コンビニ決済を導入するメリットとデメリット

商品やサービスを提供した際の主要な決済手段の一つに、コンビニエンスストアを利用した決済代行や代金収納代行があります。購入者がコンビニエンスストアに出向いて代金の支払いを行うもので、一般的には「コンビニ決済」と呼ばれています。今回は、導入事例が多いECサイトを想定して、事業者として知っておきたいコンビニ決済の概要や決済手続きの一連の流れ、導入した際のメリットやデメリット、導入時のプロセスなどを紹介します。

目次



コンビニ決済とは?

コンビニ決済とは、販売した商品やサービスの代金について、コンビニエンスストアを窓口として回収するものです。全国の主要なコンビニエンスストアチェーンが対応しています。

ECサイトの主要な決済方法

ECサイトを運営するにあたって、検討項目の一つとして挙げられるのが代金の決済方法ではないでしょうか。インターネットを利用して商品を購入する際の決済手段としてはおもに6種類の方法が用いられています。クレジットカード決済、コンビニ決済、代金引換、銀行振込や郵便振替、通信料金と合わせたキャリア決済、電子マネー決済です。

「令和2年度通信利用動向調査報告書」(総務省)によると、コンビニ決済はクレジットカード決済に次ぐ利用率であり、選択される割合が比較的高い決済方法であることがうかがえます。

参考:令和2年度通信利用動向調査報告書(総務省)

普段から利用する頻度の高いコンビニエンスストアの店頭で手続きができるコンビニ決済は、クレジットカードを持っていない顧客やクレジットカード利用に不安のある顧客にとって、便利かつ安心して利用できる決済方法だといえるでしょう。

コンビニ決済の支払い方法の種類

コンビニ決済における支払方法の種類には大きく分けて2タイプがあります。一つは払込票タイプで、もう一つはペーパーレスな払込用番号タイプです。取り扱う商品やサービスのターゲット層に合わせて適したものを選んでください。

払込票タイプ
代金の金額や支払期日、バーコードなどが紙面に印刷された払込票を販売者が発行します。購入者が払込票をコンビニエンスストアへ持参してレジで支払い手続きを行うものです。

従来から行われている公共料金の支払いなどにもみられる様式であり、コンビニ決済に慣れていない顧客でもそれほど迷わずに手続きが進められることが見込めます。ECサイト以外にカタログ通販などを行っている事業者の場合、同じ払込票を利用して請求業務が統一できる点もメリットとして挙げられます。

払込用番号タイプ
購入者が商品の購入手続きをした際に販売者が払込用の番号をオンラインで発行し、その番号をもとに購入者が支払い手続きを行うものです。

収納を受け付けるコンビニエンスストアによって違いはありますが、購入者は発行された番号をレジで見せたり、店内に設置されているマルチメディア情報端末に番号を入力して払込票を出力し、それをレジに提示したりして代金を支払います。

この払込用番号タイプでは払込票を印刷したり発送したりする手間がなく、作業の負担が軽く済む点が販売者にとって魅力ですが、購入者がコンビニエンスストアのマルチメディア情報端末の操作に慣れていない場合は支払い手続きに手間取ってしまう懸念があります。
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コンビニ決済の特徴

24時間支払いができる

利便性が最大の特色ともいえるコンビニエンスストアでは、24時間営業しているところが大多数であるため、基本的に購入者が都合の良いタイミングで支払い手続きができるという利点があります。

また、特定のチェーンにこだわらなければコンビニエンスストアはほぼ全国に遍在しており、自宅近辺以外にも勤務先や学校の近く、毎日利用している駅の近くなど、日常生活のなかで立ち寄りやすい場所で支払い手続きができるのも便利な点です。

ネットショッピングでの利用者が多い

前述の「令和2年度通信利用動向調査報告書」(総務省)にもあるように、インターネットを使って商品を購入する際に選ぶ決済手段として、コンビニ決済は調査対象者の4割近くに選ばれています。その点を踏まえると、ネットショッピングを利用する顧客にとってコンビニ決済は比較的親しみやすい支払方法だといえるでしょう。

後払いと前払いが選択できる

コンビニ決済には、受注後に代金の支払いを確認してから商品やサービスを提供する前払い方式と、商品やサービスを提供した後に支払いをしてもらう後払い方式の2通りがあります。

前払い方式では販売者側にとっては代金未払いのリスクがなく、購入者側にはお金を使いすぎてしまう心配がないというメリットが見込めます。一方の後払い方式では販売者側には代金が回収できないという懸念が生じますが、購入者にとってはいち早く商品やサービスの提供が受けられるというメリットがあります。

コンビニ決済の流れ

コンビニ決済の仕組みには、一般的に販売者、購入者、決済代行業者または収納代行業者、コンビニエンスストアという4者が関わってきます。

決済代行業者や収納代行業者は、購入者からの入金管理をはじめ、申請時の審査や契約手続き、システムの導入など、販売者とコンビニエンスストアの仲立ちとなってコンビニ決済の運用をサポートする役割を担います。

決済代行業者や収納代行業者を通さずに販売者がコンビニエンスストアと直接やり取りをすることは不可能ではありませんが、一つの業者に依頼するだけで複数のコンビニエンスストアチェーンに取り次いでくれるというメリットがあります。加えて、コンビニエンスストアチェーンとの交渉やシステム連携の負担、審査工程の複雑さなどを考慮すると直接やり取りすることはあまり現実的ではないでしょう。

では、具体的にどのような流れで手続きが進むのでしょうか。前払い方式の払込用番号タイプを例として、順を追って整理します。

1.購入者が販売者に商品を注文
ECサイトなどを利用して購入者が商品やサービスを注文します。このときに決済手段としてコンビニ決済を選択します。

2.販売者が決済情報を決済代行業者に送信
注文を受けた販売者が受注内容の情報を決済代行業者や収納代行業者に伝えます。

3.決済代行業者から購入者へ払込用番号を通知
販売情報を受け取った決済代行業者や収納代行業者は、払込用番号を購入者に通知します。

4.購入者がコンビニエンスストアで支払い手続き
メールなどによって送られてきた払込用番号を用いて、購入者がコンビニエンスストアの店頭で代金を支払います。

5.販売者が払込確認後に商品発送
購入者がコンビニエンスストアで支払い手続きを行ったという情報を管理ツールなどで確認した販売者が、購入者に商品やサービスを提供します。

6.決済代行業者が販売者へ送金
あらかじめ決められた期日に合わせて、購入者が支払った代金から手数料などを差し引いた差額を決済代行業者や収納代行業者から販売者に送金します。

後払い方式の場合には、販売者が決済情報を決済代行業者に送信した時点で、決済代行業者や収納代行業者が立て替え払いによって購入者の支払いを待たずに販売者へ送金する例もみられます。取次ぎを依頼する決済代行業者や収納代行業者、または選択したサービスなどによって送金のタイミングや手数料の扱いは異なってくるので、事前にしっかりとチェックをしましょう。

コンビニ決済を導入するメリット

購入者層が広がる

コンビニ決済は代金を現金で納める形をとるため、クレジットカードを所持していない顧客やクレジットカードが作れない若年層の顧客でもインターネットを通じた商品の購入が可能です。また、銀行振込などに比べると日常的に利用する場所で支払いができることもあり、導入した際には購入者層を広げられる見込みがあります。

機会の損失を防げる

インターネットを利用して商品の購入などを行う際、用意されている決済手段のなかに自分が希望する方法がないことを理由に購入をあきらめてしまう人もいるでしょう。コンビニ決済はクレジットカード決済に次いで多くの人に利用されている決済手段なので、選択できる決済手段のなかにコンビニ決済が含まれていない場合には一定数の離脱者が発生してしまうことが予想されます。

未回収のリスクが少ない

前払い方式のコンビニ決済を導入すれば、入金を確認してから商品やサービスを提供するという流れになるので、代金未回収のリスクは発生しません。また、後払い方式の場合でも、決済代行業者や収納代行業者が立て替え払いで送金するサービスを選べば、販売者自身が代金を回収できないという事態を免れることができます。

また、代金引換でみられるような受け取り拒否によるキャンセルから生じる返送料や手数料の負担などもないほか、クレジットカード決済で発生しうる不正利用などによるリスクもないため、比較的確実な代金回収方法だといえます。

入金確認がほぼリアルタイムで確認できる

コンビニ決済では24時間支払いができ、かつ支払いが行われてから早ければ数分で入金の確認ができる点もメリットの一つです。

銀行や郵便による振込決済の場合には、銀行や郵便の営業時間に影響されます。購入者がオンライン口座を開設していたとしても反映までにタイムラグが生じるケースがあります。対して、コンビニ決済であればほぼリアルタイムで入金確認が可能です。

コンビニ決済では、一般的にそれぞれのシステムごとに用意されたツールの画面上で、取引案件ごとに「入金待ち」「入金済み未発送」「キャンセル」といったステータスが分かりやすく表示されます。入金確認後すぐに商品やサービスの提供が行えるので、顧客満足度の高い対応をとることができます。

このような販売者側のメリットのほか、支払手続きで不明な点があった場合に直接口頭でコンビニエンスストアのスタッフに相談ができるといった購入者側のメリットもコンビニ決済の利点として挙げられます。

コンビニ決済を導入するデメリット

払込票の紛失

払込票タイプのコンビニ決済を採用した場合、発生しうるリスクとしてまず挙げられるのが購入者による払込票の紛失です。購入者が再発行を依頼する手間、販売者側の再印刷や郵送などを行う労力に加え、双方の時間ロスといった余計なコストが生じてしまうので、可能であれば払込票の紛失を見越した何らかの二次的な対処法を用意しておくのが理想です。

支払い忘れによるキャンセル

代金の支払いが一定期間確認できなかった場合、取引がキャンセルになってしまうこともリスクとして挙げられます。購入者が払込票を紛失したまま時間がたってしまった場合、また、単に支払うことを忘れている場合などのほか、普段コンビニエンスストアを利用する習慣がなかったり、生活圏内に決済可能なコンビニエンスストアがなかったりする購入者がわざわざ支払いのためだけにコンビニエンスストアに行くのをためらって期限が過ぎてしまうケースなども考えられます。

手数料がかかる

コンビニ決済を採用した場合、基本的に決済代行業者や収納代行業者への手数料が発生します。手数料の対象や、料金の設定は業者やサービスによってまちまちです。
手数料の対象という点でみると、販売者側にのみ課金されるもの、購入者側にのみ課金されるもの、販売者と購入者の双方に課金されるものがありますが、最も多いのは販売者側にのみ課金されるものです。

また、料金設定については一度の取引額に応じて一定の割合や一定の金額を課すもの、取引額に関係なく一度の取引で一定の金額を課すもの、取引の回数や額に関わらず月額制のように期間ごとに一定の利用料が発生するものなどがあります。

さらに業者によっては、手数料の設定をいくつか用意しているところもあり、自身の提供している商品やサービスに適したものを選択することが可能です。そのほか、通常の手数料とは別途に初期導入費用が必要なところもあるなど、条件はさまざまなので、見込める取引額や取引件数などに合わせて最適な業者やサービスを選びましょう。
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コンビニ決済導入時のプロセス

では、実際にコンビニ決済を導入する場合、どのような手順を踏むことになるでしょうか。一例を紹介します。

1.決済代行業者や収納代行業者の比較、選定
これまでに紹介したように、コンビニ決済を扱う決済代行業者や収納代行業者にはさまざまなサービス内容の違いがあります。

払込票タイプか払込用番号タイプかといった方法の違い、前払い方式か後払い方式かといった支払い手続きのタイミングの違い、手数料の額や課金対象などのほか、代金収納を受け付けてくれるコンビニエンスストアチェーンの種類や取扱商材に制約がある場合などもあるので、各ポイントを比較しながら自身の取引に見合った業者、サービスを選定しましょう。

比較検討する際は各業者のウェブサイトで内容を確認するほか、印刷物の資料請求を受け付けている業者もあるので、使いやすいものを選んでください。

2.利用の申し込み
利用したい決済代行業者や収納代行業者が決まったら利用申し込みの手続きを行いましょう。ウェブサイトに申し込み用のフォームが用意されていることが多いので、フォームに必要事項を入力して送信します。

その際、申し込み手続きを行う前に不明点や不安点などを尋ねることができる問い合わせ受付があったり、要望を伝えるといくつかある中から最適なプランを紹介してくれる窓口が用意されていたりすることもあるので、必要に応じて利用しましょう。

3.必要書類の送付
申し込みが受理されたら、折り返し必要となる書類の送付依頼が来る場合があります。指示に従って用意し、送付します。

4.審査
提出された書類の内容に基づいて決済代行業者や収納代行業者側で審査が行われます。

5.システムの接続、利用設定
審査が通ったら実際にコンビニ決済ができるようにシステムの導入に入ります。決済代行業者や収納代行業者側で行ってくれることもあれば、設定情報を受け取って自身で行うこともあります。

自身での導入にもし不安がある場合には、設定のサポートがあるかどうかを事前に業者へ確認しておくとよいでしょう。設定終了後、動作確認が取れたら実際の運用へと移ります。決済代行業者や収納代行業者によって違いはありますが、審査書類や販売に使用しているECサイトの構成などに不備がなければ申し込みから運用開始までおおむね1カ月から2カ月程度が目安となります。

今回は、導入事例が多いECサイトを想定して、事業者として知っておきたいコンビニ決済の概要や決済手続きの一連の流れ、導入した際のメリットやデメリット、導入時のプロセスなどを紹介しました。主要な点をまとめると次のようになります。

  • コンビニ決済は、インターネットを利用して商品を購入する際にクレジットカード決済に次いで2番目に選ばれることの多い決済手段である
  • コンビニ決済は、クレジットカードを持っていない顧客やクレジットカード利用に不安のある顧客との相性が良い
  • コンビニ決済には、払込票タイプと払込用番号タイプという二つの支払い方法がある
  • 決済方法には、後払い方式と前払い方式が選択でき、前払い方式を選べば代金未払いのリスクがない
  • コンビニ決済の導入や運用には決済代行業者や収納代行業者に依頼するのが一般的
  • コンビニ決済は、入金確認がほぼリアルタイムで確認できるので迅速な対応が可能

手数料などが発生しますが、決済代行業者や収納代行業者を利用したコンビニ決済は、クレジットカードを利用しない顧客層の取り込みが見込めるほか、適したサービスを選べば代金未回収やキャンセルによる取引の取り消しリスクも軽減できるので、安全性や確実性の面で優れていることが分かります。

ECサイトを始める時には数ある決済手段のなかから自身の提供する商品やサービスの特色、ターゲットに合わせて適したものをいくつか選んで用意することになりますが、そのなかの主要なものとして、本記事を参考にコンビニ決済の導入を検討してみてください。

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執筆は2022年2月14日時点の情報を参照しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash