤めていると、自分の都合で仕事のペースやボリュームを調整するのはなかなか難しいものです。趣味や家族・友人との時間、ボランティアや他の仕事との両立など、より自由に時間を使えるのも独立のメリットといえます。
事務所の方針を自分で決められる
自由に調整できるのは時間の使い方だけではありません。事務所の方針も自由に決められます。
事務所を土地勘のある場所に置くのか、司法疎開と呼ばれる弁護士や司法書士の少ない地域に置くのかも自分の選択次第です。
また、土地家屋調査士や不動産鑑定士とのダブルライセンスで、不動産に強い事務所として開業することもできます。他にも社会保険労務士やファイナンシャルプランナーとのダブルライセンスで、後見に強い事務所として事業展開をすることもできるでしょう。
司法書士は合格率が3%台という難易度の高い資格です。司法書士の資格を持たないとできない業務もあるため、その分だけ競争相手が少ないと考えられます。事務所の方針と独自性によってはさらに競争相手が少なくなり、収入アップと集客力向上を見込むことができます。
開業の準備
司法書士事務所を開業するためには、2つの届け出を提出します。また、届け出と同時に、開業に必要な準備を整えてお来ましょう。
・届け出
司法書士の登録と税務署への届け出が必要です。
司法書士になるためには、司法書士名簿に登録を受けなければいけません。登録を受けるためには、事務所の所在地にある司法書士会を通して、日本司法書士会連合会に登録申請書などの必要書類を提出します。補助者として仕事をしていた人は、補助者を退職する旨の手続きが必要になります。
また、個人事業主として開業する場合には、税務署に開業届を提出します。確定申告を「青色申告」で行う場合は「青色申告承認書」も併せて提出しましょう。
参考:
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁)
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続(国税庁)
・準備
開業時には、最低限の設備や備品を用意しておく必要があります。事務所の場所を決め、パソコンやプリンターなどの仕事に使うものを準備します。書籍の購入や司法書士の仕事を助けてくれるシステムの導入も検討する必要があります。また、作成した書類に押す職印などを早めに発注しておくことも重要です。
集客のアイデア
開業しただけでは、お客様はやってきません。集客のためには事務所の存在を知ってもらうことが必要です。集客の際のポイントを紹介します。
司法書士事務所の独自性や長所をアピールする
社会保険労務士や不動産鑑定士、測量士など、司法書士の他にライセンスを取得しており、後見や不動産などの得意分野がある場合は、積極的にアピールすることで集客につなげることができます。
司法書士は金融機関や不動産会社、福祉事務所などから相談を受け、後見や登記の受注につながることもあります。特定の分野に強みがあると、その分野からの仕事の受注が増える可能性があります。事務所の独自性や長所は積極的にアピールしていきましょう。
利便性をアピールする
事務所が、法務局や裁判所、自治体の窓口や金融機関の近くに位置しているなら、その点もアピールポイントです。戸籍謄本の取得や申請書類の提出のために、司法書士は頻繁に各機関の窓口へと足を運ぶことになります。窓口に近いと、その分だけ仕事がスピーディになります。立地的な特徴もアピールポイントとして、集客につなげることができます。
相続や商業、不動産といった各種の登記では、登記の種類やボリュームによって相応の報酬が発生します。
支払いは現金での一括払いや銀行振込が多いかもしれません。数万円以上の金額を一括で現金払いすることは、お客様にとっては大変なことです。報酬額が大きくなると、金融機関の窓口に足を運んで必要な金額を下ろすこともあります。窓口に足を運ばなければいけないという労力的かつ時間的な手間があります。
お客様の負担を減らす方法として、クレジットカード決済の導入があります。クレジットカード決済を導入することによって支払い方法に幅を持たせ、利便性の高い事務所であるとアピールすることができます。
Squareのクラウド請求書なら、メールでお客様宛に請求書を送付し、お客様はメールの画面からクレジットカードで決済することができます。振込や現金の引き出しのため金融機関の窓口に足を運ぶ必要や、現金を持って司法書士事務所に足を運ぶ必要もありません。請求書の作成・送信は何通でも無料ですが、支払いに関する注意事項が記載できるメモ欄を追加するなど、細かなカスタマイズがしたい場合には有料プラン(Square 請求書Plus)の用意もあります。お客様にとって利便性が高い事務所であることは、独立開業後の大きなアピールポイントになります。ぜひ、クレジットカード決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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執筆は2018年7月10日時点の情報を参照しています。2021年9月30日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash