コーヒーをおいしく味わってもらうには ー ブルーボトルコーヒージャパン

コーヒーブームの第三の潮流とも訳される「サードウェーブコーヒー」。それまで親しまれてきた深煎りとは一変、コーヒー本来の特徴や個性をより引き出す浅煎りでコーヒーを抽出するのが大きな特徴だ。

サードウェーブコーヒーの代表格でもあるのが、米サンフランシスコ生まれの「ブルーボトルコーヒー」。豆の栽培から一杯のコーヒーになるまでの道のり「Seed to Cup(種からカップまで)」を大事とし、その季節に最もおいしく味わえる旬の豆に出会えるコーヒーショップだ。そのほかにも華やかなものからずっしりとしたものまで、幅広いラインアップでお客様をもてなしている。

決済場面においては、北米・日本・韓国・香港にある店舗のうち、90箇所以上でSquareのソフトウェア、または決済端末を利用。海を越えても同じ決済端末を使う理由として、ブランドづくりを行う上でSquareが馴染む点を挙げてくれたのは、ブルーボトルコーヒージャパンのジェネラルマネージャーを務める伊藤諒(いとう・りょう)さん。ここではブルーボトルコーヒーが大切にしているデザインやホスピタリティについてお話を聞きながら、Squareとの相性を探ってみた。

サンフランシスコのガレージから日本上陸まで

時を巻き戻して、2002年。米サンフランシスコのファーマーズマーケットで、当時は珍しかった浅煎りのコーヒーを自ら焙煎して提供していた男性がいた。彼こそがブルーボトルコーヒーの創業者、ジェームス・フリーマン氏。当時40歳だった彼は、それまでのクラシック音楽家という肩書きを塗り替えるように、大好きなコーヒーの世界に飛び込んだ。

記念すべき第一店舗は、知り合いの建築家事務所のガレージを借りてオープン。「ヘイズバレーキオスク」と名付けられた本店舗は、今も元気に営業している。そこからは東海岸にあるニューヨークにも店舗を出したり、ロサンゼルスのハンサム・コーヒー・ロースターズを買収したりなど、ブルーボトルコーヒーをより多くのお客様に楽しんでもらえるよう着々とビジネスを拡大していった。その流れに乗り、国境を越えた日本という土地に店を構えたのは2015年のこと。

日本に進出したいという思いは、フリーマン氏が喫茶店文化に触れたことがきっかけだった、という伊藤さん。「2009年頃に、彼がコーヒーを始めてから初めて日本に来て、日本の純喫茶をいくつかまわりました。そのときに喫茶店のサービスだったり、マスターがこだわりのコーヒーを淹れていく所作であったり、体験すべてに感銘を受けて。そこからはブルーボトルのデザインや考え方が純喫茶の考えに影響を受けている部分がありますね。そのような経緯から、日本にはどうしても出たいと考えていました」

お支払いはシームレス、かつスムーズに

アメリカの各店舗では決済場面において、Square ReaderとSquare Standがすでに導入されていた。Square Standがはじめてお披露目されたのも、実はアメリカの店舗にて、だった。東京・清澄白河に日本初の店舗を開くときも、Squareは自然と候補に上がったのだろうか。

「ブルーボトルコーヒーでは、お客様に来ていただいたときの体験を大事にしています。決済サービスを決める際には、その体験をいかにシームレスでスムーズにできるか、を考えていました。アメリカでは、それがSquareのおかげで実現されていた部分がかなり大きかったので、日本に展開したときも同様の体験を作れるようにしたいという思いがありました。

あと、デザイン性がすごくシンプルで、我々のストアのデザインコンセプトにもマッチするところから決めさせていただいた、という経緯があります」

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デザインは、コーヒーをおいしく味わう上で大切な要素だと考えるブルーボトルコーヒー。具体的にはどのようなアプローチでお店の設計などに取り組んでいるのだろう。

「デザインを考えるとき、僕たちは引き算という言葉をよく使います。たとえば誰かと一緒にコーヒーショップで話をするとき。大事な話でも、友達とキャッチアップするでもいいのですが。そのときに装飾があると、意識、無意識関わらず、ちょっと気をとられてしまう。そういうことがなく、その場所で過ごす時間により集中できるように、余計なものはどんどん引き算して削ぎ落としていこうというのが、僕らのデザインに対するアプローチです」

一方でとことん削ぎ落としてしまうと、無機質で冷たい印象にもなる。シンプルな空間の中にも居心地のよさを生み出す上では「木を多く使ったり、椅子にはゆったりと座れる素材を使ったり、少しだけ温かみのタッチを加えてデザインのバランスを見ていいます」と伊藤さん。引き算のデザインを叶えるうえでは、Squareの決済端末も貢献している点があるという。

「レジ周りにいろんなものがあると、お客様も『何を選んだらいいんだっけ』となってしまうかもしれません。Squareのレジなら最小限のデザインでお客様をお出迎えできるうえ、機能もしっかり備わっている。この点は僕らのデザインの考え方と非常にマッチしているなと思います」

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記憶に残る瞬間を作る

コーヒーを飲むという行為をより楽しく、記憶に残るものにするうえで、ブルーボトルコーヒーではホスピタリティ(=おもてなし)も大切にしている。

ブルーボトルコーヒーでは接客のマニュアルがない。台本を読み上げるよりも、お客様との接点を「入店時」「レジに立ったとき」「ドリンクを待っているとき」「ドリンクを受け取ったとき」「退店時」の五つの瞬間に切り分けて、いかにそれらを記憶に残るものにできるか、を一人ひとりのバリスタに意識してもらっているという。

「一瞬、一瞬を思い出に残る瞬間にしたい、と考えています。お客様はその時々で急いでいる、急いでない、コーヒーへの興味、などが違うはずです。そこをいかにパーソナライズできるかは、考えているところですね。結果、『コーヒーがおいしかった』だけじゃなくて、『この場所に行ってよかった』『この時間を過ごせてよかった』と思ってもらえれば、僕らとしてはうれしく思います」

五つの瞬間の一つである「レジに立ったとき」では、お客様とバリスタが快く交流できる環境作りにも重きを置いている。注目したことの一つは、レジカウンターの中と外の床の高さだ。飲食店やカフェでは厨房区画内の配管などの関係で、レジカウンター内の床をカウンター外に対して一段高く設計することが多い。ブルーボトルコーヒーでは、「なるべくそれを下げて、我々がバーと呼んでいるカウンターの中と外の床の高さをなるべく同じにしています。同じ目線の高さでの関係づくりは意識しているところです」と伊藤さんは説明する。せっかく床の高さを調整しても、大きなレジがドンとカウンターに置かれてしまえば「どうしても物理的に壁ができてしまう」と伊藤さん。スッキリとした姿のSquare Standなら、レジ=障害物という感覚も取り払われ、お客様ともコミュニケーションがより取りやすくなるという。

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さらにお客様に合わせた接客を行う上では、レジまわりの設計に限らずキャッシュレスに対応しておくことも大切だと考えていたそう。

「(キャッシュレス決済なら)お金を出して、払って、お釣りを受け取って、という一連の動作をなくしてお会計をスムーズに行えます。お金のやりとり以外におすすめであったりとか、もう少しコミュニケーションにフォーカスできるようになるので、バリスタもお客様とのエンゲージメントに意識を向けられます」

たとえブランドづくりをするうえで相性のいい決済端末が見つけられたとしても、導入コストが高かかったり、端末が使いにくかったりすれば、継続して使うのは難しいだろう。この点でSquareなら導入コストもあまり負担に感じず、トレーニングの時間も短く済むという。

「経済的なインパクトを考えずに、新規店舗でのレジを増やすことができています。弊社ですとお客様の流れが季節に左右されるところがあります。たとえば日本だと桜の季節には観光客も増えます。お客様のトラフィックが上がったときにレジを気軽に増やせるのは、我々のオペレーションとしては非常に助かってる点ではあるのかなと思います

また、Square POSレジなら、複雑な手順を覚えないといけない、というよりも「直感的に使うことができると感じています」とのこと。「新しいスタッフが入ってきてもトレーニングがかなり短縮できるという意味では、導入期間が短くてすごくありがたいなと思っています

たしかにレジ操作が難しければ、一人ひとりのお客様に合った体験を提供することに意識を向けにくくなるかもしれない。Square POSレジの操作が簡単なおかげで、「『もっとお客様のために何ができるかを考えよう』という風に、マインドやエネルギーを費やすことができています」と伊藤さん。

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売上レポートを参考にして生まれた新商品

新しい商品を考えるときや、カフェに立つスタッフの人数を調整するとき、どの時間帯に需要があるのかを見出すとき。このような場面では、Squareの売上レポートを見ながら議論することが多いという伊藤さん。最近では感染症の影響を受け、客層の大部分が外国人観光客から日本人にシフトしたことで、お客様のニーズも少しずつ変わっていった。

「以前までは観光をしながらグッズを買って、ドリンクを買って、飲みながら『次のところに行こう!』というお客様も結構いらっしゃったところから、『カフェに行くならゆっくりしたいな』『ゆっくりするんだったらドリンクだけじゃなくてフードも食べたいな』というお客様が自然と増えていったのは大きな流れとしてありました。そういった意味ではこれまで通りコーヒーにも力を入れていくんですけど、それに合うフードの提案をもっと強化していこうというのは大きな変化としてあります。フードメニューを見直したり、フードを提供しやすい店舗づくりをより考えるようになりました」

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そのような流れのなかで生まれた商品が「あんこ&くるみバター」だ。

もともといくつかの店舗で上がっていたのが、「お昼過ぎにちょっと小腹を満たせるフードがほしい」という声。実際にSquareの売上レポートを見てみると、お昼過ぎから夕食前までの時間帯で客単価が減少する傾向が見られた。この時間帯に、手の出しやすい価格帯でコーヒーとあわせて楽しめる何かを出せないだろうか……と考えた結果、至ったのが「あんこ&くるみバター」だった。もちコッペの間に、京都は「都松庵」のつぶあんと自家製くるみ入りのバターを塗った、おやつにはぴったりのメニューだ。

その後、同時間帯の売り上げを追っていったところ、客単価は回復。「実際のニーズをヒアリングして得たソフトなデータと、売り上げから見れるハードなデータを突き合わせることで、より精度の高い予測をもとに商品を導入することができました」

また、Squareの売上レポートからは時間帯別に限らず、商品別でも売り上げが見れるため、新しい商品を販売したり、フードメニューを入れ替えたりしたときの経過観察も簡単にできているという。

環境を考えた店づくり

日本に上陸してから6年半。2021年7月6日現在では、東京・横浜・神戸・京都の四都市、計20箇所でブルーボトルコーヒーが楽しめるようになった。ただ、店舗が増えればその分資源も、電気も使うことになる。

ブルーボトルコーヒーはファーマーズマーケットからはじまったこともあり、サステナビリティを大切な軸の一つとしてあげてきた。そのような背景から、環境負荷を少しでも減らせるようにと、社内で自然と議論が生まれるそうだ。話し合いの結果、はじめたことは主に二つ。一つは使い捨てのカップやストローの素材を生分解性のバイオプラスチックに切り替えること。もう一つは日本独自の取り組みとして、二酸化炭素の排出量削減を目的に、電力を再生可能エネルギーに切り替えること。

お客様のニーズに応えつつ、地球のニーズにも耳を向ける。周りから求められる形にスッと変われるよう、柔軟にビジネスのあり方を変えているブルーボトルコーヒー。今後の取り組みにも注目しながらおいしいコーヒーを楽しみたい。


「お客様のトラフィックが上がったときにレジを気軽に増やせるのは、我々のオペレーションとしては非常に助かってる点ではあるのかなと思います」ーブルーボトルコーヒージャパン合同会社 ジェネラルマネージャー伊藤諒さま


Square導入のご相談は営業チームに

Squareサービスの導入を検討中のお客さまに、営業チームが導入から利用開始までサポートします。イベントでの利用や、複数店舗での一括導入など、お気軽にご相談ください。

ブルーボトルコーヒーで利用している3つのサービス

(1) Square ReaderとSquare Stand
ブルーボトルコーヒーが大切にしている空間デザインをそのまま生かすことができている。Square Standがすっきりとしたサイズだからこそお客様との間に壁を作らずに、対等な関係づくりに取り組める。

▶︎ Square Reader
▶︎ Square Stand

(2) Square POSレジ
操作が難しくないことから、レジ教育の時間の短縮が実現。代わりにブルーボトルコーヒーが重視するホスピタリティにエネルギーを費やすことができている。

▶︎ Square POSレジ

(3) Square データ(売上レポート機能)
商品別・店舗別・時間別の売り上げの可視化が実現できている。店舗の混み時から客単価が低い時間帯まで把握できるため、新商品の価格戦略を見いだすにも、スタッフのシフトを組む際にも役立っている。

▶︎ Square データ

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執筆は2021年7月6日時点の情報を参照しています。
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