病院やクリニックに予約システムを導入する場合のメリットやデメリットとは?

開業医を対象としたある調査によると、予約システムの導入について「既に導入している」と回答した人は14.3%でした。「導入しようと思っている」「制度や補助金などの状況を見て導入を検討したい」という人も含めると、42.3%の人が予約システムに関して前向きな姿勢であることが伺えます。

この記事では、病院やクリニックが予約システムを導入する場合のメリットとデメリットについて解説します。

参考:【開業医286人に聞いた】コロナ禍で注目のICTツール意識調査(日経メディカル)

目次



病院やクリニックの予約システムとは

新型コロナウイルスの感染拡大以降、待合室を利用する人数を制限するために、予約なしでも受診できるシステムから予約制へと移行した病院やクリニックも多いことでしょう。現在予約制を取り入れている、今後取り入れることを検討しているという病院やクリニックにおすすめなのが、インターネットを利用した予約システムです。予約システムとは、予約の受付・管理を行うシステムで、飲食店や美容室などさまざまな業種で活用されています。

予約の方法には「順番待ち制(受付順番制)」と「時間予約制」の二つがあります。この記事では、主に「時間予約制」の予約システムについて紹介します。

順番待ち制

順番待ち制は、銀行や自治体の窓口などでよく導入されているシステムです。来た順番で番号を受け取り、自分の番になったら呼び出しを受けるものです。待ち時間が可視化されますが、混雑するクリニックによっては「朝一ですでに60分待ち」ということもあるでしょう。

時間予約制

時間予約制は、あらかじめ診療時間を区切り、その時間枠を患者が予約するものです。この方法であれば、自分の診察が何時に始まるのかが事前にわかります。待ち時間のストレスもなく、満足度の向上が期待できるでしょう。
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予約システムの種類

病院やクリニック向けの予約システムには「ポータル型」と「オウンド型」があり、両者を組み合わせて利用しているところもあります。

ポータル型

ポータル型とは、さまざまな病院やクリニックが掲載されている予約サイトのことを指します。会員数3,000万人を有するEPARKクリニック・病院などがその一例です。すでに多くの会員がおり、ネットで予約できる病院やクリニックを探している人が利用することから、新規患者の獲得効果も期待されます。しかしながら、月々の掲載料金は高額になりがちなので、費用対効果も考えながら導入を検討しましょう。

オウンド型

オウンド型は、病院やクリニックが作る独自の予約サイトです。数十万円から数百万円の予算があれば、システムを一から構築して自院に必要な機能を搭載することもできます。少ない予算で始めたい場合は、予約システムサービスからテンプレートを選んで必要事項を入力すれば簡単に予約ページを作ることも可能です。導入費用が無料のサービスや、月額利用料金が無料のプランを用意しているサービスも多くあるので、自分の病院やクリニックに必要なサービスを検討してみるといいでしょう。

病院やクリニックが予約システムを導入するメリット

病院やクリニックが予約システムを導入するメリットは、医療サービスの内容や規模によってさまざまですが、主に以下の6点が挙げられるでしょう。

予約業務の効率化

予約システムを導入することで、電話や窓口で行っていた予約やキャンセルの受付、予約に関する問い合わせ受付などの業務が減ることが期待できます。また、電話やメールなどで入った予約を台帳で管理するとダブルブッキングなどのトラブルも起こりがちですが、システム上で一元管理できればミスやトラブルが起きる可能性を減らせるでしょう。

患者の利便性や満足度が上がる

電話や窓口での予約だと、患者が希望する日時は埋まっていたり、病院やクリニックが空いている日を提示しても患者の予定と合わなかったりと、何度かのやり取りが生じていたかもしれません。しかし、予約システムを導入すれば、患者は自分のスケジュールと調整しながら好きな日時に予約を入れることができます。

また、予約システムによってはリマインドメールを送る機能もあるので、うっかり忘れの防止にもつながります。

さらに、患者は自分の予約した時間に診療を受けるので「待ち時間が長い」「後から来た人が呼ばれた」などのトラブルもなく、ストレスなく医療サービスを利用できるでしょう。

来院患者が増える

「ネットで好きなタイミングに予約できる」「予約時間に行けば待たずに受信できる」と認識してもらうことで、次に受診が必要になった際にまた選んでもらえるかもしれません。また、特に若い世代では電話に苦手意識を持つ人も多いため、電話予約よりもハードルが低いことから、新規患者の獲得も期待できます。

参考:「電話に苦手意識を感じる」人が約4割!現代のコミュニケーション手段をセゾン自動車火災保険が調査!(セゾン自動車火災保険株式会社)

受診予定人数を把握できる

病院やクリニックが混雑すると、待合室や駐車場のキャパシティが足りなくなる場面が発生し、患者の不満につながってしまいます。予約システムを使ってあらかじめ受診患者の枠を決めておくことで、待合室や駐車場を利用する人数を絞ることができます。特に、感染拡大の観点から、待合室の席数を以前より減らしている病院やクリニックも多いかもしれません。受診予定人数の把握は重要といえるでしょう。
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少人数で対応できるようになる

受付業務の中でも、予約受付は電話対応、予約台帳への記入、キャンセル対応や時間変更の対応など、時間と労力が必要な業務です。これらの業務を予約システムに任せることができれば、受付の人数を減らすことも可能になるでしょう。予約業務が減った分、来院した患者への対応や個々の患者とのコミュニケーションに時間を割けるようになるのもメリットといえるでしょう。

電子カルテと連携できる

予約システムによっては、電子カルテとの連携ができます。予約時に入力した氏名や住所、電話番号などの情報が電子カルテに自動で反映されるので、カルテに転記する手間が省けます。また、アンケート機能を利用して、事前に問診表の記入を依頼しておけば、来院時に記入する必要がなく、すぐに診察に進むことができます。

無断キャンセルが減る

電話での予約の場合、急に都合が悪くなっても、「診療時間内に電話できない」「面倒」などの理由で連絡せずに来院しない患者もいるかもしれません。予約システムを導入することで、24時間キャンセルの連絡ができるだけでなく、リマインドメールを送れる予約システムを利用すれば、患者の「うっかり忘れ」も防ぐことができます。

また、予約システムによっては、キャンセル料金を取ることができる機能もあるので、病院やクリニックの損失を最小限に抑えることもできます。

事前決済も可能に

予約システムによっては、事前決済も可能になります。たとえば、インフルエンザワクチンなど、あらかじめ価格の決まっている医療サービスへの予約であれば、事前決済を利用することで窓口の混雑防止や無断キャンセルの防止にもつながります。

病院やクリニックが予約システムを導入するデメリット

受付業務の軽減や、患者の利便性・満足度の向上につながる予約システムですが、デメリットにはどのようなことが挙げられるかを考えていきましょう。

患者の状況を聞いて受診の判断ができない

患者本人が緊急性がないと判断しても、医療的観点からすぐの受診が望ましいケースもあります。医師や看護師が患者の状態を把握できないことは、予約システムのデメリットといえるかもしれません。

ネット予約が苦手な患者もいる

新型コロナウイルスのワクチン接種では、ネット予約が苦手な高齢者をサポートするべく、行政職員などが予約を代行するといった動きがありました。高齢者に限らず、インターネットが苦手な患者は少なくありません。こうした患者はネット予約にハードルを感じ、受診を敬遠してしまう可能性もあります。

参考:混乱続くワクチン予約 高齢者にネットの壁高く 代行あれこれ(2021年5月17日、毎日新聞)

導入費用がかかることも

予約システムの普及で、最近では無料もしくは低価格で導入できる予約システムサービスも増えてきました。しかしながら、無料版では利用できる機能に制限も多く、特に他のシステムとの連携などはできない場合が多いです。電子カルテとの連携や、高度な機能を利用したい場合は、有料サービスへのアップグレードが必要になります。

また、病院やクリニックに特化した予約システムサービスは、自院に適したカスタマイズが可能ですが、初期費用だけで数十万円かかることもあります。
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予約システムの導入による患者のメリット

受付業務の効率化や、待合室の混雑回避など病院やクリニックにとってはざまざまなメリットがある予約システムですが、患者にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

24時間予約ができる

電話や窓口での予約だと、病院やクリニックが営業している時間にしか予約ができませんでした。予約システムを導入すれば、患者は好きなタイミングで予約を入れることができます。また、キャンセルなどの連絡も24時間365日行えるので、患者にとっての利便性は格段に向上します。

診察開始時間がわかる

これまで予約制を採用していなかった病院やクリニックでは、「朝早くから患者が待っている」というのもよくある光景でした。予約システムを活用することで、「自分の診察が一体いつ始まるのか分からない」という患者のストレスを軽減できます。

予約システム導入時の注意点

病院・クリニック、そして患者にとってもさまざまなメリットがある予約システムですが、導入時にはどのようなことに注意したらいいでしょうか。

システムは使いやすいか

操作が複雑で難しく、予約システムの運用を行う受付スタッフが使いこなせないようであれば、業務に支障が出る可能性もあります。なるべくシンプルで、全体のオペレーションに影響しないものを選びましょう。また、複雑なシステムは患者も敬遠しがちです。患者の利便性を考えたシステムを検討することも大切です。

お試し期間はあるか

前述の通り、予約システムの中には導入に高額な費用が必要なものもあります。数カ月の試用期間があれば、使い勝手や費用対効果も測定できるので、お試し期間を利用するのがおすすめです。

たとえば、Square 予約は、初期費用無料で導入できる予約システムです。月額料金がかからない無料プランでも、事前決済に対応した予約ページの作成、POSレジ機能、顧客管理機能、スタッフ管理機能など、病院やクリニック運営に役立つ機能が利用できます。無料プランから試してみて、より高度な機能が使いたい場合は簡単に有料プランに切り替えることが可能です。

予約システムと一口にいっても、機能やサービス内容、使い勝手はさまざまです。医療サービスの内容や患者の属性に応じた予約システムの導入で、業務の効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

予約管理はSquare 予約で

Squareの予約管理は無料から導入でき、事前決済はもちろん、有料プランの場合はキャンセル料も取れるので、ノーショウ対策もできます。専用アプリでも、お使いのブラウザでも、場所を問わず、どこでも予約の状況を確認、調整できます。


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執筆は2022年3月14日時点の情報を参照しています。2022年5月10日に一部情報を更新しています。当ウェブサイトからリンクした外部のウェブサイトの内容については、Squareは責任を負いません。Photography provided by, Unsplash